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キューエンタテインメント株式会社は、Windows用MMORPG「Xenepic Online」のアップデートを9月上旬に実施する。このアップデートでは、ゲーム内容の要素追加だけでなく、新たな声優を起用したキャラクタボイスの追加も行なわれる。
今回、その音声収録の様子を取材する機会が得られた。またNPC「エブリー」を演じる下田麻美さんと、雑貨商/スキルブック販売員/警備隊長を演じる小野健一さんのおふたりに収録後にお話を聞けたので、その内容をお伝えしよう。
■ エブリー役・下田麻美さん
下田麻美さん : 私もこのキャラクタ設定をいただいて見たときに、設定が細かいなと思いました。いつもは明るくて元気、素直、口癖は何とか、くらいで終わっているのですが、とても細かく書かれていました。 今回は、女の子なのに一人称は僕という“ボクっ娘”を演じさせていただきました。彼女はお兄さんのようになりたいという、目標みたいなものがあるようで。そういうキャラクタをやったことがなかったので不安もありましたが、基本は元気がいい女の子ということで。私自身が元気ということもあって、元気なキャラクタは得意なので、持ち前の明るさや元気さをキャラクタに取り入れつつ、ちょっと背伸びをして、「15歳なんだけど、お兄さんだぞ」という雰囲気も入れてみて、足して2で割ったような役作りをしてみました。 ――演じやすかったですか? 何か苦労したところなどは? 下田さん : 思ったよりは演じやすかったですね。ただ、「ありー」とか、オンラインゲームの用語みたいなものがありました。最初は「ありー」って何だろうと思って。「おねー」というのもあって、「お姉」って意味かなと思っていたのですが、「お願い」という意味だったとか。オンラインゲームのお仕事をよくいただくのですが、用語を全く知らなかったので、ひとつ勉強になりました。 ――お兄さんの口調を真似して背伸びした感じの台詞と、歳相応のちょっと地が出るような台詞とで、演じ分けはされるのでしょうか? 下田さん : キャラクタがブレではいけないので、大きく変えたりはせず、背伸びしているところは崩さないでいきたいと思いました。でもまだ子供ですし、どうしても背伸びしきれていない部分が、きっとどこかにあるんだと思うんです。そういう部分も、驚く台詞だとか、感動してしまうところなどで、15歳の女の子の等身大の部分が出るような雰囲気ではやってみました。 ――一番気に入った台詞は? 下田さん : 台本の最後に「ぶわぁ」と書いてあって、何だろうと思ったら、下に泣いている顔文字が書いてあったんです。多分、この顔文字を台詞で表現して下さいということだと思ったのですが、台本に顔文字が書いてあったのは初めてでした。私の台詞で、ユーザーさんにこの顔文字を浮かばせないといけないな、と思いまして、涙が溢れ出る感じを、「ぶ」と「わ」の間に入れてみました。「ぶわぁ」と。すみません、編集しづらい事を言っています(笑)。 ※ 顔文字は (´;ω;`) と書かれていた。 ――「○×$△ё■!!!」というのも台本にありますが、どう演じられたのでしょう? 下田さん : これはユーザーの発言に対して、エブリーちゃんが驚いて、言葉にならないことを言ってしまうという台詞です。私自身も、日常で驚いた時は訳のわからないことを言いますが、それだけじゃちょっとつまらないなと思いまして、さらに日常ではありえないだろうというほど訳のわからないことを言いました。全く何を言ったか覚えておりません(笑)。こういう台詞は、役者さんによってニュアンスが変わってくるものだと思いますので、ひとつ下田風味ということで楽しんでいただければと思います。 ――オンラインゲームの音声は、同じ声を何度も聞く機会が多くなります。そういう所で意識されたことはありますか? 下田さん : 繰り返されるということは、お客さんの耳に残りやすいだろうなとは思うので、耳に残りやすいような言い回しをしてみました。例えば、「ニヤリ」という台詞は、凄く含みを込めて下さいとご指示もいただいたのですが、いかに含みを入れるかによって、聞いている人も、「あ、このニヤリはいいな」と思って、ニヤリとして下さると思うんです。ですのでお客さんにもニヤリとしていただけるような含みを、この台詞に限らず、全体的に込めてやってみました。 ――では、コンシューマゲームやその他のソフトウェアの声をあてるのとは、どの辺りが違いますか? 下田さん : アドベンチャーゲームだと、ユーザーさんが話している感覚を体験できるように、掛け合いを把握してからやったりします。でもこういうオンラインゲームでは、挨拶などがメインになってくるので、ユーザーさんが、はっきりと挨拶してくれている、僕に話しかけてくれている、というのを伝わるように、はっきり目に言うことは意識してやっています。 ――あと、キャラクタ設定の一番下の所に、「現在のリスト以外に下田様の想像するワードがあると助かります」と書いてありました。声優さんには相当な無茶振りだと思いますが、どうなりましたか? 下田さん : 特に入りませんでした。でもその代わりに、いろんな台詞をいろんな言い回しで入れました。「ぶわぁ」もそうですし、「あわわわ」という台詞も、活字で読む「あわわわ」からは想像もつかないほど、いろいろ言い方を変えてみました。台詞というよりは、「ニヤリ」だとか、「えぇー!」だとか、感情表現的な台詞の方が多かったので、思う存分、好きにやらせていただけて、とても楽しかったです。 ――それでは、「Xenepic Online」のユーザー、また下田さんの声を聞きたくてゲームを始められる方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。 下田さん : 「Xenepic Online」を日ごろから応援してくださってる皆様、ありがとうございます。そして、私、下田麻美、また他のキャストさんの声を聞きたくて初めてやってみようかなとパソコンの前に座っていただいた皆様も、ありがとうございます。
