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コーエー、「信長の野望Online ~争覇の章~」製品発表会を開催
九州三国志、大決戦、戦国絵巻など、ストーリーMMOとしての大幅な仕様拡張を発表

12月16日開催

会場:恵比寿ガーデンルーム



 株式会社コーエーは、12月16日、東京恵比寿の恵比寿ガーデンルームにて、「信長の野望Online」の拡張パック第3弾「争覇の章」の製品発表会を開催した。今年7月に実施された「大航海時代 Online」拡張パック第2弾「Cruz del Sur」製品発表会と同様に、事前に募集したユーザー100名が参加し、新たな拡張ディスクの発表を祝った。

 「信長の野望Online ~争覇の章~」は、これまで通り、パッケージ販売とダウンロード販売を予定し、価格を含むビジネスモデルについては2008年1月の発表を予定。2月のユーザー向けβテストを挟み、3月よりサービス開始を予定している。パッケージの価格は未定で、対応OSはWindows 2000/XPおよびWindows Vistaとしている。

 発表会は、通常の製品発表会の第一部と、ユーザー向けのイベントを中心とした第二部の二部構成で行なわれた。本稿では第一部の内容を中心にお伝えしていきたい。

【信長の野望 Online~争覇の章~】
拡張パック第3弾のタイトルは「信長の野望 Online~争覇の章~」に決定。場内の幕には、家門が3つ描かれており、戦国時代に詳しい参加者はピンと来た人もいるだろう。ポスターの主役はずばり島津義久。後ろには島津義弘、大友宗麟、鍋島直茂らが並ぶ。久々に漢祭りのイメージである


■ 「争覇の章」は“ドラマティック戦国物語”がキーワード。ストーリーMMOへの深化を目指す

会場はコーエー御用達となりつつある恵比寿ガーデンルーム。100名を超えるユーザーが参加した
初代プロデューサーの松原健二氏。今回はコーエー代表取締役社長として「信長の野望 Online」ユーザーに向けて語りかけた
正式サービスは2008年3月を予定。1月にはビジネスモデルの発表、2月にはユーザーに向けてβテストも実施する
 「信長の野望 Online」は、2003年6月の正式サービス開始から5年目を迎え、純国産MMORPGとしては、長寿を誇るタイトルである。海外展開は、日本の戦国時代というモチーフの特異性から、台湾を除いては目立った実績は挙げられていないものの、国内では数少ないプレイステーション 2とWindowsのマルチプラットフォームタイトルとして、「信長の野望」シリーズのファンや、戦国時代ファンに愛されている。

 MMORPGは5年がひとつの山場と言われる。初期構想がひととおり実装し終え、レベルキャップの開放、新世界の拡張といった縦方向への進化というアプローチが、全体に対してアップデートの目が行き届かなくなる懸念から、構造的な限界に達する。また、グラフィックス的な見た目の部分でも本質的な飽きが生じてくる。次の5年を狙うためには、ゲームそのものの構造改革が必要となるわけだ。

 そういう意味で極めて注目された発表会だったが、「争覇の章」における“九州三国志”を筆頭とした5本柱の拡張内容は、別の遊び方を提案する横方向への進化を中心に、低レベルから高レベル、初心者から上級者まで、あらゆる層を意識した「模範的な純国産MMORPGの拡張ディスク」だった。

 発表会は、コーエー代表取締役社長松原健二氏の挨拶からスタートし、松原氏自ら拡張パック第3弾のタイトルが「争覇の章」であることを発表した。松原氏は挨拶の中で、ここまで成長できたのは様々な意見を寄せてくれるユーザーの支援によるものとして繰り返し感謝の言葉を口にした。すでに現場は退いたとはいえ、初代プロデューサーとして、「争覇の章」に関するコメントも期待されたが、社長という立場を意識し、詳細については山中肇運営プロデューサーにバトンを譲った。

 この「争覇の章」というタイトルからは、5年という歳月を経て、半ばルーティン化、固定化してしまったゲーム世界に対して、新たに「信長の野望」シリーズらしい戦乱の幕開けを期待させてくれる。しかし、山中プロデューサーから飛び出した言葉は、“ドラマティック戦国物語”という意外なものだった。山中氏によれば、ユーザーからは、ゲームを分かりやすくして欲しいという一般的なものに加えて、「もっと戦国時代を楽しみたい」という同シリーズならではの要望が多かったという。

 山中氏は、「争覇の章」では、戦国時代はドラマに満ちた時代だということを意識し、物語風に戦国時代を楽しめ、ドラマを見るようなわかりやすさで、すんなりゲームに入っていけるように工夫を凝らしたという。

 「信長の野望」は、合戦と徒党でのバトルにフォーカスを当てたバトル重視のMMORPGだったが、今後は物語性を取り入れ、ストーリーMMOとしての側面も重視していくことになる。MMORPGのトレンドは昔も今も、ストーリー重視、バトル重視に二分されるが、5年目にして改めてストーリー性を加味していくというのは大きな軌道修正といえる。

