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★PCゲームレビュー★

迫り来るゾンビを高速タイピングでなぎ倒せ!
セガならではのゲーム性を備えたタイピングソフト

ゾンビ打2
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2

  • ジャンル:タイピングマスターソフト
  • 開発/発売元:セガ
  • 価格:6,090円
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 発売日:2008年3月6日(発売中)



 キーボードを打つスピードを向上させてくれるタイピング練習ソフトの世界は、フリーソフトから本格的なパッケージソフトまで多種多様な形態で1ジャンルを形成しているカテゴリーだ。その中でセガの「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド」シリーズは、アーケードからゲーム機、WindowsからMacintoshまで幅広いプラットフォームでリリースされてきた人気シリーズ。本稿で紹介するのは、その最新作「ゾンビ打2~ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2」だ。本稿ではタイピングを楽しくシリアスに鍛えられる本ソフトのレビューをお届けしたい。


■ タイピングを鍛えたい? その悩み、ゾンビ達が解決します

本作はガンシューティング譲りの爽快なインタラクションを楽しめるタイピングマスターソフトの最新作だ
 本作の前身にあたる作品は、'98年にアーケード用およびドリームキャスト用として発売された「ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド(以下TOD1)」だ。元々アーケード用のガンシューティングゲーム「The House of The Dead」の派生フランチャイズとして生まれた同タイトルはタイピング練習ソフトとしては異例の人気ぶりを誇り、2000年には「ゾンビ打」としてPCに移植され、その後バージョンアップを重ねつつプレイステーション 2やMacintoshにも提供されるなど幅広い展開で息の長い製品となった。今回発売された最新作「ゾンビ打2~ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド 2(以下TOD2)」は、実に9年ぶりの完全新作となる。

 本作の最大の特徴は、ガンシューティングゲーム「The House of the Dead 3」をゲームの基本としていることだ。敵を倒すには銃ではなくキーボードを使うという点で全然違うゲームになってしまいそうなものだが、並み居るゾンビを次々に倒しながら複数のステージをクリアしていくというダイナミックな展開は、やはりガンシューティング譲りの緊張感と爽快感がみどころで、その出来の良さは折り紙付き。キーボードを1打するごとにゾンビ達への射撃が命中するという手応えたっぷりのインタラクションが発生するので、ただタイピングをしているだけでも抜群の爽快感が味わえるのだ。

「TOD3」譲りの計算しつくされたゲーム展開が、タイピングの楽しみも増幅してくれる
 前作「TOD1」から事実上9年ぶりの新作ということで、初代に比べてインターフェイスや各種ゲームモードなどを含めて大きくパワーアップしている。ベースのゲームが「HOD2」から「HOD3」になったことはもちろん、主題数が20,000ワード以上に増え、ローマ字/かな入力への両対応、ローマ字入力時のいろいろな入力方法に対応する「あいまい入力」機能を搭載してタイピング練習ソフトの基本を完全に押さえているほか、LANを使って2人同時プレイをサポート、さらにインターネット対応の「全国偏差値診断機能」を実現してプレーヤーのモチベーションを盛り上げる工夫をふんだんに取り入れている。

 ゲームモードも多種多様でボリュームたっぷりだ。タッチタイピングの基礎の基礎を学べる「チュートリアル」、「House of the Dead 3」ベースのストーリーを楽しめる「ストーリー」、ストーリーの各局面をやり込む「サバイバー」、そして苦手分野を徹底訓練する「ドリルマニアックス」には数十のミニゲームを搭載するなど、タイピング初級者から上級者までこれ一本で全部カバーしてしまう勢いだ。インターネットに接続していれば、各モードのプレイ成績が全国のプレーヤー成績から集計される「全国偏差値」を基準に評価され、自分の実力を客観的に評価することもできる。このおかげでついついやりこんでしまう魅力があるのだ。

