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★Xbox 360ゲームレビュー★

「テイルズ オブ」シリーズのノウハウが凝縮されたRPG
「テイルズ オブ ヴェスペリア」

  • ジャンル:「正義」を貫き通すRPG
  • 発売元:株式会社バンダイナムコゲームス
  • 価格:7,800円
  • プラットフォーム:Xbox 360
  • 発売日:発売中(8月7日)
  • CEROレーティング:B(12歳以上対象)



 バンダイナムコゲームスを代表するRPG「テイルズ オブ」シリーズの最新作「テイルズ オブ ヴェスペリア(以下、TOV)」が発売された。Xbox 360でリリースされた本作は「テイルズ オブ」シリーズ初の新世代機対応ソフト。藤島康介氏入魂のキャラクタデザイン画が高精細な3Dグラフィックスのキャラクタでモデリングされ、歩く・走るといった所作はもちろん、突きや斬りといった戦闘モーションまで滑らかに動いている画面の様子は、初見の人はもちろん「テイルズ オブ」シリーズファンにとっても素直に綺麗と感じる出来栄えといえるだろう。ちなみに、「ヴェスペリア」とは宵の明星を意味する言葉をもじったもの。

 「TOVは北米向けに作られている?」という噂が駆け巡った日もあったが、蓋を開けてみると「テイルズ オブ」のテイストを手堅く守りつつ新世代機向けに昇華されているという印象が強い。細かな点を見ても、回復アイテムはグミだし、サンドウイッチは料理できるし、美麗なアニメーションムービーも随所に流される。シリーズのお約束を忠実に丁寧に作りこんだ結果、「テイルズ オブ」シリーズの導入編にも成り得る安心感のあるタイトルに仕上がっている。筆者としては、アイテム名や地名に「スペシャルフラッグ」や「ナム孤島」を見つけてはニヤリとする旧ナムコファンのピンポイントなツボをも押してくれる……そんな「TOV」の素敵さを当レビューで少しでもお伝えしていきたい。

リアルタイムイベントシーンの美しさ、そして吹き出しの文字の読みやすさにも注目。高解像度対応のゲームは文字が小さくてなあ……という人も安心して遊べるはずだ



■ 戦略性とアクション性の高い手応えのあるバトルシステム

 「テイルズ オブ」を知らない人の中にはパッケージを見て、「キャラゲーでバトルがヌルいんじゃないの?」という印象を抱いてしまう人もいるかもしれない。だが、「TOV」のバトルは高度な戦略とアクションゲームのようなスティック&ボタン捌きを必要とし、コンボ習熟やスキルセットなど努力した分だけレスポンスのある充実したコンテンツとなっている。1度ゲームのバトルに触れれば「実は硬派だった」という評価に変わってくるはずだ。

 「TOV」の戦闘は味方キャラが4人まで参加。操作するのは1人だけで、残りの3人は作戦に従いオートで行動するアクティブバトル。4人のキャラクタが技名を叫びながら(時には仲間を叱咤しながら)戦うアクションバトルは賑やかで、特技連携やフェイタルストライク(FS)という大技を決めた瞬間はアクションゲーム顔負けのエクスタシーが走る。リアルタイムで動く味方と敵の状態を同時に把握しつつ操作キャラクタのコンボ入力を行なわなければいけないので、難易度はやや高め。とはいえ、話の流れに沿ってバトルのチュートリアルが入るので開始数時間後にはバトルに慣れるだろうし、バトルごとに難易度が「イージー、ノーマル、ハード」のいずれかを選択可能なので勝てない敵はイージーに変更して倒しやすくすることも可能だ。全キャラをオートで動かす「オートモード」に変更することもできるので、アクションが苦手な人は自動で動くキャラの行動で立ち回りやコンボを学習するといいだろう。

 操作キャラクタとターゲットしている敵の間には移動ラインが存在し、左スティックの操作で敵との距離を調節しながら戦っていく。1体の敵に味方が集中している、複数の敵から移動ライン上の前後で挟撃されるといったシチュエーションでは、フリーランが役に立つ。左トリガーを引きっぱなしで発動できるフリーランは移動ラインを無視してバトルフィールドを360度移動することができる。フリーランは、敵の術詠唱の中断を狙う、石化など危険な技を持つ敵を最優先で倒す、と臨機応変に対処できる移動方法。自由度の高いフリーランを戦略的に使いこなすことで、敵とのレベル差を腕前でカバーできる点が「TOV」のバトルの妙といえるだろう。

