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ネクソンジャパン、「TENVI」開発スタッフインタビュー
「メイプルストーリー」開発スタッフによる横スクロール型MMORPG

2008年7月収録



 株式会社ネクソンジャパンは8月7日、横スクロール型のアクションMMORPG「TENVI(テンビ)」の日本展開を正式発表し、プロモーションサイトをオープンした。「TENVI」は、クローズドβテストは行なわず、8月21日よりオープンβテストを開始する。正式サービス時にはアイテム課金を予定している。

 「TENVI」は、すでに韓国では2008年1月から正式サービスがスタートしている。開発は「メイプルストーリー」を手がけたスタッフが中心になって設立された韓国Symmetric Spaceが行なっており、韓国ではNeoWizがパブリッシングを担当している。

 「TENVI」は「メイプルストーリー」と同じ横スクロール型のMMORPGで、「メイプルストーリー」を手がけたスタッフの作品として韓国でも高い注目を集めたタイトルだ。本稿では日本でのサービス開始に先がけて来日したSymmetric Spaceの開発スタッフのインタビューと共に、「TENVI」の基本的なゲームシステムを紹介したい。


■ ガーディアンと共に空を飛ぶ、3つの種族が活躍するアクションRPG

「TENVI」の概要説明をする運営担当のネクソンジャパン運用本部運用部第1運用室運用2チームの中西啓太氏
「TENVI」のキャラクタ選択画面上段がアンドラス、中段左がタリー、中段右と下段がシルヴァである
 「TENVI」は横スクロール型のアクションMMORPGである。基本的なストーリーは「アンドラス」、「タリー」、「シルヴァ」という3つの種族が強大な敵「宇宙連合」に立ち向かう、というものになっている。

 本作ではプレーヤーキャラクタであるパイロットと共に、彼を補佐する「ガーディアン」を育成していくというのが最大の特徴となる。3つの種族は異なる外見を持ち、ガーディアンもそれぞれ大きく違っている。

 アンドラスは発達した技術を持つ種族で、剣やハンマーを使う近接攻撃か、銃を使う戦闘系の職業に就ける。大きな頭から手足が生えたようなデザインのロボットをガーディアンとしている。タリーは素早い動きと魔法能力を持った種族。クロウやダガーを使うローグ系か、状態異常を引き起こす魔法が得意なタイプの職業に就くことができる。ガーディアンは人型の魔物のような姿をしている。

 シルヴァは魔法の能力に特化した種族で攻撃魔法の「ウィザード」か、光魔法を使う「プレイヤ」という職業に就くことができる。ガーディアンはドラゴンだ。ガーディアンは連れ歩くことも、一時的に消すことも、一体になることもできる。一体化する場合、アンドラスはロボットに、シルヴァはドラゴンに乗ることができ、タリーはガーディアンに変身する。一体になると攻撃力と防御力がアップする。基本的にはガーディアンと一体化してゲームを進行していくことになるが、パイロットのみで戦うダンジョンなども用意されているという。

 基本的な操作はカーソルキーで移動、Altキーでジャンプ、ショートカットでスキルの使用とキーボードで操作する。ゲームパッドの対応は検討中だという。フィールドとキャラクタ、操作感など「メイプルストーリー」を発展させた印象を強く受ける。ゲームでは様々なクエストが用意されていて、ストーリーを楽しみながらキャラクタを育てていく。ステータスやスキルポイントを割り振ることでキャラクタは強力になっていく。パイロット、ガーディアンの装備を変えると大きく外見も変化する。スキルと姿で個性的なキャラクタを目指していく。

 「TENVI」では20レベルで「空」を飛べるようになる。空を飛べないとたどり着けない場所や、飛ぶことを前提としたダンジョンなど、空を飛ぶ要素がクローズアップされていく。韓国では正式サービスから6カ月以上が経過しているが、最高レベルのプレーヤーでもレベル90くらいとのことで、レベル60からの上級者向けコンテンツはまだ少ないとのこと。現在のレベルキャップは120だ。

