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★海外ゲームレビュー★

PCからコンシューマ機へ“革命”的な変身!
PS3やXbox 360で「文明育成」を楽しむ。DS版も凄いぞ!!

「Sid Meier's
Civilization Revolution」

  • ジャンル:ターンベースストラテジー
  • 開発元:Firaxis Games
  • 発売元:2K Games
  • プラットフォーム:プレイステーション 3/Xbox 360/ニンテンドーDS
  • 価格:PS3版 59.99ドル/Xbox360版 59.99ドル/DS版 29.99ドル(全て北米版)
  • レーティング:ESRB Everyone 10+(10歳以上)
  • 発売日:発売中(北米版:7月8日、アジア版:8月8日)



 「ストラテジーゲームの父」と呼ばれ、栄誉の殿堂にも列せられているゲームデザイナーSid Meier氏。彼の最大の代表作は、何を差し置いてもまず文明育成ゲーム「Civilization」シリーズであり、その爆発的な面白さから、これまで沢山のPCゲーマーを睡眠不足へと誘ってきた。そして、そのシリーズ最新作が「Civilization Revolution」として、ついにゲーム専用機に登場したわけである。

始めに結論を言ってしまうと、本作はPCからゲーム機への移植における、完璧なる成功例だ
 しかし、PCからコンシューマ機への移植というのは、いろいろな意味で困難が伴う。FPSやアクションゲームならばまだ形になりやすいが、複雑なゲーム構造を持つストラテジーゲームというのは、そのゲーム性においてマウスというポインティングデバイスへの依存性があまりにも高いため、操作特性の異なる機種への移植にはより一層の困難が伴う。

 実際、マウスオペレーションを基本としたPC向けストラテジーゲームのゲーム専用機への移植版は、軒並み失敗に終わっている。PC的な複雑性を持つゲームをコンシューマー機で楽しめるようにするためには、ベタ移植は論外であり、抜本的な改革・革命が必要になる。

 しかし、Sid Meier氏はその革命を見事に成功させてしまった。今回紹介する「Civilization Revolution」は、PC版「Civilization IV: Beyond the Sword」までに導入された様々なゲーム要素を、その特徴をしっかり捉えつつ絶妙にシンプル化し、ゲームコントローラーで快適に「文明育成」ができるよう、あらゆる面でゲームのリデザインが行なわれている。それでいてシリーズの持つ面白さを余すことなく再現して、移植のお手本のような作品に仕上がっている。

 プレイステーション 3、Xbox 360という高性能ゲーム機で、そしてニンテンドーDSという携帯機で、「Civilization」の後を引く面白さを体験できるのは、多くのゲームファンにとって素晴らしいニュースと言えるだろう。残念ながら日本語版発売決定のアナウンスはいまだ聞こえてこないが、気になっている“CIVファン”は少なくないだろう。まずはコアなゲームファンにお勧めしたく、「Civilization Revolution」の魅力をじっくりとご紹介したい。

【お断り】
 当記事でご紹介するゲームは日本国内で流通しているハードウェアで動作を保証するものではありません。
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません。
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません。


■ 伝説的「あと1ターンだけ……」ゲームが全面改装でにコンシューマ各機に登場
 “CIVファン”納得の面白さが、コントローラ向きのゲームデザインで見事に再現

「移植作」というべきか、「完全新作」というべきか。本作は「Civilization」シリーズ最新作の名に恥じないユニークな作品に仕上がっている
 「Civilization Revolution(以下、CivRev)」は、Xbox 360版をベースに紹介したい。Xbox 360版は、ハイエンドグラフィックスによる演出でプレイステーション 3とよく似たバージョンになっている。オンラインマルチプレイロビーの仕様や「実績」のシステムについてはプレイステーション 3/Xbox 360で異なる仕様になっているが、ゲームそのものは全く同等のものが提供されている。

 ちなみに、本作を「PCからの移植作」というのは、正確な表現ではない。というのも、本作はPC版「Civilization IV」から多くのゲーム要素を受け継いでいるが、それそのものではないからだ。そのゲームデザインは全面的に改装されており、新要素も数多くフィーチャーされているため、完全新作と見なすべき内容になっている。

 それほど、PC版との相違は多岐にわたる。全く同じところと言えば、紀元前4000年から紀元2050年の壮大な人類史をカバーするターンベースストラテジーであり、都市の育成とマップタイルの占有がゲームのキーになり、技術開発が勝敗の命運を握る、というゲームのバックグラウンドぐらいだろうか。ここでは、「Civilization Revolution」で行なわれた「革命」について、主要なものピックアップしてご紹介していこう。

