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★PCゲーミングデバイスレビュー★

SaitekからPC向けハイエンドゲームパッドが登場
スティック配置を切り替えて様々なゲームで活躍

「Cyborg Rumble」

  • ジャンル:ゲームパッド
  • 開発元:Saitek
  • 発売元:MSY
  • 価格:4,780円
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:2008年5月3日



 米Saitekは、これまでレーシングコントローラやフライトシム用を中心に多数のデバイスをリリースしてきた企業だ。この経緯から「シマー御用達」の評価は高い一方、ゲームコントローラの主流であるゲームパッドのカテゴリではあまり存在感がなかった。しかしこのたび、PC向けゲームパッドの決定版のひとつになりそうな製品を投入してきた。

 それが本稿でご紹介するSaitekの「Cyborg Rumble」、PC用のゲームパッドだ。日本国内では正規代理店のMSYから5月3日に発売されたこの製品は、Xbox 360用標準ゲームコントローラを強く意識した機能性と外観を有し、それでいながらプレイステーション用コントローラに近いレイアウトにも切り替えが可能という柔軟性を有する。1粒で2度おいしいゲームデバイスなのである。


■ アナログ部はSaitekならではの精度で、トータルでも完成度の高い一品

標準価格4,780円。PC専用のゲームパッドだ
接続にはUSB端子を利用する。シルエットはXbox 360の標準コントローラに近い
アナログスティックの軸が長く、操作ストロークが大きいため精密な操作に向く
 この製品「Cyborg Rumble」は、Xbox 360の標準コントローラを強く意識したレイアウトを持つゲームパッドだ。入力装置としては左右2本のアナログスティックを装備し、1個のデジタル方向パッド、全面には4つのボタンとSTART、BACKボタン、またショルダー部左右に2つのボタンと2つのアナログトリガーを装備している。

 ボタンの刻印もXbox 360と共通で、それぞれA、B、C、D、RB(Right Button)、LB(Left Button)、RT(Right Trigger)、LT(Left Trigger)、BACK、STARTとなっている。とはいえ本製品はPC専用で、Xbox 360に繋いで使用することはできない。

 外形寸法は52.5mm×34.5mm×49mmで、Xbox 360の標準コントローラよりひとまわり大きい。このため手のひらでホールドする側面部から中央付近にあるアナログスティックへの距離がやや遠く、手の小さな人にはフィットしにくい可能性がある。筆者は手のサイズが小振りなほうなのだが、この「遠さ」のため、右アナログスティックを左に倒す操作に抵抗を感じた。ただし、いったん慣れてしまえば問題ないレベルだ。

 スペックシートで語られていない部分に注目すると、本製品のアナログスティックは非常に出来が良い。まずセンタリングの精度が高く、フリーの状態では中央でピタリと止まり、ぐらつきがほぼない。また、やや長い軸を持つことと、スティックを中心に維持するバネのテンションがゆるやかで、アナログ的な中間地点にスティックを持って行く操作が非常にやりやすくなっている。さすがは長年ジョイスティックを作り続けているSaitekという感じで、この点を筆者はすぐに気に入った。

 操作の軽さについてはボタン類も同様で、まずA、B、X、Yの各ボタンはストロークが短く、スプリングがやや弱めで、少ない力で確実に押せる。それでいながらしっかりとしたクリック感があり好印象だ。またLT、RTに相当するアナログトリガーもXbox 360標準コントローラに比べてかなり軽めのテンションになっている。ストロークの長さはほぼ同じ、それを少ない力で操作できるおかげで、精度の高い操作が非常にやりやすい。

 次に紹介する本製品独自の機能を抜きにしても、ゲームパッドとしてトータルの完成度は高い。PCでしか使えない部分は難点ではあるが、PCゲームを中心にプレイするユーザーに文句なしの基本仕様を備えた製品だ。

表面は滑り止めのエンボス加工が施されている。サイズ的にはXbox 360の標準コントローラに比べてひとまわり大きく、手のサイズによっては大振りに感じられるかもしれない。しかしスティックやボタン類の「軽さ」はすばらしく、ストレスなく細かな操作ができる

