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会場:釜山市BEXCO
IeSFの目的はe-Sportsの大枠の標準を作り、現在開催されている数々の国際大会の取りまとめを1本化するためのものだ。11月には韓国で総会を開き、連盟会長の選任や事務局運営計画に関する話し合いが行なわれる予定だ。さらに、今年のG★2008ではIeSF初主催の「IeSF Invitational」という招待戦が開催される。
一方、日本eスポーツ協会設立準備委員会(以下、JeSPA)は、日本においてe-Sports環境がまだ整っていないと判断し、IeSFの発足同時の加盟は見送ることになった。本シンポジウムではオブザーバーとして参加しており、日本eスポーツ協会設立準備委員会会委員長補佐で電通スポーツ事務局企画業務推進部長、平方彰氏によるオリンピックとe-Sportsに関する内容がプレゼンテーションされた。早速、その内容をお伝えしたい。 ■ 「e-Sportsはエンターテイメントに近い。スポーツとして発展するには1つのまとまった協会が必要」、JeSPA委員長補佐平方彰氏
平方氏は、まず、現在のe-Sportsは「World Cyber Games」や「e-Sports World Cup」など、国際大会は数多くあるものの、それらを取りまとめる国際組織、地域組織がなく、各国単位の組織体制が整っていないことを問題点として挙げた。 そのため大会のルールはゲームメーカーやスポンサー側の意向によって決められ、大会ごとのルールがバラバラになっているのが現状だ。これらを調整しまとめる団体がないというのが同氏の問題提起だ。 平方氏は現在のe-Sportsについて、スポーツというよりエンターテイメント志向が強く、世界的な大会があってヒットしているように見えても、実際はその国や都市でしか盛り上がっておらず、映画やコンサートの興行に近いという認識だ。 これらの問題を解決するには国際eスポーツ連盟の設立、ワールドスタンダードの確立、ゼネラルルールに基づいたソフトの開発の3つが必要とした。そのためにはゲームメーカーやパブリッシャーの協力が不可欠だという。オリンピックと異なり、e-Sportsの種目となるタイトルの諸権利はあくまでメーカーサイドにあるからだ。平方氏はそれらを解決した上でワールドスタンダードの確立、e-Sports競技の普及、ジュニアの育成が必要としてセッションを締めくくった。 実際近年の「World Cyber Games」や「e-Sports World Cup」といった世界的な大会を紐解けば、イベントそのものは頻繁に行なわれているが、個々の大会スケジュールが被ってしまうケースも少なくない。あくまで運営側の都合が優先されており、国際大会と銘打たれていても開催国以外では一般向けの露出がほとんどない例も多いのが現状だ。国際的な枠組みでスポーツエンターテインメントの興行を考えた場合、eスポーツ連盟の設立が必要だということもうなずける。
一方、他の国のIeSFの活動に関するプレゼンテーションでは、韓国からはIeSFの活動目標、デンマークからはグレード化された審判の管理に関するプレゼンテーション、オーストリアからはアマチュア、準プロ、プロ選手の管理に関するプレゼンテーション、ドイツからはe-Sports向けのタイトルとそのルールの規定に関するプレゼンテーションが行なわれた。
■ 国際eスポーツ連盟「International e-Sports Federation」が始動!! e-Sportsの世界標準化を目指す
IeSFには韓国、ドイツ、オーストリア、デンマーク、オランダ、ベルギー、スイス、台湾、ベトナムが参加し、日本、中国、イギリスはオブザーバーとして出席した。日本(日本eスポーツ協会設立準備委員会)はまだ国内のe-Sports基盤が整っていないと判断したため、今回の参加は見送りにするという。ほかに中国とイギリスはまず様子見ということで、今後の参加に向けて準備を整えていくという。 IeSFの活動目的はe-Sportsの世界標準化だ。まず、IeSFはe-Sports種目の選定とルール規定、審判教育及び管理、プロ、準プロ、アマチュア選手管理などを行ない、さらにIeSFの公認大会を定め、試合成績によるランクを投入するという。そうすることで、バラバラになっている現在の国際大会を1つに纏めるシステムを作っていく。 これは既に韓国eスポーツ協会KeSPAが実施しているシステムであり、韓国では様々なリーグの成績がデータ化され、観覧者向けに公開されたり、上位ランクのリーグが開催されるなど、様々な方向で使用されている。IeSFはこれを世界向けにアレンジしようとしているのだ。 IeSFの公式的な活動としては、今年11月にIeSF総会が皮切りとなる。IeSF総会ではIeSF会長の選任や組織構成、事務局運営計画などの案件で行なわれる予定だ。さらに、G★2008ではIeSFが主催する初の国際eスポーツ大会「The 1st IeSF Invitational」を開催する。 しかし、今回の発足式ではe-Sports発祥の地であり、多くのe-Sportsタイトルのメーカーを持つ国であるアメリカや、「e-Sports World Cup」の主催国であり、e-Sportsプレーヤーも多いフランス、多くの強豪プレーヤーが集うスウェーデンなどは加わらなかった。議論を深める前に、まずは、こうしたe-Sports強豪国に参加を促していくほうが先だろう。 今回IeSFの加盟を見送ったJeSPAによれば、JeSPAが協会として正式に設立されていないことを参加見送りの理由にあげた。今後、JeSPAは日本国内でe-Sportsを盛り上げていき、正式に協会を設立してからIeSFへ参加を果たすとのことだ。 今回「eスポーツ シンポジウム 2008」を見ていて気がかりだったのは、シンポジウムで一般ユーザー向けにどういった動きをとっていくべきかについて全く議論されていないことだ。e-Sportsをより広めるためには既に数多く行なわれている国際大会を増やすよりも、一般ユーザーにより多く参加してもらえるようなアプローチが必要なのではないだろうか。 今回のシンポジウムでは、実質的にIeSFが既存の大会を管理・拡充していくということが確認されただけで、e-Sportsの将来性がイマイチ見えてこなかった。ユーザーのゲーム活動を盛り上げていくような案の提示が今後求められていくだろう。
□「eスポーツシンポジウム2008」のホームページ(韓国語) (2008年8月20日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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