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【連載第38回】韓国最新オンラインゲームレポート

「e-Stars Seoul 2008」アジアチャンピオンシップ決勝戦レポート
日本勢活躍!「フリスタ!」準優勝、「サドンアタック」4位!

7月24日~27日開催

会場:ソウル貿易展示場

 韓国ソウル市ソウル貿易展示場において、7月24日~27日の4日間「e-stars Seoul 2008」が開催された。

 「e-stars Seoul 2008」はソウル市による主催で昨年から始まったe-Sportsイベントだ。韓国発の世界大会「Wourld Cyber Games」が国外で開催されている間、韓国国内で行なわれる世界大会を維持していくのが狙いで、ソウル市が今後5年間毎年予算を取って本大会を開催していく。

 本大会に盛り込まれた競技種目は、韓国産オンラインゲームタイトルによる「Asia Championship」では、オンラインFPSの「サドンアタック」、オンラインバスケットボールゲーム「FreeStyle(邦題:「フリスタ!-Street Basketball-」)」の2種目。海外からの招待選手を中心に争われる「大陸間カップ」ではFPS「Counter-Strike 1.6」、RTS「Warcraft III: Frozen Throne」の2種目で競技が行なわれた。

 日本からは、「サドンアタック」と「フリスタ!」の2タイトルに出場。「フリスタ!」は日中韓タイの4か国によるトーナメントが行なわれ、日本チーム「FreeStar」が中国を下し、準優勝を飾った。

 サドンアタックは日中韓3か国による予選トーナメントが先月より組まれ、今回は日韓4チームによる決勝トーナメントが行なわれた。日本から参戦したチーム「Nabd」は韓国チームの圧倒的な強さに4位に甘んじることになったが、予選・決勝トーナメントを通じ着実に力をつけていった。日本から出場した両チームの試合を中心にイベントの模様をお伝えしたい。


■ 韓国産タイトルによる「Asia Championship」に密着! 「サドンアタック」日本チーム「Nabd」は4位に

会場となったソウル貿易展示場。会期中はずっと雨が降り続いていた
試合に臨む日本代表「Nabd」のメンバー。数日間の会期中にもメキメキと実力を伸ばしていった
宿舎近くのPC房で練習する「Nabd」のメンバー。日本から韓国のサーバーにつなぐこともあるそうだが、回線のレスポンスは現地でなければ満足できないとのこと
 会場となったソウル貿易展示場は、普段は博覧会の展示会場として使われており、ゲームイベントの会場としてはこれまで使用された実績はそれほど多くない。会場は3エリアにわかれており、開会式や競技が行なわれるメインのエリアと、韓国ゲームメーカーによるイベントエリア、ゲームの歴史を振り返る展示館の3エリアに分かれていた。

 イベントエリアでは日替わりでWebzen「Huxley」やNexon「KartRider」の催事が行なわれていた。会場の外ではWeMade「蒼天」によるプールの上にカフェを設けるというコンセプトブースが設けられていた。前線が停滞してあいにくの天候で会期中ずっと雨に降られ放しという厳しいコンディションだった。

 開会式ではアイドルグループが登場し、女性ファンを中心に多数のユーザーでメイン会場は一杯になったが、それ以降はまったくといってよいほど観戦者が少ないイベントだった。

 今回のメインイベントである「Asia Championship」は、「サドンアタック」と「フリスタ!」の試合が組まれた。「サドンアタック」は6月にソウル市内の「MBC Game Hero Center」にてスタジオ収録という形で予選リーグ及びトーナメントが行なわれており、今回のソウル貿易展示場でのイベントが上位4強による決勝トーナメントが行なわれた。

 トーナメントは6月に日中韓3か国のチームによる予選を勝ち上がった4チームによるシングルトーナメント方式で行なわれた。顔ぶれは日本予選1位の「Nabd」と、韓国から「KSP-Gaming」、「-insane」、「SJ|Gaming」。中国チームは予選落ちしたため今回のトーナメントには参加していない。