■ 左アナログスティックとデジタル方向パッドの配置換えが可能
  こだわり派のゲーマー向けに高いコストパフォーマンスを発揮

左側のシルバー色のパーツは簡単に取り外しが可能。方向を変えて2種類のレイアウトが利用できる
 外観の写真で既にお気づきかと思うが、本製品の左アナログスティックとデジタル方向パッドの部分には決定的な機能が秘められている。ゲームパッド背面にあるボタン的な部分を指で押すと、本体とは別パーツになっているこの部分を取り外すことができ、180度回転させてアナログスティックとデジタル方向パッドの位置を逆にすることができるのだ。「リバイス」と呼ばれるこの機能によって、本製品の柔軟性はぐっと高まっている。

 本製品は出荷時の状態でXbox 360用標準コントローラと同じスティック配置になっている。左側にアナログスティック、やや中央下よりにデジタル方向パッドという配置だ。この状態では左手親指からアナログスティックへの距離が近いため、FPSでの移動操作やドライビングゲームのステアリングなど、アナログスティック向きの操作がやりやすい。最近多くなっているPC、Xbox 360のクロスプラットフォームタイトルをゲームパッドでプレイする場合にはまさに最適である。

スティック位置を変更。この状態ではデジタルパッド向けのゲームがプレイしやすい
 ところがPCでいろいろなゲームをプレイするとき、この配置では少々やりづらいことがある。例えば格闘系のゲームでは方向を組み合わせたコマンド入力がプレイの基本になるが、アナログスティックは各方向の入力にあいまいさが残る上ストロークが長いため、この手の操作に不向きだ。

 したがってこの種のゲームではデジタル方向パッドを使いたくなるが、Xbox 360用コントローラ式の配置では左手のホールド部分から方向パッドへの距離が遠く、常時使用するには少々やりづらさが残る。普通のゲームパッドならそのまま我慢して使うか、別タイプのゲームパッドに切り替えるところだが、本製品では「リバイス」できるので、すぐに対応できるのだ。

 背面ボタンを押して左スティック部のパーツを外し、方向を変えて付け直せば良い。ものの数秒の作業だ。こうするとデジタル方向パッドが左側に、アナログスティックが中央下部という、プレイステーション 2用コントローラ風の配置になる。こういったシチュエーションに手軽に対応できるというのが本製品最大のメリットである。

ゲームパッド背面のボタンを押し、シルバー色のパーツを外して、方向をかえてはめ込む。ものの数秒の作業でコントローラのタイプが切り替わった


・「配置換え」の役立つ状況と、1台2役のコストパフォーマンス

筆者がよく使っているゲームコントローラ各種と「Cyborg Rumble」を並べてみた。いくつもコントローラがあるとPC周りが混雑するため、なるべく数は減らしたいのだが……
 筆者の場合、最近PCでよくプレイしている「TrackMania Nations Forever」と「アラド戦記」の2タイトルでアナログスティックとデジタル方向パッドを使いわけている。「TrackMania」はレースゲームなので、アナログ的な微妙な操作がほしい。一方の「アラド戦記」は基本がコマンド入力系の横スクロールアクションなので、当然デジタルパッドを使うほうがプレイ効率が良い。こちらのプレイ効率は有料回復アイテムへの依存度にも影響するため、わりとシリアスな選択でもある。

 この使い分けのため、筆者の机にはいつも、Xbox 360タイプのコントローラとプレイステーション 2タイプのコントローラの両方が備えられていたのだが、これを1個で済ますことができれば費用もスペースも削減できて一石二鳥だ。さらに本製品のスティック部の配置換えはPCに接続したままで可能なため、異なるゲームを立て続けにプレイする際にとても便利である。

 これと同様のシチュエーションに直面したとき、本製品の持つ機能に魅力を感じるはずだ。費用対効果で考えてみても、本製品の標準価格4,780円は、一般的なゲームコントローラの価格としてはやや高い部類に属しながらも、別タイプを2個買うよりは断然安くあがる。

プレイステーション 2風のコントローラ、「Saitek P990」。これもハイクオリティな製品なのだが「Cyborg Rumble」なら2個分の活躍が期待できる
 ゼロから「Cyborg Rumble」ひとつに匹敵する操作環境を整える場合について考えてみよう。例えば本製品と同じMSYから発売されているSaitekの「P990」デュアルアナログゲームパッドはプレイステーション 2タイプのレイアウトを採用しており標準価格3,980円。この製品もSaitekらしい堅牢な作りで、アナログスティック部のクオリティも高い。 ただ、「Cyborg Rumble」のような柔軟性は備えておらず、上記のようなシチュエーションに直面してXbox 360タイプのコントローラを買い足せば、8,000円ほどか、それ以上の出費になる。

