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E3 Media & Business Summit 2008現地レポート

Eidos最新作レポート
より美しくなったララが活躍する「Tomb Raider Underworld」、
太平洋戦争を独特のスケールで再現する「Battlestations Pacific」など3作を出展

7月15日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 Eidosはクローズドブースにて、「Tomb Raider Underworld」、「Battlestations Pacific」、「Monster Lab」の3本のゲームを出展していた。

 「Tomb Raider Underworld」はシリーズ最新作となるアクションアドベンチャー。今回はデモプレイのみで、撮影は不可だったが、海底に眠る巨大神殿と、待ち受ける巨大なタコと戦う迫力のシーンを見ることができた。

 「Battlestations Pacific」は世界大戦でのアメリカ軍と日本軍の太平洋での戦いを再現したアクション要素の強いシミュレーションゲーム。美しい太平洋の景色の中、激しく争う両軍を戦艦や戦闘機の視点で再現した作品だ。「Monster Lab」はコミックの世界を再現したようなユニークな作品で、アクション+RPG。展示はWii版で、Wiiならではの楽しいアクション要素を体験できた。


■ より美しく、華麗になったララが地下迷宮の巨大ダコに挑む! 「Tomb Raider Underworld」

巨大なタコと戦いを繰り広げるララ・クロフト。より美しくなったグラフィックスでララの冒険が始まる
 「Tomb Raider Underworld」はストーリー的には「Tomb Raider Legend」からの続編となる(前作に当たる「Tomb Raider: Anniversary」は第1作のフルリメイク。「~Legend」と共にスパイクから発売中)。世界的な冒険家、ララ・クロフトが今回挑戦するのは、北欧神話の“雷神トールのハンマー”。千年を越える伝説の秘密を求めて、ララの危険な旅が始まる。

 本作は、Xbox 360、PS3、Wii、Windows、PS2、DS版の発売が予定されていて、北米では11月に発売予定。今回見ることができたのは、Xbox 360版だ。

 今回のララの冒険はタイの海底に眠る地下迷宮、北極海の凍結した海、メキシコのジャングルと冒険の世界をめぐるものとなる。様々なパズル要素が秘められた仕掛けと、襲いかかってくる危険な敵に対して、ララは鍛え抜かれた肉体と、最新装備で立ち向かう。ララの象徴であるコルト・ガヴァメントの2丁拳銃ももちろん健在だ。

 出展されたムービーは、海に浮かぶ船の上から始まる。ララが目指すのは海底に眠る地下宮殿だ。ここでのララは、ウエットスーツに身を包んでいる。上半身はぴっちりしたスーツで覆われているが、足は大胆にむき出しになっているセクシーな姿だ。これまでのララは頭が大きく胸とおしりが強調されたカリカチュアされたキャラクタモデルだったが、今作は頭身も上がっていて、より“美しく、強い女性”という印象を受ける。

 船から華麗にダイブし、海に潜るララ。アクアラングをつけて、体をくねらせ水を蹴ってララは水の中を進む。海の底から、巨大な鮫が襲いかかってくる。ララは新兵器のスピアガンで立ち向かう。撃ち出す銛には爆薬が仕掛けられていて、鮫の体に突き刺さってから数秒後に爆発する。鮫を撃退したララは海の底に眠る海底神殿を発見する。

 クラゲが浮遊する海底神殿の奧には、巨大な3つの円盤が壁に仕掛けられている。真ん中の円盤の中央には取っ手がついていて、持ち上げると円盤が回転する。どうやら3つの円盤を回転させて模様を合わせることで神殿の奥に入れるようだ。一端神殿を出て、周囲を探索する。遺跡の周囲には他にも小さな建物があり、ここに円盤に取り付けられる取っ手が眠っている。

