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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約700円)
では残り半分に何があるのかというと、PCやテレビ、デジカメ、携帯電話、ポータブルオーディオプレーヤー、電子手帳といった電子機器類をはじめ、ワープロやCADなどの実用的ソフトや、語学や幼児教育などの学習ソフト、さらには書籍やDVDソフトなども、出展各社のブースに置かれていた。PC関連の商品が多いのは、イベントの前身として電脳多媒體展(PCマルチメディアショウ)があったため。現在は電脳多媒體展という名前はなくなっているものの、形としてはそのままの流れで残っている。 出展物の大半は機器のデモではなく、その場で販売を行なっていた。しかも市価よりもかなり値下げしていたり、独自にセット販売したりとお得な内容になっている。どうやらこのイベントは「ものを売るための場所」という発想が核になっており、ゲームユーザーが興味を持ちそうなものは何でも売ってしまえ、という方向性で動いているようだ。
これらはゲームと関係ないとはいえ、現在のTaipei Game Showの姿を象徴的に示したものであるのは確かだ。せっかくなので、これらのブースの様子もざっくりと紹介しつつ、会場で見つけた台湾ならではの面白いゲームグッズやガジェットを紹介していこう。
■ ゲームショップ、関連グッズを扱うブース SCE TaiwanやMicrosoft Taiwanといったブースでは、自社の製品をその場で販売していた。値引きのみならず、ソフトや周辺機器をセットで売り、さらにお得感を出していた。
SCETの物販コーナーを覗くと、陳列棚に並べられたPSP本体の前に、シンプルなPSP本体用ポーチが置いてあった。PSP各色に合わせたカラーで、○×△□のロゴが入っている、いかにもオフィシャルな製品だ。日本で発売されていないものなので、お土産に1つ買っていこうと思ったら、会場でPSPセットを買った人への特典として用意されているものだった。さすがに本体まで買うわけにいかず入手できなかったが、日本で単品販売でもしてくれないものだろうか。
対するMicrosoft Taiwanブースを見ると、よさそうなシートに腰をかけて「ロスト オデッセイ」をプレイしている来場者が見えた。リラックスした状態で遊ばせてくれるとは気が利くなあ……と思ったら、脇に立て看板と価格の表記が。このシートも商品として販売されていた。
ゲームパブリッシャーのブースでは、上記2社とオンラインゲームが目立つ中、光譜資訊は色が違った。「メモリーズオフ」シリーズや「プリンセスメーカー」シリーズなどの中文版を発売している会社で、今回は「Memories Off #5 とぎれたフィルム」と「プリンセスメーカー5」の試遊台を設置。他にも工画堂スタジオの「ディア ピアニッシモ」や「状況開始っ!」の中文版ソフト、また「メモリーズオフ」シリーズの中文版画集なども売られていた。
客層は20歳前後の男性もいたが、年齢を問わず女性が多かった。小学生くらいの女の子を連れた家族もおり、いわゆるギャルゲーとしてではなく、かわいいキャラクタが出てくる女の子向けゲームとして目を向けられている面もあるようだ。
安佐國際設計のブースには、スピーカーを内蔵したゲーミングチェアが多数置かれていた。日本でゲーミングチェアというと、レーシングシートのようなかっちりしたものを想像する人が多いと思うが、ここにはビーズクッションのようなものもあった。普段は普通のクッションとして使って、ニンテンドーDSなどの携帯ゲーム機を遊ぶときにはケーブルを繋いで音を出す、といった使い方を考えているそうだ。誰でも気軽に使えて、ゲームユーザーも満足できるという、よさそうな商品だった。
フライトシミュレータのファンをターゲットにした雑誌「PC PILOT」もブースを出展。マルチディスプレイ環境に、Saitekのフライトヨークを取り付けてゲームのデモを行なっていた。もちろんこれも見せるだけでなく、ちゃんと雑誌やSaitek製品を販売していた。
ゲームショップはいくつかの会社が出展していた。普雷伊ブースだけはコンシューマを主に扱っていたが、その他はほぼPCソフトのみ。「World of Warcraft」などのパッケージソフトを販売しつつ、古いソフトはワゴンに乱雑に積み上げ、大安売りをしているところが多かった。 秀橋ブースではソフトのほかに周辺機器も販売しており、特にマウスやゲームパッドが充実していた。マウスを見ると、「Laserless」と書かれた光学式マウスが積まれていた。台湾でも「まだレーザーマウスは信用ならない。シビアなゲームは光学式で」という考えがあるようだ。
そしてゲームパッドでは日本語が書かれたものを発見。「手指はマシサーヅでゲームをした」。要するにバイブレーション機能付きなのだろうか……。まじめに分析すると、台湾では日本のファッションが人気で、日本製品は一種のブランド的存在なのだそうだ。日本語を書くことで、格好よさや高級感をあおりたかったのだろう。日本人的には、ちょっと惜しい。