 日本チーム「Nabd」の構成は、チームリーダーでアサルターのMattya選手、アサルターのDelpiero選手、アサルターSecond選手、スナイパーのRoyal選手、スナイパーのTelli選手の5人。AKなどのアサルトライフルをメインに前線で戦う3人と、「TRG21」と呼ばれる強力なスナイパーライフルで後方から狙撃を行なう2人による構成がルールによって取り決めされている。

 試合の方式は大会指定マップとなっている「第3補給倉庫」と「オールドタウン」の2マップを交互にプレイしていき、2マップ先取で行なわれる。マップは最大7ラウンドで争われ、攻め側の時に勝利するとポイントが入る方式だ。コイントスでどのマップから試合を始めるかを決めて、攻守の順はじゃんけんで決められる。攻守交替後に守備についた際にこれまで攻め側のチームが自分のポイントを守りきるか、それ以上にラウンドを取られてしまった時点でマップの勝敗が確定する。

 日本代表「Nabd」の準決勝の相手となったのは韓国予選2位の「KSP-Gaming」。マップは「第3補給倉庫」と「オールドタウン」の順で、「第3補給倉庫」の「Nabd」の攻めから試合が進行した。

 「第3補給倉庫」は広大な屋内倉庫にあるB地点と、屋外のコンテナが置かれたA地点があり、攻め手はそのいずれかの爆破、守り手はそれを防ぐことがそれぞれの目標となる。中央に廊下や小部屋が配置され、屋内・屋外の見晴らしのきく通称「ロング」と呼ばれる通路での両軍スナイパーによる撃ち合いが見所だ。また、A地点に向かうマップ中央の通称「広間」と呼ばれる屋内での接近戦闘でアサルターの真価が問われる。

 緒戦にして「Nabd」は、「KSP-Gaming」に手も足も出ない状況になってしまう。というのもこと接近戦に関して、「Nabd」は自慢の突破力をまったく活かせなかったのだ。加えて「KSP-Gaming」のスナイパーの精度は非常に高く、前線を崩され逆に守備側に戦線を押し返されて全滅してしまうような圧倒的な展開が続いた。

 接敵(コンタクト)が予想される場合、まずはフラッシュグレネードや手榴弾を投げ込むのだが、日韓ではグレネードの威力に関する仕様が大きく異なる。韓国バージョンでは、日本よりも範囲が広く、威力が高いのだ。特に接近戦闘の多い広間付近での戦闘では2人揃って手榴弾1発で吹き飛ばされて戦闘不能になることもザラで、日本の仕様で培った距離感を捨てて、体で覚えこむしかない。爆破の中心からの距離で威力が変わるため、多少のダメージを喰らってでも前進した方が良いのか、大きく下がった方が良いのか、このあたりの判断に非常に苦労していた様子が伺えた。

 1番の勝負は5ラウンド。他の4人が倒された状態で、TRGを持った「Nabd」リーダーMattyaと「KSP-Gaming」のアサルターとの一騎打ちが起きた。のどから欲しいポイントのチャンス。双方がお互いをゆっくりとマップ中を探し回った末、制限時間が少なくなり爆弾の設置による勝敗が決しない状態での戦いに持ち込まれた。

 大会ルールでは爆弾を仕掛けてから爆破するまでに35秒かかるのだが、残り時間がこれより少ない状態で爆弾をしかけても、制限時間が終わった時点で爆破せずに時間切れとなって攻め側が負けてしまう。防御側の選手を見つけ出さない限りラウンドを勝利することができない。

 こういった場合、守り側は非常に有利になる。守りきるためには制限時間まで逃げ切るか待ち伏せすればよい。「KSP-Gaming」のアサルターは、直近に倒された味方の位置から相手の大よその位置取りを掴んでおり、時間いっぱいまで逃げ回ることもできたのだが、果敢にも積極的に勝負に出ていった。