Bボタンで通常攻撃、Aボタンで技・術という「テイルズ オブ」シリーズを意識したボタン配置なので、Xbox 360コントローラの操作も違和感はなかった


【ユーリ】 【エステル】 【ラピード】
使用武器は剣・斧で、攻撃の出が速く特技連携を主体とした立ち回りが得意なので使いやすい。FSを狙いたい人向け 武器は小剣・杖。治癒術でパーティーの傷を癒す後方支援を得意とする。攻撃モーション、移動速度が遅いため接近戦には向かない 使用武器は短刀。移動スピードは全キャラトップ。アイテムを盗むスキルを唯一持っているので合成素材集めに重宝する

【カロル】 【リタ】 【レイヴン】
使用武器はハンマー・大斧・大剣。小柄な体格に反し、足が遅い、技が大振り、溜め攻撃が使えるという重量級キャラなのが面白い 使用武器は帯・ヨーヨー。術による広範囲の攻撃が得意。敵の攻撃で詠唱を妨害されにくい後方に置いておくのがベスト 使用武器は弓。移動速度は普通で、中・遠距離から間合いを取った攻撃が得意。術・技でパーティーのサポートもこなす

【ジュディス】
使用武器は棍・槍。スピーディーな移動と空中での攻撃・スキルが充実。空中コンボを極めたい玄人向けのキャラクタ


 オート操作の仲間は適度にコンボを決め、回避行動もパーフェクトではなくどこか隙のある動きをするように調整されているようだ。オートAIの仲間がバリバリコンボを決めて敵を殲滅してしまうのではプレーヤーの腕の見せ所がなく興が覚めてしまうのだが、「TOV」の仲間のAIはわざとらしくない程度に拮抗した働きをしてくれるので、「操作する俺のキャラがしっかりしないと負ける!」と妙にやる気にさせてくれる。そんな仲間たちは雑魚戦なら放置気味で構わないが、長丁場になるボス戦では味方のケアが必要になってくる。いつもの調子で飛び込んでいく味方はバタバタ倒されてしまい「ライフボトル(蘇生アイテム)」連発のジリ貧モードに突入しかねない。ボス戦では敵のHPや弱点属性を調査するアイテム「スペクタクルズ」を使い、味方の装備武器や作戦・隊列・指示を調整してフォローを心がけてほしい。

術式が出ているのは1秒ほど、一瞬のチャンスにトリガーを引くべし
 通常攻撃より威力の高い特技・奥義を連発しているとあっという間にTPが無くなってしまうので、通常攻撃を当ててTPを回復しつつ特技連携に入るという定番の攻撃方法が有効だ。状況にもよるが、防御を多用するよりは攻めの手数を増やして相手にターンを渡さない方がFSも発生しやすくなるので楽に戦闘を進められると思う。また、オフライン時のバトルのみ、コントローラを人数分用意して最大4人までの多人数でプレイできる。2人プレイを試してみたが、肩を突き合わせてアレコレ言い合いながら遊ぶというのはやはり楽しい。

 戦闘の新アクションでは「FS」が導入されている。FSは敵への攻撃を繰り返し、FS耐久値をゼロにすると赤や青や緑の術式が出現、その瞬間に右トリガーを引くことで敵の残HPに関わらず一撃で倒せる(ボス除く)アクション。敵を仕留める必殺のシーンがアップで映し出されるため迫力があり、ボタンを押すのではなくトリガーを引くという特殊操作感覚が一撃必殺の臨場感をプレーヤーに伝えてくれる。敵を早く倒せるため戦闘時間の短縮にもつながるので、FSは常に狙っていきたいアクションといえる。

