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【連載第26回】韓国最新オンラインゲームレポート

韓国大手NCSoftが15階建ての新社屋「NCSoft R&D Center」を公開
「Love Beat」、「魔法学校アルピカ」など今年注目の新作をピックアップ

4月3日開催

会場:NCSoft R&D Center

「NCSoft R&D Center」はソウル市江南区三星洞の「テヘラン通り」という韓国最大のオフィス街に設立された。近くにはCOEXや空港ターミナル、グランドインターコンチネンタルホテルが位置するなど立地環境は非常に良い
 韓国NCSoftは4月3日、ソウル市内のオフィス街「テヘラン通り」に15階建ての新社屋「NCSoft R&D Center」の落成を記念し、竣工式及びメディアを対象とした見学会を行なった。

 「NCSoft R&D Center」は2006年から着工が始まり、2年経て完成した同社の新たな本社ビルだ。地上15階、地下7階、総面積31,000平方メートルで韓国国内のゲーム会社としては最大規模で、初の新築自社ビルとなる。サービスセンターを除くNCSoftの全社員に相当する1,700人がこのビルへ集まる予定だ。NCSoftはこれまで開発拠点が数箇所に散在していたが、本ビルの落成により開発拠点を一カ所に集約させられることで、業務効率の向上を目指す。

 現時点では、研究開発部門の引っ越しは行なわれておらず、社内はまだがらんとしていたが、広大なトレーニングルームや託児所など社員のホスピタリティを重視した施設作りが印象的だった。3,000億ウォンを超える売り上げの20~30%を研究開発に投資しているというNCSoftにとっては集大成的な建物となっている。

 また、NCSoftは昨年のG★2007以降も着々と新規コンテンツを展開している。本連載でも初出の「Love Beat」、「魔法学校アルピア」の他、6つの未公開の自社開発の新作タイトルあるという。本稿ではNCSoftの新しい本拠地である「NCSoft R&D Center」と共にNCSoftの新作も合わせて紹介したい。

【NCSoft R&D Center 竣工式】
「NCSoft R&D Center 竣工式」ではNCSoftの役員や施工担当者を中心にテープカットや餅カット式が行なわれた


■ 地上15階、地下7階の新築ビルを丸ごと使用。空港並みのセキュリティ環境

「NCSoft R&D Center」。 地上15階、地下7階で煉瓦が積み重なったような形をしている。 窓は直射日光が入りにくいように4面が突出部に囲まれている
 「NCSoft R&D Center」は2006年から着工が始まっており、2年を経て完成された新築の本社ビルだ。これまでは4箇所に離散していた社内のインフラが1か所に集約されたことで、最高の自社開発環境が整ったことになる。

 「NCSoft R&D Center」は、同社のサービスセンターを除く全部門と、同社のほぼ全社員に相当する1,700人を収容する。ビルの外観は煉瓦を積み上げたような蜂の巣状のデザインで、窓は直射光線が入りにくいように突出部で囲まれている。このデザインは全社的にパソコン使用者が多いためだという。

 各層の構造は、1階がロビー、2階はミーティングルームおよび保育施設、3階~12階は研究開発施設、13階~14階は事務室、15階はカフェ及び社長室になっており、地下1階は講堂、地下2階はジム及び図書室、地下3~6階は駐車場、地下7階は発電室という構造だ。地上階の大半が研究開発施設に使用されており、フロアの面積に比しても韓国でも最大規模の部類に入る。韓国以外では2004年に中国北京でR&Dセンターを設立している。

 このビルは創業11年目を迎えるNCSoftとしては国内初の自社ビルという象徴的な意味も持つが、物理的な業務の効率とともに厳重なセキュリティーを意識していることも見逃せない。同社は2006年に新作「リネージュ III(仮称)」の開発データの流出事件があり、同作の開発中断という最悪の事態にまで至ったNCSoftにとって、セキュリティー面の強化は欠かせないものだった。

 入り口には空港で使用するX線探知機や金属探知機が置かれ、さらにデータを社外に持ち出す際の記録媒体も厳密に制限されている。特にデータの持ち出しは予め登録されたUSBメディア以外は持ち出し禁止とされるなど、非常に厳重なセキュリティーが施されていたのが印象的だった。

 現在、「NCSoft R&D Center」には一部の事務担当の部署のみ移転が済んでおり、今後2か月ほどかけて主要な研究開発部門の移転を完了させるという。同日行なわれたメディア向けの社内ツアーでは、ほとんどのテスクが空いていたが、社員たちをサポートする様々な施設は充実していた。社員専用のジムではトレーナーが付いていたり、託児所では4~5人の先生が待機しており充実した環境が整えられていた。

NCSoftの代表取締役キム・テクジン氏は「NCSoft R&D Center竣工をターニングポイントに“小さく、強く、充実した企業”として今後100年続く企業作りを目指す」と抱負を述べた 地下2階の社員専用のジム。専門のトレーナー付きだ。本格的な施設で疲れた体をほぐすことができる

【セキュリティーチェック】
各入り口にはセキュリティー設備が完備され、データを記録するメディアも、登録されたUSBメモリースティックなどのみが使用や持ち出しが許されるという

【カフェテラス】
屋上に設けられた社員専用のカフェテラス

【Happy Desk】
14階の「Happy Desk」と事務室。「Happy Desk」は社員専用の窓口だ。結婚記念日や誕生日をここで申告すると記念日に商品券などのプレゼントを貰うことができる

