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★DSゲームレビュー★

壮大なスケールの“協力アクションRPG”が携帯ゲーム機で登場!
「ソーマブリンガー」

  • ジャンル:協力アクションRPG
  • 発売元:任天堂株式会社
  • 開発元:株式会社モノリスソフト
  • 価格:4,800円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(2月28日発売)
  • CEROレーティング:A(全年齢対応)



 「ゼノサーガ」、「バテン・カイトス」シリーズなどでおなじみの株式会社モノリスソフトが制作した、ニンテンドーDS専用完全オリジナルの新規タイトル「ソーマブリンガー」。本作はクォータービュー視点のアクションRPGで、高いアクション性と爽快感、さらに「ディアブロ」に代表される「トレハン(マジックアイテム稼ぎ)要素を加味した中毒性の高い作品に仕上がっている。

 そして、練り込まれたゲームシステムと壮大で重厚なストーリーをバックに、バトル中でも思わず聞き入ってしまう素晴らしいBGMなど、「新規タイトルでよくぞここまでやった」と感服せざるを得ないタイトルだ。

 また、ニンテンドーDSのソフトだが、タッチペンをいっさい使わないゲーム仕様となっているほか、ワイヤレス通信で最大3人までパーティを組んだ協力プレイが可能だ。だだし、その際にはプレイする人数分のソフトが必要となるので注意してほしい。

 今回は、ネタバレを防ぐため、ゲーム内容についてはシナリオ中盤までを軸に記事を構成している。筆者自身はもっと先までゲームをプレイしているので、本作の魅力を書ける範囲内で全力でお伝えしていこうと思う。


■ 本作の世界観について

 トルヴェール[本作の世界全体の総称]全域の地脈、大気に満ちるエネルギー「ソーマ」。人間達はソーマの集束装置「ソーマケイジ」を開発し、それは世界の文明エネルギーとして活用されている。

 しかし、トルヴェールには「ビジター」と呼ばれる謎の生命体が存在し、ソーマエネルギーのバランスが崩れたところに出没しては、破壊の限りを尽くす恐るべき存在だった。そのビジターに対策するべく設立されたのが、「軍事組織ファルズフ」であり、プレーヤーキャラクタたちが在籍するチームである。



 ビジター討伐を主たる任務とし、国家間の争いには中立の立場である「ファルズフ」だが、ストーリーが進行するにつれて、トルヴェールの運命を左右する戦い、そして国家間の権謀術数に巻き込まれていくのだった……。




■ ゲームの基本的な流れ

 本作はゲーム進行がACT(章)で区切られており、一定段階までストーリーを進行→ACTボスと戦闘→勝利後にACTクリアイベント発生→基地艦内のブリッジから次のACTへ、という流れになる。ストーリーの進行過程では、仲間同士の会話シーンや心理描写のカットイン、中ボスクラスの敵とのバトル、出会った人々からクエストを受けるなど、様々なイベント展開が用意されている。もちろん、シナリオからも目が離せない。

ACT開始時は大抵の場合、各キャラごとのイベントシーンが見られる。これで各キャラの個性も自然とつかめていく。シリアスな場面からお笑いシーンまで様々


 なお、街や艦内のほか、バトルエリアのマップ上には「ゲート」と呼ばれる転移装置があり、一瞬で各地のゲート間を移動できる。アイテムの中には任意にゲートを作り出せるものもあるので、部隊編成や買い物などはゲートを利用してストレスなく行なえる。

このゲートで瞬時に各ポイントへ移動できる。戦利品を倉庫にしまいに戻るときなど、頻繁に利用する機会がありまくりだ。ゲートを生成するアイテムもあるので、常に複数個は手持ちアイテムに確保しておきたい



■ 豊富なプレイキャラクタとクラス(職業)

 プレーヤーキャラクタは最初7人から選択でき、クラスは6種類用意されている。ここで選択したキャラクタを主人公にゲームストーリーは進行していくが、ストーリーの基本的な大筋はどのキャラクタを選んでも同じなので、好みで始めてしまってまったく問題はない。会話イベントシーンでの掛けあいなどに多少の違いは出てくる場合があるようだが、ストーリーが分岐するようなことはないので安心してほしい。

 プレイキャラクタは皆、個性的なメンバーが集まっている。一応、本作の主人公的存在は「ヴェルト」という第七中隊の新米兵士。このヴェルトと、謎の少女「イデア」の関係がメインストーリーに大きく関わっていく。しかし、だからといってヴェルトを選択することをオススメするわけではなく、筆者の場合は「カデンツァ」という男性隊員を選んでゲームを開始した。