紀元前4000年から近未来まで。文明のあけぼの、青銅器や文字の発明に始まり、最後には宇宙飛行、超伝導ときて、ついにはアルファ・ケンタウリへの植民を目指す。シリーズを通じて守られてきた壮大なゲームテーマが健在だ

・革命その1。シンプルになった操作系、都市管理、スピーディなゲーム性

操作はコントローラ向けに最適化されており、快適にプレイできる
 まず、操作系は完全にゲームコントローラを前提とするものに刷新された。アナログスティックを用いたカーソルベースの操作も可能だが、それはあくまでも補助的なもので、基本はユニットと都市を直接コントロールする形となる。Xbox 360版では、十字ボタンで次のユニット、前のユニットに直接ジャンプすることができ、スティックで移動・攻撃先のタイルを指定する形を取る。またLB、RBの各ショルダーボタンで都市に直接ジャンプでき、各ゲーム要素に素早くアクセスできる。プレイステーション 3版もほぼ同等の操作系となっている。PC版に慣れていると最初はとまどうが、1時間ほどですっかり慣れた。PC版とは違ったタイプの快適さを感じられた。

 都市と生産の管理はずいぶんとシンプルになった。「平原(plain)」、「草原(grassland)」タイルから得られる「食料(food)」は都市人口の維持に消費されなくなり、純粋に人口成長に使われるようになったため、PC版にあった「飢餓」は存在しない。また「科学(Science)」や「金銭(Gold)」の源泉となる都市の「交易(Trade)」は、純粋にタイルから得られる生産物の一種となり、「交易路」の概念は無くなった。とはいえ、交易を生み出すタイル種の関係から、沿岸都市が強力な研究・金融都市に成長しやすい点ではPC版と特性は同じである。

都市管理はシンプルになった。自動管理でも基本的には問題ないが、高難易度ではカスタム機能を重宝する
 都市労働タイルの指定は、「Civilization IV」と同じくデフォルトで自動で行なわれるため、管理は楽だ。地形改善を行なう「労働者」ユニットも撤廃され、都市施設機能に統合されている。基本的にプレーヤーが行なう操作は、施設やユニットの生産指定だけであり、あとはターンが進めば勝手に成長してくれる。その一方でコアプレーヤー向けの対応も万全で、必要に応じて「バランス」、「生産(Production)」、「人口成長(Population Growth)」、「科学(Science)」、「金銭(Gold)」への特化を選択できる仕組みがあり、その気になれば完全カスタムも可能だ。

 またPC版では税率調整で得ていた「研究」、「金銭」、「文化(Culture)」の仕組みは改変され、各都市で得られる「交易」をYボタン(Xbox 360版)で「研究」か「金銭」のどちらか1種に切り替える仕組みとなった。「文化」は特殊な戦略資源タイルか、「寺院(Temple)」、「大聖堂(Catedral)」のような文化建築から自動的に産出される。さらに都市施設やユニットは、全時代において「金銭」で緊急生産ができるようになったので、序盤から経済都市を複数持つことが有利に働く。ちなみに緊急生産はXボタン1発(Xbox 360版)でできるので、金銭が有り余っていれば非常にスピーディな都市開発が可能だ。

 それにPC版では頭痛の種だった「汚職」や「都市の維持費」の概念はバッサリ削除されている。都市は造れば造るだけプラスになり、決して国力がマイナスになることはない。このためゲーム展開はかなり直線的であり、スピーディかつシンプルだ。唯一の問題といえば、都市を保有しすぎると管理が煩雑になる、という事くらいだろう。こればかりは、勝負がほぼ決まり、消化ラウンドの様相を呈したゲーム終盤になるとやや面倒くささを感じてしまった。

本作における国力の基本は、なんといっても都市である。いかに多くのマップタイルを自国の文明に引き込み、生産力に変えていくか。これによってゲームの勝敗は大きく定まる。とはいえ、PC版に比べると全体的にシンプルになっており、初心者でもそれなりの都市運営ができるようになっているので安心だ