私はオンラインゲームをやったことがなくて大変恐縮なのですが、こうやって台本を読ませていただいていると、台詞やキャラクタの口癖に、すごく面白みを感じられる部分が多いなと思います。例えばエブリーちゃんだと、「ぶわぁ」とか、日常で使えるような台詞も一杯あると思うので、是非ゲームをして、何度も台詞を聞いて覚えていただいて、使っていただければなと思います。初めてオンラインゲームをプレイされるユーザーさんも、これを機に色々なオンラインゲームをプレイしていただいて、楽しんでいただく入り口になってくれればと思います。エブリーちゃん以外のキャラクタも含め、「Xenepic Online」を末永く応援お願いいたします。
■ 雑貨商/スキルブック販売員/警備隊長役・小野健一さん
小野健一さん : ものすごく面白かったです。三者三様にキャラが似ていないので、楽しかったです。似ちゃうとやりづらいじゃないですか。 ――やはり差を出すのは難しいのですね。 小野さん : そんなに引き出しがないものですから。 ――いやいや(笑)。ではその3キャラクタは、どういった感じで演じ分けられましたか? 小野さん : (資料を指差しながら)この子がスキルブック販売員。これ、資料をもらったときに、間違いだと思ったんですよ。女性のキャラが来たから。でも、読んでたら男性で。ゲームをやる方は女性か男性かわからないので、女性だと思ってやったら僕の声が流れて。残念でしたって気分で(笑)、想像しただけで楽しくなりますよね。 雑貨商、スキルブック、警備隊長の順番で収録しましたが、スキルブックが一番緊張したし、悩んでいました。雑貨商は普通のお兄ちゃんだし、こっちはいかにも警備隊長だけど、この子だけはどうしようかというのが、今朝起きてからの課題でした。 ――課題の答えはどういう風に? 小野さん : それはゲームで聞いてくださいよ! 結構、スムーズにいったのでよかったです。 ――今回、かなり細かいキャラクタ設定が用意されたようですが、そのほうがやりやすいものですか? 小野さん : やりやすいですよ。今回は台詞1つ1つに、ここはどういう感情だ、と書いたファイルをいただきました。例えば「こんにちは」だって1万通りくらいの気持ちがあるわけですよね。笑顔で怒るときもありますから。それは何にもないより書いてあった方がありがたいです。これはどういう状況でとか、どういう距離感でとか、そういう討論がないから楽でしたね。 今日はそれを全部、台本に書いたんですよ。ナルシストとか、動揺とか、ため息、遠くを見つめるとか、全部。だから1個1個悩まずに済みました。 ――今までにオンラインゲームの声の仕事をされたことは? 小野さん : やっていると思います。でも自分が何の仕事をやったかわからないんです。だからゲームをやってて、「あ、自分の声だ」という時がよくあります。やっていないゲームで、ちょっと人気キャラだったりすると、色々な方からメールや手紙で「強くて倒せないんですけどどうすればいいですか」というのをもらうんです。でも僕はやっていないから、「どうにか倒してくださいよ、僕を」と言うしかない。 ――今回そういう役柄ではなく、フレンドリーなNPCですね。 小野さん : さすがに「どう話したらいいでしょうか?」というメールは来ないと思いますよ。 ――次はオンラインゲームでこんなキャラクタを演じたい、というものはありますか? 小野さん : 女の子はウケましたが、本当にこれをやれて嬉しかったです。こういうキャラは20何年やっていますが初めてです。またやってみたいですね。 ――では最後に、まもなくゲームで声を聞くことになるであろうファンの方々にメッセージをお願いします。
小野さん : ゲームの声も色々やっていますが、こういうフレンドリーな役を3つ演じたのは初めてです。いつも戦ってばかりなので、「行くぞ!」と「わー!」がなかったのは初めてだと思います。収録が終わってからこんなに喋るのも、喉が大丈夫なのも珍しいくらいです。そういうゲームなので、僕にとっては楽しいゲームでした。自分でもやってみたいと思うので、攻略法は教えてください。
■ 運営陣にもミニインタビュー
下田さんが演じたNPCのエブリーについては、既にゲームに登場しているキャラクタだが、「今後、イベントキャラクタとして登場させる。一定期間内にエブリーに話しかけると、イベントクエストが発生するようなものを検討している」という。収録された音声は多数あるようなので、かなり色々なシチュエーションで登場することになりそうだ。 ただし、「イベントの回数を重ねるごとに、新しい声が少しずつ聞けるような形。時期を逃すと、前のイベントで使っていた台詞はしばらく聞けない、という感じになるかもしれない」ということなので、ユーザーの方はゲームにログインしたら忘れずエブリーに話しかけるようにしていただきたい。
アップデート全般については、「プロジェクトXenepicとして、既存のシステムに改修を入れていく中で、今回のボイスを収録している。他にも、新ダンジョンも検討しているが、既存のダンジョンを新しく利用できるクエストも考えたい。イラストもまだまだ追加していく」と語っていた。
□キューエンタテインメントのホームページ (2008年9月1日) [Reported by 石田賀津男]
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