 日本で8月21日より始まるオープンβテストでは韓国の7月までのコンテンツの大部分が入る。フィールドは細かく描きこまれており、アクション性のある軽快な操作性、かわいらしいデザインが人気を集めそうなタイトルだ。アイテム制作、ギルドシステムなど標準的なシステムも搭載されており、オープンβテストが楽しみである。

街の画面。非常に細かく描き込まれているのがわかる。 マップは階層にわかれている。「メイプルストーリー」を思わせるマップ構造だが、より階層が広い ガーディアンに変身しての戦闘。敵キャラクタも表情豊かだ
タリーのガーディアンの装備を変更、全く雰囲気が変わってしまう


■ 「メイプルストーリー」で実現できなかった要素を……開発スタッフインタビュー

Symmetric Space理事(共同設立者)であり、「TENVI」プロジェクトディレクターのキム・ジンマン氏。「メイプルストーリー」ではプロジェクトリーダー、メインデザイナーを務めた
Symmetric Space「TENVI」企画チーム長オ・ミヨン氏。「メイプルストーリー」では企画チーム長だった
Symmetric Space代表理事ゴ・ガンイル氏
編: まず、「TENVI」の韓国でのサービス状況を教えてください。

ゴ・ガンイル氏: 2007年の11月にクローズドβテストをはじめて、2007年12月18日からオープンβテスト、2008年1月3日より正式サービスを開始しました。

編: サービス開始から7カ月が経過して、韓国での反応はいかがですか。また、開発にはどのくらいの期間がかかったのでしょうか。

キム・ジンマン氏: ユーザーからは「新しいMMORPGだ」という評価をもらっています。他のライトなMMORPGとは違うと受け止めてもらったようです。開発は、準備期間を含めて2年くらいでしょうか。

編: 「TENVI」とはどんな意味を持つタイトルなのでしょうか。韓国語なのですか?

オ・ミヨン氏: 韓国語ではなく、漢字で「天飛」と書き、この文字の読み方として「TENVI」というタイトルにしました。「TENVI」はキャラクタが20レベルになると空を飛べます。空を飛べる事がこのゲームの重要な要素であることを現わしています。漢字で表現すれば日本の方にも意味がわかってもらえるので、日本でのヒットも願ってこのタイトルにしました。

編: 空を飛ぶところから本当の冒険の始まり、というところでしょうか。

オ氏: そうですね、「飛ぶ」ことはダイナミックな楽しさをユーザーに与えてくれると思いますし、この作品では空を飛ばなくてはたどり着けない場所があります。空を飛ぶことは、本格的なゲームの始まり、といえるでしょう。

編: なぜ「メイプルストーリー」から、新しい会社を立ち上げ、「TENVI」制作に向かったのでしょうか。

キム氏: 「メイプルストーリー」制作時には、様々な入れてみたいコンテンツがありましたが、実現できなかった。「TENVI」はそういった新しい要素を実現するために開発しました。また、「メイプルストーリー」はライトなゲームということを心がけましたが、「TENVI」はもっと“本格的”な、様々なイベントにストーリー性や意味を込めて作っていきたいと思っています。

編: 現在の「メイプルストーリー」の開発メンバーは全て交代している、ということでしょうか。

キム氏: いえ、一部残っており、現在も開発に関わっています。

編: 「TENVI」は「メイプルストーリー」を発展させたゲーム、と考えて良いのでしょうか。

キム氏: 「メイプルストーリー」は低年齢層をターゲットにしていました。「TENVI」はそれに比べると上の年齢のユーザーにもアピールできるゲームを目指しています。重なる部分もありますが、それぞれ独自の魅力を持つゲームだと思っています。

編: その違う部分、「TENVI」ならではの魅力を教えてください。

オ氏: まず、キャラクタと共にガーディアンという相棒がいて、彼等と共に冒険することができます。ガーディアンの力で、キャラクタは空を飛ぶことができます。この空を飛べる要素が最大の特徴といえるでしょう。空を飛びながらダイナミックな戦闘ができます。「メイプルストーリー」では実現できなかったインスタンスダンジョンや、PvP要素も入っています。