 これまでのラウンドで1本も取られていなかったことも手伝ってか気持ちで勝負がついてしまった。Mattya選手はアサルターに後ろを向いている状態で出くわすことになってしまい、ヘッドショットを食らってラウンドを落としてしまう。気持ちでも勢いでも「KSP-Gaming」をとめることができない。結局「Nabd」得意マップの「第3補給倉庫」では1ラウンドも取ることができず、攻守交替後あっさりラウンドを取られてこのマップを落としてしまった。

 2番目のマップは「オールドタウン」。ヨーロッパのような町並みの建物の室内外にそれぞれ発電機のような装置がおかれ、攻め側がこれを爆破する。上下に入り組んだセンター付近の攻防が特徴で、家屋に設けられた窓や壁越しに向こう側の敵を撃つ「壁抜き」のテクニックが要求されるマップだ。

 まずは「KSP-Gaming」の攻め。このマップでの攻撃のポイントはいきなりラッシュをしかけていくのではなく、箱や壁などに十分に銃撃を加え、敵が出てこないところを見計らって確実に手榴弾やスモークなどの投げ物を投げて戦線に突入していく。

 経験というべきか、「KSP-Gaming」の壁越しのグレネードは非常に正確だ。「Nabd」のカバーがことごとく破られる。リードを奪っても簡単にひっくり返される。戦略の問題よりも実力の違いをまざまざと見せ付けられる形で、7ラウンドすべて取られてしまう。「Nabd」の守りでは1ラウンド目で3対2の局面を作るも連続キルで逆転されてしまい、1ラウンドも返せずにこのマップを落とし、2-0で「Nabd」のストレート負けが決まってしまった。「KSP-Gaming」は、その後も決勝戦で「-insane」を下し、見事優勝した。技術力・判断力共に本当に強いチームだ。

会場内にはWebzen「Huxley」のLANパーティーブースも併設された

同じく会場内の別の場所では「Audition」や「蒼天」の催事も行なわれていた


■ 「Nabd」3位決定戦の相手は「SJ|Gaming」。2日で大きく成長

「サドンアタック」優勝チームの「KSP-Gaming」には賞金20,000ドル、準優勝の「-insane」には10,000ドル、3位の「SJ|Gaming」には5,000ドル、4位「Nabd」には3,000ドルがおくられた
 最終日に「Nabd」との3位決定戦を戦ったのは韓国予選3位の「SJ|Gaming」。前日は宿舎近くのPC房でひたすら練習に明け暮れた「Nabd」。手榴弾の感覚を確実につかんできていたのには驚いた。練習では手榴弾の範囲がより大きく強くなっていることへの対策が試みられ、試合では寸でのところで爆風の範囲を避けきるなど、かなり細かいところまで調整が行なわれていたのだ。

 1マップ目は「オールドタウン」の「Nabd」の守りからスタートした。完膚なきまでに叩きのめされた「KSP-Gaming」戦とは打って変わり、守備でも積極的な展開が多く確実に成長が感じられた。5ラウンド目で屋外のA地点での設置されそうになった時には手榴弾で確実に設置を阻むなど、韓国バージョンのセオリーを身に着けていたが、それでも爆弾が設置されてからの攻防では結局爆弾を守りきられてしまうケースが多く、勝負強さではまだ「SJ|Gaming」に分があった。

 「オールドタウン」では3ラウンドを取られた状態で「Nabd」の攻撃が移った。ブリッジのところで相手をけん制した後、一旦戦線を引き、誘い出した相手を叩く戦法で2対3まで盛り返した。2対3の状況になった後、3連続ポイントを獲得すべくA地点に爆弾の設置を成功させたものの、ここからが続かなかった。