樹海の繭の中から現われた少女イデア。その存在に最初に気付いたヴェルトが、イデアの世話役のような役割となる。イデアはヴェルトに対して、次第に心を開いていく


 キャラクタ決定後はクラスを選ぶ。近接戦に長けた「バトラス」と「カンプス」、片手武器と盾を扱うバランス型の「コーアス」、両手武器に加えて暗黒魔法を操る「ダークス」、そして遠隔攻撃が得意の「ガンナス」と各種属性魔法を操る「ソーマス」といった6種類のクラスから1つを選択することになる。

 強要するわけではないが、最初に選ぶなら「バトラス」か「コーアス」がオススメだ。ちなみに筆者はコーアスでプレイしているが、盾が使えることで戦略性が広がり、聖魔法のヒールやホーリーアーマーなど回復や防御手段にも長けており、戦闘を楽しんでいる。「バトラス」の場合は敵とガチンコの殴り合い――いや“どつきあい”というほうが正しいかもしれない――戦闘スタイルになりがちだが、攻撃ボタンを連打しているだけでゴリ押し可能な場合も多いので、アクションRPG初心者の方にはバトラスのほうがいいかもしれない。



 なお、仲間キャラは最大で2人まで連れて行ける。部隊編成は「マートル」という後方支援班の隊員に話しかけることで可能だ。ちなみにこの「マートル」は艦内や街などにいて、ゲームのチュートリアルを説明する役割を担うキャラクタでもある。

部隊編成では作戦の決定が重要。仲間キャラが一定のレベルまで成長すると、指示できる作戦スタイルが増える仕組みになっている
 部隊編成ではメンバーの選択、作戦の指示(戦闘時の行動パターンを選べる)、負傷して戦線離脱した仲間の治療を行なう。残念ながら、仲間キャラの装備をプレーヤーが変更することはできない仕様となっているため、仲間キャラのクラスにちょうど良い装備をゲットしても「ショップで換金する」くらいしか使い道がないのは残念。一応、マルチプレイ中であればプレーヤー間でトレードすることが可能なのだが……。


■ バトルモードとアビリティ(クラス特有能力)

 街や艦内から出るとバトルエリアが広がっていて、フィールドエリア上には多数の敵が徘徊している。下画面には周辺マップが表示されるのだが、マップ上にアイコンで自分や味方の位置、さらには敵や宝箱、イベント発生ポイントまでわかるので非常に便利。ほとんどマップ移動で迷うことなく、戦闘をこなしながらシナリオを進めて行けるハズだ。



 基本攻撃やアビリティ、アイテムの使用などのボタン配置は、スタートボタンで開くメニュー画面で自由に決めることができる。4ボタンそれぞれに、1つのアビリティや行動を設定できる。また、キャラクタのレベルが一定値まで上がると「RANK」がアップし、アビリティの登録ページが増える。ページタブはRボタンで瞬時に切り替え可能なので、プレーヤー次第でアビリティのボタン配置がカスタマイズできる自由度の高さは高く評価できるポイントだろう。

 ちなみに筆者は「Aボタン=攻撃系、Bボタン=盾防御系or支援魔法、Xボタン=盾攻撃系、Yボタン=回復魔法」という配置で、アビリティ登録の2ページには各種「範囲支援魔法」などを配置している。素早く切り替えて仲間キャラのカバーが間に合ったときなど、操作の爽快感とともに、ちょっとした優越感を感じたりすることも。これがマルチプレイだったら、相当に楽しいだろうな……と、つくづく思うのだった(マルチプレイについては後述する)。

筆者のキャラクタのアビリティは、このようなボタン配置で登録している。慣れると素早くRボタンで登録ページのタブ切り替え&アビリティ使用ができるようになり、テクニカルな戦闘操作感が気持ちよくなってくる


 アビリティはSP(ソーマポイント)を消費し、攻撃系から回復、防御、支援系など様々なものがある。一定範囲内に効果を及ぼす「ホーリーアーマー」や「デバインマジック」などは、仲間キャラが範囲内にいるときに使用するべきで、そのタイミングを見極めるのが意外に楽しい。発動中に仲間キャラが敵を発見し、そっちへ突撃して行ってしまい、発動完了したときには範囲外に出てしまっていることなどが良くあったりする(とっさに発動をキャンセルすることが可能ではあるのだが)。近接攻撃のアビリティは、基本攻撃のパワーアップ版や、2~3回の高速連続攻撃、ヒット時に敵を弱体化させる技など、こちらも様々な種類が用意されている。