会場の端のほうに行くと、カプセルトイ販売機がずらりと並べられたコーナーがあった。中身はほぼ全て日本にあるものと同じようで、販売機の商品説明も全て日本語。しかも顔文字キャラクタや日本の'80年代のゲーム機をモチーフにしたフィギュアなど、台湾で理解されそうにないものまで置いてあった。それでも時折、10代前半くらいの女の子が足を止めて買っていく姿が見られた。価格は1つ30~100台湾ドル(約100~350円)に設定されていた。
■ PCやAV機器など、ゲーム以外の出展ブースも多数
PC関連商品では、液晶モニタやプリンター、スピーカー、ヘッドフォンなどが出展、販売されていた。意外なことにキーボードやマウスといったゲーマーに直結するグッズはほとんどなかった。日本のゲーマーは高性能なキーボードやマウスに対する注目度が高いものだが、台湾ではさほど注目されていないのかもしれない。
家電製品も多彩だ。SCETのブースでは、ソニー製の液晶テレビを使って出展しているのだが、その近辺では「ソニー製液晶テレビを販売中」といったプラカードを掲げた燦坤3C(家電量販店)のスタッフが回っていたりする。また燦坤3Cの次に大きなブースを構えた士林電機がソニー製品のコーナーを広く設けたため、かなりソニー製品が目立っていた。
ちなみに台湾の人に話を聞くと、ソニーやパナソニック、日立などの日本の家電メーカーのブランド力は極めて強く、手にすることがステータスとなるような憧れの製品なのだそうだ。ただし価格も台湾製品に比べるとかなり割高だ。SCEのゲーム機もソニーらしさを感じるスタイリッシュな製品なだけに、そういう製品の1つとして見られているのかもしれない。
テレビの他には、ペンタックスやオリンパスがデジカメを中心にブースを出展。日本製のビデオカメラがずらりと並ぶ店もあった。またポータブルAVプレーヤーもあちこちで販売されており、特にiPodにそっくりなデザインの製品が多く並んでいた。台湾の携帯電話会社の大手、中華電信もブースを出展。「太鼓の達人」のアプリを出展しながら、やはり携帯電話も販売していた。
ソフトウェアでは、幼児教育をターゲットにしたPCソフトや、家のデザインシミュレーションができるちょっとゲームっぽいソフト、翻訳ソフトなど、一般向けから業務用まで幅広い内容の出展があった。目に付いたのは知育ソフトで、幼稚園くらいの子供とお母さんが一緒に体験している姿を割と目にした。入場料がかかるイベントなのだが、どういう経緯があってこの親子の取り合わせが入ってきたのかが気になる。
このほかにも、電子機器類からも離れた商品がまだまだある。ブロックトイやモデルガンといったおもちゃは理解できなくもないのだが、意外と多かったのがカー用品。車載用のAVプレーヤーや、電源の変換機、さらにはカーワックスのような商品まであった。
そんな中で見つけたユニークな商品を紹介しよう。まずは宇成光電科技で販売されていた太陽電池「Dr.Solar」。手のひらに乗せられる程度の太陽電池パネルで発電し、PSPやiPod、携帯電話などの機器に給電する。ユニットに1,000mAhの充電池を内蔵しており、太陽電池の電力をここに充電。他の機器を接続すると、この充電池から放電するという仕組み。コネクタを取り替えれば、あらゆる機器に対応できるとしている。中にはUSB端子になるものまであったので、変換さえすれば本当に何でも使えそうだ。
屋外で充電しながらゲームをするというシチュエーションは想像しがたいものがあるが、充電池を内蔵しているので普通の予備電池として使える。個人的には、携帯電話やPDAを充電できるので、防災用品として重宝するのではないかと思った。価格は3,800台湾ドル(約13,000円)だが、会場では3割以上値引きして販売されていた。
さすがにこれはその場で売るというわけにはいかないようだが、担当者は「ほらほら、美しいポーズをとらせますからぜひ写真をどうぞ!」と熱心に説明をしてくれた。見た目にインパクトがあるだけに、足を止めて見ていく来場者も多かった。
■ 「ここにしかない魅力」はあるのか?
ところが今年のTaipei Game Showでは、新作を触れるという印象は薄い。各ブースでは、それぞれにイベントを行なって来場者を集めてはいるが、女の子が出てきて踊ったり、ノベルティをばら撒いたりするイベントの時だけ人が集まっていた。その流れも、とても刹那的で、ブースに足を留めるものではない。自分が好きなアイドルがイベントに出るから来るということはあるかもしれないが、それもイベントとして継続的な魅力にはなりえない。 では安売りが魅力なのかということになるが、少なからず時間とお金をかけて会場にやってきて、ものすごい人ごみにもまれながら買い物をするのが主目的というのは、ちょっと想像できない。出展社のスタッフなど現地の人にも話を聞いてみると、新作ゲームの出展が減り、イベントとしての魅力が薄れ、意味を失いかけていると感じている人は多いようだ。
来年も同じノリで年末年始のバーゲン会場を目指すのだとしたら、ゲームイベントとしては今後ネガティブに考えざるを得ない。前身はどうあれ、堂々とGame Showと銘打つのだから、今後はゲームファンがゲームのために来たくなるような取り組みを期待したいものだ。
(2008年1月27日) [Reported by 石田賀津男]
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