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E3 Media & Business Summit 2008現地レポート

アタリブースレポート~モンスターじゃなくて鹿をMMOで駆りまくれ。
プロ志向レーシングゲーム、NEVER WINTER NIGHTS最新作ほか

アタリブース
7月14~17日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

■ 「DEER HUNTER TOURNAMENT」~鯨は駄目だけど鹿はOKさ! 欧米人のたしなみ「鹿狩り」をMMOで!

 欧米では紳士の趣味であり、レジャースポーツとしては人気なのが「鹿狩り」、「DEER HUNTING」だ。この鹿狩りをコンピュータゲーム化したのが本作。地方によっては反発し合う父と子が鹿狩りによって強い絆で結ばれ合ったり……みたいな美談が生まれちゃうほどのメジャー級スポーツなのだが、無駄な殺生はよくない。でも、コンピュータゲームならばその心配もなし……ということで、このジャンルのゲームが欧米では一定の人気があるのだ。

 本作はネットワークに対応しており、1つの狩り場でフレンドプレーヤーと共同で狩りをしたり、逆に腕前を競ったりすることが可能。ハンティングクラブに所属して、大規模なトーナメントに参加することもできる。まさにMMO的な鹿狩りが楽しめるのだ。登場動物はヘラジカ、鹿、バッファロー、イノシシ、クーガー、グリズリーベアーなどなど現実にハンティング対象となっている動物は一通り登場する。

 実際に獲物を見つけたときには、風向きなどに配慮して自分の臭いを相手に伝わらせないように、近づかなくてはならない。また、カムフラージュグッズをまとってスニーキングしたり、餌をまいておびき寄せたり……といった本格的なハンティングメソッドも楽しめる。ダメージを受けた動物は流血しながら逃げることもあり、この場合は血の跡を追って追い打ちを掛ける……というようなことも可能。ライバルが撃ち込んだ初弾で、動きが鈍くなった獲物にとどめを刺して横取り……なんて言うこともできそうだ。

 グラフィックスも最新PCとXbox 360に対応したシェーダーグラフィックスベースになっており、木々や植物、水辺などはリアル志向に描かれる。物理エンジンも採用しており、死亡した動物は4足動物のラグドール物理が適用されて撃ち倒されるようになっている。ゲームならではのフィーチャーもあり、長距離からの狙撃時には、銃弾視点で弾が命中するまでの弾道をゆっくりと楽しんだりすることもできる。

 開発はSouthLogic Studios。前述したようにPC版とXbox 360版が発売予定で、PS3版の予定はなし。発売は2008年秋を予定している。

【DEER HUNTER TOURNAMENT】
トレーラームービー
[QuickTime形式: 128MB 56秒] ZIP圧縮

※クリックするとダウンロードが始まります


■ 「Race Pro」~硬派なシミュレーション系レーシングゲーム

 「Test Drive」シリーズなどを有するATARIは、レーシングゲーム好きのパブリッシャとして知られ、毎年、何かしらのレーシングゲームを出してきている。今年、ATARIが投入するのは全く新しいレーシングゲームシリーズ「Race Pro」。

 いわゆる本格レーシングシミュレーターに属するタイプのゲームで、アクセルをゆるめて曲がっていけるような甘口のものではなく、ハードブレーキングで速度を落とし、なおかつブレーキを残しつつ、車体の前後の荷重移動を意識してステアリングを切り、アクセルをなめらかに踏んでいかなければ速く曲がれない。また、クラッシュは即座に車体へのダメージとして効いてくるため、無謀な運転はすぐに敗北につながるほどシビア。まさに「プロ志向」のレーシングゲームということで「Race Pro」なのだ。