【「争覇の章」オープニングムービー】
「信長の野望 Online~争覇の章~」のオープニングムービー。「九州三国志」がメインフィーチャーされており、3勢力の情景や、ダンジョン高千穂でのバトル風景などが点描される


■ ついに島津、大友、龍造寺が参戦、三つ巴の城取合戦が展開される“九州三国志”

「信長の野望Online」ユーザーにはお馴染みの運営プロデューサー山中肇氏
山中氏が提示した「争覇の章」のテーマは“ドラマティック戦国物語”。リアルタイムシネマティックバトルに続く新たなキャッチコピーだ
「争覇の章」の5つの新要素。これらがすべてドラマティック戦国物語というテーマと有機的に結びついているところがポイントだ
 「争覇の章」は大別して5つの柱で構成されている。九州エリアを“広大なダンジョン”という斬新なアプローチで実装する「九州三国志」。既存の合戦システムを抜本的に見直し、100人規模で3時間かけて実施する大規模戦闘「大決戦」。前拡張パック「破天の章」で実装された隠れ里に続く、初・中級者向けのマイルストーンとなる「中・上級者向けクエスト」。全国に点在する200種類以上の名跡、400名以上の武将を、自らが記録として書き写し、自分だけの戦国史を編纂できる「戦国絵巻」、全ワールドから参加可能な対人戦システム「上覧武術大会」。

 そのほか、奥義、上位技能、技能実装枠の拡張や、両替商の拡張、左手装備の開放、知行の強化、生産レシピの追加、潜在能力の追加といった、いわば定例のアップデートも行なわれる。また、見逃せない部分としては、九州地方を中心とした新エリアの拡張に伴い、BGMも新たに追加されている。コンポーザーは、従来通り、ゲームよりむしろアニメ/邦画界で著名な作曲家川井憲次氏が担当している。

 さて、「争覇の章」の拡張項目の中でも注目したいのが「九州三国志」だ。14勢力21カ国の枠組みを維持したまま、いかに新勢力、新エリアというユーザーの要望を満たすかにチャレンジした、非常に意欲的な新コンテンツだ。

 まず、基本設定としては、九州地方を代表する大名家である島津家、大友家、龍造寺家を追加し、各大名の城や隣接する戦場を開放するが、14勢力21カ国の枠組みは維持される。これはどういうことかというと、九州そのものが大小の“ダンジョン”の集合体として扱われており、本土の勢力争いには関わらないようになっている。ユーザーは現勢力に所属したまま、3勢力のいずれかに与力として参戦することになる。

 耳川、沖田畷、今川といった有名な合戦場は“フィールド型ダンジョン”、大名家の武将達がいる府内城、佐賀城、鹿児島城は、“城型ダンジョン”として扱われる。ユーザーの目標は、いずれかの勢力に所属して“三国志”に勝利し、ダンジョン“高千穂”へ攻め入り、火の化身「カグツチ」が守護する天の逆矛(あめのさかほこ)を持ち帰ること。最終目的を達した勢力には、各大名家オリジナルのアイテムが入手できるという。

 大名には、島津久義、大友宗麟、龍造寺隆信が登場し、配下の武将として島津義久(島津家)、立花道雪(大友家)、鍋島直茂(龍造寺家)らが名を連ねている。本土との大名家とは扱いが異なるため、彼らとの交流がどのようなものになるかは未知数だが、今回、ドラマティック戦国物語を標榜し、平常時の立ち姿に加え、合戦時のグラフィックスも別途公開されていることから、クエストやバトルを通じて濃厚なストーリーが楽しめると考えて良いだろう。

 なお、ダンジョン高千穂は、2徒党が同時に入れる多人数参加型のプライベートダンジョンで、各徒党が有機的に動かないと、攻略が難しくなっている。発表会では、徒党Aが手をこまねいている間に、風神、雷神の2体のボスが、同時に徒党Bに攻め掛かるシーンが公開された。明確に、高レベルユーザー向けのコンテンツであり、既存のプライベートダンジョンを攻略し尽くしたユーザーには待望の新ダンジョンということになりそうだ。

【九州の武将たち】
あたかも同社の「戦国無双」シリーズのようなノリのイメージイラスト。左上から順に、島津義久、大友宗麟、龍造寺隆信、左下から順に島津義弘、立花道雪、鍋島直茂。どのような形でプレーヤーと関わっていくのか楽しみだ

【島津家】
島津家の鹿児島城は、名家らしく古風な作り。城には、大名の島津義久と、その弟の島津義弘がいる

【大友家】
大友家の府内城は、キリスト教の洗礼を受けた宗麟が治める城ということもあって、天守閣が独特の形をしている。立花道雪は、落雷を受けて半身不随になり、御輿の上で戦ったという伝説から、巨大な御輿とセットになっているのがユニークだ