・まずは「ストーリーモード」で「TOD2」の世界を堪能しよう

ストーリーモードの主人公達。その手にはキーボード、背中には、ドリームキャスト?!
 数あるゲームモードの中で、やはり本作の基本となるのは「ストーリー」モードだ。このモードでは、世界を崩壊させた「EFI研究施設」を調査するエージェントとなり、迫り来る大量のゾンビをタイピングで打ち倒しつつ、真相究明に向けた戦いを繰り広げていく。ステージ数は全部で6本で、各ステージは5~15分程度でクリアできるボリューム。全体を通してプレイしてもおよそ1時間程度でクリアできるため、まずは「ストーリー」モードをプレイして自分の実力を計ってみるといいだろう。

 序盤のステージは、ごく短い単語が主な出題内容となる。次々に現われる各ゾンビには各1つづつの問題が割り当てられており、それを入力すれば撃破となる。複数の問題が同時に出た場合、つまり複数のゾンビが現われた時には、問題の最初の文字をタイプした時点で、対応するターゲットがロックオンされる。近い位置にいるゾンビはこちらに攻撃を仕掛けてくる可能性が高く、後回しにしているとダメージを受けてしまうこともあるので、複数の敵が出現したら素早く位置関係を把握することが重要だ。攻撃を受けるまで残り時間わずかとなった問題は赤く点滅して表示されるので、必要であれば現在入力している問題をESCキーでいったんキャンセルして、危険な方を先に片付けてしまおう。

序盤はごく短い単語が出題の中心だ。ミスをしないようにテンポよくタイプしていこう
 主人公に与えられた体力は、デフォルトでは3つ。3回攻撃を受ければ死んでしまうという意味だ。しかし、各ノーミスで入力していくと画面左上の「ゲージ」がたまっていき、これが満タンになれば体力がひとつ追加される。序盤のステージでは短い単語程度の問題が多いため、単純にスピードを追求するよりは正確さに気をつけてプレイしたほうが良い。そうすれば「ゲージ」を効率よく溜めることができ、ライフを増やして有利にゲームを展開でき、結果としてハイスコアをねらえるはずだ。

 筆者はライター稼業を通じて毎日のように長文を書く立場にあるため、さすがにタイピングの速度には自信を持っている。しかし、本作の後半のステージにさしかかると相当苦戦してしまった。出題内容がだんだんと長文になっていく上、複数の問題が間断なく出てくるようになるため、ついつい指先が混乱してしまって、凡ミスを連発してしまうのだ。問題を素早く読み取り、タイプする手を正確に反応させるという、総合的なスキルが求められるわけである。もしどうしても難しい局面になってしまったら、ゲームの各所で入手できる「アイテム」を使って打開しよう。時間を遅くしてくれるものや、敵をクリアしてくれるものなど、数は限られているものの、戦いの助けになる。

 また、各ボス戦闘では「ミスをせずに入力せよ!」というものや、主題内容が入力可能になるまで時間差があったりと、ゲーム的な工夫がふんだんに凝らされている。単にタイピングが上手なだけではうまくいかず、複数の問題をどこから片付けるかといった判断能力や反射神経も要求されるようになっていくわけだ。こういった工夫が単なるタイピング練習ソフトの枠をこえて、ゲーム的おもしろさを大きく引き出している点は、やはり「タイピング・オブ・ザ・デッド」シリーズならではの醍醐味と言えるだろう。

ステージの最後にはボスが出現! そのステージ全体から見ると1ランク上の難易度で出題されるので、冷静に対処して正確なタイピングを心がけよう。ボスの種類に応じていろいろな仕掛けもあり、一筋縄ではいかないことも

ゲームも後半にさしかかると出題内容が長文化し、ミスもしやすくなる。落ち着いて対処すれば体力回復のチャンスもあるため、敵の位置関係をきちんと把握して冷静に片付けていきたい

各ステージのクリア後にはスコアの統計が表示される。さらなる高偏差値を目指してタイピングの腕を磨いていこう


■ 多彩なゲームモードで苦手分野を徹底克服。ネットワーク偏差値機能で実力を計る!

