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★PCゲームレビュー★

三国志と戦国時代のオールスター達が集結!
チームバトルによるカオスストーリーを堪能せよ!!

「無双OROCHI」

  • ジャンル:タクティカルアクション
  • 開発/発売元:コーエー
  • 価格:6,090円
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:3月20日(発売中)



 コーエーは、3月20日、Windows用タクティカルアクション「無双OROCHI」を発売した。本作は昨年発売されたXbox 360版をベースに作られており、これまでの「三國無双」、「戦国無双」両シリーズで登場した魏・呉・蜀・戦国の武将達が入り乱れてそれぞれのシナリオを協力して戦い抜くという、言わばオイシイとこ取りの新フランチャイズだ。

 彼ら両「無双」の武将達をカオスの世界に導いたのは魔王・遠呂智。遠呂智によってゆがめられ、融合してしまった「無双」の世界で、呂布と真田幸村が戦うなど時空を超えたIFの世界が楽しめる。3人編成でチームを組んで、ローテーションを組みながら戦う新システム「チームバトル」では、ゲーム中に次々にキャラクタを入れ替えられ、キャラクタ特性とシチュエーションに応じた戦い方ができるなど、シリーズに新風を巻き起こしている。

 また、「己のPC(マシン)を武器に、魔王を倒せ!」というキャッチフレーズにもあるとおり、グラフィックス設定を詳細に設定可能なWindows版ならではの機能も盛り込まれている。4月3日にはプレイステーション 2より本シリーズの新作「無双OROCHI 魔王再臨」も発売される。「無双OROCHI」の展開は、どうやらPCが最後になりそうだが、PC版を通じて新シリーズの魅力を改めておさらいしたい。


■ 3人の武将を操りローテーションでピンチをしのげ!「チームバトルシステム」

「無双OROCHI」はチームバトルが最大の魅力だ。敵武将を次々に自勢力に引き込んだり共闘しながら魔王「遠呂智」打倒にストーリーが集約していく、「無双」シリーズのオールスター戦だ
 本作のアクションの爽快感を語る上で欠かせないのが、3人の武将を1チームにしたチームバトルシステムだ。これは3人の武将をプレーヤーが任意のタイミングで次々にローテーションさせながらプレイしていく新要素だ。

 画面左下にチームメンバーの体力ゲージと無双ゲージが表示され、待機中の武将は消費した体力と無双ゲージがだんだんと回復していく。回復アイテムを取ると控えメンバーにまで効果が及ぶため、体力や無双ゲージが一杯の状態で、積極的な戦いを展開させることができるのが大きな魅力だ。

 また、無双乱舞(「戦国無双」キャラクタの場合は無双奥義)発動中にキャラクタをローテーションさせて、異なるキャラクタで無双乱舞(無双奥義)を発動させると、「無双バースト」状態となり、さらにキャラクタを切り替えるごとに威力が増していく。後述するチーム内の武将のアタッカータイプの数によってもさまざまな追加効果を得ることができる。武将のカットインも挿入され非常に気持ち良い。

 逆に防御の面では、操作中のキャラクタの体力が0になってしまうと控え武将の状態に関わらず即敗北となってしまうため、敵の武将の攻撃をモロに受けてしまった場合はすぐに体力の残っている武将に切り替えて応戦するといった工夫が必要だ。

 「無双OROCHI」では3人1セットが基本となるため、1人当たりのHPも応分に少なくなっている。このため、体力が少しでも減ったら他の武将に交替しなければすぐにやられてしまう。「無双」シリーズではわざと体力を赤いゲージぎりぎりまで削って無双ゲージを回復させ、追撃した敵武将に真・無双乱舞(無双秘奥義)を当てにいくのが定石だったが、この戦法は「無双OROCHI」ではあまりに危険すぎてほぼ使えなくなっている。

 とにかく本作では武将の防御力が紙のように薄い。実際のプレイの中では敵の1回のコンボを受けてしまっただけで全快だったキャラクタが0にまで削られるというシビアなケースも多かった。数名の敵武将に囲まれるシーンでは複数の武将が放った攻撃が偶然連続で入ってしまったせいでいきなり敗北の憂き目に遭うこともある。難易度の設定に関わらず従来のシリーズに比べて格段に難しくなった印象だ。