 3つ目の取っ手はわかりにくいところに隠されている。ここで活躍するのが「アクティブソナー」である。ララ愛用のPDAと連動しており、音波探査で地形の3Dモデルを見ることができる。音波探査で、海草で隠された遺跡の入り口も見つけることができた。3つの取っ手が揃い、扉が開く。ララの前に巨大な触手が襲いかかってくる。攻撃をすると触手が引っ込み、遺跡の入口が現われた。

 海水が入っていない遺跡の中心へ向かう。ララはそこで巨大なホールと、中央に待ちかまえる巨大なタコを発見する。タコの目には明らかに邪悪な知性を感じさせる光がともっていて、ララをじっと見つめている。ララはタコの頭上に、タコを捕らえていたであろう檻の残骸を発見する。天井につるされている檻を落とせば、タコを撃退できるかもしれない。檻は左右の足場に固定されている。足場を動かすためには、タコの触手をすり抜け、左右のレバーを動かさなくてはならない。

 柱にしがみつき、遺跡の破片に足場を見つけて進むララ。特定の場所では突然触手が襲いかかってくる。ジャンプで触手をよけていく。場所によってはスローモーションになり、どのように逃げるかを考えさせられる場面もある。もちろん、まごついてしまってはゲームオーバーだ。焦らず、素早く逃げる方向を決めなくてはならない。

 「Tomb Raider Legend」でも使われたマグネットアンカー(先端に磁石がつけられたワイヤー装置)を使うことで、ララは壁に付けられた金具を壊したり、引っ込んでいるギアを引き出して仕掛けを作動させる。アンカーをつけて、高いところからロープにつかまって、壁を蹴って降りるといったアクションも可能だ。

 タコの触手が柱を握りつぶしたり、ララが鉄棒を大車輪で回転してより高いところに飛び上がるなど派手なアクションシーンが連続し、ついに仕掛けを完全に動かすと、檻の残骸がタコに突き刺さり、巨大なタコは血を吹き出して倒れる。タコが隠していた扉が開く、というところでデモプレイは終了した。

 今回のデモプレイでは、初心者にも配慮した、世界観をきちんと持ったアクションアドベンチャーだと感じた。場所によっては固定カメラとなり、引いた視点でララのアクションを楽しめる。ララの優れた身体能力と、最新機器で古代の脅威に立ち向かうその迫力ある映像は、プレイしてみたいと思わせるクオリティを持っていた。

 難易度の上昇や、実験的にダークなストーリーを取り入れファンから批判を浴びるなど迷走していた「Tomb Raider」シリーズだが、原点回帰を目指した「Tomb Raider Legend」、そして1作目をリメイクした「Tomb Raider: Anniversary」を経て、より高品質のアクションゲームへの進化していることを感じた。ララがより魅力的になっているところも、日本のプレーヤーの琴線に触れるのではないだろうか。日本での発売も期待したい。

海での冒険。鮫は凄まじいスピードで襲いかかってくる。水の中で身をくねらせるようにして泳ぐララはセクシーだ
「Tomb Raider Legend」から取り入られたマグネットアンカーを使ったアクション。ぶら下がったり、者を引っ張ったりすることが可能
ララの行く手を阻む巨大なタコの触手。右の画像の頭の上にある檻の残骸を落とせば撃退できそうだが……


■ 時にはパイロット、時には艦長、美しく過酷な戦場で様々な役割を担う「Battlestations Pacific」

マップ画面でユニットの進む方向を指示できる。本作のプレーヤーは、指揮官であり、艦長であり、砲手であり、パイロットである
カミカゼアタック。日本人としては複雑な心境だが、この攻撃の狂気と恐怖を再現していると感じた
 「Battlestations Pacific」は日本でもスパイクから発売された「Battlestations: Midway」の続編に当たる。太平洋戦争を題材に、日本軍とアメリカ軍の戦いを描く。北米で2009年の第1四半期にXbox 360とWindows版の発売が予定されている。