 「SJ|Gaming」が硬い守りを敷いてきたのだ。具体的にはセンターの通路や坂に潜み、確実にスナイパーが進入を断つ戦法に出た。「Nabd」のメンバー達は、この戦法にハマり、驚くほどあっさりと倒されてしまった。4ラウンド、5ラウンドも連続で落としてしまい、「オールドタウン」は「SJ|Gaming」の勝利となった。

 続くマップは「Nabd」の選択した「第3補給倉庫」。「Nabd」の攻めからスタートだ。ここでは1ラウンド目からこの日1番のドラマが生まれた。戦線を2つに分けて、残りメンバーがtelli選手1人対「SJ|Gaming」のスナイパー1人になったところでA地点に爆弾設置。爆弾が爆破するまでには35秒かかるが設置した時点での時計は残り34秒。ラウンドの試合時間は爆破残り時間に関わらず進んでしまうため、爆弾を設置した意味がなくなってしまう。

 取るべき手段は最後の残り1人を探して倒すことだ。この局面では、攻め側が必死に歩き回って探し出すしかなく、自分の居場所が特定されるリスクと待ち伏せのハンデを同時に克服するしかない。ちょうどB地点付近からA地点に向かおうとしていた「SJ|Gaming」のスナイパーはそのまま倉庫前の長い道の木箱裏に居座り、制限時間までやり過ごすことを選んだ。

 telli選手は圧倒的に不利な状況に追い込まれてしまった。残り30秒で敵を見つけられなくても敵に倒されてもラウンドを落としてしまう状況の中、果敢にも足音を消さずに駆け足で探索を始める。一般的な試合であれば敵が攻撃側リスポーンのところで待ち伏せることも十分に考えられるが、telli選手によれば「相手は韓国の上級選手なのでそんな手は使ってこない」と判断し、攻撃側リスポーン地点方向への進撃をやめた。

 意を決してスナイパーライフルから拳銃に持ち替えてすばやくクリアリングしながら進む。B側の2階を通過し、梯子のある空間へ走る。そしてBロングと呼ばれるB地点前の長い道路に面した敵の潜む木箱付近へ。残り時間は10秒を切っている。すると残り4秒で足音を察知した敵スナイパーが何もない方向に振り向いた、まさにその瞬間にコンタクト。アナコンダを数発ヘッドに叩き込み撃破。残り2秒。会場が激しく沸いた。見ている側も思わず歓声を上げてしまった。

 「第3補給倉庫」での攻めではその後決め手となる動きがなく、突破力の低さが如実に現われラウンド勝利に繋がらない。結局2ポイントをとって守り側に交代した。「Nabd」の守りではB地点前の廊下で確実に手榴弾の動きを掴んだ「Nabd」が突破を許さない。ファーストコンタクトを確実にものにして、各個撃破を繰り返す流れを作る。

 2ラウンド目では「SJ|Gaming」がタイミングを外してB地点前のコンテナの上に3段でトーテムを作っているところをdelpiero選手が裏を取って3連続キルを成功させるも逆転されてラウンドを取られてしまう。3ラウンド目も取られて「SJ|Gaming」の勝利にリーチがかかったところから、硬い守りで着実にラウンドを重ねていく。

 勝敗が決したのは最終第7ラウンド。何回かのコンタクトで2対2になったところ、A地点で「SJ|Gaming」が爆弾設置に成功。「Nabd」は動きが慎重になり、各個撃破を防ぐために2人1組で設置箇所を確認することに。「Nabd」の2人は爆弾の設置箇所が見える位置にいなかったため、B地点のロング方向まで確認しに行き、B地点には設置されていないことを確認した上でA地点へ移動した。残り10秒でA地点を守る「SJ|Gaming」の2人を片付けたが、解除が間に合わず爆破されてしまいゲームセット。守りきれていれば引き分けとして次のラウンドに進むことができたが、爆弾設置ポイントの判断を誤ったことが響き、時間足らずとなった。これで2マップを「SJ|Gaming」が取り、ゲームセットとなった。

 残念ながら敗れてしまったものの、国際大会という環境のもとで、限られた練習時間の中で調整を図っていった「Nabd」。今大会の3位決定戦で見せた粘りや判断力は今後の彼らの活動中で伸ばしていってもらいたいと思う。


■ 「フリスタ!」は中国を下す大金星!準優勝達成!