【託児所】
2階の社員専用の託児所。専門の先生が4~5人常勤しており、子供5人に1人の担当で割り当てられているという

【図書室】
同じく地下2階の図書室。ゲーム関連だけではなく様々な種類の本やDVDが置かれており、貸し出しも行なうという


■ G★以降公開された「Love Beat」と「魔法学校アルピア」。多様なジャンルのゲームを一気に市場へ投入

 NCSoftは現在新作の自社開発タイトル「AION」と「魔法学校アルピア」をはじめ、「Dragonica」、「PointBlack」、「Punch Monster」、「Love Beat」の4タイトルを新作タイトルとして自社のポータルサイト「PlayNC」でテスト公開している。

 これらのジャンルは、MMORPG、アクション、FPS、ダンスゲーム、Flashゲームなどなど実にバラエティ色豊かなラインナップだ。この中で、「魔法学校アルピア」と「Love Beat」はG★2007以降公開された新作だ。弊誌では初紹介となる。

 「魔法学校アルピア」はFlashで作られたオンラインゲームだ。2007年12月よりオープンβテストがスタートした。ビジネスモデルは未定。フィールドを進むとランダムに戦闘イベントが発生し、「ファイナルファンタジー」シリーズのようなターン制のバトルが展開されるRPGゲームだ。

 炎の種族、氷の種族、大地の種族の3つの種族にわかれ、それぞれの属性の魔法に特化し、冒険を繰り広げる。炎は氷に勝ち、氷は大地の勝ち、大地は炎に勝つ3すくみのデザインとなっている。魔法は学校の授業を通じて学ぶことができ、ペットやNPCとグループを組んでフィールドを探検する。

 他のプレーヤーとグループを組むことはできないが、「コロッセウム」という競技場でPvP対戦を楽しむことができる。グループ同士がターン制で対戦する。これに勝つとアイテムなどの報酬がもらえる仕組みだ。

 新しいストーリーとクエストが次々に実装されており、クエストを中心にパッケージゲームの感覚で楽しめるゲームだ。さらにFlashで作られているため、インストールの必要がなく手軽に楽しむことができる。

 もう1つの新作「Love Beat」は韓国のデベロッパー“クレージーダイアモンド”が開発し、NCSoftがパブリッシングするダンスゲームだ。スタイリッシュなグラフィックスで、5つのボタンでダンスゲームを楽しめるという。

 詳しい仕様はまだ明らかにされていないが、ただダンスゲームをプレイするだけではなく自分の部屋をデザインして他のプレーヤーを招待したり、「合コンモード」も実装されるなどコミュニティを重視したダンスゲームだ。

 ダンスゲームのジャンルは若年の女性のプレーヤーが多いのが特徴で、こうしたユーザーの取り込みが図られている。2008年上半期中に第2次クローズドβテストが予定されている。

 NCSoftは現在、展開中の7タイトル以外にもNCSoftの自社開発の6つの大型タイトルが開発中とのことで、引越しが完了次第、今回竣工したR&Dセンターで開発が続けられるという。これまで散在していた開発チームが1つの施設に集まることでより開発者間の連携が強くなり、さらなる良作が発表されることに期待したい。

【Love Beat】
G★2007では発表されなかったスタイリッシュなダンスゲーム「Love Beat」。詳しい仕様はまだわからないが、「合コンモード」を搭載するなどコミュニティ要素と女性ユーザーを意識したタイトルになる模様。開発はクレージーダイアモンド、今年の上半期中に第2次クローズドβテストが予定されている

【魔法学校アルピア】
こちらもG★2007では発表されなかったコミカルな雰囲気を持つFlashゲーム「魔法学校アルピア」。ジャンルはFFのようなターン制RPGで、Flashで作られたオンラインゲーム。他のプレーヤーとの対戦も可能だ。2007年12月からオープンβテストがスタートされ、現在まで28話のストーリーが実装されている

【AION】
4月8日から2次クローズドβテストが開始されるMMORPG「AION」。今回のテストではPvPが実装され、中盤のコンテンツを楽しむことができる。現在の韓国市場でもっとも期待されているタイトルの1つだ

【Point Black】
NCSoftが展開しているオンラインFPSゲーム「Point Black」。現在オープンβテスト中で、先日同社でサービス中のMMORPG「リネージュⅡ」の「ギラン城」が新マップで実装された。さらに「Counter-Strike」で有名なプロゲーミングチーム「Fnatic」を韓国で招待して「Point Black」の対戦イベントを行なうなど異色の展開で話題になっている

【Dragonica】
横スクロール3Dアクションゲーム「Dragonica」。Barunson Interactiveが開発し、NCSoftがパブリッシングを行なっている。去年の12月にαテストを終え、今年の4~5月中クローズドβテストが予定されている

【Punch Monster】
横スクロール2Dアクションゲーム「Punch Monster」。next playが開発し、NCSoftがパブリッシングを行なっている。コミカルなキャラクタが印象的だ。3月26日からクローズドβテストを実施中だ

(C) Copyright NCSoft Corporation

□NCSoftのホームページ(韓国語)
http://www.ncsoft.com/kor/index.asp
□PlayNCのホームページ(韓国語)
http://www.plaync.co.kr/

(2008年4月8日)

[Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]



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