 アビリティはレベルアップ時に得られるポイントを振ることで強化でき、一度振ったポイントをリセットして戻すことも可能なため、キャラ特性を自由にいじることができる。ただし、「腕力」などのステータス関連パラメーター値は、一度振ったポイントをリセットできないので注意していただきたい。


■ ブレイク&スーパーブレイクについて

 本作のバトルにおいて、敵に大ダメージを与える重要なシステムが「ブレイク」と「Sブレイク」だ。敵に一定量のダメージを与えると、敵の頭上に「!」マークが表示され、さらに続けてダメージを与えていくと「!!」マークが、そこ追撃を決めると「!!!」マークと共に「BREAK」の文字が表示される。ブレイクの最中は完全無防備状態となり、攻撃に追加ダメージが加わり威力が大幅にアップする。

 しかし、重要なのは「BREAK」の文字を出すときにヒットさせる攻撃で、特定のアビリティ攻撃をヒットさせた場合は、敵を吹き飛ばす「ノックバック」や、敵を空中に浮かせて「空中コンボ」で追撃可能になるなど、キャラクタごとに様々な「ブレイク効果付きアビリティ」が存在するのだ。

 さらに、敵の攻撃アクション中に、こちらの攻撃をカウンター気味にヒットさせた場合、上級技の「S BREAK」が発生する。このスーパーブレイクは、敵の攻撃を打ち消すうえに、敵を空中にさらに高く吹き飛ばすなど、通常のブレイクよりも強力な効果を持つ。

単純に攻撃をヒットさせまくっていれば敵をブレイクできる。しかし、ブレイク時にヒットさせる攻撃が肝心なので闇雲に連打しているだけではダメ。浮かせ効果のあるアビリティなどをブレイクの瞬間に叩き込もう



■ マジック効果が付加された豊富なアイテムの数々

 「濃厚なストーリーの良質アクションRPG」ということだけで終わらないのが本作「ソーマブリンガー」の驚異的なところ。本稿の最初でも触れたが、いわゆるアイテム稼ぎの「トレハン」こそが、本作のコアとなる要素と言っても過言ではないだろう。

 ゲームを開始するとプロローグ後にACT1がスタートするが、序盤では敵がドロップするアイテムはノーマル品がほとんど。しかし、中盤の「古都アマティー」に到達するころから、防具にマジック効果の付加しているものをぼろぼろと敵がドロップするようになる。このあたりから装備の組み合わせなどが一気に楽しくなり、宝箱を回収しまくっているうちに、気付けばACT2まで進んでいることだろう。

敵を倒した場合に宝箱や宝袋がドロップすることがある。また、マップ上に最初から配置されている宝箱も多数ある。中身は当然ピンキリだが、超級といえるようなマジックアイテムが入っていることも


 マジックアイテムはアイコンで4色(4段階)に分類されているので、色によって判別できる。装備品に付加するマジック効果には、「攻撃力アップ系」や「防御力アップ系」、「各種耐性(レジスト)アップ」や「各種能力値アップ」といった基本的な効果から、「攻撃速度アップ」や「移動速度アップ」といった戦力、戦術が大幅に向上するものも存在する。武器には「火攻撃+36」というような「属性追加ダメージ」が付加しているものが多い。

 他にも上位のマジック効果には、攻撃ヒット時に「HP吸収」や「SP吸収」などもあり、近接戦闘時には必須と言ってもいいほど強力な効果を及ぼす。各クラス別専用の効果では、「ソーマス特技+1」というのも存在し、この場合はソーマスの全アビリティのレベルが+1される。トレハン系では「ゴールド発見率アップ」や「財宝発見率アップ」などもあり、どの程度の効力があるかはまだ謎だが、財宝発見率アップはいずれ役立つこと間違いないだろう。ちなみに変わった効果では「獲得EXP+○%アップ」というものまで存在する。

これらのマジックアイテムは実際強力だが、実はこれでもまだまだ序の口である。ゲーム終盤になればなるほど、驚愕するほどの超級マジックアイテムが目白押しだ。財宝発見率アップの装備で身を固めてトレハンに挑戦してみるしか!?