「フリスタ!」松川選手の練習風景
 さて、もうひとつの競技種目「フリスタ!」の試合は、展開地域各国から1チームずつ、日本、韓国、中国、タイの計4チームで争われた。日本以外の展開地域では予選が行なわれた上で選手を送り込んできたが、日本からは書類審査でユーザーから応募のあった選手でチームを結成し出場した。

 試合が行なわれたバージョンは韓国での現行サービスのバージョンで、日本では今年10月頃にアップデートが予定されている「FreeStyle 2008」バージョン。出場した選手たちによると、シュートのタイミングやブロッキングできるタイミングが微妙に日本のバージョンと異なるため、入らないと思ってタカをくくっていると得点されてしまうとのことだった。韓国入りしてすぐに練習を始めた3選手は、試合後のインタビューではほとんど戦略の事しか口にせず、かなり早い段階で仕様の違いを克服していた。

 「FreeStar」は松川選手(センター)、川崎選手(パワーフォワード)、丸茂選手(ポイントガード)の3人。現在「フリスタ!」は韓国の開発元であるJCEntertainmentの子会社JCグローバルにより運営が行なわれているが、3人共かつてNHNが運営していた頃からの古参ユーザーだという。準決勝の相手は中国。7月に入り既に現行バージョンのパッチもあたっている上、チームも即席ということで観戦サイドの下馬評としてはもっぱら中国が勝つものと思われていた。

 「フリスタ!」の試合の特徴として大会ルールとして設けられている、ブロッカーに対する攻撃の項目がポイントになってくる。ゲームの仕様として守備側のブロックを攻撃側のボールを持たない選手が邪魔をすることが許されているが、動きながらブロッカーを攻撃して妨害するといったことは「非紳士的行為」として、大会サイドで許されていない。

 しかし、止まっている時にこれを行なうことは許容されており、いかに守備側にブロックさせない状況でシュートを打つかがポイントになった。日本でのローカルルールとしてはこれらの行為全体がノーマナーとされており、クラブ戦でそれをやると対戦相手がいなくなってしまうとのことだった。選手たちもいかに普段意識するノーマナー行為を精神的に克服するかに注力したようだ。

 また、中国チーム「Hunluangjundui」は日本との本番前の練習試合の段階で、大会ルールとしても反則を取られてしまう動きながらのブロッカーに対する攻撃を繰り返し行ない、主催者側から注意を受けていた。このため日本選手の言を借りれば「シューターとブロッカーの純粋なウデを試しあうような素直な展開の試合」になったという。

 5分1ラウンドで行なわれる試合は、第1ラウンドは一進一退の攻防で双方に2ポイントシュートを重ねながらの攻防になった。2分30秒で折り返すまでに12-12というスコアで均衡していた。試合が動いたのは3分で、2ポイントのダンクシュートを日本が決める一方で、中国が3ポイントシュートを重ねる展開になった。残り20秒の段階で30-23と日本がリードをつくり、30-25でラウンドスコアを1-0とした。

 続く第2ラウンドでは果敢にダンクシュートで得点を重ねる日本は中盤を22-13の大差で折り返した。途中から中国選手の1人がヘッドセットを外してしまうなどメンタル面で完全に折れてしまいそのまま余裕のリードで32-21のスコアで圧勝し、ラウンドスコア2-0でストレート勝ち。選手たちも日本とそれほど差がないプレイスタイルにかえってびっくりしていた様子で、韓国戦に向けた思いを口にしていた。

 6月のトーナメントでも日本が中国を下して予選を突破しており、主催者によれば「フリスタ!」で中国が日本に敗れたニュースが伝わると、ユーザーがフォーラムなどで相当盛り上がっているとのことだった。