 しかしながら、これまでに登場した両「無双」シリーズの武将を同時にチームに加えて戦う要素は何より増して面白い新要素となっており、レベルアップを重ねつつじっくり楽しんでいきたい。

歪められた時空の中で独特のストーリーが展開される。次代を超えた武将同士の絆も面白い

特技で「馬術強化」を装備すると、馬に騎乗した状態でゲームをスタートさせることができる。さらに「馬呼び」ボタンで馬を随時呼び寄せることができ、マップの移動のために冗長になりがちだったプレイ時間を、繰り広げられるイベントの進行に転換することに成功している。旧作にはない濃いゲームプレイを味わえる


■ 歪められた時空の中で魔王「遠呂智」に立ち向かう日中の勇者たち

2回目以降はゲームを開始する毎にプレーヤーの苦手分野を指摘してくれる。「ドリルマニアックス」で繰り返し練習して克服しよう
 本作では、魔王「遠呂智」によって生じて時空を超えた世界の中で、「三國無双」や「戦国無双」で登場したマップを舞台に魏・呉・蜀・戦国の4ストーリーを楽しむことができる。マップやレベルデザインはWindows版「真・三國無双 4」よりも洗練されており、キャラクタのディテールを若干簡素化することで、画面中に表示可能なキャラクタ数を増やしたり、派手なアクション効果のボリュームアップに寄与している。

 その分ハードウェアのリソースを食わないように、上り坂等の部分部分で極力空を見ないようにカメラアングルが設定されたりとやや視界が悪い場面も見られたが、武器に付与された放電や炎の効果がひときわ強調され、非常ににぎやかなゲーム画面になった。

 筆者が中でも気に入ったのは蜀軍によるストーリー。行方不明になった劉備を救出するため、趙雲が島津義弘・星彩の3人と共に立ち上がる。劉備配下の軍師諸葛亮がなぜか遠呂智軍に加勢していたりと絶望的な状況の中、少しずつ劉備の所在に関するヒントが明らかになっていく。

 ストーリーを進めるうちに魏延や猛獲といった蜀の武将が仲間になっていくばかりでなく、雑賀孫一のような戦国武将も仲間になっていくのが面白い。ストーリーはメインステージの他に、一定条件で外伝ステージもアンロックされ遊べるようになっている。メインの8ステージと外伝8ステージを遊ぶことができ、大方のステージで、クリア後にプレイ可能な武将が増えていくという仕組みだ。

 本作の世界を支配している「遠呂智」を諸葛亮が策謀で支えているというからには、とにもかくにも裏をかかれる展開が多い。デモ版として公開されている長谷堂の戦いでは、捕らえられている月英を救出しにマップを北上すると、「遠呂智」の手先「妲己」によって包囲されてしまう。

 月英が敗北してしまうとゲームオーバーになってしまうため、とにかく月英からは目が離せない。前方の敵に気を取られて先に進んでしまうと、月英がついてこないし、後ろばかり気にしていると前方の敵に囲まれて討ち死にしてしまう。何度もゲームオーバーになってやっとクリアすることができたが、このマップに限らず城内の入り組んだマップでは味方武将が引っかかるなど、ゲームプレイそのもの以前に、武将の移動AIの貧弱さで苦労するシーンが散見された。「無双」シリーズは、グラフィックスの進化とは裏腹に、AIがなかなか進化しないが、PC版でもこの点が改善された気配はない。

 結果としてステージクリアのためには味方武将と常に行動を共にしなければ勝利できないという方向性が強化されており、プレーヤーが無茶な特攻をせずに組織の一員として勝利に貢献させるゲームバランスとなっている。