 開発はPC向けレーシングシミュレーターの開発実績があるSimBin。独自の車両物理エンジンをはじめてXbox 360へと移植し、本作を作り上げた。レーシング・シミュレータとしての完成度を重視したため、搭載車両はそれほどは多くはなく、車種は40種ほどに限定されている。搭載車種はレーシングカーが中心で、WTCC(World Touring Car Championship)カー、Formula 3000、Formula BMWなど。市販GTスーパーカーとしてはアストンマーチン、サリーン、アウディR8、ダッジバイパーSRT10など。ATARIスタッフによれば、アルファロメオ、BMW、シボレーのWTCCカーのXbox 360ゲームへの搭載は初なのだとか。ちなみに、ホンダのアコードやミニクーパーなどの、比較的庶民的な車種の収録もあるので安心されたし。実際にプレイして確認してみた感じでは欧米車種の収録が中心であった。

 搭載サーキットは実在のコース15種。ラグナセカ、ロードアメリカ、ポルト・サーキット、マカオ・サーキット、ポー・サーキットなど世界各地の著名サーキットを収録しているが、日本のサーキットの収録があるかはブースでは確認できず。鈴鹿サーキットあたりは入れて欲しいところだが……。

 Xbox Liveを用いたオンライン対戦にももちろん対応。LAN接続に限っては最大12人の同時レーシングをサポートしている。ユニークなマルチプレイモードとしては一台の車の運転を複数プレーヤーで交代して楽しむ耐久レース的ゲームモード「Hot Seat」を搭載している。

 発売時期は2008年11月を予定。前述したようにXbox 360版のみのリリース予定となっているが、将来的にはPC版の提供も検討中だとのこと。PS3版の予定は今のところない。

【「Race Pro」】
プロモーションムービー
[QuickTime形式: 79.4MB 2分] ZIP圧縮

※クリックするとダウンロードが始まります


■ 「NEVERWINTER NIGHTS 2:STORM OF ZEHIR」~名作TRPGのコンピュータゲーム版の新作が今年も登場!

 テーブルトークRPGの王様「Dungeons & Dragons」(D&D)の世界感をコンピュータゲーム化した「NEVERWINTER NIGHTS」(NWN)シリーズの「2」の最新シナリオが今作「NEVERWINTER NIGHTS 2:STORM OF ZEHIR」になる。ストーリーラインはD&Dの第4版に関連したもので、Forgotten Realms(忘れられた王国)での事件を綴ったものになる。

 King of Shadows(影の王)の襲撃の後、ソードコースト(Sword Coast)の地は経済が安定せず復興に伸び悩んでおり、一方、貿易ギルドは戦後の混乱に乗じての商売に躍起になっているという状況。プレーヤーのパーティは、この街で貿易ギルドと組んで儲けに走るか、あるいは追いはぎのようなことをして悪名を高めてもいいが、いずれにせよ、この世界の悪玉のユアン・ティ(Yuan-Ti)の存在に気づくことになり、やっかいなトラブルに巻き込まれていく……。

 今作ではパーティ全員のキャラクタを作成可能となった。冒険の最中に遭遇するNPCをパーティに追加もできるが、最初から飛び道具に長けた魔法使いと屈強の剣士を作るなど、自分なりの戦略を反映させたパーティを最初から作れるのだ。

 もう一つの新フィーチャーは、Overland Mapという俯瞰視点の広域マップシステム。このモードでは、Samarach、Chultan PeninsulaやSword Coastの地を大局的な視界で捉えながら移動と冒険ができる。これは、ちょうど「ファイナルファンタジー」シリーズにおける飛行船などを用いて長距離移動をする際に出てくる広域マップモードに近い役割と思ってもらいたい。このモードでスキルをうまく利用することで、隠された街や遺跡を発見することができ、冒険の幅が広がる。なお、このマップモードで移動していると、モンスターに遭遇したり追いはぎに遭うこともあるらしい。

 シングルプレイのシナリオは約15時間分のボリュームを搭載。ゲームディスクにはシナリオやマップを作るための全てのツールセットが同梱されるため、オリジナルのシナリオを作ることができる。ゲームエンジンは、ゲーム開発元のObsidian EntertainmentがNWNシリーズのために2006年に開発したElectron Engineを今回も使用している。3DグラフィックスはDirectX 9/プログラマブルシェーダ3.0ベースとなっている。

 プラットフォームはPC専用。発売時期は2008年第四四半期を予定。

【「NEVERWINTER NIGHTS 2:STORM OF ZEHIR」】


■ 「THE WITCHER ENHANCED EDITION」~ポーランドの人気ファンタジー小説のゲーム化作品が生まれ変わって帰ってきた!

