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E3 Media & Business Summit 2008現地レポート

Codemastersブースレポート
新作TPS「DAMNATION」、MMO「Jumpgate」に注目!
ミリタリーファン待望のFPS「OFP2」新情報も

7月14~17日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 高品位な作品をコンスタントにリリースすることで定評のあるイギリスのCodemastersは、E3 2008にて、2008年から2009年にかけて投入される新規タイトルを多数出展した。注目作は、TPSに「プリンス・オブ・ペルシャ」的な地形とのインタラクションを導入したPC/Xbox 360用TPS「DAMNATION」と、Codemastersとしては初の本格的MMO作品となるPC用「Jumpgate Evolution」だ。

 また、プライベートブース内の展示はなかったものの、ミリタリーゲームファンなら絶対に見逃せないPC/プレイステーション 3/Xbox 360用FPS「Operation Flashpoint 2」の情報が開示されたのでご報告する。


■ 多彩なアクロバティックアクションで立体的なフィールドを縦横無尽に駆け巡る
 CodemasterイチオシのスチームパンクTPS「DAMNATION」

本作は立体的なゲームフィールドをアクロバティックなアクションで駆け巡るTPSだ
 Codemastersのプライベートブースの中で、最も目立つ位置でデモンストレーションされていたのが新作TPS「DAMNATION」だ。この作品は、シームレスで広大、なおかつ立体的な構造をもつゲームフィールドと、そのフィールドをアクロバティックな体術で縦横無尽に活用する意欲的なゲーム性が特徴だ。

 開発は映像作品も手掛ける新進気鋭のデベロッパー、Blue Omegaが担当しており、PC、プレイステーション 3、Xbox 360の3つのプラットフォームで今年秋の発売が北米・欧州で予定されている。Codemastersの今期イチオシのタイトルであり、ブースを案内してくれたスタッフが真っ先に紹介してくれた次第だ。

 本作「DAMNNATION」の舞台は、現実とは異なる歴史経緯を経たアメリカ。南北戦争が泥沼化し40年間も続いた結果、いまだ混乱の中にあるアメリカは複数の軍事勢力にわかれ、工業技術は蒸気機関ベースのまま兵器ばかりが異常発達していた。主人公は「Peacekeepers」と呼ばれるゲリラ勢力の隊長であり、超人的な体術とガンマンスキルを駆使して仇敵へ戦いを挑む。

腕一本で体を支えながら敵を撃つ。地形を駆使した多彩なアクションが魅力
 ゲームをスタートして目の前に広がるのは、グランドキャニオンのような巨大な亀裂に人工物が建設されているという、広大で立体的なフィールドだ。開発元Blue OmegaのリードゲームデザイナーJacob Minkoff氏の紹介によれば、本作のマップは南北十数キロメートル、高さ方向にも数キロメートルという巨大なものであるとのこと。しかもシームレスにつながっており、広大なフィールドを間断なく突き進んでいくゲームになっているようだ。

 基本の戦闘システムはFPS的で、主人公が使う銃器はマシンガン系、ハンドガン系、スナイパーライフル系、ロケットランチャー系とFPS的なものがひととおり揃っている。通常のFPSと異なる点は、マップの立体構造に主人公が足場として使える場所がいくつもあり、本作ならではのアクロバティクスを駆使して縦横無尽に移動できる点だ。

 短いデモの間に披露されただけでも、そのアクションは実に多彩だ。窓に飛び込んで外へ飛び出す動きや、テラスの手すりからジャンプして隣の建物へ飛び移るアクション、棒を掴んで一回転しながら次の足場へ飛び付く動作など、フィールド上の特徴的な地形を使って立体的にどんどん移動していく。この点、本作のアクションは「プリンス・オブ・ペルシャ」シリーズのものに非常に近い。

 その点を指摘したところ、Jacob氏は「その通りです。本作のアクションは『プリンス・オブ・ペルシャ』から多くの刺激を受けています」と返答した。あっさり認めてしまうのも微笑ましいが、それだけに本作のアクロバティックなアクションは力を入れて作りこまれており、またマップの構造がそれを生かしきるデザインになっている。

蒸気を噴き出す巨大なボスキャラとの戦闘も。スチームパンクな世界観が渋い
 プレーヤーは巨大な立体構造を目前にして、「どのルートを進むか」という問題を複数通りの方法で考え、実行することができるのだ。崖を降りるときにエレベーターを使うこともできるし、壁面を伝ってアクロバティックに移動してもいい。常に複数の選択が与えられることで、移動の戦略性とパズル的攻略の面白さが生まれている。

