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会場:KODAK THEATRE
本稿ではイベント全体の流れと、発表された各タイトルを紹介したい。「Wii MotionPlus」を使った「Wii Sports Resort」と、宮本茂氏が登壇し演奏会が行なわれた「Wii Music」の紹介は別項で紹介したい。
■ 岩田氏が語るパラダイムシフトの次の戦略、任天堂の挑戦
岩田氏はパラダイムシフトの例として「脳トレ」シリーズ、「マリオ」シリーズなどの「長期間売れるソフトの登場」を挙げ、次に「ハイエンドなだけではないゲームの方向性」を指摘した。「『マリオ』や『ゼルダ』シリーズの新作は制作されているが、短期間、低予算でも世界的に受け入れられる可能性がある」と岩田氏は語る。 そして3つ目に、直感的なゲームデバイスでお年寄りなどゲームのプレーヤー層を大きく広げた例を紹介した。WiiやDSはホリデーシーズンにプレゼントされるものではなく、“自分のために買う”が多くなり、欧米では大きな売り上げを毎月記録しているという。 このパラダイムシフトの次に何があるか、特に他社が追随しようとしている中ではその動きは早まっていく。岩田氏は「プレーヤーがもっと熱中できること」という方向性に答えがあるのではないかと考えている。「その為に任天堂は常に“自分自身”に挑戦し続ける新たなパイオニアでありたい」と岩田氏は語った。
その挑戦の1つが“ユーザー自身がコンテンツを作り、他のユーザーと共有して楽しむこと”である。もちろんこの方向は他社も挑戦している。しかし、任天堂ならではの楽しさをプラスしている。それがWiiで制作されている「Animal Crossing City Folk」、「どうぶつの森」シリーズの最新作だ。岩田氏のタイトルを発表を受けた形で、プロデューサーを務める江口勝也氏自身による「Animal Crossing City Folk」、の紹介ムービーが始まった。
■ 街の登場、「Wii Speak」による新しいコミュニケーションが生まれる「Animal Crossing City Folk」
最新作である「Animal Crossing City Folk」でも、プレーヤーは自由に村での生活を楽しむことができる。設定されたゴールはなく、ゲームの中でどのように時間を過ごすかは自由だ。プレーヤーがゲームの世界に入らなくても、村で生活している動物たちは朝は起き、夜は眠り生活を営んでいる。現実と同じ時の流れを感じることができる。 今作では村に加え、“街”が登場する。プレーヤーは街を訪れオークション会場で売りに出されたアイテムを見ることができる。もちろん出品することも可能だ。「ハッピールームアカデミー」を訪問すれば他のプレーヤーの部屋を見ることができ、有名なファッションデザイナー“グレース”を訪ねることもできる。ビューティーサロンでは髪型を変えたり、自分のMiiそっくりのマスクをかぶせてもらうこともできる。 コミュニケーション面も進化した。他のプレーヤーに手紙を書いたり、写真の添付も可能だ。Wii伝言板や友達のPC、携帯にメッセージも送れる。そして最大の特徴が「Wii Speak」という追加機器への対応だ。これはヘッドセットマイクではなく、テレビの上などに置いて、プレーヤーがいる部屋の人が自由に話しかけられるマイクで、「Animal Crossing City Folk」をのぞき込んでいる人たちが世界中のプレーヤーと会話を楽しめる。釣り大会などを開いて、皆としゃべりながらプレイできる。「WiiSpeak」は北米では29.99ドルで、「Animal Crossing City Folk」とは別売りになる予定。 村を訪問しプレーヤーの家を見るだけでなく、声でコミュニケーションもできる。友達から友達を紹介してもらえた、新しい友達と話ができた、という話を聞くとうれしい、と江口氏は語る。
最後に江口氏は、ユーザーに「今後もプレーヤーのみなさんには自分の世界を作り上げて、他のプレーヤーと様々な形で交流し、世界を共有してお互いが結びつく場所を作って欲しい」とメッセージを送った。
■ 好調なDS、Wii。DSで「GTA」シリーズの最新作が独占で登場!
サードパーティーのソフトに関しては、「THE CLONE WARS LIGHTSABERDUELS」、「RAYMAN RAVING RABBIDS」、「Call of Duty World at WAR」の3本のWii向けタイトルと、発売済みではあるが、大きな人気を獲得した「GUITAR HERO ON TOUR」と「SPORE Creatures」の2つのDSタイトルが紹介された。任天堂の戦略ではあるが、プレイをしている人の姿も紹介するアピールの手法はタイトルとプレイスタイルを強く印象づける。 イベントではこれに加え、「GTA」シリーズの最新作「Grand Theft Auto CHINATOWN WARS」がDS独占で発売されることが発表されると、会場から歓声が上がった。ゲーム画面は公開されなかったが、現代のリバティシティーを舞台に、新しいゲームエンジンとキャラクタで、「GTA」ならではの自由度の高いプレイがそのまま再現されるという。 DSに関してはこの他にも現在実験段階ではあるが、空港とリンクし、空港に飛行機が着いてから荷物を受け取るための窓口を教えてくれたり、空港内の施設の検索をするといった機能が検討されている。また、野球観戦時には、他の試合を調べたり、ハイライトシーンでのファンの交流や、食べ物の注文も可能になる。この他、「DSお料理ナビ」の北米版の発売などDSの可能性が提示された。 今回のイベントでは、北米の任天堂イベントではおなじみとなっているNintendo of America President and COOのReggie Fils-Aime氏に加えて、Executive Vice President, Sales & MarketingのCammie Dunaway氏が登壇し、会場を盛り上げた。Fils-Aime氏に代わって最初に登場したDunaway氏は「母の日に『僕がお母さんが大好きなのは、ビデオゲームをたくさん買ってくれるからじゃないよ』というカードを息子からもらった」と女性ならではのエピソードを披露。 その後に、実際に今年の冬からスノーボードに挑戦した腕前をWii向けスノーボードゲーム「Shaun White Snowboarding」で披露した。スノーボードでは右腕に怪我をしてレスキュー隊の世話になったとのことだが、ハーフパイプでのテクニックに会場から拍手が上がった。Fils-Aime氏と、Dunaway氏はサードパーティーのソフトの後に行なわれた「Wii Sports Resort」の紹介と、宮本茂氏を加えた「Wii Music」のアピールでも大活躍するのだが、その模様は別稿でお伝えしたい。
プレイする姿もエンターテイメントの一部、というWiiが見せたゲームエンターテイメントの新しい可能性を前面に押し出したイベントだという印象を持った。シアターの構成、出力する画像と登壇者達の様子がリンクする感覚は、他のゲームイベントでも見ることができない魅力、そして任天堂ならではの可能性を感じた。世界で一番好調なゲームハードメーカーという印象を強くアピールする発表会だった。
□Nintendo of Americaのホームページ (2008年7月16日) [Reported by 勝田哲也]
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