【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

★オンラインゲームレビュー★

バーチャルシティでドリフトを決めまくれ!
車と共に成長していくお手軽レーシングRPG

「ドリフトシティ」

  • ジャンル:オンラインレース
  • 開発元:NPLUTO
  • 運営元:アラリオ
  • 利用料金:基本無料/アイテム課金
  • 対応OS:Windows 98SE/Me/2000/XP/Vista
  • サービス開始日:2008年4月24日



 オンラインFPS「クロスファイア」の運営を手がけるオンラインゲームパブリッシャーのアラリオは、新作オンラインレーシングRPG「ドリフトシティ」のオープンサービスを3月6日に開始し、4月24日のアップデートで課金アイテムを含む正式サービスをスタートした。この作品は基本プレイ無料のPC用オンラインゲームで、バーチャル都市を舞台に各種レースを繰り広げるという、カーライフシミュレーション要素の強いタイトルだ。

 この「ドリフトシティ」は、オープンサービス以降もアップデートが充実しており、4月17日の大規模アップデートではハイレベルプレーヤー向けのゾーンも拡充されたばかりだ。登場車種の追加もコンスタントに行なわれており、本格的に楽しめるコンテンツに仕上がってきた。4月24日には待望の有料アイテムの実装も行なわれ、満を持して正式サービスへと移行した。本稿では、カーライフ+レーシング+RPGというユニークなゲーム性を持つ本作についてご紹介していきたい。


■ サクサクプレイできるクエスト充実のお手軽カーライフシム
 広大なバーチャル都市「ミトロン島」でドリフトテクニックに生きる

太平洋に浮かぶ小島「ミトロン島」。ここが本作のドリフトテクニックを試す舞台だ
 オンラインRPGの世界には様々なタイプのゲームがある、ということは「アラド戦記」のレビュー記事でお伝えしたとおりだが、本作「ドリフトシティ」もまたその一例で、クエストやキャラクタの成長というRPG的な構造にレーシングのゲームプレイを融合させた作品だ。プレーヤーが演ずるのはひとりのキャラクタではあるが、実際に操作するのは車。キャラクタの成長はレベル制で、経験値や新車を獲得するための様々な手段がカーレースがらみで多数用意されているのが大きな特徴だ。

 ゲームの舞台となるのは「ミトロン島」と呼ばれる、太平洋に浮かぶ小さな島だ。この島では石油に変わる新世代のエネルギー源「ミトロン」が発見され、大規模な採掘場が作られると同時に都市が建設された。ミトロンは車の燃料としても利用され性能を大幅に向上させるなど、人類社会に無くてはならないものになっている。

 この島にプレーヤーが飛び込んでいく理由は、ミトロンをつけねらう正体不明の車両「HUV」の存在だ。ミトロンの採掘や輸送を妨害する「HUV」の存在に辟易した政府は、これを取り締まるための組織を立ち上げる。プレーヤーはそのひとり「OMDドライバー」となって、ミトロン島の政府と「HUV」にまつわる謎を追いかけていく。というのが本作の大まかなバックストーリーである。

最初の都市「ムーンパレス」。公道が舞台となるので当然一般車も走っているが、道が広々としており走りやすいゾーンだ
 このミトロン島は複数の都市地域がゾーン式に構成されており、最初は「ムーンパレス」地域からスタートする。ムーンパレスは道幅が広く走りやすい地域だ。レベル帯に応じて存在する各ゾーンは公道空間になっていて、道路には一般車も走っているし、まさに仮想都市といった感じである。プレーヤーは各都市内に4つづつ存在する「ステーション」でクエストを請け負ったり、車の売買やチューニングをしつつゲームを進めていく。そのプレイ感覚は、「Test Drive Unlimited」にも近いものがあるし、ミッションを続けてストーリーを進めていく感覚は「Grand Theft Auto」シリーズのようでもあって、自由な印象と独特の開放感がある。

 ステーションで請け負うクエストの内容は、「HUV」の謎を追う1エージェントとしてのストーリーが展開される。「ある地点をパトロールせよ」というものから、何かを輸送するミッションや、特定の車両を尾行する、はたまた「HUV」を検挙するものなど、いろいろなパターンが用意されている。1つのミッションは失敗しなければ数分程度でクリアできるものばかりで、クエストが終わればすぐに次のクエストを請け負えるため、ゲームは非常にサクサクと進んでいく。これはプレイしていて気分がいい。