 戦闘においても主人公の体術がものを言い、敵の攻撃を壁に飛び移ってかわし、高所から精密な一撃で倒していくなど、バリエーション豊富な戦法が使えるようになっている。スチームパンク的な世界観に基づき、武器の類もユニークだ。巨大な釘を打ちだして、敵を壁に貼り付けてしまうニードルガンや、プラズマ的な爆発で敵を木端微塵にしてしまうSF系の武器もある。

 開発者自身が認めてしまう通り「プリンス・オブ・ペルシャ」シリーズにインスパイアーされたアクロバティックアクションと、武器の選択と射撃テクニックがものをいうTPS要素を融合した「DAMNATION」。グラフィックスのクオリティは高く、世界観もユニークでアメリカンスタイルな格好良さがある。日本語版の予定は今のところ未決定とのことだが、一度は試してみたいと思わせる面白さに溢れた作品だった。

【DAMNATION】
FPS的なガンアクションに、複雑で立体的な地形を活用するアクロバティックなアクションを組み合わせたTPS「DAMNATION」。間近で見たデモンストレーションでは、質の高いグラフィックスと意外性のあるゲーム性を確認することができた


■ 徐々にゲーム内容が明らかになってきた新作MMORPG「Jumpgate Evolution」
 数千人が参加する大宇宙を舞台に、アクションシューティングの戦闘を実現

本作は宇宙船に乗って宇宙空間を駆け巡る、アクション特化型のSF-MMORPGだ
 NetDevilが開発する「Jumpgate Evolution」は、Codemasterパブリッシュのタイトルとしては珍しいMMORPGである。MMORPGとは言っても、よくある剣と魔法の世界とは全く逆の、宇宙空間を舞台とするSFスタイルのゲームだ。プラットフォームはPCのみで、現時点ではプレアルファ相当の完成度だという。

 本作でプレーヤーがプレイするのは宇宙船。「Jumpgate」の世界には多数の恒星系があり、それぞれの惑星や小惑星帯にあるスペースステーションで宇宙船の購入やアップグレード、カスタマイズ、補給といった行動を行なえる。宇宙空間に飛び出せば、3次元の完全な自由度がある空間を自在に飛び回ることができる。

 戦闘は完全リアルタイムであり、宇宙船の操作とマウスによる照準合わせで射撃を命中させるというシューティングゲームスタイルだ。操作系は「X-Wing. vs Tie Fighter」的にまとめられており、ジョイスティックを使って操縦することも可能。デモ機ではマウスとキーボードを使って操作しており、横旋回、縦旋回の運動をしつつ敵に照準を合わせ、ブラスターを命中させて撃破するシーンを見ることができた。

巨大な宇宙船。成長したプレーヤーが操縦することになるだろうか
 アクションに特化したゲームであると同時に、MMORPGでもある「Jumpgate」の世界には同時に数千人から数万人のプレーヤーが参加することができ、各プレーヤーは戦闘、交易、製造といった様々な役割を演ずることができる。各役割はスキルベースで分化していくことになるようで、経験値を得てレベルを上げていくことで成長が表現される。

 今回のデモンストレーションではレベルやスキルの詳細について触れられることはなかったものの、戦闘で経験値と金銭を蓄積して、乗機をステーションでグレードアップさせることができるという部分を確認できた。プレーヤーが所有できる宇宙船には、シャトル程度の小さなものから、超巨大な戦艦まで多数のグレードがある。追加パーツを購入してカスタマイズすることも可能で、ミサイル、レーザーなど複数の兵器を組み合わせて武装し、戦闘の戦略を組み立てられる。

宇宙ステーションへ向かう。ステーションは戦闘の準備や交易、兵器生産の基地としてプレーヤーの拠り所になる
 交易の面では、各星系のマーケットで特定の資材を大量に買占めて相場を吊り上げたり、遠くの地域に売りにいって利益を上げるといったプレイが可能であるとのこと。宇宙を舞台とする本格MMOPRGといったタイトルになりそうだが、同じ宇宙テーマの作品として既にサービスされているCCPの「EVE ONLINE」との類似が気になる。

 この質問をぶつけたところ、作品の紹介を行なってくれたCodemasters PRマネージャーのLilit Baron氏から「大きく異なるゲームであり、最大の違いは戦闘がリアルタイムの3Dシューティングであることです。またユーザーインターフェイスが一般プレーヤーにもわかりやすいようシンプルにまとめられています」と解説を受けた。3次元のリアルタイムコンバットを数千人規模のMMOで実現することは一般的にハードルが高いと考えられており、その点で本作は極めて野心的な作品といえるようだ。