 もしくは安価で売られているサードパーティ製のプレイステーション 2用コントローラを組み合わせればもっと安くあがりそうだが、その場合別途PC向けの変換アダプタが必要で、Xbox 360タイプのコントローラを併せて揃えれば、総体としてはやはり同じくらいになる。

 何より本製品「Cyborg Rumble」は、ゲームパッドとしての基本的な作りにおいて完成度が高く、愛用する価値のある製品である。それを含めて考えると、様々なゲームをプレイするPCユーザーにとって本製品のコストパフォーマンスの高さは注目に値する。唯一の難点は、本製品が外観に反してXbox 360に対応していない点だが、これをどう評するかはユーザー各位のゲーム環境次第だ。

2通りのレイアウトを切り替えられることで、最適な操作ができるゲームの幅がぐっと広がる。この特性がニーズに直撃するなら、本製品はあなたのためのものだ


■ Saitek製品おなじみの「SSTソフトウェア」が付属しマクロ機能充実
 FPSキーマップ切り替えや高精度モードなどFPSユーザー向けの補助機能を搭載

「FPSボタン」。「SSTソフトウェア」機能におけるモード切替のスイッチだ
Saitek製品共通の「SSTソフトウェア」には、デフォルトで「Counter-Strike」系のキー設定が施されている
 Saitek製品の例に漏れず、本製品もSaitekの「SSTソフトウェア」に対応しており、キーボードのストロークを各ボタンに割り当てたり、複雑なマクロを登録したりといった、ありとあらゆることが可能だ。

 この「SSTソフトウェア」は、高機能だが操作が複雑で、使いこなすのは簡単ではない。そこで、本製品では、ゲームパッド中央部に配置されている「FPSボタン」を押すことで、あらかじめFPS操作用にキーマップがセットされたモードを呼び出すことができるようになっている。

 このモードは「SSTソフトウェア」の機能である「シフトモード」のひとつとして実現されており、標準ではAボタンにキーボードのE(USEボタン)、右トリガーにマウスの左ボタン、STARTボタンにキーボードのB(Buyボタン)……という風に、明らかに「Counter-Strike」向けの設定だ。これは「SSTソフトウェア」のほうで自由にカスタムが可能なので、標準外の設定でプレイしているユーザーにも対応が可能だ。

 もうひとつのFPS向け機能として、本製品ではコントロールパネル上でアナログスティックの感度切り替えを定義することができる。例として、Aボタンを押している間だけ右スティックの感度を50%にする、という設定が可能だ。これを使えばFPS系ゲームでスナイピングをするときのみ照準の感度を下げるといった使い方ができる。

 このあたりは「PCでもゲームパッドでFPSをプレイする」という状況に特化した機能なので、そうでもないユーザーの方は本製品の柔軟性の一端として捉えて欲しい。事実上「FPSモード」は単なるキーマップモードの切り替え機能なので、カスタマイズ次第でもっといろいろな使い方も考えられるからだ。あるいは、FPS未経験のユーザーにプレイを勧める際この機能を使ってみるというのも面白いかもしれない。

コントロールパネルでは、デッドゾーンの設定、振動機能の強さ調整や、「精密モード」の指定など、ひととおりの設定が可能だ


 以上ご紹介してきたように、「Cyborg Rumble」ゲームパッドは基本のつくりがしっかりしている上、柔軟性に富むコストパフォーマンスの高い製品だ。欲を言えば連射機能スイッチもあれば、というところだが、それがなくても本製品の機能は多彩かつ個性的で、いずれかの特徴がジャストフィットするユーザーは少なくなさそうだ。あらゆるゲームデバイスの例に漏れず、可能であれば店頭で実物を見て吟味していただきたい。


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□MSY株式会社のホームページ
http://www.m-s-y.com/
□「MSYSHOPPING」のページ
http://www.msyshopping.com/
□関連情報
【2008年4月18日】MSY、Saitek製の最新ゲームパッド「Cyborg Rumble」
 日本語マニュアル付きで5月3日発売
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080418/msy.htm

(2008年5月13日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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