 ゲームを開始して最初に請け負う一連のチュートリアルミッションをクリアしたら、いよいよ新車を購入したり、マルチプレイのレースに臨んだりと、ゲームの本番だ。序盤のクエスト展開で一連のゲーム要素をひとおり体験できるようになっているので、小1時間ほどで本作の全貌をつかめるはず。そこで本作にハマることができるかどうかは、本作のもつカーレース要素を気に入るかどうかに掛かっている。

序盤はチュートリアルミッションでサクサクとレベルが上がっていく。最初の都市「ムーンパレス」でのプレイを通じて本作のドリフトテクニックを身につけていこう


・タイトル通り「ドリフト」が全ての基本にあるゲームプレイ。
 アーケードタイプの車両挙動は爽快感たっぷり

ドライビングの全ての基本となるのがドリフトだ。強引でありながら繊細にコーナリングをクリアしていく
 本作の車の挙動は実にシンプルながらテクニカルだ。基本的にはリアルにはほど遠いアーケードタイプの操作系で、操作の全てをキーボードで満足できる構成になっている。まずデフォルトではカーソルキーでアクセル、ブレーキ、左右のハンドリング。ゲームパッドにも対応しているので、ゲーム機のようなスタイルのプレイも可能だ。そして本作独自の要素として、SHIFTキーで簡単に「ドリフト」が行なえるようになっている。

 本作のドリフトは、リアル系のレーシングシムではよくあるような、アクセルやブレーキをコントロールしてタイヤのトラクションを意図的に失わせる、といったものではなく、単にSHIFTキーを押せば車がドリフト状態に入るというシンプルなものだ。コーナーにさしかかったら十分に引きつけて、旋回方向のキーとSHIFTキーを押す。すると車がギャリギャリとスライド状態に入って、ドリフトコーナリングが完成する。プレーヤーがコントロールするのは、ドリフトに入る位置と角度、そしてドリフトを脱出するタイミングだ。

 これだけシンプルなので、ほとんど全てのコーナーリングはドリフトで駆け抜ける展開になる。普通に減速してトラクションを維持したまま旋回していくよりも、ドリフトで強引に曲がったほうが速度が落ちにくく、立ち上がりの速度回復も速いためだ。当然アクセルはフカしっぱなしである。とはいっても、時速200kmから時速300kmで爆走する車を正確にコーナーイン、アウトさせるのは至難の業。綺麗にドリフトを決めるには完璧なタイミングコントロールが必須であり、シンプルな中にストイックなプレイ感覚が潜んでいるのがミソである。このあたりに本作独自の爽快感とおもしろさが秘められているわけだ。

ブースト! 凄まじい加速でぐいぐい進んでいく。コーナーの立ち上がりに使えば一気にタイム短縮だ
 本作独自のドライビング要素のもうひとつが「ブースト」である。画面右下に常時表示されているゲージが「ブーストゲージ」で、これが満タンになった時にCTRLキーを押すと車が爆発的な勢いで加速、凄まじいトップスピードで走り出す。ブーストの効果は数秒で切れるが、長い直線や、コーナー後の立ち上がりで使えばタイムが大幅に短縮できるため、あらゆる局面で重要なテクニックなのだ。

 ブーストを使って空になったゲージを如何に素早く満タンにするかというのもゲーム性のひとつだ。ゲージは特定の走法を行なうと発生する「コンボ」によって増加していく仕組みだが、その条件は、対向車線を走り続ける、一般車をギリギリで交わして走行する、ドリフトを決める、ジャンプ台でジャンプするの4種類だ。一般車を交わすというのは公道を舞台にするゲームならではで、一歩間違えれば正面衝突、衝突ペナルティでゲージも失われるという諸刃の剣である。対向車線を走れば当然クラッシュの危険性も増すわけで、逼迫したカーチェイスになればなるほど、攻めるか、無難に行くかの判断が問われ、このドキドキ感が楽しい。

 シンプルな挙動、ドリフト、ブーストの3本柱で構成されている本作の車両挙動は、リアル系のレーシングファンには受け入れづらいかもしれないが、独特の爽快感を持つゲーム性に見事に昇華されており、レーシングをカジュアルに楽しみたいユーザーにはうってつけだ。まずこの部分が気に入ってしまえば、本作の持つ全てのゲーム要素を心行くまで楽しむことができることだろう。