 2007年10月に発売された大作RPG「THE WITCHER」の強化拡張版がこの「THE WITCHER ENHANCED EDITION」だ。

 The Witcherはポーランドの作家、Andrzej Sapkowskiの同名のファンタジー小説「The Witcher」をゲーム化したものだ。ゲームの舞台は架空の中世ファンタジー世界で、Witcherとは魔法と剣術に長けたモンスターハンターのような職業のこと。

 プレーヤーは小説と同名の主人公、Geralt of Riviaという、クールでワイルドな白髪のWitcherに扮して、冒険をしていくことになる。ゲームは3人称視点の完全なオープンワールドで展開する。NPCや主要キャラクタとインタラクトすることで、クエストが発生。これらをこなしていくことでストーリーが進行していく。冷静に見れば切り口としてはスタンダードなRPG作品だ。戦闘はエンカウント方式ではなく、登場した敵とシームレスに戦うアクション性/リアリティ重視の方式を採用。

 なお、Geralt of RiviaとThe Witcherの物語はポーランド、ヨーロッパ全域で人気があり、テレビドラマにもなるほど。その待望のゲーム化ということで、THE WITCHERはPCゲームとしてはヒット作といえるワールドワイドで80万本を売り上げている。また欧米メディアでは90個以上の賞を獲得し、名作とも謳われることに。ただ、2007年に発売されたオリジナル版はリリースを急いだために一部の点で完成度に難があり、それらについてメディアやユーザーから厳しい指摘がフィードバックされてしまう。

 そこで開発元のポーランドのCD Projekt REDは、作品を完璧なものにするためにモディファイを決断、拡張版という形で再リリースを行なうことにしたのであった。

 その拡張内容は

・5,000行に及ぶ台詞の採り直しと、200個以上の新規の台詞収録
・プロシージャルメソッドによるNPCやモンスターの外観ランダマイズ
・アイテムや魔法の合成手法とその効果の洗練化
・ローディング時間の短縮と最適化
・戦闘時のリアクションの改善

 となっている。

 さらに、多言語対応ディスクをパッケージに追加、キャラクタがしゃべる音声と字幕との自由なコンビネーションを設定することで、再プレイ時の楽しみを広げられる。この他、おまけとして2つの5時間ゲームプレイのフル音声付き追加アドベンチャーシナリオ、 ゲームMOD制作ツール「D'jinni Adventure Editor」、サウンドトラックCD、ゲームガイドブック、Andrzej SapkowskiによるThe Witcherショートストーリー、ゲームメーキング映像収録のDVDビデオ、THE WITCHER世界のマップも付属する。

 発売は2008年9月を予定。

【「THE WITCHER ENHANCED EDITION」】
中央の白髪の男性が主人公Geralt of Riviaだ ブースでのデモンストレーションでは登場する街の人々が異なる衣服や顔立ちをしている様や、群衆で攻めてくるモンスターも一体一体の外見が微妙に異なる様をアピールしていた 秘薬の合成は本作では重要な要素。今作の拡張版ではこの秘薬合成の機能が多様さを増した
怪しげな沼地の森を進む主人公。モンスターは沼からむくりと大群で出現


□ATARIのホームページ
http://www.atari.com/
□E3 Media and Business Summit(英語)のホームページ
http://www.e3summit08.com/
□関連情報
「E3 Media and Business Summit 2008」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080716/e3link.htm

(2008年7月19日)

[Reported by トライゼット西川善司]



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