・革命その2.「軍隊」編成機能で大きく変わった軍事ユニット、高い戦略性

もっともダイナミックに命運を分ける方法、それが戦争だ。本作では必ずしも戦争しなければ勝てないわけではないが、少なくとも防衛のための戦力は保持していなければ、ライバルから舐められて領土を切り取られてしまう
 そして、軍事ユニットは「Civilization IV」と異なるパラメータ形式「攻撃力(Attack)」と「防御力(Defence)」を持ち、扱いがシンプルになった。序盤の防御ユニット「弓兵(Archer)」は攻撃力1、防御力2を持ち、攻撃力1、防御力1の「戦士(Warrior)」を簡単に撃退する。中世の攻撃ユニット「騎士(Knights)」は攻撃力4、防御力2を持ち、攻撃に使えば無類の強さを発揮する一方、攻撃を受ける立場になれば前時代の攻撃ユニット「軍団兵(Legion)」(攻撃力2)と互角である。

 このように、各軍事ユニットは攻撃、防御に特化した形態となり、PC版とは別の意味で組み合わせた運用が重要性を帯びているのだ。その一方で、砲撃タイプのユニットがユニットスタック全体にダメージを与える「副次的損害」のシステムは無くなり、中世の砲撃ユニット「投石機(Catapult)」は攻撃力4、防御力1と、極端な攻撃特化型のユニットとして表現されている。

 そして、時代が進んでユニット数が多くなるとPC版のような「スタック管理」がしたくなるものだが、コンシューマ版ではその代わりに、同種のユニットを3つ重ねて「軍団(Army)」を編成できるようになった。軍団に参加したユニットの能力は全て合算され、たとえば攻撃力4、防御力2の「騎士」で軍団を作ると、基礎値で攻撃力12、防御力6を持つことになる。

同種のユニット3つを重ねてYボタンを押せば「軍団」が編成される。本格的な戦争では、これを1単位として運用することになるだろう
 実際の戦闘ではこのパラメータに様々なボーナスが付加され最終的な戦闘能力値となる。たとえば3戦闘に勝利して獲得する「古参兵(Veteran)」による攻防50%ボーナス、不利な戦いで勝利すると得られる「名将(Great General)」による50%ボーナス、さらに地形効果や、勝利を重ねて獲得する各種の「特殊能力(Special Ability)」ボーナスが合わされば、なんと300%を超す戦闘力補正を得ることも可能である。

 ちなみに、あらかじめ経験を積んで「特殊能力」を身につけたユニットを複数合わせれば、全ての能力を兼ね備えた超強力な軍隊が編成される。「特殊能力」には「侵入(Infiltration: 都市攻撃時、攻撃力+50%)」や、「電撃戦(Blitz: 攻撃後、さらに攻撃行動が可能)」、「行軍(March、行動力+1)」といったバリエーションがあり、単独では「ちょっと強い」くらいにとどまるが、その全てを合成すればゲームをひっくり返すほどの無敵軍団も夢ではない。

 そして、防御側に対して圧倒的な攻撃力で戦えば「蹂躙(Overrun)」状態が発生、行動力を失わずに敵ユニットを撃滅し、連続で複数ユニットを攻撃できる。このように本作ではユニットの育成と戦闘地形の選択が極めて致命的な差となって現われるようになっている。このあたりの戦略性は非常に高く、戦争のダイナミックさはPC版を大きく凌ぐといってもいい。ずいぶんと好戦的なゲームになった印象すらある。

戦争では「軍団」を1単位として扱えるようになったため、都合の操作ユニット数は格段に減り、戦いがスピーディに解決するようになった。それでも終盤、陸・海・空を駆使する統合作戦ではある程度の操作量が必要になる。まだ戦争がシンプルな時代に、圧倒的な差をつけて決着をつけるのがスピーディな勝利のコツだ

・革命その3.文明特性、技術ツリー、「偉人」効用の変化……シンプルでわかりやすいゲーム展開

指導者・文明数は16種類。各時代に1つ与えられる「時代ボーナス」により各文明の特性が表れる仕組みになっている
 また大きなところでは、プレーヤーの文明数は16種類となり、各文明の指導者に与えられる固有の「志向」は撤廃された。代わりに「古代(Ancient Era)」、「中世(Medieval Era)」、「近代(Industrial Era)」、「現代(Modern Era)」の4つの時代区分毎にユニークな時代ボーナス(Era bonus)が与えられる。たとえば日本文明の指導者「徳川家康」では、古代に「海洋タイルから食料産出+1」、中世に「騎馬武者の攻撃力+1」、近代に「都市が無政府状態の影響を受けない」といったボーナスが付与されていく。どれも強力であり、指導者特性が顕著に出るバランスだ。