 また、蜀シナリオで一番面白かったのは、成都で高貴な方が捕らわれているという情報を頼りに向かうステージだ。劉備がいたかと思いきや「三國無双」シリーズでは「名家」の治君として知られるあの方がトンチンカンな采配を振るいながら登場し、思わず笑ってしまった。すべてにとって悪の存在である遠呂智が登場したことにより、キャラクタの性格や、史実に捕らわれないストーリーが展開され、世界観の幅が大きく広がったことは高く評価したいところだ。

蜀ストーリーでは各地に散らばった蜀の武将たちを集めながらストーリーが進行していく

各勢力のシナリオを通じて、さまざまなキャラクタの性格が交錯し、笑えるシーンも多い。完全悪な遠呂智の登場で、時代を超えた武将同士のストーリー的な見せ場が増えた


■ 武器融合で最強の武器をつくれ!! 経験値に基づいた成長システム

各キャラクタ操作時に成長しない「アタッカータイプ熟練度」。上昇に応じて通常攻撃の攻撃段数が増えたり、チャージ攻撃のバリエーションが増加
   本作では3人編成でのチームバトルを支える独特のレベルアップシステムが導入されている。出陣した武将は撃破数などに応じて経験値を得て、ステージ中にレベルアップを重ねることができる。この他ステージ中に敵将の落とす経験値アップアイテム「巻き物」を拾うことで、ストックとして戦闘後に経験値を持ち越すことができる。

 敵の総撃破数などに応じて配分されるステージ終了後の経験値を合わせて、新規に参入した武将を強化したり、「武器融合」に使用することができるのだ。参戦する味方武将が増えるほど、前半に参戦した武将とのレベル差が開いてしまうため、「経験値振分」で適宜新しい武将を強化してやろう。

 また、経験値は獲得した武器を強化するための「武器融合」のためのコストとしても必要だ。本作では武器の箱を拾うと3人分の武器が手に入るため、出撃のたびにたくさんの武器を獲得することになる。これらの武器は「武器融合」で特殊効果を集約させていき、強化していく。

武器の属性効果は以下の14個の効果がある。

    ・「炎」: 敵が地面につく間、敵が燃え続け、この間追加ダメージを与え続ける。壁際などで敵を浮かせ続けると断続してダメージを与えられるため、防御力の高い敵武将に効果が高い

    ・「氷」: 敵の動きを氷で止めてしまう。敵を浮かせることができないため、炎との相性は悪い

    ・「雷」: 攻撃がヒットした際に敵が放電して周囲の敵が一気に崩れ落ちる。効果も高く使っていてもっとも気持ちが良い

    ・「陽」: 敵のガードを無視して攻撃がヒットする。

    ・「斬」: 雑魚兵に対して一定確率で即死させ、武将に対して固定でダメージを与える。こちらも高難易度や中盤以降雑魚兵が硬くなるのでぜひほしい効果だ

    ・「吸生」: 敵のHPを吸収する。わずかしか回復しないため、回復するにはローテーションしてしまった方が良い。

    ・「吸活」: 敵の無双ゲージを吸収する。こちらも「吸生」と同じく無双を意図的に回復させるにはローテーションしてしまったほうが良いほどで、あまり役に立たない。

    ・「破天」: 空中の敵への攻撃力アップ。炎と相性が良い。

    ・「勇猛」: 敵武将に対して攻撃力が上がる。後述の「極意」が雑魚兵に対しても攻撃力が高まるので、取得する場合は「極意」が優先となるだろう。

    ・「旋風」: 攻撃範囲が広くなる。

    ・「分身」: 攻撃時に分身が出現する。攻撃時に同じモーションで分身が攻撃を繰り出す。

    ・「神速」: 攻撃速度が上昇する。

    ・「極意」: 攻撃力が上がる。すべての敵に対して攻撃力があがるので、ぜひ強化したい。

    ・「背水」: 現在の体力が少ないほど攻撃力が上昇する。体力の少ない状態を維持するのは本作では危険すぎるため、本当に出番が無い。

 これらの中から8個を組み合わせて武器に属性を付与していくが、この際に経験値が必要となる。また、同じ属性を重ねて融合すると、属性のレベルを上げていくことができ、「陽」や「斬」といった効果が良いものほど付与するためのコストが高い。1回の出撃で得られる経験値のストックが難易度普通で7,000~10,000点程度のため、1つのキャラクタの武器を成長させきるにはフリーモードをはさみながら経験値獲得のための出撃を行なわなければならない。