本作の基本となるドリフトは、アクセル全開で曲がるのがタイトなコーナリングのコツだ。ドリフト中にアクセルを抜くと車体の向きを制御しやすくなるが、軌道は大きく外に膨れてしまう。状況に応じた操作が必要だ

ブーストゲージのチャージは「コンボ」を決めることで高速化できる。対向車線を走り続けたり、一般車をギリギリで交わしたりと、スリリングなプレイが有利に作用する仕組みだ


■ RPG的な成長要素を楽しむクエスト、クイックサービス、対人バトル。
 楽しくレベルを上げていく仕組みが満載

各ステーションから「秘密基地」に入れる。ここは各種ショップやサービスがある経済活動の拠点だ
 さて、チュートリアルミッションを終えて本作の車の挙動を理解してからがゲームの本番だ。最初に与えられる車は性能が低いので、まずは新しい車を購入したい。車の購入からデコレーションまで、本作のほぼあらゆる経済活動に使う通貨は「ミト」。クエストやその他のミッションの達成によって与えられるものだ。ある程度お金が貯まったら、各ステーションからアクセスできる「秘密基地」に入ろう。そこで車やパーツを揃えることができる。

 本作における車の性能は、スピード、加速、衝突、ブーストの4つのパラメータで表現されている。スピードは文字通りトップスピードの値を決定するもので、加速もその通り、加速性能だ。そして衝突は衝突時安定性や登坂能力、そして「HUV」を検挙するために車体をぶつけてダメージを与える時の攻撃力に関係する。ブーストは、そのままブーストゲージの溜まりの速さと維持時間を決定するものだ。

車の性能は車体能力と追加パーツの合計で決まる。パーツを強化すればそれだけ能力の底上げになるため、ついついお金を掛けてしまいがち
 これら各パラメータは車種毎に独自のバランスで設定されているほか、車に装着する追加パーツによって能力を向上させることができる。4つの能力に対応するエンジン、トランス、ボディ、ブースターの各パーツはNPCショップで購入でき、はたまた「コンボ」を10回連続で成功させたときのリワードとして、また他車にぶつかったときにランダムでドロップすることもある。レースで好成績を挙げることで性能の良いアイテムが手に入ることもある。

 「強化剤」と呼ばれるアイテムを使えばパーツのエンチャントが可能だ。1回エンチャントする毎に+1、+2と能力が向上していき、失敗してパーツが壊れることもあるが、金銭的犠牲を厭わずに何度もトライすれば+10程度まで性能を底上げすることもできる。初期に乗れる車の各パラメータは数10程度なので、パーツ強化のインパクトは大きい。そんなカリカリチューンのモンスターカーで同レベル帯のレースバトルに望めば、圧倒的有利なこと間違いなしだ。

 とはいえ、より速く走るためには、より高いグレードの車に乗るのが王道である。各車種はレベル帯に応じたグレードに分類されており、後期のものほど基礎能力も高い。要するに経験値を積んでレベルを上げていくのが手っ取り早いわけだ。本作の車はすべて架空の名前が与えられており、基本的にはデザインもフィクションということになっているが、明らかに実車のモデルを参考にした姿形をしている。リアルで大好きなあの車に乗りたいがため、レベルを上げるという遊び方も自然なことだろう。

車体はレベル帯に応じたグレードにわかれており、高いグレードのものはそれだけ高性能だ。トップスピードが高い車は良いタイムを出しやすいが、ミッションの遂行や対人レースでは加速やブースト能力を重視したほうがミスをリカバリーしやすい


・プレーヤーが成長していくための数多のゲーム的仕組み

クイックサービスで好成績を出せばランキングに名前が!
 ハイグレードな車に乗るための経験値を高めていく方法は、本作ではいくつも用意されている。ひとつはメインストーリーを追うクエスト。レベル10あたりまではクエストだけですぐ成長できる。ある程度レベルが上がっていくとクエストだけでは経験値が足りなくなってくるので、ステーションで選択できる「クイックサービス」にも挑戦してみよう。

 「クイックサービス」はステーション周辺に設定されたウェイポイントを如何に速く回るかというタイムアタックのモードだ。良い記録を出せばランキングに名前が記録されるので、得意なコースを見つけ、やっきになって攻めまくってしまうのもいい。

