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★モバイルゲームレビュー★

6人の美少年と学園で過ごす“本当の10日間”
彼らとの関係は、教師として? それとも女性として?

「禁断・放課後の恋人」

  • ジャンル:恋愛シミュレーション
  • 開発元・配信元:ボルテージ
  • 利用料金:月額315円
  • プラットフォーム:iモード/EZweb/Yahoo! ケータイ
  • 対応機種:FOMA 900i/700iシリーズ以上、W3xシリーズ以上、SoftBank 3G
  • 配信日:配信中(iモード:2007年5月21日、EZweb:2007年11月22日、Yahoo! ケータイ:2007年12月12日)
  • アクセス方法:
    ・iモード : メニューリスト → ゲーム → アドベンチャー/ノベル → 禁断・放課後の恋人
    ・EZweb : カテゴリで探す → ゲーム → 美少女・乙女ゲーム → 禁断・放課後の恋人
    ・Yahoo! ケータイ : メニューリスト → ケータイゲーム → 恋愛・美少女ゲーム → 放課後の恋人



 「面白い」と聞いてはいたものの、なぜか怖い気がしてこれまで敬遠し続けていた女性向けゲーム、通称「乙女ゲー」の世界に初めて足を踏み入れた。初挑戦したのは、2007年5月にリリースされて以来、人気を博している「禁断・放課後の恋人 (「・」はハートマーク)」。リリースから1年以上もたっているのに、季節限定アプリやキャラクタボイスが毎月追加されている上、ドラマCDも出ていると聞き、興味を掻きたてられた。

 いや、本当は単純に、公式サイトの男の子たちのイラストが好みだったからなのかもしれない。モノゴコロついて以来「メガネ男子」に並々ならぬ愛情を注いできたわたしには見逃せない、プライドの高そうなインテリ系メガネ男子の姿が確認できたのだから。



■ 主人公は新米教師。美形の“問題児”たちとの学園生活がはじまる

 主人公は教育実習を終え、良家の子女が通う名門学園への赴任が決定した新米の女性教師。教育実習はこなしたが、教師として生徒たちの前に立つのは初めてだ。ドキドキと胸を躍らせつつ学園にやってきた主人公に「2年C組」クラス担任の要職が任された。

 実は2年C組は、学園の問題児が集まっているクラス。教師として未熟な主人公は、問題児たちとかかわることを求められてしまう。それぞれに問題や悩みを抱える、扱いにくい6人の美少年たちと、教師として、あるいは女性として、うまく接していけるのだろうか。深くコミュニケーションが取れれば、彼らは次第に打ち解け、悩みを相談してくれるようになる。悩みを解決したり、彼らと恋愛したりと、教師ドラマのような世界を体験できるのが本作の魅力だ。

 主人公の名前は、アプリをダウンロードする際に自由に決定できる。最初につけた名前は、ゲーム中で「○○○先生」や「○○○(呼び捨て)」などと使われるのみならず、本作の公式携帯サイトにも情報がリンクされてその名前で呼ばれるため、よく考えて設定したい。

 主人公の設定は、大学を出たばかりの新米教師という程度で、それ以外に詳細な設定は描かれていない。基本的にドジで早合点が多く、考えるよりも先に行動してしまうタイプであるなど、ゲーム中には彼女の性格が表現される場面が時折見られる程度だ。また、イラストが1枚も存在せず、声の設定もないため、プレーヤーは自分自身を主人公に投影できる。

【スクリーンショット】
名門学校に赴任してきた主人公は、新米にも関わらず、問題児が集まっている2年C組を担任することに



■ 性格も雰囲気も違う6人。貴女のタイプもきっとみつかる……はず

 ゲーム中に登場する生徒たちは6人。人を見下すような態度をとるメガネの優等生「緒方杏平(おがたきょうへい)」、甘いルックスで女の子人気もバツグンのバンドマン「彩木嵐士(さいきあらし)」、どこか憎めないヤンチャな悪ガキ「姫川悠(ひめかわはるか)」、陸上部に所属するぶっきらぼうなスポーツマン「小早川大樹(こばやかわだいき)」、のんびりとした性格の天然系不思議クン「野々原陸(ののはらりく)」、ミステリアスで大人びた青年「深國明彦(みくにあきひこ)」と、全方位対応のタイプとビジュアルが並んでいる。クラスにいた格好いい男子を思い起こさせる、ツボを押さえたキャラクタ配置だ。関連商品として展開されているドラマCDや着ボイス(有料配信)では、石田彰、置鮎龍太郎、緑川光など女性に人気の高い声優がキャラクタボイスを担当している。

 グラフィックスは上半身と顔のアップの2パターンだが、どのキャラクタも表情豊か。笑顔、怒った顔、少し困った顔など、多彩な表情でプレーヤーを引きつける。シナリオが進めば、恋する表情も見せてくれるかもしれない。キャラクタによって、同じ表情でしか接してくれない場合や、変化が小さくてわかりづらいこともあるかもしれないが、そんなキャラクタが少し違った表情を見せてくれたときの嬉しさは格別だ。微妙な表情の変化や心の揺れまで描き出されている様子に、知らず知らずのうちに心奪われてしまいそうになる。