青FSは下からのカチ上げ、赤FSは地面へ叩きつけ、緑FSは横へスライドしながらの斬り抜けの一撃が決まる


 敵に当てる通常攻撃や術・技の種類によって、出現する術式の色は決まっている。例えば、ユーリの蒼破刃は緑FSに対応した技なので、蒼破刃を当てることで敵の緑色のFS耐久値を減らすことができる。このため、同じ色のFS対応技で連携を構築するとFSを出しやすい。例えば、青アイコンの技である円閃牙→峻円華斬で青のFS術式を狙うなどだ。最初のうちは、術式が出現するタイミングが本当に取りづらくて難儀すると思う。RBボタンを押したときに敵をターゲットすることで表示されるFSゲージの残量で確認できるが、術式が出る少し前に赤や青や緑色に光る予兆のエフェクトが出るので、慣れてくれば何色の術式がいつ出るかというタイミングは楽に取れるようになってくる。また、術式表示中にFSを出さずに攻撃を続けると再び術式が出現する。連続で術式を出したあとFSを決めるとFSチェインが起こる。FSチェインは取得EXP・LP・アイテムドロップ率のいずれかがアップするなど恩恵も大きいが、一度反撃を受けてしまうと、FSチェイン数は1に戻ってしまうし、FSを出す前に味方が敵を倒してしまう可能性もあるのでレコードを狙う以外はほどほどにしておいたほうがいいだろう。

 スキルが充実してくる中盤以降はスキルを併用することで、FSを決めた瞬間にHPやTPが回復するといった追加効果が得られるのも大きい。FSの回復要素は戦闘の難易度にも関わってくるので、FSは重要度の高いアクションといえる。

 オーバーリミッツは発動することで攻撃や術・技を無制限につなげることが可能になり、コンボを簡単に延ばすことができるアクション。オーバーリミッツは攻撃を防御されずに当てる、攻撃を受ける、スキルのアピールを出すことでたまるオーバーリミッツゲージを消費して発動する。オーバーリミッツには4段階までレベルがあり、レベル3以上で全ての術・技のTP消費が無くなり、レベル4で敵の攻撃をうけてもダメージを受けず仰け反らない無敵状態になる。レベル3以上が使えるようになるのは中盤以降に合成可能となるアイテムが必要だが、普段はお目にかかれないコンボ数を簡単に決められるのは実に気持ち良い。

オーバーリミッツ発動中は「バーストアーツ」という奥義の上位技が繰り出せる


 また、オーバーリミッツは「テイルズ オブ」シリーズの定番の超必殺技「秘奥義」を発動させるキーとなる。特定のスキルをセットした状態で、レベル3以上のオーバーリミッツ発動中に奥義以上の術技を出した後にBを押し続けることで秘奥義が発動する。キャラクタの1枚絵がカットインされ、長時間の演出で敵を一方的に攻撃できる秘奥義は最後の切り札といえる攻撃だろう。

ユーリの秘奥義「漸毅狼影陣」。長い台詞と共に敵を切り刻んでいく


エステルの秘奥義は「セイクリッドフレイム」。味方の体力を回復させつつ対象にダメージを与える



■ プレイを進めることで深まるキャラクタへの愛着

 「TOV」の登場人物で特筆すべきは、生き方に芯の通った主人公ユーリの魅力だろう。「正義を貫き通す」というサブタイにもある通り、ユーリは自分が正しいと選択したことを着実に遂行する。その揺るぎない心はゲームスタート時点ですでに完成の域に達しており、仲間を想う余裕を備え、決めるときは決めるという仕事人のようなユーリの生き方を最後まで見届けたくなる……そんな求心力のある主人公といえるだろう。まあ、ときには本作が「CEROレーティングがB(12歳以上対象)なんだなあ」と思うような行動を取ったりするが。

 ユーリだけをピックアップしたが、ゲーム中のキャラクタたちの様子は仲良しギルドという感じで、冒険の道中は非常に明るい。犬のラピードはイマイチキャラクタが掴めなかったが、人間の6人は各々に関連イベントがあり実に地に足のついたキャラクタになっていて感情移入もしやすいのではないだろうか。個人的には、ちょっとだけSっ気のあるジュディスやユーリからおっさん(レイヴン)がウザキャラとしていじめられるのが見ていて愉しかった。

アタッチメントを付け替えることでキャラクタの外観が変わる。イベントデモにも適用されるのでシリアスなシーンも台無しに?


 「ヴェスペリア」は冒険を通じてパーティーメンバーの絆が高まっていく描写が見事といえる。その描写は長い会話のあるリアルタイムイベントシーンだけではなく、戦闘勝利画面のちょっとした一言などさり気無いシーンに散りばめられている。例えば、戦闘勝利画面ではキャラクタ同士がハイタッチを頻繁にするのだが、偏屈な研究者で知られるリタがパーティーへ加入した直後はエステルからハイタッチを求められても困惑する。ところが、旅をするうちに自分からエステルにハイタッチを求めていくというようにゲームの進行に合わせて感情が変化していく様子の描写が実に巧みだ。キャラクタの細かな心理描写という「テイルズ オブ」シリーズの専売特許は「TOV」でも顕在といえるだろう。