 本作の最大の特徴は、艦船と飛行機をリアルタイムシミュレーションとして配置、方向を指示させるだけでなく、アクションゲームとして時には戦闘機のパイロットとなり、時には戦艦の艦長、砲手として活躍できるという多面的なゲーム性にある。戦場全体を見つつ、優れた1人の兵士として戦局そのものをひっくり返すような活躍が可能となっている。

 今作では100種類以上のユニットが登場、17の戦闘機が追加され、前作以上にリアルな戦場が目指された。日本の艦船にも史実の資料から名前が付けられていて、スタッフにより正確な表記になるように、日本人から見てもおかしくないようにチェックしたという。マップは前作の2倍以上、28以上のミッションからなる日米両軍のキャンペーンが収録されている。

 ブースで体験できたのは、小島の連なる南の海での日本軍の上陸作戦だ。プレーヤーは旅客船を改造した兵員輸送船を護衛して海を進むことになる。偵察機を発進させれば索敵範囲が広がり、敵の動きを把握しやすくなる。プレーヤーは戦略画面で部隊の方向を指示し、戦闘画面では艦船や戦闘機を直接操作できる。操作する機体、艦船はいつでも瞬時に切り換え可能だ。

 画面を見て圧倒されるのは、グラフィックスの美しさだ。キャンペーンは日が沈んでいく南太平洋を舞台にしていて、兵員輸送船を護衛しながら海を進む戦艦は、夕日に照らされていて力強さを感じさせつつもどこかもの悲しい。日本の戦艦の横には白く船の名前が描かれている。飛行機での視点では、緑豊かな南の島がはっきりと見える。戦艦の砲塔、島の木々、軍事施設まで細かくモデリングされていて、リアルな表現に感心させられる。

 両軍が交差すると激しい戦闘が開始される。戦闘機の操作は独特で、多くのドライブゲームと違い、右スティックが操縦桿、左スティックがエンジン出力になっている。これは右手で操縦桿を握り左手でスロットを操作するジョイスティックを意識してのものだろう。戦闘機の耐久力は低く、油断すると一瞬で対空機銃の餌食になってしまう。激しい火線をかいくぐりながら、敵を倒していくのはちょっとした慣れが必要だ。

 自分が操作している機体が倒されると瞬時に次の戦闘機に切り替わる。戦闘機や艦船は独自のAIで自立的に戦闘を繰り広げていて、プレーヤーが操作を切り換えることでそのユニットをインターセプトする形になる。他の機体に移ると戦艦に射撃をしている最中だった、ということもあり、瞬時の現状把握が要求される。プレーヤーが操作することでより有利に戦局を運び、不利な状態も覆していくことができる。日本軍が勝利する、といった自分の手で新しい歴史を作っていくのが本作の醍醐味だ。

 戦艦では主砲を動かして敵艦を攻撃し、対空砲火で敵戦闘機を撃退できる。兵員輸送艦も操作することができ、揚陸艇を出して兵士を上陸させるだけでなく、輸送艦につけられた砲や、護衛艦で上陸した兵士を援護することが可能だ。トーチカなどの敵の施設をスコープで確認し、打ち抜くとその後に兵士達がなだれ込んでいったりする様子が見えたりと、臨場感タップリだ。この他、艦船は魚雷発射管から魚雷を撃ち出して敵を攻撃したり、視点を切り替えて潜水艦に備えるといったこともできる。

 米軍のミッションも少しだけ見ることができたが、「Kamikaze」と名付けられた日本の戦闘機部隊が本当に自爆攻撃を仕掛けてくるところに衝撃を受けた。その威力は絶大だが、貴重な戦闘機を爆弾代わりに使うその戦略は、やはり理不尽な感じを受ける。次々と神風アタックを仕掛けてくる戦闘機には、パイロットの狂気と、それに対面するアメリカ軍兵士の恐怖を感じることができた。