【スクリーンショット】
6人の問題児たちは個性派揃い。それぞれの抱える悩みや問題が次第に明らかになる。彼らが次第に心を開き、気持ちを打ち明けてくれる日が待ち遠しい
細かな表情が楽しめる顔のアップのほか、バストアップパターンも。ほかのキャラクタとの2ショットも楽しみ



■ エンディングは各5種類。教師エンド、恋愛エンド、どちらを目指すべきか

 ゲームを始めて最初に行なうのは、どのキャラクタのシナリオに進むかを選択すること。複数のキャラクタを同時に攻略することはできず、1人のシナリオを終わらせて、次のシナリオに進む方式となっている。1人のキャラクタにつき、シナリオは10日間と日数が制限されており、10日間の中で彼らとの関係を深め、1種類のエンディングへと到達する。

 各キャラクタには、性格や家族構成、趣味など細かな設定があるので、彼らと接する際には性格や志向を把握し、ときに無邪気に、ときに大人っぽくと、相応しい反応を返すことがゲーム攻略……いやいや美形高校生たちと仲良くなるための鍵となる。また各キャラクタの設定は、個性的でありつつ過剰にならないように配慮されており、キャラクタへの親近感を高めるのに成功している。

恋愛ルートのハッピーエンドのほか、それぞれのキャラクタに5つのエンディングがある
 エンディングはゲームの進め方により「教師エンド」と「恋愛エンド」へと分岐する。それぞれハッピーエンド(いわゆるベストエンド)とグッドエンドが用意されているが、進め方によってはバッドエンドに向かうことも。教師らしく振る舞って、教師と生徒の関係で信頼を勝ち取るべきか、ひとりの女性と男性として、生徒とのヒミツの恋愛を楽しむべきか。かなり悩ましい選択がプレーヤーを待ち受けている。

 登場キャラクタのうち、深國明彦シナリオへと進むためには、ほかの5人をクリアする必要がある。その他の5人は初期から選べるようになっており、攻略順や難易度は設定されていない。顔や雰囲気を見て好みのタイプを選ぶか、好みのエンディングを迎えやすい素直な男の子で始めるのがおすすめ。悩んでしまう人は、公式携帯サイトに「キャラクタ人気ランキング」も発表されているので、参考にするのもいいかもしれない。

【スクリーンショット】
野々原陸ルートでのヒトコマ。さまざまな表情を見せてくれるのも楽しい
図書館、夜の街、屋上など、シナリオが進めば教室以外で生徒たちと会える事もある



■ 1日たった5分の逢瀬がもどかしい! 会えない時間に恋心が高まっていく!?

 ゲームはシナリオを読み進めるアドベンチャーゲーム。シナリオ中に数回程度、選択肢が提示され、その結果でシナリオが分岐するオーソドックスなもの。乙女ゲーが初めてでも、特に戸惑うことはない。強いていえば、物語を読むのも、選択肢を選ぶのも同じボタンで行なうため、うっかり不本意な選択肢を選ばないよう注意が必要かもしれない。

 恋人同士の会話がそうであるように、大抵の場合は選ぶコタエに「正解」はない。どの選択肢を選ぶか真剣に悩みつつ話を進め、自分の返答で相手が笑顔になったり、怒ったりする様に一喜一憂しながら、10日目までシナリオを進めよう。進み方次第では、普段のグラフィックスとは違う「ごほうびイラスト」が見られることも。1度見たイラストは、公式携帯サイトの「My指導ノート」に保存されるので、何度も見たり、ダウンロードして携帯の待ち受け画像にしたりと、さまざまな使い方ができる。

 関係が親密になると、生徒から直接、本物の携帯メールが届くこともある。キャラクタによって内容や頻度が違い、“わたしにだけ”送られたメールは、彼らの別の一面が見られるご褒美だ。

【スクリーンショット】
キャラクタごとに用意されたイラスト。シナリオの進み方次第で見られるイラストは増減する


 本作の特徴として、1日にプレイできるシナリオが1本と決まっている。シナリオ1本は5分程度で読めてしまうのだが、次のシナリオを遊ぶには20時間、ほぼ1日待たなければならない。そしてシナリオは1本がストーリー上の1日となっている。つまり10日間のシナリオを体験するには、リアルに10日かかるということになる。

1ゲーム終わると、次回は20時間後。学園の門が閉ざされ、入れなくなるのだ
 もっとシナリオを進めたいと思っても、システムがそれを許してはくれない。まるで厳格な父親に阻まれる恋人同士のような気分で、ひどくもどかしい。そのなんともいえない気持ちが「もっと遊びたい」、そして「もっと彼らと仲良くなりたい」との感情を生むのかもしれない。現にわたしも、今まで遊んだゲームにはなかった「1日1本、しかも5分ほど」という設定に最初は驚き、次第に「ゲームの中の彼らと早く会いたい」気持ちへと変化していったのだから。

