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★モバイルゲームレビュー★

携帯でだけ遊べる「FF IV」のその後の世界
懐かしさ満載のストーリーが続々登場!

「ファイナルファンタジーIV THE AFTER -月の帰還-」

  • ジャンル:RPG
  • 配信元・開発元:株式会社スクウェア・エニックス
  • 利用料金:1ストーリー300~500ポイント(315~525円相当)
  • プラットフォーム:iモード(メガiアプリ)/EZweb
  • 対応機種:iモード FOMA 903i/703iシリーズ以降/EZweb WIN BREWシリーズ
  • 配信日:配信中(ストーリーは順次配信)



 今回紹介する「ファイナルファンタジーIV THE AFTER -月の帰還-」は、スクウェア・エニックスの携帯電話向けサイト「ファイナルファンタジーモバイル」にて配信されているRPG。かつて'91年にスーパーファミコン用ソフトとして発売され、大人気を博した「ファイナルファンタジー IV」(以下、「FF IV」)の“その後”を描いた作品である。

 iモードでは現在も定期的に新ストーリーを追加配信している。そして5月15日から、EZwebでの配信も開始された。より遊べるユーザーが増えたこのタイミングで、一度レビューしてみようと思う。

 なお、本記事は4月時点でiモードで配信されていた「序章 月の帰還/セオドア編 最後の赤き翼」、「リディア編 閉ざされた幻獣」、「ヤン編 ファブールの師父」の3つのストーリーをクリアするまでプレイしたうえで執筆した。筆者は以前に「FF IV」をエンディングまでプレイした経験があるので、当時の思い出や記憶の糸をたぐりつつ、携帯電話というプラットフォーム上で往年の名作をどのような形で再現およびアレンジしているのかを興味深くプレイさせていただいた。



■ 懐かしさいっぱいの世界観をモバイルゲームで再現

 グラフィックスやBGM、および基本操作にいたるまで、元の「FF IV」をほぼそのまま踏襲している。フィールド画面は上から見下ろした視点での2Dドット絵で描かれ、バロン城やミシディア(魔道士の村)をはじめとする各地のマップ構成をそっくりそのまま再現している。

 バトルも以前と同じシステムで、味方のキャラクタに1人ずつ「たたかう」、「ぼうぎょ」、「アイテム」などのコマンドを入力してプレイする。バトル中はコマンドを入力せずに放置している間も刻々と時間が経過する「アクティブタイムバトル」もこれまた健在だ。

 序章のオープニングは、「FF IV」の主役で現在はバロン国王となったセシルの息子セオドアが、「ファイナルファンタジー」(以下、「FF」)シリーズ名物の空飛ぶ乗り物、飛空艇に乗っているシーンからスタートするという「FF IV」のオマージュになっている。セシルは当時バロン王国の飛空艇団「赤き翼」のリーダーだったのに対し、セオドアはまだ幼く見習いの身分で、師匠格にあたるビッグスとウェッジ(この2人の名前もシリーズ作品ではおなじみだ)の手を借りながら、一人前の騎士になるための修業に出るところから冒険の旅が展開される。

 その他、ステータス表示画面や店での武器・アイテムの購入方法なども特に変更はないので、「FF IV」をある程度遊んだことのあるプレーヤーであれば、チュートリアルを見るまでもなく、すぐに遊べるだろう。

 もう昔のことだから忘れてしまったよという人も、タイトル画面で「遊び方」を選択すればいつでも「トレーニングルーム」(「FF IV」のバロン城にもあったチュートリアル的な役割を果たす部屋)に行ける。ここに来れば当時の記憶を思い出せるはずだ。

【スクリーンショット】
「FF IV」の懐かしい世界観はそのままにまったく新しいシナリオが展開される。オープニングでも「FF IV」と同じく飛空艇が飛ぶシーンを入れることで、親子二代にわたる物語がこれから始まるということが強調されている
バロン国王となったセシルとローザ、そしてその息子のセオドア。「月の民」の血を引くという設定ゆえ、バトルではその才覚を一時的に発揮する「かくせい」という特殊コマンドも使用できる
こちらはプレイステーション版「FF IV」の画面。参考までに、各キャラクタの過去と現在の姿とを比較してみていただきたい



■ バトルシステムに月の満ち欠けと「バンド」を追加

 毎回新作が出るたびにバトルシステムにも新しいアイディアを盛り込む伝統を持つ「FF」シリーズだが、携帯コンテンツ版もその例外ではない。本作品には時間の経過により攻撃・魔法の威力が変化するシステムと、「バンド」と呼ばれる特殊コマンドの2種類の新要素が導入されている。

 攻撃および魔法の威力は、ゲーム中に一定の時間が経過すると変化する月の満ち欠けによって左右される。たとえば満月のときは通常攻撃の威力が下がり、逆に黒魔法の威力がアップするといった具合だ。