■ 各装備にセットできる“オーブ”の効力

 すべての武器・防具・アクセサリーには、「オーブ」をセット(装着)することのできるスロットが開いている。オーブにも様々な種類があり、一部はショップで購入可能だが、上位のオーブは敵からのドロップか、もしくは「合成」を利用して作り出すしかない。

 例えば「火オーブ」をどの装備(武器である必要はない)にでもいいのでセットすれば、攻撃ヒット時に「火属性追加ダメージ」を得ることができる。他には「青のオーブ」をセットすると「水耐性(レジスト)」がアップし、敵の水属性攻撃のダメージを軽減することができるようになる。

 そしてオーブ同士は「合成」することが可能で、同一のオーブ(例えば火オーブ×2)を合成すると、「火オーブLv2」に成長して効果も増加する。ただし、合成で成長できる上限Lvは、オーブの種類によって決まっている。なお、合成については未知の要素があり、異なった種類のオーブを合成すると、ランダム(ある程度の法則はあるかもしれない)でまったく異なったオーブが生成される。

 筆者は、価格が500の「分離オーブ」と、敵のドロップで拾った「器用のオーブ」を合成し、価格3,000もする「風のオーブ」になった。使う予定のないLv1のオーブが溜まっているなら、合成にトライしてみると面白い結果になるかもしれない。ちなみに事前にセーブしておいてから合成する(リセットしてやり直せる)やり方もあるが、どうするかはユーザー次第だ。

火オーブ同士を合成してLv1高いオーブが生成された。これをスロットの空いている装備にセットすれば、攻撃時にLv2の火属性追加ダメージが得られるというわけである


 最後に「分離オーブ」について。分離オーブを使うと、装備にセットしたオーブを取り外すことができ、さらに取り外したオーブはちゃんと残るので安心(使用した分離オーブは消滅する)。ところが注意点が1つあり、分離の成功率は95%……つまり5%の確率で分離オーブが無駄になる場合がある(元のオーブはそのまま残る)。これもまた、事前にセーブしておけばやり直しが効くが、そこはプレーヤー自身が判断してもらいたい。




■ 実際にプレイしてみて感じた本作の不満点

 まず最初はゲーム開始時の仲間キャラが、アグレッシヴかつ強すぎるという点。プレーヤーが発見するよりも早く、仲間キャラが敵を“見敵必殺”という感じに倒しまくっていく。その場合でもプレーヤーに経験値こそ入るが、「ゲーム序盤で操作や戦闘に慣れよう」という段階で、いくらなんでも仲間キャラがガンバりすぎではないか? もちろん極論的なことを言うユーザーには、「イヤなら途中から部隊編成でメンバー待機させればいいじゃん」という話が出がちだが、いわゆる「縛りプレイ」はせめて1回クリアしてから、というのが人情だろう。

 序盤といえば「バトラス」でプレイした場合に顕著だが、「こちらの攻撃がヒット→硬直中に敵の反撃がヒット→再びこちらの攻撃~」という、回避しようのない殴り合いになりがちな戦闘には、大きく不満がある。ゲーム中盤を過ぎ、攻撃および移動速度アップの装備が揃ってくれば、敵の背後に回ってから攻撃を仕掛けたりと戦術面も広がるが、「アビリティを連打してるだけ」的にどうしてもなりがちな戦闘の仕様はどうかと。これはバトラスに限らず、近接職でのボス戦などゲーム中盤以降でもよくあるシチュエーションなので、システム的に回避してほしかったところだ。

 次にストーリーについて。今回はゲーム中盤となるACT3までの内容しか触れてないが、プレーヤーキャラクタとして選択したキャラが、会話イベントシーンでほとんど発言がなかったり、相づちをするだけだったり、寂しい思いをすることが多々ある。前述したが、筆者はカデンツァでプレイしているが、ACT2クリアまで彼の発言ほとんど「ミラーズやフォルテをたしなめたり」といった完全脇役視点。これはこれで、シナリオを客観的に見ている感じが楽しくもあるのだが、やはり主人公に選んだキャラクタにはもうちょっと発言の機会を与えて欲しい。

 全ACTをクリアしたら、次は絶対に「ヴェルト」で再プレイしようと誓った筆者だったが、ACT3クリアまでプレイしたところ、なんとカデンツァにスポットがあたるシナリオ展開に。脇役に徹していれば、いつかは実るものだなぁ……と思う反面、やはりヴェルト以外の初期6キャラのシナリオへの関与の仕方は、ストーリーに分岐がないとはいえ、もうちょっとなんとかして欲しかったというのが正直な感想である。これは不満点というよりも要望に近い意見だが……。

 最後に戦闘について。「ブレイク」で浮かせて空中コンボを2~3発、そして地面に落下ダウン後に追撃を数発。たしかに爽快ではあるが、ちょっとこれだけでは“BREAK!”という感じには思えない。ザコキャラとの戦闘で「ブレイク」させたころには、ザコキャラはすでに瀕死なので、数発の追い討ちでトドメを刺せるケースがほとんどだと思う。

