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【CEDEC 2008現地レポート】

ゲーム開発者達が開発者を称える「CEDEC AWARDS 2008」を初実施
宮本茂氏が特別賞を受賞

9月9日~9月11日開催

会場:昭和女子大学



 CESAデベロッパーズカンファレンス2008(CEDEC2008)、2日目となる9月9日は、セッション終了後「CEDEC AWARDS 2008」が発表された。

 CEDEC AWARDS 2008は“ゲーム開発者達が開発者を称えるゲーム開発技術賞”だ。GDCでは「Game Developers Choice Awards」としてその年のゲームを開発者達が称えるというイベントが毎年行なわれているが、CEDECでは初の試みである。今回は過去から現在までのゲーム作品が選考対象となり、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズといった作品から、「グランツーリスモ」シリーズ、「ドラゴンクエスト」シリーズといったビッグタイトルが多くノミネートされた。


■ “新しいCEDEC”による、開発者が表彰するゲーム開発技術賞

総合司会を務めたコーエー代表取締役社長であり、CESA副会長兼技術委員会委員長の松原健二氏(右)と、スクウェア・エニックス研究開発部 チーフ・テクノロジストであり、CEDECアドバイザリーボードの委員長を務める吉岡直人氏
 CEDEC AWARDS 2008は“ゲーム開発の進歩へ顕著な功績のあった技術および開発者を表彰し、ゲーム開発者全体の士気向上を図る。また業界の内外へ最新のゲーム開発技術を普及啓蒙する”という目的を持って設立された賞で、今回が初めての実施となる。

 ノミネート対象は「2008年3月31日までに発売されたゲームに関わる技術およびその開発者」。ノミネートは一般公募から“CEDECアドバイザリーボード”がノミネーションリストを選出、このノミネートに対してCEDEC受講者の投票、とCEDECアドバイザリーボードの投票によって受賞作が決定された。

 今回の授賞式では、司会にコーエー代表取締役社長であり、CESA副会長兼技術委員会委員長の松原健二氏と、スクウェア・エニックス研究開発部 チーフ・テクノロジストであり、CEDECアドバイザリーボードの委員長を務める吉岡直人氏が務めた。

 松原氏は最初に会場に向かって「みなさん、新しいCEDECの変化を感じていただけましたでしょうか。このCEDEC AWARDS 2008も新しい取り組みの1つです。この賞は開発者のみなさんが、開発技術にフォーカスを当てて、それを称えようというものです。賞を贈ることで将来のゲーム開発に役立てて欲しいという願いを込めて設立されました」と挨拶した。

 開発者自身がゲームを評価し、たたえ合うという賞としてはGDCで毎年開催されている、「Game Developers Choice Awards」がある。その年に発売されたゲームから優れた作品を開発者自身が選ぶもので、更に功績を残したゲーム開発者が表彰される。規模も演出も派手で、なんといっても北米を始めとした最先端のゲーム開発者が選ぶ、その年の“トレンド”がわかる賞である。

 今回、CEDEC2008で最初の「CEDEC AWARDS 2008」が発表された。比べてしまうと、CEDECそのものの規模もそうだが、演出や規模も地味だ。ノミネート作品はゲームの歴史にターニングポイントをもたらした素晴らしい作品、技術ばかりだが、現代という時代を切り取った“ライブ感”に欠けるのは否めない。

 しかしそれでも、松原副会長を始めとしたCEDECスタッフの積極的な協力、観客の熱意、そして何より受賞した作品、ノミネートされた作品の素晴らしさ、革新さは、「Game Developers Choice Awards」に決して劣らない。来年も「CEDEC AWARDS」の実施を望みたい。その時は是非開発者の視点で最新ゲームから優れたゲームを選んで欲しい。

 その一方で、歴史的な変革を与えた作品を評価する、という視点の面白さも改めて気付かされた。今回ノミネートされた作品はどれも画商を受賞してもおかしくない革新的な作品ばかりである。No1を決めるだけでなく、開発者達が影響を受けた、衝撃を受けた体験、技術史的な革新性などを改めてキャッチアップして称えていく方向で、作品を改めて評価していくような機会も今後さらに望みたいところである。