 ちなみにゲームマップの大きさは、プレーヤーが任意で選ぶことができず、基本的にPC版の「小」、「極小」あたりの大きさとなっている。ここにプレーヤーを含む5文明が登場するので、高難易度の「皇帝(Emperror)」や「天帝(Deity)」にて初期拡張をしくじると、2都市、3都市で精一杯という押し込まれ具合になる。PC版「Civilization IV」で鳴らしたプレーヤーでも、かなりの手応えを感じるはずだ。

 ゲームの進展を司る技術ツリーは、「Civilization IV」に比べてかなりシンプルになった。ツリーは全47種の技術で構成され、PC版の感覚でいくと面食らうほどのスピードで中世、近代、現代へと進展していく。また各技術をライバルに先駆けて最初に発見すると、技術毎に固有のボーナスが得られる。その内容は「全都市の人口に+1」、「全都市の生産に+2」、「軍事ユニットを贈与」、「偉人が発生」など、強力だ。これにより、技術開発のタイミングを都市拡張に合わせて調整するというテクニックも生まれている。

本作における「偉人」は、文化の勝利条件を満たす方法そのものになった。定住や能力発動による効果は劇的だ
 そして「Civilization IV」にもあった「偉人(Great Person)」のシステムは、本作では勝利条件に直結する強力なゲーム要素となった。本作では「文化勝利」の条件が、20の「文化的達成(Cultual Achievement)」をこなすということになっており、「偉人」の発生・定住はその1種だ。偉人には偉大な科学者、偉大な冒険家・産業家、偉大な文化人、偉大な人道者、偉大な建設者、偉大な指導者の6種類があり、それぞれ「科学」、「金銭」、「文化」、「人口」、「生産」、「軍事経験値」をブーストする機能を持っている。都市に定住すれば永続的に、その場で能力を使えば強力な効果を一時的に得ることが可能だ。

 ちなみに「偉人」を発生させるためには、文明の文化ポイントの合計が一定値に達する「マイルストーン(Milestone)」を満たさなければならず、寺院や大聖堂、あるいは世界遺産を造り、文化ポイントをしっかり産出することが「文化勝利」への近道となる。そうなれば「軍事」、「経済」はスロースタートになってしまうだろう。いろいろな面でシンプル化されている本作だが、こういった戦略上のトレードオフが「Civilization」らしくしっかりと表現されており、わかりやすく面白いゲームになっているのだ。

「偉大な文化人」を定住させると都市の文化出力が+50%される。あるいは、定住させる代わりに能力を発動させると、偉人は失われてしまうが、国境に接するライバル都市をひとつ、こちらに文化転向させることができるのだ。いわば無料で都市が手に入るわけで、強力この上のない効果だ

PC版のように「戦略資源」などの交易で取引することはできなくなったが、ゴールドを使って技術を売り買いする形での取引は可能だ。またPC版に存在した文明同士の相性や、親密度といった評価値は撤廃され、外交はかなり単純なものとなった。金銭をエサに第3国に開戦させることも可能である。確実に言えるのは、軍事をおろそかにしていると、容赦なく技術や金銭や定住偉人をたかられ、断れば宣戦布告されるということだ。弱者の前では、ガンジーですら威圧的に振る舞う


■ 支配勝利、技術勝利、文化勝利、経済勝利、4つの勝利条件に向けて構築する大戦略

ゲーム開始時は、過去のシリーズと同じく「入植者」1体にて文明の歴史が始まる。ランダムマップ生成を基調とする本作では、周囲は常に未知の世界だ
 次に、実際のゲームプレイを紹介したい。本作におけるゲームの勝利条件は4種類。全ライバルの首都を占領する「支配勝利(Domination Victory)」、アルファ・ケンタウリへの入植に一番乗りする「技術勝利(Technological Victory)」、20の文化的達成を行なう「文化勝利(Cultual Victory)」、金銭20,000ゴールドをため込む「経済勝利(Economic Victory)」だ。

 文明の指導者特性によって達成しやすい勝利条件が異なってくるのはPC版と同じだ。一番わかりやすい「支配勝利」を目指すのであれば、攻撃的な時代ボーナスが得られる指導者を選ぶといいだろう。例えば「徳川家康」は中世に「騎馬武者の攻撃力+1」ボーナスがあるし、アステカの「モンテスマ」なら古代から「戦闘に勝利したユニットが自動的に全回復」という強烈なボーナスがあるため、この種のプレイに非常に向いている。