 フライトシミュレーターとも、ターンベースのシミュレーションとも違う、アクション要素の強い独特のスケールで太平洋戦争を描く本作は、ユニークな魅力を持った作品である。オンライン対戦では、両軍4人が同時に操作する、最大8人のプレイが可能だ。ゲームの説明をしてくれたスタッフは「本作が日本でも発売されれば、日米両国のプレーヤーがそれぞれの陣営で対戦が可能になる。その風景はぜひ見てみたい」と語った。筆者もその対戦風景を見てみたい。

戦艦の視点、戦闘機の視点、本作は多彩な角度で戦場を見て、戦うことができる
左は上陸部隊を援護する砲撃画面。中央と右はアメリカ軍の画面だ。アメリカ軍のユニットの感触は、日本とはひと味違いパワフルな印象を受ける。対する日本軍機は軽快だ
360版スクリーンショット。戦艦の名前などを思わず調べたくなる
本作は特に爆発の表現が派手だと感じた。リアルだけでなく、カジュアルさと爽快感も持った作品だ


■ マッドサイエンティストとなって、怪物を作り上げた戦いを挑む「Monster Lab」

パーツ発掘。リモコンを激しく動かさなくてはならない
 「Monster Lab」はRPGにアクション要素をプラスした作品。プレーヤーは3人のマッドサイエンティストを師に持つ、見習いとしてその奇妙な科学を学んでいく。悪い男爵「Mharti」によって窮地に陥った師匠を助けるため、その実験の腕を活かして怪物を造り出し、立ち向かっていく。本作は北米で10月にWiiとDS版が発売予定だ。

 プレーヤーはまずラボ(実験室)で怪物を造り出す。怪物は、機械、化学、魔術の3つの要素から様々なパーツを作り上げ、モンスターを組み上げていく。モンスターは頭、左右の腕、胴体、下半身の6つのパーツで造られている。プレーヤーはこの怪物を使って地域を探索し、様々なクエストをこなしていく。

 地域を探索中に、Mhartiが作り上げた敵の合成怪物が襲いかかってくる。怪物同士の戦闘はコマンド選択方式のバトルが展開される。プレーヤーは怪物のどのパーツを使うか選択し、敵のパーツを破壊していく。パーツにはそれぞれ攻撃のための必要エネルギー値が設定されていて、時には戦闘や防御をせずチャージすることが必要となる。

 敵のパーツを集中的に狙えばダメージが蓄積し、破壊することができる。敵を倒したり、クエストをクリアすることでプレーヤーはさらなるパーツを作ることができる。このパーツを組み合わせてより強力な怪物を作り上げていくのだ。

 「Monster Lab」ではこのパーツ製造がアクションになっている。体験できたのは機械を切断するのだが、決められたところ以外に切断のビームを当てると、パーツの性能が下がってしまう、というもので、昔TV番組で行なわれていたゲームの「電撃イライラ棒」のようなゲーム性だ。Wiiリモコンでポインタを動かしビームを当てていくのは難しく、あまり良いパーツにならなかった。ミニゲームをうまくクリアし、良いパーツをつけて最強のモンスターを目指すのが本作の醍醐味である。

 この他にも、特定の場所でパーツを“発掘”することもできる。右のリモコンでスコップを動かして堀り、骨が出てきたら左のヌンチャクを振ってたたきつけて割る、という感じでプレイをしている人を見るのは楽しいが、自分でやるのは大変そうだ。

 本作はコミックのような雰囲気が楽しい。マッドサイエンティストと怪物達が造り出す世界は、ハロウィンのような不気味ながらも、ちょっとかわいらしい雰囲気で独特の魅力がある。怪物もパワフルだが間抜けな感じだ。ユニークな雰囲気を持った作品である。

パーツを組み合わせてフィールドを探索、コマンド式の戦闘に勝ってゲームを進めていく
Wii版のスクリーンショット。敵の怪物ので材も面白い。独特の雰囲気を持ったゲームだ

□Eidos(英語)のホームページ
http://www.eidos.com/

(2008年7月18日)

[Reported by 勝田哲也]



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