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会場:NCSoft R&D Center
「NCSoft R&D Center」は2006年から着工が始まり、2年経て完成した同社の新たな本社ビルだ。地上15階、地下7階、総面積31,000平方メートルで韓国国内のゲーム会社としては最大規模で、初の新築自社ビルとなる。サービスセンターを除くNCSoftの全社員に相当する1,700人がこのビルへ集まる予定だ。NCSoftはこれまで開発拠点が数箇所に散在していたが、本ビルの落成により開発拠点を一カ所に集約させられることで、業務効率の向上を目指す。 現時点では、研究開発部門の引っ越しは行なわれておらず、社内はまだがらんとしていたが、広大なトレーニングルームや託児所など社員のホスピタリティを重視した施設作りが印象的だった。3,000億ウォンを超える売り上げの20~30%を研究開発に投資しているというNCSoftにとっては集大成的な建物となっている。
また、NCSoftは昨年のG★2007以降も着々と新規コンテンツを展開している。本連載でも初出の「Love Beat」、「魔法学校アルピア」の他、6つの未公開の自社開発の新作タイトルあるという。本稿ではNCSoftの新しい本拠地である「NCSoft R&D Center」と共にNCSoftの新作も合わせて紹介したい。
■ 地上15階、地下7階の新築ビルを丸ごと使用。空港並みのセキュリティ環境
「NCSoft R&D Center」は、同社のサービスセンターを除く全部門と、同社のほぼ全社員に相当する1,700人を収容する。ビルの外観は煉瓦を積み上げたような蜂の巣状のデザインで、窓は直射光線が入りにくいように突出部で囲まれている。このデザインは全社的にパソコン使用者が多いためだという。 各層の構造は、1階がロビー、2階はミーティングルームおよび保育施設、3階~12階は研究開発施設、13階~14階は事務室、15階はカフェ及び社長室になっており、地下1階は講堂、地下2階はジム及び図書室、地下3~6階は駐車場、地下7階は発電室という構造だ。地上階の大半が研究開発施設に使用されており、フロアの面積に比しても韓国でも最大規模の部類に入る。韓国以外では2004年に中国北京でR&Dセンターを設立している。 このビルは創業11年目を迎えるNCSoftとしては国内初の自社ビルという象徴的な意味も持つが、物理的な業務の効率とともに厳重なセキュリティーを意識していることも見逃せない。同社は2006年に新作「リネージュ III(仮称)」の開発データの流出事件があり、同作の開発中断という最悪の事態にまで至ったNCSoftにとって、セキュリティー面の強化は欠かせないものだった。 入り口には空港で使用するX線探知機や金属探知機が置かれ、さらにデータを社外に持ち出す際の記録媒体も厳密に制限されている。特にデータの持ち出しは予め登録されたUSBメディア以外は持ち出し禁止とされるなど、非常に厳重なセキュリティーが施されていたのが印象的だった。
現在、「NCSoft R&D Center」には一部の事務担当の部署のみ移転が済んでおり、今後2か月ほどかけて主要な研究開発部門の移転を完了させるという。同日行なわれたメディア向けの社内ツアーでは、ほとんどのテスクが空いていたが、社員たちをサポートする様々な施設は充実していた。社員専用のジムではトレーナーが付いていたり、託児所では4~5人の先生が待機しており充実した環境が整えられていた。
■ G★以降公開された「Love Beat」と「魔法学校アルピア」。多様なジャンルのゲームを一気に市場へ投入 NCSoftは現在新作の自社開発タイトル「AION」と「魔法学校アルピア」をはじめ、「Dragonica」、「PointBlack」、「Punch Monster」、「Love Beat」の4タイトルを新作タイトルとして自社のポータルサイト「PlayNC」でテスト公開している。 これらのジャンルは、MMORPG、アクション、FPS、ダンスゲーム、Flashゲームなどなど実にバラエティ色豊かなラインナップだ。この中で、「魔法学校アルピア」と「Love Beat」はG★2007以降公開された新作だ。弊誌では初紹介となる。 「魔法学校アルピア」はFlashで作られたオンラインゲームだ。2007年12月よりオープンβテストがスタートした。ビジネスモデルは未定。フィールドを進むとランダムに戦闘イベントが発生し、「ファイナルファンタジー」シリーズのようなターン制のバトルが展開されるRPGゲームだ。 炎の種族、氷の種族、大地の種族の3つの種族にわかれ、それぞれの属性の魔法に特化し、冒険を繰り広げる。炎は氷に勝ち、氷は大地の勝ち、大地は炎に勝つ3すくみのデザインとなっている。魔法は学校の授業を通じて学ぶことができ、ペットやNPCとグループを組んでフィールドを探検する。 他のプレーヤーとグループを組むことはできないが、「コロッセウム」という競技場でPvP対戦を楽しむことができる。グループ同士がターン制で対戦する。これに勝つとアイテムなどの報酬がもらえる仕組みだ。 新しいストーリーとクエストが次々に実装されており、クエストを中心にパッケージゲームの感覚で楽しめるゲームだ。さらにFlashで作られているため、インストールの必要がなく手軽に楽しむことができる。 もう1つの新作「Love Beat」は韓国のデベロッパー“クレージーダイアモンド”が開発し、NCSoftがパブリッシングするダンスゲームだ。スタイリッシュなグラフィックスで、5つのボタンでダンスゲームを楽しめるという。 詳しい仕様はまだ明らかにされていないが、ただダンスゲームをプレイするだけではなく自分の部屋をデザインして他のプレーヤーを招待したり、「合コンモード」も実装されるなどコミュニティを重視したダンスゲームだ。 ダンスゲームのジャンルは若年の女性のプレーヤーが多いのが特徴で、こうしたユーザーの取り込みが図られている。2008年上半期中に第2次クローズドβテストが予定されている。 NCSoftは現在、展開中の7タイトル以外にもNCSoftの自社開発の6つの大型タイトルが開発中とのことで、引越しが完了次第、今回竣工したR&Dセンターで開発が続けられるという。これまで散在していた開発チームが1つの施設に集まることでより開発者間の連携が強くなり、さらなる良作が発表されることに期待したい。
(C) Copyright NCSoft Corporation
□NCSoftのホームページ(韓国語) (2008年4月8日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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