「クイックミッション」では「HUV」を相手にカーチェイス。ぶつけて撃破すればアイテムと経験値を獲得だ
 公道を走っている最中に時折飛び込んでくる「クイックミッション」も稼ぎのいい要素だ。画面左上に「CALL SIGN」の表示が点滅したらTABキーで受諾、ランダムで発生する「HUV」車両を検挙して、経験値とミトをゲット。逃げ回る「HUV」を検挙するためには追いついて車体をぶつけてダメージを与えるのだが、衝突するたびにアイテムがドロップするチャンスもあるので、カスタムパーツを集める手段としてもうってつけだ。

 そして何よりオススメなのが「バトルゾーン」。これは要するに対人戦で、1セッション最大16人で対戦するレースを走ればなかなかの経験値とミトを獲得できる。バトルには個人戦と団体戦の2種類があり、腕に覚えがあるプレーヤーなら個人戦でトップをとり続ければ一番効率よく成長できる。団体戦は赤チームと青チームに分かれて競争し、チーム全体のスコアを競うというもので、たとえ自分の順位が最下位に終わってしまったとしても、チームが勝利すればそれなりの経験値とミトを獲得できる。


・運の要素も強いが、おもしろおかしくプレイできる対人戦

対人戦のロビーはレベルとマシングレードに応じたルームに分類されている。高レベルのルームほど獲得経験値が大きい
 この対人戦に独特のルールが設定されているのが勝負のポイントだ。通常のモードでは車が壁や他車に衝突した場合、ブーストゲージは衝突の激しさに応じて失われてしまうが、バトルではこのペナルティがない。ぶつかり放題でもブーストがしっかり溜まっていくというルールになっているのだ。すなわち、衝突はそれほど重要ではなく、如何にブーストを速く溜めて、それをどこで使うかという判断の差が、プレーヤーの勝負を分ける大きなポイントになっている。

 また、プレーヤーはレースのコースに設定されているチェックポイントを通過するたびに、ブースト50%蓄積のボーナスを得たり、無条件でブーストし続ける「加速ラッシュ」や、衝突に対して無敵になれる「無敵ラッシュ」など特殊効果をランダムで得られる。順位が下位であればあるほど強い効果が掛かる可能性が高まるため、凡ミスで下位低迷している時ほどチャンス。うまいこと「無敵ラッシュ」を得た間に、コーナーを壁につっこみながら曲がるなど強引な方法で上位に返り咲くのもアリだ。

公道には当然一般の車も走っているため、障害物競走の様相だ。いかに事故を避けるかが勝利のポイントになる
 バトルのもう一つの華が一般車の存在だ。本作のバトルはレースとは言ってもサーキットではなく公道。ゆえに一般車が普通に通行しているため、コーナーの出口で出会い頭的に一般車に衝突、そのまま後続に抜かれまくり、といったシチュエーションは日常茶飯事。対向車の存在をいち早く察知し、ギリギリで交わしていくというスリル満点のシーンが連発だ。

 10人以上の多人数レースになれば、前方を行くプレーヤーがはねとばした一般車が自分の進行方向に吹っ飛んできて思わぬ巻き添えを食らうなんてこともあって、逆に不幸な事故に巻き込まれた他プレーヤーを横目にすいすいとごぼう抜きする醍醐味もある。狭いコースに10トントラックが斜めに転がり、どうやっても避けれない状態で複数のプレーヤーが押し合いへし合いしている様などは、思わず吹き出してしまうほどだ。

 そんな様子で相当にはっちゃけた内容のオンラインレーシングだが、ハマる要素は相当に高い。一般車がらみのクラッシュはある程度運にも左右されるが、丁寧に運転して大きなミスを避ければ、低レベルプレーヤーでも上位を獲得できるし、20レベル以上離れた相手にトップを取れるようなこともある。また、ブースターをどこで使うか、という判断はタイムに大きく影響するが、それは完全にプレーヤースキルだ。さらに全ての基本になるドリフトテクニックを磨けば、車の性能なんて微々たる差。おもしろおかしいバトルを楽しみ、1戦1戦で磨かれる己の腕に自信を持てるようになれば、すっかり本作の虜になっていることだろう。