■ シリーズ伝統の「スキット」は変わらない良さがある

 「テイルズ オブ」シリーズ伝統のシステムで、BACKボタンを押すことでキャラクタたちが雑談する風景を呼び出せる「スキット」は「TOV」にも継承されている。「スキット」を見ることで、登場人物たちが抱いている希望や恐怖、倒した敵の意外な一面など感情・情報を知ることができる。より「TOV」に深く没入するためには「スキット」は必要不可欠な存在といえるだろう。

 また、単なる雑談や漫才のような「スキット」は笑わせてくれるものも多く、冒険の箸休めとしてリラックスさせてくれるのが楽しい。機能面でも「スキット」は重要で、次に向かう場所や待ち受ける強敵の攻略のヒントになることもある。ダンジョンに一定時間居る、特定の料理をマスターなど普通に遊んでいたのでは見つけにくい「スキット」もあり、往年のゲームの「隠れキャラ」を探し出すような感覚で「スキット」探しができるのも「スキット」の持ち味といえよう。

キャラクタの感情に合わせてワイプのフェイスパターンが切り替わり、声優の方々の気の入った演技が繰り広げられる



■ 世界の存亡を賭けた壮大なシナリオ

環境問題を想起させるなど、さまざまな要素がシナリオに落とし込まれているため、同調しやすいシナリオかも
 ユーリとエステルの出会いは街のいざこざが原因で起こることだが、ストーリーが進むうちに世界の存亡に関わる事件に巻き込まれていくことになる。こうした展開は、これまでのシリーズにも打ち出されてきた重要な主題ではあるが、2人をはじめ、さまざまな登場人物が絡み合うように構成されるシナリオは、まさに王道を行く主題を骨に、ときには現代の我々が直面する環境問題を想起させるような要素を含むなど、今作において、より一層の重厚さを感じさせる。

 そんなスケールのシナリオの中で、男たちの友情、野望、仁義といった濃厚なシーンを描くことにも注力されている。リアルタイムイベントシーンでも敵との対峙や味方内の意見の相違にハッと息を飲む迫力の場面が多く、プレーヤーが受けるインパクトと盛り上がり、男くささはシリーズ屈指の出来栄えといえるだろう。今作でもクリア後に、リアルタイムイベントシーンのプレーヤーもおまけ機能として入れてくれたらいいのに、と思う今日この頃だ。


■ 無限の可能性を秘めるスキルセット

ダメージを1に固定させるなど、使い道を模索させるスキルが満載
 スキルはキャラクタの基本パラメータの上昇や特殊なアクションを可能にする特殊技能。スキルセット次第では、回復役をアタッカーにする、コンボ数を稼ぐために1ヒットのダメージを1に抑える、など様々なプレイスタイルに対応可能。「ショップの合成リストで欲しいスキルを見つける→必死こいて素材を集める→武器を合成して必要スキルを習得させる→スキルの組み合わせを考案する→セットして戦闘で実証する」というスキルセット研究がゲーム終盤まで続くことは、戦闘を飽きさせない一因といえる。

 スキルがついている武器の入手はショップで購入することもできるが種類が少ない。ショップのメニューにある「アイテム合成」で作り出す方が種類も多く重宝することだろう。また、スキルのおかげでダンジョンのアイテム探しにも熱が入る。「もう少し別の道を探索すれば、特別なスキルのついた武器があるかも」とダンジョンを隅まで探索させてしまう……大げさかもしれないが、それほどスキルには人を惹きつける魔力があると思う。

 スキルの効果を得るには、スキルがついているメイン武器かサブ武器をキャラクタに装備させる(防具にはスキルはついていない)。武器の装備中は武器についているスキルは常に効果を発揮しているが、武器を外すとスキルの効果が解除されてしまう。このため、戦闘でLP(ラーニングポイント)を稼いでスキルを習得させ、武器を外してもスキルが使えるようにする必要がある。

 修得したスキルをセットして効果を発揮させるにはSP(スキルポイント)が必要となる。残SP分だけ習得済みのスキルをセット可能で、スキルを解除すると残SPは回復する。必要SPはスキルによって異なり、強い効果を発揮するスキルはたくさんのSPを使う。すべてのスキルをセットするだけのSPは無いので、雑魚狩りに向いたスキル、ボス戦に向いたスキルを状況に応じて切り替えていく必要がある。その切り替えが少々手間に感じたので、スキルを登録して呼び出せるショートカットがあれば便利だったように思う。