 決勝戦では対韓国「ショットクラックリメンバー」戦。プレイスタイルの違いもあり、ブロッキングできない状況でシュートに持ち込むのが非常にうまい。日本チームも必死に喰らいつくが、ほとんど3ポイントを打たない「FreeStar」に対して正確な3ポイントをたくさん入れてくる。実力差を縮められないまま35-22、32-19でストレート負けてしまった。

 「サドンアタック」、「フリスタ!」両選手が口にしていたことだが、日本では大会と同じ環境がなく、事実上現地でなければ練習のしようがないという現実がある。仕様ばかりでなくマナーによる拘束といった地域別にどうしても克服が難しい問題も孕んでおり、統一ルールの作成や大会専用バージョンでも遊べるようなサーバーを設置するといった配慮が必要だ。参加した選手たちにはぜひ日本に帰ってもプレイし続けていってもらいたいと思う。

「フリスタ!」選手団と「FreeStar」の試合の様子。緊張していたが楽しんでいた様子だった

「フリスタ!」中国チームと韓国チーム。プレイのローカルルールは万国に偏在しているようで、こうした国際大会を機に統一ルールを考えたほうが良いのではないか


■ 観覧者不在のe-Sportsイベント。ユーザー本位としたコンセプトの変化に期待

3位決定戦後「SJ|Gaming」のメンバーたちと握手を交わす「Nabd」の選手たち
 今大会ではイベント全体としては告知がソウル市民に行き届いておらず、常にがらがらの状態だった。プログラムの進行について試合前日や当日の変更が頻繁にあり、選手やメディアでも相当苦労を強いられた。

 初日の開会式こそアイドルグループ目当ての女性ファンが多数詰め掛けたが、とてもゲームユーザーが観覧しにきた雰囲気ではなく、会場内で大会と同時運営されていた「Audition」や「Huxley」といった人気コンテンツにも食いつきはいまひとつという様子だった。

 特に大会のスケジューリングは最悪で、集客の見込める準決勝戦を平日の昼間に行なう一方で、日曜日の「アジアチャンピオンシップ」決勝戦は18時という遅い時間から行なわれた。閉幕式まで観ると終わるのは22時過ぎだ。同時接続20万人といわれるゲームの国際試合の準決勝戦を観に来るユーザーが2桁しかいないという光景は明らかに異常で、日本でもよく話題になる役所の税金無駄遣いと似たような雰囲気を感じてしまった。

 本当にゲームユーザーを会場に呼び込みたいのかそうでないのか、ソウル市がイベント全体として何を狙っているのかが本当に分からなかった。大会の演出に関しても、国際大会と位置づけるには首をかしげざるを得ない演出、催しも多々あり、このままでは衰退してしまうことが予想される。

 また、韓国では「StarCraft」以外のコンテンツでe-Sportsイベントをランニングできるような成功例がしっかりと確立できていないことも今回の取材で痛感した。メーカーレベルでは、成功例はいくつもあるが、国際試合となるととたんにボロを出すのは何故なのだろうか。「自治体が主催しているからダメ」と言われないためにも、ユーザー本位の視点からイベントコンセプトを洗いなおすべきだと思う。

アイドル歌手を呼んだ開会式を除き、常に閑古鳥が鳴く結果になってしまった本大会の会場。あまりに少ない来場者について、主催側は会場までの交通の便や雨続きの天候を理由にしていたが、同時接続の合計では韓国国内だけで数10万人規模というコンテンツを集めてこの有様というのは、ちょっとリアリティがない

□「e-stars Seoul 2008」公式ホームページ(韓国語)
http://www.estarsseoul.org
□「サドンアタック」のホームページ(日本語)
http://suddenattack.redbanana.jp/
□「フリスタ!-Street Basketball-」の公式サイト(日本語)
http://home.fsbb.jp/main.jsp

(2008年8月5日)

[Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]



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