2回目以降はゲームを開始する毎にプレーヤーの苦手分野を指摘してくれる。「ドリルマニアックス」で繰り返し練習して克服しよう
 「ストーリーモード」を終えてからが本作の本題だ。実は、本作では単なるタイピングスピードの評価だけではなく、入力開始までの時間や、ミスの確率、出題分野ごとの苦手項目など多岐にわたる分析が行なわれている。これにもとづいてプレーヤーの成績は「判断力」、「スピード」、「反射神経」、「加速度」、「正確性」、「得意&苦手」の6項目で評価される。これはゲーム開始時もしくはゲームメニューから「パーソナル」を選ぶと確認できるようになっている。筆者の場合は「反射神経」の評価が58、「得意&苦手」の評価が42と、2つの分野で非常に辛い評価を受けてしまった。

 これを徹底的に再訓練しようというのが「ドリルマニアックス」モードだ。このモードには、各分野に対応したミニゲームが複数用意されており、苦手分野を再訓練したり、得意分野を鍛え上げたりといったプレイができるようになっている。まずは、ゲーム開始時にオススメとして表示されるミニゲームから入ってみると良いだろう。筆者の場合は「反射神経」が低いと評されているので、これを鍛える「パネルアタッカー」をオススメされた。

反射神経を鍛える「パネルアタッカー」。次々に現われる文字や単語を高速に入力していく
 「パネルアタッカー」は、制限時間60秒のうちに、画面上16個のパネルに表示される文字や単語をできるだけ沢山入力するというゲームだ。入力を完了すると次のパネルが表示され、数が進む毎に同時に表示されるパネルが増えていく。だんだんスピードアップしていくわけだが、パネルが開いて入力を開始するまでのタイムラグをいかに短くするかがハイスコアへのカギだ。

 筆者はどうにもこの手の問題が苦手らしく、個人に達成した124個入力という最高クラスのスコアでさえ、「ネットワーク偏差値」は50.5という平均的な数値。なんとなく悔しいので、同じモードを何度も何度もプレイしてしまった次第だ。数日後、130個を超える入力数を達成することができた。それでもまだ平均値よりちょっと上、くらいなのだが。まだまだ練習が必要なようだ。

 「ドリルマニアックス」には、ほかにも多数のミニゲームが搭載されており、およそ1分野ごとに3ゲーム、全部で20近いものを楽しむことが可能だ。最初は一部分のミニゲームしか表示されていないが、合格スコアを達成していくと新たなミニゲームが追加されていくので、得意分野も含めて片っ端からハイスコアをねらっていこう。そうすると、プレーヤーの総合スコア「タイピングポイント」が向上していき、全体的な評価が高まっていく。限界までスコアを伸ばしたらいよいよ苦手分野の克服に集中できるというものだ。これだけでも長期間飽きずにプレイできてしまうボリュームである。

タイピングスピードをひたすら追求する「全力疾走」。次々に現われるゾンビを全滅させるまでのタイムを競う

タイピングの正確さを問われる「ゾンビパニック」。上から下に歩いてくるゾンビの群れをタイピングで一掃していくが、1文字でもミスをすると取り逃がしてしまうのだ

・タイピングよりも思考能力を問われる「ブレインショック」モードで頭の体操

計算式を完成させる「四則演算」。最初は簡単なのですぐに解けるが、後半になるときちんと考えないと間違ってしまうハメに
 本作に搭載されたミニゲームでちょっと毛色の異なるのが「ブレインショック」モードだ。このモードでは「ドリルマニアックス」と同じ要領のミニゲームが、今度は「頭を使う」内容で集約されている。たとえば一部が隠された計算式を、答えから逆算して完成させる「四則演算」ゲーム。最初は「2(?)8=10」(答えは「+」)といった簡単なものから出題されるが、だんだんと難しくなっていき、「10+7×8(?)2=38」(答えは「÷」)というように、ちょっと考えないと解けない問題になっていく。各記号は対応する文字列をタイプして選択することになるが、考えている時間のほうが遙かに長くなっていくので、ハイスコアを出すには知恵熱を出しながら頭を使う必要があるというわけだ。

 このモードには、他にも「説明と正しくあう四字熟語を選べ」、「文字を記憶して入力せよ」、「色に対応する文字を入力せよ」など、いくつものバリエーションがある。どれもそれなりに面白いゲームになっているので、ぜひ全ゲームのクリアを目指してみたい。タイピングばかりに飽きた頭をやわらかくマッサージしてくれる感じで、心地よく楽しめる。全ゲームモードをひととおりクリアするだけでも、値段相応以上の手応えを感じさせてくれるはずだ。

「ブレインショック」モードにも沢山のミニゲームが満載。総合評価をのばすために全ゲームでハイスコアを目指したい

プレーヤーのプロフィール毎にタイピング能力の総合評価が記録されていく。得意分野をのばすも良し、苦手を克服するもよし、長くつきあってタイピング能力を伸ばしていこう。プロフィールは複数作れるので、家族や友人とシェアするのもオススメだ


■ 圧倒的な楽しさとボリュームをもつタイピング練習ソフト。
  ちょっと意地悪な問題が多いのが珠にキズ?