 いずれのプレイに特化するとしても、本作では経済的に潤うことが非常に大きなアドバンテージとなる。ゲーム全体を通して「経済勝利」を頂点とする「経済的マイルストーン(Economic Milestone)」というものがあり、100ゴールド所有して「開拓者(Settler)」を得られるボーナス、250ゴールド所有して「偉人」が発生するボーナス、などがあるためだ。特に序盤早々に「開拓者」を無料で得られるアドバンテージは大きく、無主の地に点在する「蛮族(Barbarian)」の小屋を破壊してゴールドを得る行為は、それこそ目の色を変えてやるほどの価値がある。

最初の都市を建立したら、最初の戦闘ユニット「戦士(Warrior)」を数体作って周囲の土地を探索する。戦闘的な蛮族の小屋や、シリーズ伝統の友好的な原住民の村(『おかしの小屋』)を見つけて侵入すれば、金銭を手に入れたり、運が良ければ技術を無料で手に入れることがある。この手のギミックがPC版より多めに配置されており、序盤から沢山のイベントが発生するので、なかなか変化があって面白い

・「支配勝利」のススメ───軍事志向のプレイで「CivRev」を理解する

古代の戦争では、道路は整備されていないし、ユニットの足も遅いため時間がかかってしまう。攻撃態勢を整える間に防御を固められてしまうことも
 「支配勝利」を目指すプレイでは、ライバル都市の首都さえ落とせばいいため、速やかに軍事態勢を整えることが当面の目標となる。そのために軍事的なテクノロジーを優先的に開発することになるわけだが、序盤の攻撃ユニット「軍団兵」を解禁する技術「鉄器(Iron Working)」は、かなり速い段階で研究できるものの、その前提技術「青銅器(Bronze Working)」がアンチユニット「弓兵」を一足早く解禁してしまうため、心許ない。

 したがって勝負を掛けるのであれば、「文字(Alphabet)」、「陶器(Pottery)」→「筆記(Writing)」、「石工(Masonry)」→「数学(Mathmatics)」と研究し、攻撃力4を持つ攻撃ユニット「投石機(Catapult)」を解禁したタイミングが最初のラッシュ最適時期となる。ただし投石機は移動力1で歩みが遅いので、軍隊を編成してライバル首都に到着する時点で、次のアンチユニット「長槍兵(Pikeman)」が誕生しているおそれがある。

 この点で確実を期すならば、「葬儀(Ceremonial Burial)」、「騎乗(Horseback Riding)」、「筆記」→「君主制(Monarchy)」と開発していき、「封建制(Feudalism)」に直行。ここで解禁される2移動力、4攻撃力、2防御力の攻撃ユニット「騎士(Knight)」を大量生産し、軍団を編成して電撃戦を仕掛けるのが上策だ。開発スピードを上げるため、第2都市、第3都市のいずれかは沿岸部もしくは交易を産出するタイルのそばに設置し、科学出力を最大化しておくといいだろう。

ゲーム中盤で勝負を決める「騎士」ユニット。日本文明では「騎馬武者」となり、さらに強力な決戦兵器となる。得意の野戦で「昇進」させてから攻め込もう
 そこまで開発している間に、生産ユニットをベテランにする「兵舎(Barrack)」は準備できているだろうし、人口も増えて生産力も高まっているはずだ。技術開発が完了すればしばらく各都市の交易を全て「金銭」の産出に振り向けて、毎ターン得られる金銭を騎士の緊急生産に当ててもいい。

 ちなみに徳川家康の日本文明を使う場合、「騎士」はユニークユニットの「騎馬武者(Samurai Knight)」になる。騎馬武者は、家康が中世に得る時代ボーナス「騎馬武者に+1攻撃力」により攻撃力5を持ち、ラッシュすれば凶悪なほどの威力だ。

 最低難易度の「酋長(Chieftain)」ならこの時点で支配勝利も可能だが、「国王(King)」以上であればこの期間に1、2文明を屈服させれば上等な戦果といえるだろう。首都まで攻めきれなかった他の文明については、周辺都市に攻め込み、国力をそいでおくと良い。これが後々効いてくる。その間、次なる決戦兵器「戦車(Tank)」を解禁するため都市の生産科目を「科学」中心に変え、技術「内燃機関(Combustion)」の開発を目指そう。この時点で十分な国力があれば、「皇帝」以上の難易度でも十分に優勢な戦いを展開できるはずだ。

「支配勝利」を目指すなら、中世までに十分な戦力を整えてライバルに差をつけておきたい。あまり長く互角の状況でもつれ込んでしまうと、防備を固められてしまい、撃破するために必要な戦力量がうなぎ登りになってしまうのだ。したがって「騎士」の攻撃力が有効なうちにリードするか、「戦車」をいち早く開発するか、でなければ長期の総力戦になる

