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会場:会場:東京・両国国技館
メインステージでは、2代目ミスアラド西村みずほさんの紹介に始まり、「アラド戦記」のアニメーション「スラップアップパーティー -アラド戦記-」、「アラド戦記」のモバイルゲーム「アラド戦記モバイル~鬼剣士編~」、そして「熱血高校くにおくん オンライン」、「ちょこっとダービー」と、続々と新規コンテンツの発表が行なわれた。
各ブースでは、「アラド戦記」、「スペシャルフォース」、「プロ野球 ファミスタオンライン 3」の各種大会が実施され、「ハンゲーム」コンテンツの出展も行なわれた。来場者数は、公称2,500名。5,000人招待のクローズドイベントであるため、約半数が会場に訪れた計算になる。本稿では「HANGAME 2008 夏祭」全体の模様をお届けしたい。
■ NHN Japan初のプライベートイベント「HANGAME 2008 夏祭」
ちなみに同社は、東京ゲームショウへの出展や、渋谷の広告ジャック、「アラド戦記」における日韓戦の開催など、大手オンラインゲームパブリッシャーとして様々なイベントを行なってきたが、NHN単独で同社のラインナップを網羅した横断的なオフラインイベントだけは実施していなかった。同社としては待望の初のプライベートイベントとなる。 ゲームのオフラインイベントではありがちな開場前の大行列や入場時の混雑はまったくといっていいほど発生しなかった。これは小雨がパラつく悪天候だったことも影響していると思われるが、最大の理由はNHN側がそれを意図していたことだ。ここ数カ月、東京各地で発生した事故、事件をふまえ、過度な行列や混雑が起こらないように配慮に配慮を重ねたという。 まず、イベントそのものを招待制とし、その上で混雑や行列の“モト”となる、会場限定アイテムの販売や当日先着順のイベントなどを一切廃し、じっくり新規コンテンツの発表とゲーム大会を楽しめるようになっていた。 招待者数は、全コンテンツで5,000名(「アラド戦記」2,000名、「Special Force」1,000人、「プロ野球 ファミスタオンライン 3」1,000人、「ハンゲーム」1,000人)。各タイトルごとに枠を設定するという珍しい募集方法を採用していた。このため、適度に来場者がバラけ、場内も極端な過密状態になることもなく、参加者は快適な環境でイベントを楽しむことができた。
疲れたら枡席でゆったり足を伸ばして、お弁当を拡げることもできるなど、オンラインゲームのオフラインイベントとしては、これ以上ないぐらい至れり尽くせりのホスピタリティだった。会場には夏休みということもあり、親子連れの姿が目立ったが、子供でも安心して楽しめるイベントだった。各社のゲームイベントを良く勉強しているという印象である。
■ 一番人気はやはり「アラド戦記」。前韓国代表のエース“アゴ様”に大勝利も、新韓国代表には完敗
今回実施されたのは、「アラド戦記」のGMチームと対戦して、見事勝利するとプライズがゲットできる「GM100人斬り」、前回の日韓戦で韓国勝利の立役者となったプロゲーマー ジャン・ウン氏、日本での愛称“アゴ様”が日本ユーザーに手ほどきをしてくれるという「アゴ様 決闘教室」、そして2回目の開催となる「アラド戦記 2008 Hangame Cup 日韓決闘大会」。いずれのイベントも大盛況であり、同作の人気を改めて見せつけられた格好となった。 「GM100人斬り」では、序盤こそ決闘慣れしたGMが相手を寄せ付けない強さを見せていたが、後半ではいくつかの戦いで立て続けにユーザー側が勝利する場面が見られた。その後に行なわれた「アゴ様 決闘教室」では、ウォーミングアップでGMナゲール氏をわずか23秒で撃破して実力を見せつけたものの、続く対戦では2戦2敗、つまり日本のユーザーが2連勝するという大波乱が起きた。 アゴ様敗因の理由は、ひとつは2月に行なわれた日韓戦と比べて日本のユーザーは確実に強くなっていたこと、もうひとつは、数度のバージョンアップを経て相対的に格闘家が弱くなっていることなどが挙げられそうだが、1月に日本で行なわれたジャパンラウンドでは、実力伯仲していたことを考えると、アウェイの環境では実力が出せないタイプなのかもしれない。 この2つのイベントを見て、「日本のユーザーはさらに強くなったな」という印象を強くしたが、イベントのトリを飾った日韓戦では、個人戦1勝2敗、勝ち抜き戦0勝2敗、団体戦1勝2敗という結果で完敗し、まだまだ実力に差があることを実感させられた。ちなみに、アゴ様も韓国予選に出場したが途中で敗れたという。韓国予選は1万名規模の募集があり、10サーバーから決闘ランキング上位の32名を選び抜いて、320名から3名を選出。本当に強いユーザーが選出されていることがわかる。 試合の詳細については別稿にて詳しくお伝えするつもりだが、ひとつ抱いた着想としては、空中やダウン後の追い打ちなどを含めて、現在の「アラド戦記」はコンボが繋がりすぎる傾向があり、浮かせ技ばかりが目立つ結果となっている。特に韓国勢は、アゴ様から、代表選手まですべて格闘家系の職業であり、「浮かせ、投げの2択で圧力をかけ続けるゲーム」になってしまっているところが残念だ。全員が全員、似たようなことをやっているのは見ていておもしろいものではない。