 時間によって攻撃・魔法の威力が変わるとはいえ、戦い方そのものまでが劇的に変化するわけではない。満月のときであっても、剣や打撃攻撃が通常よりも威力がやや落ちるという程度なので、たとえ「ヤン編」のように魔法を使える味方が誰も登場しないストーリーであっても、普通に打撃だけで敵と戦っても何の支障もない。

 一方、「バンド」は複数の仲間同士が力を合わせて発動する特殊コマンドで、セシルとローザによる「ホーリーブレード」や、ヤンとアーシュラの「双翼乱舞」など、通常攻撃よりもはるかに威力の高い技を繰り出せる。

 バンド技は発動させるたびにMPを消費するので、無闇やたらには使えない。バトル中に技が使えるキャラの組み合わせを何度も探す必要があったかと思えば、シナリオが進むと自然と技が使える場合もあったりするので、詳しい使用条件がわかりにくいのが玉にキズだが、対ボス戦では大いに力を発揮する。

 とはいえ、これらのシステムを最大限に利用しないとゲームがクリアできない、などということはない。基本操作にさえ慣れてしまえば、「FF」シリーズ初心者でも十分に楽しめる程度のバランスになっている。

【スクリーンショット】
月の満ち欠けによって攻撃および魔法の威力が変化。バトル中にその影響を受けているコマンドには上下の矢印がついている
「バンド」による合体攻撃の様子。非常に強力だが、技に応じて必要な分のMPを消費する

 筆者は当初「モバイルゲームでアクティブバトルをこなすのは厳しいのでは?」という不安があった。だがその心配はまったくの杞憂で、操作に手間取っているうちに敵にボコボコにされたりするようなことは全くなかった。元のスーパーファミコン版よりも、バトル中の時間の流れが緩やかに調整されているようで、ちゃんとモバイルゲームに合わせた適度なゲームバランスになっている。

 いずれのストーリーとも、ある程度RPGに慣れた人であれば3~4時間ほどでクリアできるようになっており、極端に難しかったり簡単すぎたりしない適度なバランスになっているというのが筆者の印象だ。

 ただし、各ストーリーに登場するネミングウェイ(「FF IV」ではプレーヤーキャラの名前を変更する役割を担っていた)が案内してくれる、本編とは別の「チャレンジダンジョン」はこの限りではない。筆者はこのダンジョンを全部クリアするまではやり込んでいないが、ここには強力な武器・防具などのアイテムが入った宝箱が隠されている代わりに、およそ本編の比ではない凶暴な敵が頻出する高難易度の構成になっている。本編を早々にクリアしてしまった人には、さらにやりこめる要素として盛り込まれたサブイベント的な存在となっている。



■ 「FF IV」好きには見逃せないストーリーが満載!

 長々とシステムの話をしてきたが、本作の魅力はやはり、「FF IV」の後の世界を描いたストーリーにあるといえる。ここでは各ストーリーごとのあらましや、筆者が実際にプレイして印象に残った、ぜひ注目してほしい見どころなどを、ネタバレしない程度にざっと紹介しよう。



・「序章 月の帰還/セオドア編 最後の赤き翼」

 現バロン国王セシルと、かつてセシルとともに戦った白魔道士のローザ、およびその息子セオドアなどが登場。まだ見習い騎士のセオドアが修業のために洞窟へと旅立つところから冒険がスタートする。見習いとはいえ、両親の長所を受け継いでいるようで、セオドアは剣と白魔法のいずれも使用することができるのが頼もしい。

 洞窟は以前の「FF IV」にも登場したアダマン島の洞窟となるが、個人的には以前父親がパラディン(聖騎士)になるために登った「試練の山」を舞台にしてほしかったので少々残念。だが、この「試練の山」自体はちゃんと存在している(※入り口から先へは進めない)ので、後の追加配信ストーリーの舞台として再登場することを切に望む。

【スクリーンショット】
序章では、セオドアが騎士になるための試練に挑む。それに呼応するかのように、セシルが治めるバロン王国では大きな事件が発生する



・「リディア編 閉ざされた幻獣」

 かつてセシルたちとともに戦った、幻獣を召喚する召喚士の少女リディアが主人公。ドワーフたちの住む地底および幻獣の町が舞台となり、仲間の戦士としてルカ(「FF IV」でも登場したドワーフ王ジオットの娘)も参戦する。

 筆者が特に印象に残ったのは、「FF IV」ではボス敵としてドワーフ城に現われたカルコとブリーナが味方のパーティとして登場すること。しかも、彼ら2人独自のバンド技を使用すると、「FF IV」と同様に合体・巨大化して強力な攻撃を繰り出せる。見た目の懐かしさプラス実用性もともなった面白いアイデアだ。

【スクリーンショット】
召喚士としての力を失ってしまったリディアが奮闘する。カルコとブリーナの登場には「FF IV」好きなら思わずニンマリしてしまうだろう



・「ヤン編 ファブールの師父」

 同じく「FF IV」でセシルたちと戦ったモンク僧で、現在はファブール国王のヤンとその娘アーシュラが登場。アーシュラが父の制止も聞かずに独自に戦いの修行へと飛び出し、これを追うヤンとの間のさまざまな葛藤を描いたストーリーが見どころ。途中からは親子で同時にバトルができるようにもなる。