・それでも忘れたくない、重要な非軍事テクニック

失われたアトランティスを発見! 超文明の遺産により、先進技術がいくつも発見され、一気に技術リードを奪える
 戦闘戦術を展開している間にも忘れずにやっておきたいのが、海外領土の探索だ。「航海術(Navigation)」の技術で解禁される「ガレオン船(Galleon)」を最低1ユニットは作っておいて、外洋の地図を明らかにしていこう。外洋の孤島には「古代遺産(Ancient Wonder)」が見つかることがあり、これに探検者を送り込めば金銭、未来の軍事ユニット、首都に世界遺産が即建築されるなど、様々なボーナスが得られる。また外洋上に1カ所だけ存在する「失われた都市アトランティス(Lost city of Atlantis)」を発見すれば、先進技術を3、4個、一気に獲得できるのだ。これをライバル文明に渡してしまってはもったいない。

 また、金融都市も忘れずに育てておきたい。本作では都市施設の建設、ユニットの生産など、金銭と引き替えの緊急生産で何でも1ターンで完了できるし、都市間に道路を敷くのも金銭が必要だから、お金持ちの文明と貧乏な文明では大きな差がついてしまうためだ。

 そこで、大量の海洋タイルが都市圏に入る場所に、ゲーム序盤から1つ以上の都市を立てておき、もっとも有望な都市には、「偉大な冒険者・産業家」を定住させて金銭出力を+50%しておきたい。さらに「市場(Market: 金銭出力が2倍)」、「銀行(Bank: 金銭出力がさらに2倍)」を建築すれば、金銭出力は交易産出量の6倍(1.5×2×2)となる。そこに世界遺産の「トロイの見本市(Trade Fair of Troyes)」を建造すれば、さらに倍、なんと12倍の金銭出力になる。

金銭出力3,000を超えた超金融都市。既に「経済勝利」が確実だが、敢えて他の勝利目標を目指してみるのもいいだろう
 これに政治体制「民主主義(Democracy)」の科学・金銭出力+50%ボーナスや、世界遺産「東インド会社(East India Company)」による海洋タイルの交易ボーナス+1を合成すると、最終的な金銭出力はベース出力の20倍以上。他にも金銭出力を向上させる手段があるので、ゲーム終盤にはターンあたりの金銭出力が3,000を軽く超える都市も育成可能だ。これを生産力に置き換えると、およそ300~400ハンマーほどの価値になる。「世界遺産」を毎ターン緊急生産しても、まだ余るというとてつもない金額である。

 ここまで来れば「支配勝利」を「経済勝利」に切り替えてしまっても良いし、軍事ユニットを全部緊急生産して、膨大な軍事力でライバルを全て押しつぶしてしまってもいい。こうなると若干大味な展開になるが、富める物は全てを支配する、そういったシンプルなゲーム性が「Civilization Revolution」の特徴でもあるのだ。

 また非戦時であっても、ライバル都市に隣接する都市には優先的に文化施設を作っておきたい。都市の文化産出量が多くなれば、文化圏が広がってライバルの領土を圧迫するだけでなく、都市の文化転向を誘うことができるためだ。文化転向させた都市は、文化施設以外の施設はそのまま手にはいるし、その時点で駐留していた最良の軍事ユニットが1種類、こちらの手に入る。文化を高めれば偉人の発生頻度も高まって、「文化勝利」への道筋も開けてくるという寸法だ。

本作における領土は文化の及ぶ範囲として表現されており、文化のない初期の都市は労働タイルだけが文化圏として扱われる。文化の弱い都市は、文化の強い文明に文化転向してしまうことがある。血を流すことなく国力を増す、もっとも優れた方法だが、やられる方はたまったものではない

・「技術勝利」は最後の手段。それでも1ゲームはPC版よりもずっと短時間で終わる

宇宙船の建造には、必要パーツを都市で建設する必要がある。金銭が有り余っていれば緊急生産を使って即完成させることも可能だが、前提となる技術開発の道のりが長い……
 状況に応じて勝利条件を変えるのもひとつのテクニックではあるが、やはり最速で達成できるのは「支配勝利」である。一方でもっとも時間がかかる勝利方法は「技術勝利」だ。「技術勝利」を達成するためには現代の終盤技術である「宇宙飛行(Space Flight)」を開発し、宇宙船を建造する必要があるためである。

