|
【シムシティ DS2 ~古代から未来へ続くまち~】 価格:4,980円
CEROレーティング:A (全年齢対象)
「シムシティ DS2」は、2007年2月に発売された「シムシティ DS」の続編となる都市育成シミュレーション。前作ではPC版「シムシティ 3000」をベースに開発された、いわゆるオーソドックスな「シムシティ」だったが、今作では時代の流れを取り入れ、古代からスタートし、現代に至るまでの“まちづくり”が楽しめる。 この発表会は、環境を考えた“まちづくり”をテーマにしたもので、ステージには、同作のプロデューサーである村上貴宏氏、ゲストとして日本環境教育フォーラムの事務局長である大黒栄二氏、そしてミュージシャンの高橋ジョージさんと女優・三船美佳さんのご夫妻が登場して行なわれた。
ステージでは、まず村上氏が実際のゲーム画面を見せながらゲームを紹介。この模様については、ゲーム内容の詳細と合わせて後述する。
■ 高橋ジョージさんと三船美佳さんが本作を通じて環境問題を考える
続いて大黒氏は、「環境問題には大きく2つのものがあり、1つは今、村上さんがおっしゃられた“地球環境問題”。これは、ここ100年で地球の熱が1度上がっており、このままでいくと次の100年では下手すると5度くらい上がってしまう。5度上がるとどうなるかというと、砂漠が増えたり、洪水がたくさん発生するようになってしまうという問題です。もう1つは“ローカルな環境問題”で、例えば今年オリンピックが開催される北京では、大気汚染が問題になっています。また“水”を浄化するためにものすごいエネルギーがかかっていて、それが将来的にはできなくなるかもしれない」と“環境問題”を2つに分類してみせた。 そして三船さんは、「テレビ番組などで“環境問題”や“エコ”に関するものが増えていると思います。“エゴ”の汚い濁点を取って“エコ”にしようというのは大事なことで、このゲームを通してすごく思ったことは、ゲームの中では自分は市長だから、自分が良くしたいと思う気持ちが反映されるんですよ。それが実生活になってみると、しがらみだったり、便利なものなどで、なかなか上手い具合に前に進まないというもどかしさを感じています。私も少しでもいいから、家庭からできることとして“油”から始めました。最初はジョージさんの環境を良くするために油を使わなくしていて、良く考えたら、今まで自分がしていたことにビックリしちゃって。今はなるべく油は使わないし、何度も再利用して真っ黒になっちゃったら、ペットボトルに入れて自由が丘の方に送ると、燃料として再利用されるんですよ。なんでマイナスイメージの元気のなくなるニュースばかり流れて、どうしてこういう良くなるニュースは流れないんだろうって思ってたんです。家庭にも優しくすれば地球にも優しいんだなって気付きました」と家庭の主婦の視点からの意見を語った。 高橋さんも、「しがらみとか、番組でもスポンサーとかあるんで、とにかく消費するようにってのがあるじゃないですか。とにかく儲けるだけ儲けてやれ、という時代はもうやばいんじゃないかと。うちも3歳の娘ができてから、今までが無責任だったなと。自分たちの時代だけで終わるんならこれでもいいかもしれない。でも、ずーっと歴史が続いてきて、うちの親であれ、祖先であれ、やっぱり考えてきたんだなと。今の時代でなんとか修正しておかないと、お金とか財産よりも大変なものを子供たちに残してしまうんだなという部分では、このゲームと向き合って一緒に考えることで、子供ともコミュニケーションとれるねと話してきました」と、環境問題を真剣に考えていることをうかがわせた。 話がゲームとの関係に戻ったところで村上氏は、「都市づくりを一番シンプルな形でゲームにしているのですが、ゲームだから何度でも失敗できるし、試してみることができるんですよ。そういう感じで前向きに遊んでいただければと思います」というと、発表会の直前までプレイしていて、裏で盛り上がっていたという三船さんは「初めてプレイした街は、大汚染になってきちゃって、停電になっちゃうし、水が届いてないよってシムたちに怒られるし、もうどうしようと思ったんだけど、なかなかリセットするまでできなかったんですよ。これを実際問題として考えてみたら、今私の生きている世の中もそうなのかなって。でもやっぱりリセットもできないから、すごいことが起きてるんだなぁって」と初プレイの感想を語った。 会場に来る途中にも話しながらでヒートアップしていたという高橋さんは、「例えば工場を作るだけ作って儲けようとか、そういう考えもあるじゃないですか。でも、一番大事なのはバランス感覚だと思うし、そこでゲームがひとつの物差しになって、バランス感覚を養うのにいいのでは」と、本作を高く評価していた。 