 現在のところ完成度はプレアルファ相当で、正式サービスの開始日やビジネスモデルについて確実な情報を得ることはできなかった。Lilit氏が「おそらく」と前置きした情報では、2009年春に北米・欧州向けに提供できる可能性があるようだ。日本語版の可能性を含め、本作はまだまだ謎が多い。今後の情報公開を待ちたい。

【Jumpgate Evolution】
「Jumpgate Evolution」公式サイト上では、クローズドβテストの参加者応募が始まっている。宇宙モノ、アクションベースのMMORPGに興味があればチェックする価値はあるだろう


■ ミリタリーFPS「Operation Flashpoint 2: Dragon Rising」
 歩兵戦闘シミュレーションの要素色濃く、Codemasters最新の技術で開発中

 最後にご紹介するのが、ミリタリーゲームファンなら絶対に外せないであろうタイトル「Operation Flashpoint 2: Dragon Rising」だ。Codemasterが開発する本作は、2001年8月に発売され、欧米メディアを中心にきわめて高い評価を受けたミリタリーFPS「Operation Flashpoint: Coldwar Crisis(以下『OFP』)」の続編である。

 2001年当時としては画期的といえる、数十キロ平方メートル四方のシームレスなバトルフィールドを実現し、現実の歩兵の動きを見事にゲーム化してみせた初代作は、ミリタリー派のゲームファンを熱狂させ、普通のアクションゲームファンすらも巻き込んで熱烈な支持を集めた。その続編「OFP2」への期待は高い。

 実際のところ、初代「OFP」はその後ふたつの製品に分化している。もともと「OFP」を制作していたスタジオBohemia Interactiveは、シリーズの版権がCodemastersに移った結果、「OFP」の要素を進化させた新IP「Armed Assault」を独自に立ち上げ、2006年に発売している。一方でシリーズの版権を獲得したCodemastersが独自に制作しているのが本作「Operation Flashpoint 2」だ。

 もともと「OFP」シリーズは、軍事用地上戦シミュレーターも開発しているBohemia Interactiveだからこそゲーム化することのできた「軍事的リアルさ」が支持されていた作品だ。従って、Codemastersが制作するバージョンの「OFP2」が実際どのようなゲームになるのかが注目されてきた。

 今回、E3 2008に合わせて改めて発表されたリリースの内容によれば、「OFP2」は初代作の特徴を重視し、軍事的リアリズムを追及して制作されているようだ。前作と共通するコンセプトは、本作が歩兵シミュレーションの性格を持ち、陸・海・空の小隊を指揮するゲーム性も継承されている点である。ゲームの舞台は日本北方に浮かぶ、中国・ロシア双方に隣接する小島となり、およそ350平方キロメートルの戦場を緻密に再現する。

 リアリズムの面ではゲーム界最高のレベルを追及しており、登場する銃器は現実の挙動が忠実に再現される。弾の種類に応じた弾道シミュレーションも行なわれるため、距離に応じて照門を調整するといった部分もゲーム化されるようだ。さらに兵士には部位ダメージのシステムがあり、負傷個所に応じて挙動が変化する。

 またゲームエンジンには、Codemastersの「Colin MacRae: DIRT」や「Race Driver: GRID」でも使われている内製エンジン「EGO」の最新版が使われ、戦場環境が緻密なグラフィックスで再現される。搭乗兵器の挙動も物理演算ベースで行なわれるため、前作以上にリアルな車両挙動が期待できるようだ。

 これらの点が情報通り満足いくレベルで作られているならば、技術力のあるCodemastersの作品であるだけに、Bohemia Interactiveの「Armed Assault」に勝るとも劣らないミリタリーFPSとして期待できそうだ。対応プラットフォームはPC/プレイステーション 3/Xbox 360が予定されており、内容が内容であるだけにPCと他プラットフォームでは多少ゲーム性が異なる可能性もある。

 発売時期は2009年と発表されている。現時点では実際のプレイ画面の写真や動画は公開されておらず、「OFP」の続編として期待されるクオリティに仕上がりつつあるのか、未だ未知数だ。Codemastersからの続報を待ちたい。

【Operation Flashpoint 2: Dragon Rising】
「OFP」の続編として待望される「OFP2」は、ミリタリー系FPSの決定版となることが期待されている。今回のE3に合わせたリリースではゲームコンセプトについて基礎的な情報が提供されたものの、まだまだ不明なことは多い。今後どのような情報が出てくるか注目していきたいところだ

「Operation Flashpoint 2: Dragon Rising」ムービー
[WMV形式: 126MB 2分10秒] LZH圧縮

※クリックするとダウンロードが始まります



□Codemastersのホームページ
http://www.codemasters.com/
□関連情報
「E3 Media and Business Summit 2008」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/e3link.htm

(2008年7月19日)

[Reported by 佐藤カフジ]



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