 ちなみに「支配勝利」では高難易度でも紀元前での勝利が望める。「技術勝利」を目指すのであれば、最短でも紀元1500年以上は必要になるだろう。筆者の場合、最高難易度の「天帝(Deity)」において「支配勝利」の最速記録は紀元前1700年、「技術勝利」の最速は紀元1740年であった。時間のかかる「技術勝利」は、ギリギリまで拮抗したゲームにおいて、最後の勝利ルートとなるものと見なしていいだろう。

 いずれにしても本作での1ゲームのプレイ時間は、PC版よりずっと短く済む。速く終わればせいぜい1時間、苦戦して長引いても3時間くらいのものである。というのも、やはり戦闘が「軍団」単位で解決される点や、労働者ユニットが存在しない点など、非常にスピーディに物事が進むからだ。それでいて、「Civilization」シリーズの持つ雰囲気、手応えはしっかり伝わってくる。これこそ完璧な移植だ。

 PC版では1ゲームに半日、場合によっては丸1日かかることもあって、プレイする前に「面白いのはわかっているが、所用時間を気にして腰が引ける」という問題があった。しかし、「Civilization Revolution」は速く終わる。これが実は最大の革命と言ってもいいかもしれない。逆にいえば、ついつい「New Game」してしまって、1日の余暇をまるまる「Civilization Revolution」で潰してしまう、危険な罠なのかもしれないが。

最速で勝負が決まるのは「支配勝利」。かなり運に左右されるが、紀元前での勝利も可能だ。都市数や人口が少ないまま終わるためスコアは低くなるが、「紀元1000年までに勝利する」という「実績」が達成されるので、いちどは目指したい。ちなみに、軍事プレイでは、取ると決めた戦略はどこまでも徹底しよう。よそ見、迷い、浮気、回り道は、ライバルに対抗する時間を与えるだけなのである

「経済勝利」と「文化勝利」は、それぞれ20,000ゴールドの保有、20文化達成の実現という勝利条件を満たしてから「世界銀行」、「国際連合」という特別な建築物を完成することで達成となる。その間防備をおろそかにして都市を奪われる事がないようにしたい


■ 時間があっと言う間に過ぎてしまう! ニンテンドーDS+「CivRev」の素敵なコンビネーション  

ニンテンドーDS版もしっかりと「Civilization Revolution」だ。時間を忘れてプレイしてしまう魔性のゲーム性は完璧に健在だ
 ここまでPS3版およびXbox 360版の「Civilization Revolution」について解説してきたが、残る携帯機であるニンテンドーDS版の「Civilization Revolution」は、簡易版などではまったくない。ゲームルールを司る狭義のゲームエンジンは、全機種で全く同じものが使われているのだという。画像こそ2Dになり、見た目はお世辞にも綺麗とは言えないニンテンドーDS版にしても、そのゲーム性、ハマリ度は高性能機向けバージョンとまったく同等である。Wi-fiを通じたオンライン対戦や、高性能機バージョンにもある週1回のゲームマップ配信「今週のゲーム(Game of the Week)」に対応し、ネットワークサポートも万全だ。

 ただし、ニンテンドーDS版ではゲーム的な調整が少々入っているようだ。マップは全体的に陸地が少なくなり、細長い大陸が生成されることが多くなる。また、昇進によって得られる攻撃力ボーナスの数値が一部変更されている部分が見受けられる(『都市攻撃』ボーナスが+100%になっているなど)。おそらく携帯機の特性に合わせて、よりスピーディなゲームが展開するように、ということだろう。おかげさまで、ニンテンドーDS版は1プレイ1時間から2時間で決着するバランスだ。

 またタッチパネルを使ってユニットや都市を直接指定する直感的な操作性は、コントローラ一辺倒の他機種版にはない強みであり、慣れれば一番快適にプレイできるかも?という印象だ。弱点としては画面解像度が低く、慣れるまでは画面上の情報が読み取りにくい点。全体的に演出も寂しいため一部のユーザーは抵抗があるかもしれないが、得られるゲーム的な楽しみは、他機種版と同等である。

 そしてニンテンドーDS版における最良のポイントは、それが携帯機でプレイできるバージョンである、ということに尽きる。本体をパカッと開けばすぐプレイに入れるし、何か用事ができれば閉じるだけで中断できる。手軽に1ターン、1ターンを楽しめるため、時間の浪費に最適なこと、この上ない。