 いっそのこと「浮かせブレイク」が決まったら、「Sブレイク」並に高く浮かせて、もっと落下速度も遅くし、空中コンボでゴリゴリとダメージを与えて一気に倒せてしまえるくらいのバランスで良かったのではないか? すくなくても対ザコ戦に限っては。

 もちろん、重装で固くて思いザコや、中型~大型のザコ&ボスは「浮かせブレイク」で簡単には浮かなくていいし、それによって「ボス戦はノックバックのブレイクのほうが有効だ」というような戦略性も生まれてくると思うのだが。とにかく、主人公と仲間の3人で「近接戦でブレイクさせてタコ殴りで撲殺勝利!」の繰り返しには、さすがに飽きがきてしまう。


■ マルチプレイに見る本作の可能性

 シングルプレイでは、プレーヤーキャラクタの使わない(使えない)装備は、売ってお金にするか捨てるかしかない。しかも、途中からお金がけっこう溜まるわりに、使い道がほとんどなく、最大Lvのオーブを作るときくらいしかお金を使う機会もなくなってくる。

 しかし、マルチプレイの存在を忘れてはならない。ハッキリ言って、マルチプレイを経験したユーザーと、シングルしかプレイしてないユーザーでは、「トレハン」の楽しさも違うし、「ブレイク」絡みのコンボ、連携についても印象が全然違うのではないだろうか?

 本作は、ニンテンドーWi-Fiコネクションには未対応なので、ワイヤレス通信のマルチプレイをできる環境のユーザーは少ないと思うが、ぜひ一度体験してほしい。いままで捨てていた「ごっついマジック効果がいろいろ付加した両手剣」や「あ、これイケてる……ってテンガロンハットかよ! 俺だと装備無理じゃん……」なんて装備をトレードする楽しさ。事前にお互いがどのアビリティを使うか相談し、敵を「浮かせブレイク」させたら二刀流で空中コンボ、そこへ先読みで詠唱していた攻撃魔法が落下地点にドッカーン!!……どうですか、楽しそうでしょう?

 筆者はあえて、「これがWi-Fi対応だったらなぁ……」とは言わない。むしろ、なんとか知人に「ソーマブリンガー」を購入(場合によってはDS本体も!)させ、週末に自宅にでも呼び集めてマルチプレイをして欲しいと思う。実際、普通の部屋の一室で、「宝箱拾うのはえーよ!」とか「ちゃんと追い討ち決めろって!」とか「ヒール! ヒールプリーズ!」とか言いながらやるのは本当に楽しい。……でも、次回作が出るならどうか絶対にWi-Fiに対応してほしいんですけどね。


■ そのほか、名曲ぞろいのBGMや本作のボリュームについて

 本作の楽曲は、有限会社プロキオン・スタジオの光田康典氏が担当している。悠久を感じさせる幻想的なメロディもあれば、ハイテンションなバトルサウンドなど本当に名曲揃いで、ボス戦の音楽やカットインで曲が変わる場面などで「最後まで聴かせてくれぇ~」と散々思った筆者だが、4月2日に「SOMA BRINGER OST」が発売される。MIDI音源verの4曲を加えた全59曲CD3枚組みで、光田康典氏の全曲解説付きとのことだ。

 本作の早期購入特典プレミアム・サウンドトラックCDをゲットしそこなった人も、ゲットできた人も、このサウンドトラックはぜひともゲットしておきたい逸品だろう。

 さて、本稿の最初で書いた通り、筆者自身は今回紹介した時点よりもかなり先までゲームを進めてある。その上での感想としては、本作は、1回クリアしてからが本番……というか、1回クリアしただけではゲーム全体の50%もやり尽くせていない、と感じている。現時点で言えるのはこのくらいだが、ぜひともゲーム終盤、そしてクリア後の展開に期待してゲームを楽しんでいただきたい。そして、いつか素晴らしい出来栄えの続編が出ることを期待して止まない。


(C) 2008 Nintendo/MONOLITHSOFT
(C) 2008 PROCYON STUDIO CO.,LTD.

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□モノリスソフトのホームページ
http://www.monolithsoft.co.jp/
□製品情報
http://www.nintendo.co.jp/ds/ybsj/
□関連情報
【2月25日】最大3人で一緒に遊べるアクションRPG
任天堂、DS「ソーマブリンガー」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080225/sb.htm

(2008年3月12日)

[Reported by 藤沙 環]



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