大人数のレースはスタートが命。最初のコーナーでぶつけられまくるといきなり脱落してしまうので、対戦相手をうまく交わしながらスピードを維持したい

下位に落ちてしまっても大差が付くまでは大丈夫。下位は「無敵ラッシュ」や「加速ラッシュ」効果を高確率で得られるため、一気に大逆転も可能だ。ゴールラインを跨ぐまでにとにかく上位に食い込むことを目指そう


■ 4月24日のアップデートでついに課金アイテムが実装
 仮想都市を舞台にしたオンラインレーシングRPGとして益々魅力ある作品になることを期待

課金アイテムパーツを取り付けることで、外観と車体性能を向上させることが可能だ
 本作は3月6日にオープンサービスを開始して以降、頻繁なアップデートを繰り返しているが、4月24日に行なわれた最新のアップデートで有料アイテムの販売がスタートした。3月以降多くのプレーヤーが参加し始めてすでに2カ月近くが経過し、ハイレベルプレーヤー同士が互いに「差」をつける戦いにますます拍車が掛かってきた頃合いだけに、このアップデートが本作の本格的な始動であると見ることもできるだろう。

 有料アイテムはアラリオの仮想通貨である「リオコイン」を使って購入できる。1リオコイン=1円で、現在はWebMoneyでのリオコイン購入がサポートされている。今回のアップデートで用意された課金アイテムは、大きくわけて車の性能を向上させる「チューニングアイテム」と、車の外観をカスタマイズする「アクセサリーアイテム」の2種類だ。

 まず「チューニングアイテム」としては、車両全体の能力を1ランク向上させる「マシングレードアップ」と、ブースター、タイヤ、ウィングといった各部位毎のアップグレードパーツがある。マシングレードアップは全パラメータを一気に次のランクへ押し上げるため強力だが、その分高価で、ハイレベル帯にあたる「V7」グレードを「V8」グレードに上げるチューニングは2,600円。これと決めた愛車に注ぎ込むタイプのものだ。

 一方、アップグレードパーツのブースターやタイヤ、ウィングといったものは200~300円程度の価格帯で7日間レンタルできるというシステムだ。車両のグレードアップとは異なり、これらのパーツは付け替えて別の車両でも使うことができるので、複数の車両を状況に応じて使い分けるなら、まずこちらから有料アイテムに入門するプレーヤーも多くなりそうだ。各パーツは車両のスピード、加速、ブーストのパラメータをちょっぴり上昇させる効果を持つが、複数の部位を同時に装着した時の増分はなかなかのもの。これだけでも1ランク上の走りが実現できる設定となっている。

「ステッカーコーティング」を購入すれば車体にデコレーションを施せる。ユーザー作成のテクスチャが使えるため、自分だけのデザインを作ることも可能だ
 「アクセサリーアイテム」は、これまでもゲーム内マネー「ミト」で購入できた車両の塗装に付け加えて様々なデコレーションを行なえるものだ。ひとつはナンバープレートで、80円~100円で車両に好みのナンバーをつけることができる。もうひとつはちょっとしたUGC(User Generated Contents)にあたるもので、ユーザーが作成したテクスチャを車体に貼り付けられる「ステッカー」という機能だ。ステッカーの各デザイン自体はゲーム内マネーで購入できるが、それを「表示する権利」が課金アイテムとなっており、こちらは7日間で640円。

 ステッカーのデザインはユーザーが作成できるものだけに、課金サービス開始から1日後の現在でも既に沢山の「版権モノ」のデザインがアップロードされてしまっている。ユーザーによる制作を認める以上、こういった現象が起こることはXbox 360の「Forza Mortorsports 2」でも証明されていることだ。本作ではテクスチャをそのまま貼り付けられるため、非常に簡単に著作権侵害行為が行なえてしまう。実装直後ということもあり、今のところ野放しに近い状態だが、今後、運営側のアラリオがどのように対処していくのかが注目されると同時に、正しい形で使用した上での同作でのUGCの広がりにも注目したいところだ。

自分なりのデザインをしてみるために試行錯誤してみたが、とりあえず無難なステッカーで構成したのがいちばん右の写真だ。マシンアップグレードや各種チューニングパーツ込みでリオコインを消費した結果、ワンランク上の走りも実現。対人戦の成績も良くなった


