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韓国展開は、「MHF」初の海外向けサービスとなる。2007年2月から第1次クローズドβテストが実施された日本に比べると1年4カ月ほど遅れての展開となるが、韓国ユーザーの注目は高い。4月1日に行なわれた「ハンゲームパブリッシング新作発表会」で発表された通り、「MHF」の韓国サービスは今年の第3四半期からオープンβテスト、年内の正式サービス開始が予定されている。ビジネスモデルは依然として未定だが、順当にいけば日本と同じ月額課金になりそうだ。 第1次クローズドβテストは「ハンターランク11以上」のクエストまで実装されたバージョンだ。初日の風景としては日本語版とは言語が異なるだけであったが、これまでの「モンスターハンター」シリーズの韓国展開では、市場の狭さからローカライズされてもパッケージまでで、ゲームは英語版もしくは日本語版でしか提供されてこなかっただけに、韓国語テキストでのプレイ風景は感慨深いものがあった。
ゲームの操作には、キーボードとゲームパッドの両方に対応。韓国独自の仕様としてはPSP「モンスターハンター 2G」と併せて15歳以上のレーティングが設けられている。キーボードインターフェイスが中心の韓国市場向けにプレイ障壁をどのように克服していくかも気になるところだ。 ■ 韓国版「MHF」は、ゲーム内容よりむしろインターフェイスが課題か?
クローズドβテスト初日にさっそくログインしてみると、全チャンネルで2,500人程がプレイしているのを確認できた。オープン直後という注目の高さを差し引いて考えても、1万人中2,500人という数字は悪くない。「MHF」に対する韓国ユーザーの高い期待感が感じられる。 実際サーバーに入ってみると、PS2やPSPで「モンスターハンター」シリーズを遊んでいた経験者から、オンラインゲームには慣れ親しんでいるが同シリーズは初めてという初心者まで、幅広いユーザー層が集まっていた。経験者たちは早々と自分のハンター生活を楽しんでいる様子だったが、初心者の方はゲームの操作に戸惑っているケースが多いようで、街の中では妙な動きを繰り返すキャラクタが目立っていたのが印象的だった。 「MHF」は、ゲームパッドでの操作を前提にしたインターフェイスを採用しているため、日頃からキーボードでのキャラクタ操作に慣れている韓国人ユーザーには操作が難しいゲームなのだ。韓国ではゲームのメインストリームプラットフォームは依然としてPCであり、日本ではゲームパッドへの対応が求められるのと同じように、韓国ではキーボードだけで不自由ない操作が可能であることが求められる。 本作は、キーボードで操作した際、テンキーで視点移動を行ない、一般的なタイトルでは移動に用いられるWASDキーの付近がスキルやアクションに割り当てられている。キーカスタマイズですべてを入れ替えることも可能だが、一般的なFPSタイトルとの操作体系の隔たりの大きさに、コミュニティからの不満の声が多い。マウスクリックでの移動といった移動系のインターフェイスを新たに設けるか、パッドの普及を即すといった改善策が必要だろう。 後者に関してはNHNも対策を講じ始めている。今回のテストで、ハンターランク14以上のユーザーに抽選でMHF公認のゲームパッドをプレゼントするというキャンペーンを実施する。しかし、これだけでは課題は克服できない。なぜなら、韓国の多くのオンラインゲームファンは、PCバン(ネットカフェ)でオンラインゲームをプレイするが、そのPCバンにはゲームパッドがほとんど普及していないからだ。 掲示板等での韓国ユーザーの反応を見ると、キーボードによる操作は難しいことを、日本発の情報で事前につかんで、あらかじめゲームパッドを購入してプレイしているユーザーや、PS2で簡単に倒せた「ランポス」の攻略が、キーボードでは難しく感じると述べるユーザーなどがいるなど、ファンを中心にいかにこの難局をしのぎきるかがまじめに討論されているところがおもしろい。それだけ「MHF」の魅力は高いということだろう。 韓国でのゲームパッド事情は、PS2コントローラ型のLogitechの「デュアルアクションゲームパッド」や、韓国Joytron製のゲームパッドが以前から販売されている。特にJoytronは2003年から多数のゲームパッドを自社開発して販売しているが、有力な市場であるPCバンでも貸し出し用のゲームパッドを備えている店舗は殆どなく、コンソールユーザーがPCゲームをプレイする時に家庭内で使用するというニッチな存在だ。
また「モンスターハンター 2G」は出血表現などから15歳以上のレーティングが設定されており、現状評価版のためという理由で「MHF」にも同様の制限がかけられている。正式サービス時にそれより下の年齢層の獲得に向けてそうした表現をなくすのか、コンソール機で培ってきたブランド力とパッドの供給をバネに新規ユーザーの獲得に繋げられるのか、韓国ユーザーの評価と併せて楽しみなところだ。ブランドとしては非常に強力な一作なだけに、浸透していく環境をいかに形成していくか今後の展開が非常に気になる作品だ。
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□NHNのホームページ(韓国語) (2008年7月1日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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