 本ストーリーには、魔法を使える仲間が誰も登場しないので最初は面食らったが、アーシュラの特殊コマンドを使用することで、傷ついた仲間のHPを回復できるようになっている。

【スクリーンショット】
ヤンとアーシュラの親子が、それぞれの思いを抱きながら旅をする。途中ではギルバートなどのキャラクタも登場し、さらに物語が進んでいく



■ もっと「FF IV」を知らない人への配慮が欲しい

 ゲーム中には会話およびシナリオが自動的に流れるデモや過去回想シーンがしばしば挿入される。若き日のセシルをはじめ、彼らを一時期裏切った竜騎士のカインや吟遊詩人のギルバートなどといった懐かしい面々が登場し、「リディア編」では幼い頃に焼き尽くされた彼女の故郷、ミストの村でのワンシーンも見ることができる。

 これらの懐かしさを演出する要素の導入はたいへん嬉しいのだが、それはあくまで筆者のように元ネタをある程度知っている人に対してだけの話である。初めてこのゲームを遊んだ人や、内容をすっかり忘れている人が見たところで、いったい何のことだかまるで見当がつかないはずで、そんなデモをただ漠然と流すのはもったいない。

 2007年12月にニンテンドーDSでリメイク版「FF IV」が発売されているとはいえ、せっかく手間をかけて思い出のシーンを再現したのだから、その元ネタとなった場面の経緯などを説明するテキストを書き加えたり、あるいはWEBサイトにアクセスすればフォロー解説などが読めたりするサービスの追加があってもよいのではないだろうか。

【スクリーンショット】
物語の奥深さを演出するさまざまなデモシーンの挿入は歓迎するが、解説がまったくないのが惜しまれる

 また、「セオドア編」では物語の後半にセオドアをサポートする人物が3人登場し、それぞれの名前が「謎の男」、「白魔道士」、「黒魔導士」と無名になっている。また、「ヤン編」では、娘のアーシュラ以外に「モンク僧A」、「モンク僧B」という仲間が出てくるが、これだけ無味乾燥な名前では感情移入しにくく、プレイしていて寂しい。

 「謎の男」については、後に大きなイベントが待っているような雰囲気を匂わせる演出があるものの、それ以外のキャラクタについてはどんな生い立ちや経歴を持っているのかが全くわからない。彼らのほとんどがチョイ役ゆえ、ストーリー上重要な役割を果たさないからこんな名前になったのだろうが、ビックスとウェッジのような存在もあるだけに、丁寧に扱ってほしかった。



■ ゲームの完成度には満足。付加価値を高める追加配信サービスにも期待

 懐かしいキャラクタとともに、その子供の世代など新キャラクタも続々と登場するストーリーには深みを感じる。特に、キャラクタ1人1人に焦点を当てたストーリー展開のおかげで、少しずつ全貌が見えていくという仕掛けも、世界の深さを感じられるし、今後にも期待が持てる。

 ゲームの出来そのものには満足できたが、「FF IV」の内容を思い出せるような環境が現時点で今ひとつ整っていないことが残念だ。追加ストーリーはもちろんのこと、ゲームの魅力をとことんまで堪能できるようなアプリやWEBページの追加など、携帯電話用サイトならではのコンテンツサービスの追加も強くお願いしたいところである。

 執筆時点ではまだ3つのストーリーしか配信されておらず、物語のクライマックスが判明するのは当分先のことになる。よって本作品全体の善し悪しについてはまだ判断しかねるが、ラストシーンでは大きな驚きと感動があることを期待して、今後の追加配信を待つことにしたい。

 なお、序章のストーリーは体験版として無料で配信されている。対応機種を持っている人は、まずはこちらをダウンロードして遊んでみてはいかがだろうか。



【アクセス方法】
iモード : iMenu → メニューリスト → ゲーム → ロールプレイング → ファイナルファンタジー モバイル
EZweb : au one → カテゴリ検索 → ゲーム → 総合 → ファイナルファンタジー モバイル

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□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ファイナルファンタジーIV THE AFTER -月の帰還-」のページ
http://www.square-enix.co.jp/mobile/ff/ff4after/
□関連情報
【5月1日】スクエニ、iモード「ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-」
パロム編「魔道士、森と水の都へ」配信開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080501/ffiv.htm
【3月17日】スクエニ、リディア編「閉ざされた幻獣たち」を配信
iモード「ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080317/ff4a.htm
【2月18日】スクエニ、「FFIV」のその後を描く携帯版だけのオリジナル作品
iモード「ファイナルファンタジーIV ジ・アフター -月の帰還-」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080218/ff4a.htm

(2008年5月15日)

[Reported by 鴫原盛之]



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