・何よりもまず「仮想都市でカーライフを楽しむ」ことの面白さを追求してもらいたい

都市の風景を楽しみながらドライビングするのも本作の魅力のひとつなのだが……
 今後のアップデートの方向性として期待したいのは、やはり本作の持つ仮想都市でのカーライフという楽しみを各方面からもり立てていくということだ。

 現在実装されているゾーンは3つあり、レベル1から15程度までは「ムーンパレス」、レベル30あたりまでは「コイノニア」、そこから先は「クラス」という、それぞれ異なるスタイルの都市だ。クエストをこなしつつレベルを上げていくという一方向のプレイに対応してこれらのゾーンが用意されているわけだが、1度過ぎ去った都市にはほとんど行くことがないという問題点も孕んでいる。

 これにより、他のRPGではあり得るハイレベルプレーヤーとローレベルプレーヤーの交わりや協力といった要素が欠けてしまっているし、現状ではレベル帯に応じたゾーンに「押し込められている」感もあるのだ。しかし、都市「ムーンパレス」には広々とした走りやすい道路があり、都市「クラス」は山有り谷ありの立体的な地形が特徴と、それぞれ異なる魅力を備えた仮想都市である。そこでの走りを「楽しむ」ことについては、カーレースのゲームである以上、本来レベルに関係はないはずだ。

 オアフ島を再現した「Test Drive Unlimited」では、同じ場所でもクリアタイムやトップスピードなど条件に差をつけることであらゆる層のプレーヤーにチャレンジを用意できていた。それは本作でも同じことができるはずで、クエストやミッションの構造にひとひねり加えれば、全ての都市をフィールドにもっと楽しめるゲーム性を実現できるはず。それが上手く機能すれば、皆でドライビングを楽しんだり、カーデコレーションを披露し合ったりといった余裕あるプレイにも魅力が出てくることだろう。

第1都市「ムーンパレス」は広々とした道路で走りやすく、快適なドライビングが楽しめるゾーンだ 第2都市「コイノニア」は変化に富む大都市の風景が楽しい。高速道の立体交差もあり、テクニカルなコーナーも多い 第3都市「クラス」はアップダウンの激しい狭い道路が中心。ドライビングテクニック的にも上級者向けである


「ラッシュタイムゾーン」に集う勇者たち。これから始まるバトルを待つひとときだ
 最後に、筆者が本作で最も楽しめたコンテンツのひとつをご紹介しておきたい。「ドリフトシティ」では毎日定時に「ラッシュタイム」というミニイベントが設定されている。これは一般のMMORPGで言えば、「レイド」のようなもので、特殊能力を持つ巨大な「ボスHUV」を大人数で一斉に追いかけ回して撃退するというものだ。

 筆者が参加した「ラッシュタイム」は平日の15:00開始という時間帯にもかかわらず、51人のプレーヤーが参加。1台の巨大な「アスファルト散布車」を、道路をうめつくさんばかりのプレーヤーが追いかけ回し、跳ねとばされた一般車を巧みに避けながら競争とも共闘とも取れる賑やかなバトルを展開した。

 「ボスHUV」はとても高速で、ハイレベルプレーヤーでなければ追いつくことすら難しいが、筆者のように低レベルのプレーヤーであっても、「ボスHUV」の行き先を予測し、先回りして正面からぶつければ人並みの活躍をすることもできる。そういった各プレーヤーの思惑が公道内で爆発する「ラッシュタイム」のプレイはとても楽しく、「ボスHUV」にトドメの一撃を与えたプレーヤーには惜しみない賛辞が飛び交った。ここにマルチプレーヤーゲームとして何度でも挑戦したくなる面白さがある。

 こういった「レベルに関係なく活躍できる」という、仮想都市を舞台にしたオンラインカーレースならではのゲーム性を益々追求していけば、本作はもっと魅力的な作品になっていくことだろう。現在でも十分に面白い作品であり、今後のアップデート内容次第でさらに化けていく可能性を期待したい。


協力プレイと競争プレイの渾然一体としたバトルを経てボスの正面から1撃! 残念ながら筆者はトドメをさせなかったが、直後に他のプレーヤーが見事しとめた。最後の1撃を加えたプレーヤーには貴重なアイテムが進呈される




□アラリオのホームページ
http://www.arario.co.jp/
□「ドリフトシティ」公式ホームページ
http://driftcity.arario.jp/

(2008年4月25日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.