 1日5分、携帯電話を使ってシナリオを読む行為は、忙しい現代女性にとって「ちょうどいい」量なのだ。仕事の行き帰りに、家事の合間に、友人たちと会った帰りに、少しの空き時間で毎日少しずつ遊べるのが人気のヒミツなのだろう。だらだら何時間もかけて遊ぶよりも、濃密なひと時が大切なのだ。

 また「携帯電話」は、多くの人にとってパーソナルスペースだと思う。わたしだけの空間から、親密に語りかけてくれる男の子に、女性たちは恋してしまう。例えば、先に述べた「キャラクタからのメール」により、まるで本当に秘密のメールのやり取りをしているような錯覚すら生まれ、さらに思い入れが高くなっていく。ゲームのキャッチは「生徒(カレ)と教師(ワタシ)の、秘密(ナイショ)の恋」だが、ナイショというのは、生徒と教師という禁断の関係にかかっているだけでなく、リアル世界での家族や友人にナイショで、ひそかに楽しむという意味もあるようにも感じる。



■ プレーヤーを裏切らないシナリオで乙女心をキャッチ。作品世界はまだまだ広がっていく

 毎日少しずつプレイするゲームに、最初は物足りなさを感じたものの、次第に「これでいいんじゃないか」と感じるようになった。自分にだって学生の時分があり、その頃は好きな相手と少しだけでも話したり、顔を見たりすることに至上の喜びを感じていた。「1日5分だけ、毎日少しずつ」という形式は、ちょっとスレてしまった女子に、好きな人の態度や言葉に一喜一憂する、可愛らしい時代を取り戻してくれるゲームなのかもしれない。

 美形高校生との会話を楽しみ、ときに見られるイラストや送られてくるメールに喜びを感じる。“ツン”一辺倒だったカレが、本の少し見せる“デレ”に「よし!」と小さくガッツポーズをしてしまう。最初はあまり可愛らしく見えなかった彼も、とてもステキに見えてしまう。きっとコレは、ハマっているってことなのだろう。ああ、乙女ゲーってすごい! あんなに怖がっていた新しい世界だけれど、ドアを開いてみると、意外に居心地がいいことに驚いている。

【スクリーンショット】
こんなに微妙な表情の変化にも、敏感に反応してしまう。これが乙女心なのか?


 ビジュアルや声優もさることながら、やはりシナリオも大切だ。押し付けがましくなることなく、プレーヤーの心情を裏切ることなく、上手にストーリーを深める必要がある。いくら男の子が魅力的でも、置いてけぼりにされたり、選択肢に自身の思いを乗せることができないと興ざめしてしまう。「うんうん、わたしもそう思ってた」と思いつつ選択肢を選び、わたしのコタエに的確な反応を返してくれることが非常に重要なのだ。

 1日5分にも満たないやり取りの積み重ねが、乙女たちの気持ちを掴む。まだすべてのシナリオを経験してはいないし、すべてがハッピーエンドにたどり着いたわけでもないが、選択の結果に失望したことも、シナリオが強引だと感じたこともない。シナリオを読むことが、キャラクタの魅力に気づくことに直結している気がする。

 少しだけ残念なのは、1周するごとに同じプロローグを読まされること。何度も読んでいると、さすがに飽きてしまう。早く進めようとボタンを連打しているうちに、不本意な選択肢を選ぶ羽目になり、やり直すこともしばしば。すべて忘れて最初からになるため、前回攻略したはずのキャラクタも冷たい。「あんなにわたしのこと好きだって言ったじゃない!」と、捨てられた女のような気持ちになってしまうこともある。2周目以降はアッサリとキャラクタ選択させてほしかった。

 もう1つ、プロローグとビジュアルで好みのタイプを選んだのだが、彼らは人気ランキングのワースト1、2位のようだ。彼らとの10日間は大変楽しかっただけに、その結果がなんだか寂しい。わたしには男を見る目がないのだろうか、もしくは特殊な趣味なのか。ほんの少し自信を失った。

 現在も、季節限定アプリ(月額料金内で利用可能)や着ボイスなど、新たなコンテンツが生まれており、生徒となって先生との恋愛を楽しむ「禁断・放課後の恋人2」もリリースされている。続編にも今作のキャラクタが登場するなど、内容も一部リンクされている。今後ますます広がる「禁断・放課後の恋人」の世界から目が離せそうにない。

【スクリーンショット】
夏限定アプリは2人きりの夏期講習がテーマ。彼らの夏服姿とプライベートな一面が見られる。2人だけの教室では、教師と生徒を越えた親密な関係になれるかも


(C)2007 VOLTAGE INC. ALL RIGHTS RESERVED.

□ボルテージのホームページ
http://www.voltage.co.jp/
□「禁断・放課後の恋人」のページ
http://www.voltage.co.jp/game/houkago/index.html

(2008年8月21日)

[Reported by 南奈実]



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