編: ガーディアンは、最初からプレーヤーのそばにいるのでしょうか。プレーヤーと共に成長していくのでしょうか。

オ氏: ガーディアンにも独自のステータスがあり、アイテムを装備することで更に強くなっていきます。ガーディアンは装備するアイテムで大きく姿を変えます。様々な種類のガーディアンを使役するのではなく、プレーヤーキャラクタ、「TENVI」ではパイロットと呼ぶのですが、パイロットが使用するガーディアンは1体のみです。

 パイロットはアンドラス、タリー、シルヴァの3つの種族が用意されており、ガーディアンも種族に合わせて3種類存在します。アンドラスはロボット型、タリーはダークヒーロー、シルヴァはドラゴンです。他種族のガーディアンは使えません。

編: ガーディアンに名前は付けられるのでしょうか。

オ氏: 現在設定できるのはパイロットのみですが、将来的につけられるかもしれないです。

編: インスタンスダンジョンは、最大何人で挑戦できるのでしょうか。

キム氏: ダンジョンには2種類あって、パーティー用と、チーム用があります。パーティーは4人まで、チームは8人まで同時に挑戦できます。8人で挑戦できるチーム専用ダンジョンも用意されています。また、ダンジョンは難易度が5段階にわかれていて、レベルやモンスターの強さが変わってきます。

オ氏: チームとパーティーの違いは、人数ですね。パーティーは4人まで、チームは4人以上8人までと、参加人数が分類の定義となります。チームダンジョンは8人で楽しめる大ボリュームになっていますし、難易度も高くなっています。インスタンスダンジョンは1人でも挑戦できます。

編: フィールドでもチームやパーティーを組むことができますか。

キム氏: できます。また、「無期限闘技場」という特別な場所があり、ここでもチームやパーティーを組めます。

編: 無期限闘技場とはどんなシステムですか。

キム氏: PvPができるダンジョンで入ることで他プレーヤーと戦うことができます。チームやパーティーを組むことで協力して戦えます。闘技場への入場は無制限ですので、誰でも、どんなときでも参加できます。

オ氏: 闘技場のあるフィールドでは一定時間に現われる武器などのアイテムが登場し、一時的にパワーアップしたり様々な効果があります。アイテムを取るために探索するなど、ただ戦うだけではないギミックも入っています。

編: 闘技場で勝利すると報酬が得られるのでしょうか。

キム氏: まだありません、現在報酬アイテムなどを検討しています。


■ インターフェイスやグラフィックスも新機軸を導入

編: 基本的なゲーム操作は、「メイプルストーリー」と同じですか。

オ氏: 移動はカーソルキーですが、ショートカットキーが多数使えるなど、より多くのキーが使えるようになっており、ジャンプなどの操作も違います。キャラクタのアクション性に関しては、「メイプルストーリー」でも最近できるようになりましたが、「TENVI」では最初から2段ジャンプができます。またフィールドにはジャンプ台が設置されているところもあって、より高くジャンプすることが可能です。

キム氏: ゲームのアクション性は「メイプルストーリー」に比べて強化されており、下段ジャンプやスキルによるダッシュなどもあります。

ゴ氏: 2Dグラフィックスだと大きなモンスターの表現が難しかったのですが、「TENVI」は2Dと3D両方のグラフィックスを取り入れており、特に3Dグラフィックスで表現するボスモンスターの動きに自信があります。インスタンスダンジョンでのボスモンスターの攻防は是非体験してもらいたいと思っています。また、動く踏み台などゲーム的な要素も充実してます。

キム氏: 3Dグラフィックスはボスだけでなく小さなモンスターにも取り入れられていますし、マップオブジェクトも3Dで表現しているものがあります。ガーディアンも3Dモデルに2Dグラフィックスを重ねて表現しています。

編: 2Dグラフィックスの表現力は「メイプルストーリー」に比べてかなり細かくなっていますね。今回新たに3Dグラフィックスを取り入れて苦労した点というのはありますか。

キム氏: 初めてのチャレンジでしたので、2Dに比べて3Dグラフィックスの不自然さに最初はとまどいました。今は作業のノウハウがわかってスムースに進めることができるようになりました。