筆者の場合は繰り返しの多い問題でミスをすることが多かった。少々意地悪な問題もスキルの向上には役に立つはずだが……
 さて、これまでご紹介したように、非常にボリュームたっぷりの内容を誇る本作。ゲーム的にも面白くプレイでき、タイピング初心者から上級者までガッツリと楽しめるという、タイピング練習ソフトとして非常に秀逸な作品となっていた。秒速300打以上の上級者でも、「全国偏差値」を意識してプレイすれば、どこまでもやりこみ甲斐を感じて能力を伸ばしていけるだろう。筆者も偏差値60以上を目指して各ゲームモードを必死にプレイし、苦手分野の克服に夢中だ。

 しかし、可能なら、「全国偏差値」に、偏差値評価だけではなく、絶対的なランキング表示もあれば、さらに励みになったかもしれない。偏差値ではどうしてもおおざっぱな客観評価にならざるをえず、自分が具体的に、どれくらいの位置にいるか、はっきりわかった気がしないからだ。

 これが「1万人中、100位」といったランキング評価も同時に得られる仕組みになっていれば、ランクを1位でも上昇させようとあの手この手でさらなる訓練を自分に課すようなモチベーションを、さらに得られたかもしれない。本作にはオンラインのパッチシステムが同梱されているので、それを使っての継続的なバージョンアップを期待したいところだ。

 本作に対して、もう一つの難点を指摘するとすれば、出題内容のおもしろさを追求するあまり、少々意地悪な問題が多くなってしまっている点を挙げたい。というのは、たとえば「ボールが急に来たので」や「パクりではなくインスパイア」といったちょっと笑ってしまう出題はいいのだが、格言を無理に合成した「豆腐に腕押し」というような雰囲気の出題もあり、笑ってしまう以前に、「そんなの実際には入力しないだろう!」という腹立たしさが出てきてしまう。タイプする手もついつい頭の中にある「正しい言い回し」で動いてしまうため、ミスを起こしやすくなってしまうのだ。

 他にも「ハラホロヒレハレ」といった、1字毎にきちんと文字を確認しないと入力しにくいものや、「!!!!」など記号を多用させるものなど、タイピング難易度を上げる方法としては、いささか不適さを感じる意地悪なも複数目についた。おもしろさを追求するのはいいことなのだが、最低限、タイピング練習ソフトとしての実用性を守り、色物系の出題に頼らない方向性を期待したいところである。このあたりも、今後のパッチでいい方向に向かうのであれば、本作の評価はますます高まっていくことだろう。

 少々苦言を呈する部分もあったが、本作は総合的に見てきわめて秀逸なタイピング練習ソフトである。ゲーム的な楽しさを十全にそなえ、プレーヤーのモチベーションを高く後押しする仕組みや、楽しいミニゲームが満載で、これ1本で初心者から上級者まで、実のあるタイピング練習が楽しめることだろう。タイピングを鍛えたい人にはまっさきにオススメしたいタイトルだ。

(C) 2008 SEGA All rights reserved.


    【ゾンビ打2~ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2】
  • CPU:Pentium4 2.0GHz以上(推奨:同2.8GHz以上)
  • メインメモリ:512MB以上(推奨:同1.0GB以上)
  • HDD:1.0GB以上の空き容量
  • ビデオカード:ピクセルシェーダー2.0以上 VRAM 64MB以上
  • その他:ネットワーク機能利用時:インターネットへの接続環境


□「ゾンビ打2~ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2」の製品情報
http://sega-pc.com/tod2/
□SEGA-PCのホームページ
http://sega-pc.com/

(2008年3月21日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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