大黒氏は、「環境問題を少しでも良くするには、高橋さんたちが言われるように、1人1人の意識が非常に重要です。ほかに何が必要かというと規制と法律で、例えば京都議定書であったり、フロンガスの使用禁止などがあります。もう1つは新しい技術が重要です。例えばソーラーパネルが安く、効率的になってくれば非常に効果が上がるようになります。ですが、1人1人の意識がなく、大量に使って捨てていては、いくら規制と法律や新しい技術があっても意味がない」と個人の意識の重要性について説いていた。 村上氏は、「大黒氏とはこのイベントの前から何度もお会いして、環境問題について質問攻めにしていて、いろいろな話をしていくうちに、いろいろな意味での気づきがありました」と話し、具体的な活動については「いろいろな形で呼びかけはできると思うんですね。例えば大好きなミュージシャンや女優さんがペットボトルを分別しているとかいえば、影響を受けるし、大黒さんのように具体的な問題を語ったり、私のようにゲームで伝えたり」と個人の意識を高めるためには啓蒙活動が大事であることを語った。
三船さんは、「ぶっちゃけていいますけど、今エコブームでみんなやってるやってるって言いますし、私もやってますよ。でも、1人だと挫折しちゃいそうなときがあるんですよ。ペットボトル、これ悪いの知ってるんだけどつい買っちゃうんだよなとか、エコバッグ忘れちゃってレジ袋お願いしますとかあっても、家族とか友達同士とかでエコしよっかって話し合って、お互いに注意しあうことで、自分も気をつけられるし、家族の絆も強くなるのかな」と家族や友達など、周囲の人たちと一緒にエコ活動することを勧めた。 村上氏は、「環境破壊の究極である戦争っていうのは、最初は入れなきゃいけないテーマだと思っていたんですよ。でも、戦争で街が壊れてしまうと、もう環境に目が向かないんですよね。反戦のゲームになってしまうので、環境のゲームにするためには戦争をはずす必要があったんです。なので、日本も戦後復興のタイミングからスタートするような作りになっています」と戦争をあえてはずしたことを明らかにした。
最後にエコ活動について大黒氏は、「エコ活動ってともすれば“せこい”と言われますが、せこいということを考えず、恥ずかしがらずにやりましょう。例えば、髪を洗っているときにシャワーを止めたりだとか、あとは食べ残しが問題なんです。日本中で食べ残しを金額換算すると年間11兆円といわれているんですよ。日本の農水産業で生産される食料は年間12兆円で、日本で作られているのと同じくらいの価値のものが捨てられちゃっています。できることは、“もったいない”と思うことから」とコメントした。
「シムシティ」シリーズは、このイベントからもわかるように、環境が重要なテーマになっていることは周知の通り。プロデューサーの村上氏によると、「今までのシリーズは現代を舞台にしたものが主流で、今の街を今の人間が作っていくと。それが今作では古代から、どうやって今まで街が成長してきたんだろうというのを、改めて見直せるような、本当の意味での“まちづくり”を表現したかった」ことから、シリーズ初となる“時代”の概念を導入したという。
最初は古代で街づくりを進め、次の時代へと街を持ち越していく形になる。持ち越すとは、前の時代で家が建っていたところはそのまま家が残っていくため、先の時代までを考えた街づくりが重要になるという。
そして時代の流れは、日本だけではなくヨーロッパやアメリカにも分岐していき、それぞれの異なる“常識”を体感しながら、違う街づくりを目指していく。街の住人である「シム」も、それぞれの時代ごとに姿も変わるようになっている。さらに「シム」は姿だけではなく、進化も遂げていて、いろいろな要望を伝えてきたりするようになる。
環境を考えることに繋がる部分として、「例えば工場のまわりには人は住みたがらないということから始まって、そのうちにマップを埋め尽くす状態になります。そうしたら、次はより高いビルを作ってさらに多くのシムを住まわせたり、また街の環境を良くして、ほかの街から移り住む人を増やすといったプレイに切り替わります。そうしていくうちに、『現実の街の環境はどうなんだろう?』と考えるきっかけになってくれればと思います」と村上氏はアピールした。
また、時代を引き継いだ街は、「町火消」があった場所が「消防署」、「寺子屋」が「学校」になるなど、同じ役割を果たす建物に変わるなど、現実に即した変化をするため、今自分が住んでいる街の成り立ちを考えるのにも役立つのではないかと語った。
□エレクトロニック・アーツのホームページ (2008年3月18日) [Reported by 滝沢修]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|