オ氏: 「メイプルストーリー」に比べキャラクタを大きく描くことができたので、手足が長くなって、表現の幅が広がりました。エモーションも様々なものが入っています。

ゴ氏: スクリーンショットだけでなく、動いているシーンでキャラクタの大きさ、表現の緻密さを感じて欲しいですね。解像度は1,680×1,050ドットまで対応していて、細かい表現が可能になっています。

オ氏: 解像度を上げると、より広い範囲を見渡せるので、インスタンスダンジョンなど敵の配置や仲間の動きを把握しておきたいところではゲームが有利になります。スペックの低いPCだと解像度を上げない方が快適にプレイできます。低い解像度はキャラクタの表示が大きくなるため、スピード感の感じられる画面になると思います。

編: グラフィックスは細かいですが、デザイナーは何人起用しているのでしょうか、また、開発スタッフ全員で何人でしょうか。

キム氏: グラフィックスは、全部で25名。2D、3Dでそれぞれ4名、後はモンスターやアイテムを担当しています。スタッフの数は「メイプルストーリー」を開発した当初に比べ、多くのスタッフが参加しています。「メイプルストーリー」は少人数で作るというのが開発当初のテーマでしたが、この作品は、よい作品を作り上げるために必要な数のスタッフを最初から投入しています。

編: 「メイプルストーリー」ではダメージを受けるトラップなどがあっても、レベルを上げ、回復薬をふんだんに持って行けば突破できてしまうという感じで、アクション性に関して甘い部分がありましたが、「TENVI」はどうでしょうか。

オ氏: 「TENVI」もMMORPGなので、厳密なアクション性を求めるバランスではありません。ただ、2段ジャンプで敵の攻撃を避けるなど、アクション性を活かした駆け引きは強化しています。

編: 飛行しながらトラップをかわす、というような場面はありますか。

オ氏: 一部ダンジョンでは空を飛ぶことでトラップを回避するような所もあります。

編: 「TENVI」では3つの種族はそれぞれ別々の場所からスタートするようですが、他の種族と合流するのは何レベルくらいでしょうか。

キム氏: スタート地点の街にはそれぞれ行き来できる仕掛けが用意されています。このため、他種族のプレーヤーとすぐに遊ぶことも、知り合いと合流することも可能です。

オ氏: 20レベルを超えると全ての種族が集うところに行くことができるようになります。そこからは種族の壁を越えて協力して冒険していくことになります。

編: みなさんそれぞれ、「TENVI」のここを見て欲しい、というところを教えてください。

オ氏: 韓国では「メイプルストーリー」は低年齢のユーザーが楽しむ作品でした。「TENVI」は本格的なMMORPGを好む人達に楽しんでもらいたいですね。最初は簡単ですが、システムも深く、ゲームが進むと様々なことができるようになっている作品です。

キム氏: 3つの異なった種族、そして成長することで全く違った外見になっていくなど、「TENVI」はプレーヤーごとの個性を追求できる作品となっています。自分ならではの楽しさを追求してください。

ゴ氏: 「TENVI」は2年かけて開発されたゲームですが、それから7カ月のサービス期間を経て、さらによいゲームになりました。それは国内の要望や意見を得ることで成長し、バランスの良いゲームになったのです。日本でサービスされるのは、この成長した「TENVI」となります。是非プレイしていただき、日本のプレーヤーさんの意見をいただくことで、さらによいゲームにしていきたいと思います。

【スクリーンショット】
スクリーンショット。中央には巨大なドラゴンが、右にはジャンプ台が多数仕掛けられたフィールドが見える。探索するのが楽しみだ
街やモンスター、背景の美しさに注目。魅力的なデザインで、日本でも人気を集めそうである
右の巨大ボスは、どんな動きをするのか期待したい

Copyright (C) 2008 NEXON Corporation and NEXON Japan Co.,Ltd. All rights reserved.
Copyright (C) 2008 Symmetric Space Inc. All rights reserved.
※ゲーム画面は開発中のものです。

□ネクソンジャパンのホームページ
http://www.nexon.co.jp/
□「TENVI」のプロモーションサイト
http://www.tenvi.nexon.co.jp/teaser/

(2008年8月7日)

[Reported by 勝田哲也]



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