■ プログラミング・開発環境部門 最優秀賞

受賞:MTフレームワーク(カプコン)

 その他のノミネート作品はソニー・コンピュータエンタテインメントの「グランツーリスモ」シリーズ、セガの「バーチャファイター」、任天堂の「ピクミン」、バンダイナムコゲームスの「リッジレーサー」。

 MTフレームワークの選考理由は「ゲームフレームワーク」という概念をいち早く自社開発し、「Lost Planet」などをリリースしただけでなく、その技術を積極的に紹介、説明することで業界全体のレベル向上に寄与したためだという。

 MTフレームワークのプロダクト マネージメントを担当しているカプコンの伊集院勝氏は、「このシステムを開発して足かけ4年近くになりますが、『ロストプラネット』、『デッドライジング』、『デビルメイクライ4』、そして『バイオハザード5』と対応して、今も成長している真っ最中と言うところです」。

 「これまで会社の中だけでシステムは作って完結していましたが、これを公表しようという動きになったというのは大きな成果になりました。これは、現在の日本のゲーム開発に元気がなく、我々が率先して状況を変えていこうという流れから生まれました。今後もこの流れを引き継いで、今後も新しい発表をして行ければいいなと思っています」とコメントした。

プログラミング・開発環境部門 最優秀賞を受賞したMTフレームワーク開発チーム。右はMTフレームワークのプロダクト マネージメントを担当しているカプコンの伊集院勝氏

■ ビジュアルアーツ部門 最優秀賞

受賞:「ICO」(ソニー・コンピュータエンタテインメント)

 その他のノミネート作品はソニー・コンピュータエンタテインメントの「グランツーリスモ」シリーズ、バンダイナムコゲームスの「ソウルキャリバー」シリーズ、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーVII」から「ファイナルファンタジーXII」、コナミデジタルエンタテインメントの「メタルギアソリッド」シリーズ。

 「ICO」の選考理由は今までにない幻想的な光と影、空気感を描き出し、神秘的な世界観を作り出すことに成功している。この作品の雰囲気が世界に大きな影響を与えたというのも評価の理由だという。

 「ICO」でディレクターを務めたソニー・コンピュータエンタテインメントの上田文人氏は「試作を含めるともう少し長くなるのですが、この作品に関わってからもう10年になります。そのとき僕は『頂点カラー』とか『UVマップ』とかの言葉を全然知らなくて、だからこそ固定観念がない状態で開発ができたのが良かったのではないかと思っています。この賞をプレッシャーと糧に、今のプロジェクトを頑張りたいと思います」と語った。

ビジュアルアーツ部門 最優秀賞を受賞した「ICO」開発チーム。右は「ICO」でディレクターを務めたソニー・コンピュータエンタテインメントの上田文人氏

■ ゲームデザイン部門 最優秀賞

受賞:「スーパーマリオブラザーズ」シリーズ(任天堂)

 その他のノミネート作品はスクウェア・エニックスの「ドラゴンクエスト」シリーズ、セガの「バーチャファイター」、ポケモンの「ポケットモンスター」シリーズ、カプコンの「モンスターハンター」シリーズ。

 「スーパーマリオブラザーズ」シリーズの受賞理由は、絶妙なタイミング調整と、レベル構成により多くの人が楽しめる横スクロール型アクションゲームの基礎を築いた。3Dになった作品でも、立体的なレベルデザインとシリーズを受け継ぐ世界観を妥協することなく融合し空間的な広がりの中で豊かな遊びを提供しているためだという。

 壇上に上がったのはマリオシリーズを手がけ、DSの「New スーパーマリオブラザーズ」といったタイトルのプロデューサーなども担当する任天堂の手塚卓志氏。手塚氏は「選考理由の言葉は非常にカッコイイですが、私が『スーパーマリオブラザーズ』に関わったのは20年前で、ゲームデザインやレベルデザインという言葉もなくて、当時は専用の用紙を書いていって、そこから1ドットずらしたりと、地道な作業でマップを作っていきました」。