 筆者は最近海外へ行く機会があったので、飛行機の機内に本作を装着したニンテンドーDSを持ち込んでみた。退屈な機内の事、少しは時間潰しになるかなと思いプレイを始めたのだが、ゲームを始めてすぐに夢中になり、気がつけば1時間、2時間と、あっというまに時間が過ぎる。機内食を食べて休憩をはさみ、続きをプレイしていると、もう到着。7時間のフライトがあっという間である。どうやら本作にはタイムマシン機能が付いているらしい……。

 というわけで、電車通勤、海外出張、その他の退屈な移動時間のお供にニンテンドーDS版「Civilization Revolution」はあまりにも最適である。そうでなくとも何かとヒマな時間を持てあましているのなら、本作を強くお勧めしたい。しかし、くれぐれも、やりすぎて寝不足にならぬよう願いたいものだ。

映像的な表現力はさすがに劣るが、ゲーム性はそっくりそのまま高性能機バージョンと変わらぬ面白さである。都市やユニット表示の記号性は非常に優れており、慣れてくると高性能機版のリッチな表現を上回る効率でプレイできる。戦闘演出がスキップできるのも良しだ

ニンテンドーDS版の1ゲームは、速ければ1時間以内、長考を繰り返してじっくりプレイしても、3時間ほどである。バッテリーが切れてしまうまでに1、2ゲームはできる。この手軽さには、ついつい「New Game」を選択してしまう魔力が潜んでいる


■ PC→ゲーム機移植の大傑作。他のメーカーも是非お手本に

本作は、コントローラの特性に合わせてすべてのゲーム要素を改変し、その上でシリーズの名に恥じない質の面白さ実現している
 「Civilization Revolution」は、PC版「Civilization IV」をベースにした作品だが、本作最大の功績は、単なる移植に終わらせることなく、ゲームコントローラというインターフェイスの特性に合わせて、操作性のみならず、ゲーム仕様のほとんど全ての面においてリデザインしたということだ。この点において、本作は移植作ではなく「完全新作」としても楽しめる作品になっており、なおかつ、ゲーム機でありながらPCベースの「Civilization」シリーズの面白さを十分に体験できるものになっている。

 こういった移植のやりかたは、制作者が「ゲームの面白さがどこにあるか」ということを完全に理解し、「その面白さを異なるインターフェイス上で得るためには」という問題を本気で考えたからこそ実現したものと言えるだろう。PC版の見た目や、表向きのゲームシステムをそのまま持ってきたところで、絶対にこのように面白い作品にはならなかったハズである。例えば、PC版にある「労働者」ユニットがそのまま本作に残っていたら、その管理の煩雑さの前に早々リタイアして、ゲームを放り投げていた公算が高い。

低難度では「Civilization」を初めてプレイするユーザーでも、楽しく勝利できるバランスだ。是非プレイしてみよう
 本作を見て考えるならば、ゲームプラットフォームの特性とはインターフェイス特性である、というふうにも言える。据え置き型ゲーム機バージョンとニンテンドーDSバージョンではマシンの性能も、出力される映像も全く異なるのに、ほぼ同じ楽しみが得られるという事実がそうだ。本作のゲームデザインは、方向入力+ボタンという、ゲームコントローラの特性に見事に合致させてあり、それこそが面白さの本質を引き出している。

 すべてのジャンルのゲームで「Civilization Revolution」と同じ方法論が取れるとは思わないが、しかしそのエッセンスは、他のメーカーにも真似してもらいたいものだ。PCのFPSゲームをベタ移植してゲーム機に持ってきた作品が、ゲーム機上では操作テンポがすっかり変わってしまい、本来の楽しみを得られなくなった例もある。そういった轍を踏まず、良質なゲームを市場に送り出すために、本作「Civilization Revolution」は偉大な成功例として他山の石とする価値が大いにあると思われる。

 最後に日本語版についてだが、今のところ本作について日本語版の登場予定はない。国内のすべてのゲームパブリッシャーが、これほどの作品をスルーしてしまうとは思えないが、そうだとすればとても残念なことだ。「Civilization」は、ややテキスト依存性の強いゲームであり、英語版というのは多くのプレーヤーにとって障壁である。多くのユーザーがこの面白さに触れるためにも、日本語版の登場を強く強く希望したい。

【スクリーンショット】
これだけ渋いテーマのゲームでありつつ、既に北米・欧州では45万本のセールスを記録しているという。本作の特性からいって、長く愛されるロングテールの作品になっていくことだろう。是非、日本語版にも登場してもらいたいところだ

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□「Civilization Revolution」公式サイト
http://www.civilizationrevolution.com/

(2008年8月21日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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