この点、日本勢は、代表選手からして鬼剣士、ガンナー、メイジとバリエーション豊かで、日本びいきの見方かもしれないが、魅せるプレイも忘れていなかったのが好印象だった。やはり大会は、高度な技の競演を見るだけでなく、どうせなら多様な職業の多様なテクニックが見たい。今回発表されたアニメーション作品も鬼剣士、格闘家、プリースト、メイジ、ガンナーという5人のパーティープレイがテーマとなっている。日韓戦では、特に団体戦では、「各職業は1人まで」といったレギュレーションを採用してみてはいかがだろうか。
■ 快適に楽しめた「HANGAME 2008 夏祭」。ただし、課題も散見 「HANGAME 2008 夏祭」は、従来のゲームイベントにおいて大行列、大混雑、大混乱をイベントの風物詩として黙認していた風潮から一線を画し、それらを廃するために幾重にも対策が練られていたと言う点で、非常に画期的なイベントだった。 「ハンゲーム」を擁するNHN Japanは、オンラインゲームパブリッシャーとしては紛れもない最大手で、集めようと思えば万単位のユーザーを集めることは十分に可能だったはずだが、あえてそれをせず、来場者のホスピタリティに力を注ぎ、顧客満足度の向上に務めていた点は最大限に評価したい。会場には、各メーカーの担当者も視察に訪れ、他社が真似できるかどうかは別にして、快適なオフラインイベントというアプローチは、他社にも大きな影響を与えると思われる。 ただし、ひととおりイベントに参加してみて気になった部分も多い。まず、各ブースで実施されていた各タイトルの決勝大会が、試合を消化することに注力するあまり、観戦者へのケアが十分とは言えなかったことだ。 今回、その傾向が顕著だったのが「アラド戦記」と「Special Force」で、進行のアナウンスもなければ、実況もないため、黒山の人だかりを掻き分けてようやくモニタを見ても、それがどういう状況なのかよくわからないという状況だった。たとえば、前日本代表の戦いやランキング上位選手などの見たい戦いが、いつ行なわれるのかもよくわからないという、ブースでの試合がすべて消化試合のようになっていたのが勿体なかった。最初からマスに観せるつもりがないのか、つもりはあるが努力不足だったのかは不明だが、せっかくハイレベルな戦いが行なわれているにも関わらず、来場者の99%がそれを見ることができないというのは返す返すももったいない。この点はぜひともなんとかしてもらいたいところだ。 それから、会場にはコスプレ衣装を着たコンパニオンが配置され、「アラド戦記」ではセリアとメイジの“公式衣装”が売られているにも関わらず、コスプレを披露する場が用意されていなかったのは、ちぐはぐな印象を持った。両国国技館という場所柄、あるいは今回のイベントを招待制にした背景など、様々な事情が考えられそうだが、あってもいいのではないかと思った。 最後に閉会式では、NHN側からの挨拶がなかったのが画竜点睛を欠く印象で違和感が残った。「HANGAME 夏祭」がどのような趣旨で開催され、今後定例化するものなのか否か、「アラド戦記」、「スペシャルフォース」、「プロ野球 ファミスタオンライン 3」の大会は今後も開催されるのかどうかは不明のままとなる。大会の有無、開催時期のアナウンスは、ユーザーにとって大きなモチベーションとなるだけに、これもまた勿体ないところではある。
多少苦言を述べさせてもらったが、初のプライベートイベントとしては成功と言える内容だったし、まだまだ伸びしろが感じられたゆえでもある。行きたかったが行けなかったという「ハンゲーム」ファンも多いと思われるだけに、また来年、パワーアップした形でのイベント開催を期待したい。
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□NHN Japanのホームページ (2008年8月25日) [Reported by 中村聖司]
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