 「現在はそういった手間をなるべく簡単にするために、デザイナーでデータをいじれるようなツールもできています。しかし、『どんなものを作るか』ということは、当時も今も変わりません。遊ぶ人がここで怖い思いをするだろうとか、怖い思いをさせた後は気持ちよくなって欲しいとか、そういうことを考えながら私は今もコツコツ作っています。新入社員から、ずっとレベルデザインをしている人達を代表してこの賞をいただきたいと思います」と、語った。

ゲームデザイン部門 最優秀賞を受賞した「スーパーマリオブラザーズ」シリーズ。シリーズを手がけたチームを代表してトロフィーを受け取った任天堂の手塚卓志氏

■ サウンド部門 最優秀賞

受賞:「ゼルダの伝説」シリーズ(任天堂)

 他のノミネート作品は、ソニー・コンピュータエンタテインメントの「グランツーリスモ」シリーズ、コナミデジタルエンタテインメントの「実況パワフルプロ野球」シリーズ、カプコンの「新 鬼武者 DAWN OF DREAMS」、ハドソンの「絶対音感オトダマスター」。

 「ゼルダの伝説」シリーズの受賞理由はプレーヤーに心地よい緊張感と楽しさを、シリーズでとぎれることなく供給し続けるサウンドデザイン力が評価されたという。3D化を果たした以降のタイトルでは、さらに「空間の広がり」を表現、冒険の状況に合わせて変化する音楽や、インタラクティブな制御技術がゲームを盛り上げるのに貢献している。

 トロフィーを受け取ったのは「ゼルダの伝説」シリーズだけでなく、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズの音楽も手がける任天堂の近藤浩治氏。近藤氏は「開発者のみなさんに評価していただいたと言うことで、『ゼルダの伝説』に携わったみんなの励みになったと思います。『ゼルダ』の世界観を一言で言えば、“なんでもあり”だと思うのですが、次々と現れていく世界を盛り上げていこうとサウンドを作っていきました」。

 「『ゼルダ』では攻撃アイテムや謎解きアイテムが登場しますが、魔法はふさわしくないんじゃないかと言うことで、楽器などの音の遊びを制作してきました。サウンドで特に気をつけていたのは、リアルタイムでサウンドが変化する、インタラクティブ制です。例えば、『時のオカリナ』では、フィールドの音楽が何度聞いても飽きが来ないように8小節のパターンをランダムで組み合わせて鳴るようにしています。『風のタクト』では攻撃に合わせてBGMに対応したオーケストラヒットが鳴って、効果音だけではない爽快感を重要視しました。これからもサウンドのアイデアをゲームの楽しさに結びつけて盛り上げていきたいです」と語った。

サウンド部門 最優秀賞を受賞した「ゼルダの伝説」シリーズ。サウンドチームを代表しトロフィーを受け取ったのは任天堂の近藤浩治氏

■ 特別賞

受賞:宮本茂氏 任天堂専務取締役情報開発本部長

 テレビゲームの黎明期からWiiまで常にゲーム業界をリードし、ゲーム開発の礎を築き上げるとともに、世界的なゲーム産業の発展、振興に寄与してきた事を称え、CEDECアドバイザリーボードが選考した。日本のゲーム開発に大きな貢献をしただけでなく、世界中の開発者の尊敬を集め、目標となっている開発者であるというのが選考の理由だという。

 宮本氏は「本当にゲームはちょっとづつ世界に認められていった、登っていったと思うのですけど、これからますます栄えていくように、ゲーム業界に入りたいという子供が増えるようにみなさんで頑張っていきましょう。ありがとうございました」とコメントした。

宮本茂氏が登場すると会場からは歓声が。宮本氏は両手を挙げて、歓声に応えた

□CESAのホームページ
http://www.cesa.or.jp/
□「CEDEC 2008」の公式ページ
http://cedec.cesa.or.jp/index.html
□関連情報
【2007年9月29日】CESAデベロッパーズカンファレンス 2007 (CEDEC2007) 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070928/cedlink.htm

(2008年9月10日)

[Reported by 勝田哲也]



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