■ 初心者はXbox LIVEで無料アイテムセットを入手しよう

ダウンロードしたコンテンツはアイテム欄の「Xbox LIVE」カテゴリに格納される
 現在、プレイを補助するための処置としてXbox LIVEのマーケットプレイスにて有料のダウンロードコンテンツが配信されている。インタビューでも本作のプロデューサーのお2人が発言しているとおり、本作のDLCはあくまで「プレイに詰まった人や、時間のない人がクリアできるようになるための手助け」として、アイテムやレベルの引き上げなどのコンテンツが用意されている。メニューのコンフィグからXbox LIVE マーケットプレイスを選び、マイクロソフトポイントで希望のコンテンツを購入する。アイテムは小売ではなくセット販売され、回復アイテムセット、素材セット、キャラクタにスキルを覚えさせるセット、料理を覚えさせるセット、ガルド入手、キャラクタをレベルアップさせる、といったコンテンツが提供されている。

 筆者のプレイではレベル上げや素材集めにそんなに時間を取られたという印象は無く、一度もダウンロードコンテンツを購入することなくクリアできたが、それは「テイルズ オブ」シリーズをある程度やっていたからかもしれない。シリーズを初めて遊ぶ人は無料で提供されている「無料グミセット」、「ユーリ用お試しスキルセット」などをダウンロードするといいだろう。スタート直後のチュートリアル戦闘も慣れていないとゲームオーバーになる可能性は否定できないため、回復アイテムの増加は「テイルズ オブ」シリーズビギナーにとてもありがたいコンテンツといえる。

 また、Xbox LIVEは最短クリア時間、最大HIT数、最大ダメージ、2つのミニゲームの5つの世界ランキングにも対応している。ただ、個人的には、最短クリアランキングでは有料ダウンロードコンテンツを利用したかどうかをランキングの末尾にアイコンで表示するなど、アイテムを使ったかどうかがわかる仕組みにしてほしかった。


■ スタンドアローンRPGの良さを守る老舗RPG

 「TOV」はダンジョンの尺が短めに設定され、石を動かす、ソーサラーリングで明かりを灯すといったギミックも特別に難しいものがなく解きやすいダンジョンが多かった。全体のゲーム進行のテンポは良く、冒険のテンションをジワジワと上げてくれる。さすがは「テイルズ オブ」シリーズで培われたノウハウが詰まった良質な作品といえるだろう。ロード時間も短めで、クリア後も「グレードショップ(戦闘で入手したグレードと引き換えに特典を得られる)」の解放という新しい目標が出来るので、何度も遊ぶには十分の環境が整えられている。

 オールクリアまで(わりと寄り道しながら)48時間55分という時間を要した本作だが、リアルタイムイベントを多用した無理のないストーリー、集中力の必要な戦闘や武器合成・スキル習得の面白さのおかげで、中だるみせず遊ぶことができた1本だと思う。「スタンドアローンのRPGのボリュームは最近こたえるなあ……」というおっさんゲーマーにとっては、「俺もまだまだ戦える」と思わせる満足感のあるタイトルになった。

 それと、「テイルズ オブ」シリーズのような安定した長寿タイトルをやっておくことは、思い出作りとしても有効だ。他社の話で恐縮だが、某長寿シリーズの某監督は「最新作を遊ぶとき、このシリーズの処女作を遊んだ昔日の記憶やプレーヤー自身の境遇も思い出してもらえたら最高だ」という趣旨の事を言っておられた。おそらく、今後も「テイルズ オブ」シリーズは続いていくであろう。筆者も時々、「テイルズ オブ」絡みの仕事をすると、初めて「テイルズ オブ ファンタジア」をやった昔日を思い出す。意外と起点となるタイトルの記憶は鮮明に残り「あの頃は……」なんて話もできるものだ。「テイルズ オブ」シリーズ未経験者の方は「TOV」を遊んで起点とし、5年10年後に「テイルズ オブ」の話ができるように備えておくのもオツだと思う。

(C)藤島康介
(C)2008 NBGI

□Xbox 360のホームページ
http://www.xbox.com/ja-JP/
□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□テイルズチャンネルのページ
http://namco-ch.net/taleschannel/
□「テイルズ オブ ヴェスペリア」のページ
http://namco-ch.net/talesofvesperia/
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(2008年9月10日)

[Reported by 福田柵太郎]



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