 また、チーム全体に「特技」を割り当てることができ、「体力増加」から「必殺強化」、控え武将の無双ゲージ回復量を上昇させる「待機回復」といった、チーム全体に効果のある特技を出撃時に7つまで装備することができる。特技はそれぞれの武将が戦闘中に一定条件をクリアすることで獲得することができ、獲得するたびにレベルが上がり、各効果が上乗せされていく。

 「真・三國無双 4 Special」ではキャラクタに装備させるアイテムにこれらのステータス上昇効果が乗っていたが、戦闘に影響する特性を武器融合に集約させることでステータスに影響するアイテム効果がチーム全体を通じた「特技」に変更された形だ。キャラクタのレベルアップ以外にも「武器融合」で武器に特殊効果をつけて育てる楽しみも出来ただけに、お気に入りの組み合わせを見つけてみたいところだ。

放電して敵が一気に腰砕けになる「雷」、空中の敵にダメージを与える「炎」など、武器に特殊効果を付与することで一気に戦いが楽しくなる

武器によってははじめから属性が追加されているものもあり、戦う楽しみが増加した

戦闘終了後に獲得した経験値を武器や好きな武将に割り振ることができる。戦闘で獲得した武器にはランダムで属性が付与されており、ゲーム中盤はどの武器をベースとするか考えるだけでも面白い。また、戦闘中に習得した特技はチームの特技としてセットすることができる

各武将は空中ダッシュやジャンプキャンセルが出来る「スピード」、攻撃時に敵の攻撃を受けてもひるまない「パワー」、空中の敵にチャージ攻撃を加えるとクリティカルヒットとなる「テクニック」の3種類のタイプに分かれている。敵の攻撃にひるまないパワー型が初めは扱いやすい


■ 新しい「無双」につながる一作として期待!!

 本作の続編として、「無双OROCHI 魔王再臨」が来月プレイステーション 2からリリースされるが、完全悪としての存在でしかなかった遠呂智軍のシナリオが追加されるなど期待される要素は大きい。今回のPC版は動作チェックプログラムも公式サイトより公開されているので、本作にて「予習」するのもいいだろう。

 正直プレイする前までは、「三國無双」と「戦国無双」の単なるいいとこ取りではないかと思っていたが、東西の武将達が活躍するカオスな世界は、意外にもキャラクタを引き立て、「無双」シリーズに新鮮味をもたらすことに成功している。

 本来は味方であるべき武将たちが敵として登場した際の武将達の「IF」の反応がしっかりと描き込まれており、目前に現れた時空のゆがみというありえない現実に対する反応に、これまでの史実に筋道だった「無双」のシナリオでは見ることのできない個々の武将達のストーリーを堪能できた。「無双」シリーズファン、アクションゲームファンは一度体験してほしいタイトルだ。

三国志時代のステージは旧「無双」シリーズをベースとしているが、オブジェクトや天候などが置き換わり、カオスで禍々しい雰囲気だ

今回筆者のお気に入りキャラクタとなったのが徳川家康。パワータイプの家康の筒槍から繰り出すタイプアクションは波動砲のようなビームを放つ! とにかく強い。いかに美しく当てるかを試行錯誤するだけでだいぶ遊びこんでしまった

(C)2008 KOEI CO,.LTD. ALL RIGHT'S RESERVED.


    【無双OROCHI】
  • CPU:Pentium4 1.6GHz以上(推奨:同2.6GHz以上)
  • メインメモリ:256MB以上(推奨:512MB以上)
  • HDD:4.0GB以上の空き容量
  • ビデオカード:ハードウェアシェーダー機能必須 VRAM 64MB以上(128MB以上を推奨)


□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「無双OROCHI」の製品情報
http://download1.gamecity.ne.jp/orochi/index.htm

(2008年3月26日)

[Reported by 三浦尋一]



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