【龍造寺家】
佐賀城は典型的な山城。木橋がかけられ、そこから往来ができる模様。当主の龍造寺隆信は“肥前の熊”というあだ名を受けて、本当の熊に乗っかってしまっている。参謀役の鍋島直茂は知将の風貌を漂わせている

【高千穂】
神話の里「高千穂」は、九州三国志では、魔界的なダンジョンとして扱われている。左はモンスター「イソノタケル」。中央はカグツチ矛。右は「カグツチ」の登場シーン。彼を倒すと天の逆矛(あめのさかほこ)が手に入るという


■ 「戦国」らしさにこだわった新システムの数々にも注目

新要素の説明を行なう「信長の野望Online」開発ディレクターの渡辺知宏氏
山中氏が提示した「争覇の章」のテーマは“ドラマティック戦国物語”。リアルタイムシネマティックバトルに続く新たなキャッチコピーだ
 ここからは「九州三国志」以外の残る新要素について見ていきたい。

・ドラマティックな合戦を目の当たりにできる「大決戦」

 まず、「大決戦」は、従来の合戦とはまったく別の大規模バトルコンテンツだ。合戦は、ユーザードリブンで発生するユーザー同士が主体となって戦うバトルコンテンツだが、それに対して大決戦はNPC同士が合戦を行ない、ユーザーがそれに参加するというタイプになっている。

 特徴としては、NPC同士が自発的に行動して合戦を行なう形式であるため、開催時期が常に週末3時間に固定されており、かつ最大100人までという入場制限が設けられている。ただし、100人制限を超えると、新たなインスタンスが設定されるため、参加意志があれば基本的に参加は可能。この大決戦の結果により、国力回復量が変化し、従来より勢力が滅亡しやすくなるという。従来の合戦は、陣取り戦としてそのまま残されるとはいえ、合戦以上に重要になりそうなコンテンツだ。

 大決戦では、支配領土に応じて、新規武将が参戦する。発表会では越後の新規武将として直江兼継、新発田重家、信濃の新規武将として真田昌幸、村上義清、加藤段蔵などが公開された。また、全体マップ「合戦見取り図」も表示可能で、現在合戦が行なわれている地点や敵味方武将の撃破状況などがリアルタイムで更新されていく。これを確認することで自分がどこに行くべきなのかが一発でわかるというわけだ。

 なお、大決戦の導入に伴い、勢力間の外交についても友好度が撤廃され、お互いの意志による同盟締結が可能となり、その一方で、相手の意志にかかわらず侵攻が可能になるなど、よりスリリングな戦国の世を実現する。また、作戦会議などの目的で使用できる掲示板も新たに用意される。

【大決戦】
大決戦は、自勢力の盛衰に大きな影響をもたらすだけでなく、NPC武将によるドラマティックな展開が楽しめるという特徴がある。システム的にも新しく九州三国志同様、楽しみな新要素だ

・松原社長肝いりの初級者向けストーリーコンテンツ「中・上級者クエスト」

 「中・上級者クエスト」は、案内役や寄り合い所を通じて、さまざまな試練にチャレンジしていく長編クエストとなっている。前述したように、新参者ゾーン「隠れ里」を卒業した初級ユーザーに対するわかりやすい目的の提示であり、このクエストを経ることで、レベル的、経験的に上級者の仲間入りを果たせるだけでなく、クエストを達成することで最終的には強力な武器も入手可能で、かつユーザー同士がコミュニティを形成するきっかけにもなるというさまざまな目的を持たせている。

 実はこのコンテンツは、初代プロデューサーである松原健二氏が、拡張パック第3弾の開発に際し、特に希望した部分でもあるという。クエストでは、戦国時代をモチーフにした長編ストーリーが展開され、ドラマティック戦国物語というテーマにも合致している。参加者は上級者が多いためか、会場の反応はいまひとつだったが、大いに注目したいコンテンツだ。

【中・上級者クエスト】
中級者とは不明確な表現だが、具体的には隠れ里を卒業したユーザーを対象にしている。コミュニティに入るまでのマイルストーンとして活用できそうな要素だ

・“データの光栄”の面目躍如「戦国絵巻」

 「戦国絵巻」は、「信長の野望」シリーズのエッセンスが濃厚に感じられるデータ収集型コンテンツだ。全国200箇所以上の建造物や伝承、400名以上の武将のデータを、訪れる、会話する、撃破するといった特定の条件を満たすことでコレクションでき、その記録を自分だけでなく、他人にも公開できるという内容。他人に見せることで、自分の経歴を知らせることができ、コミュニケーションのきっかけにもなる。

【戦国絵巻】
「戦国絵巻」はいかにもコレクション好きの日本人に好まれそうな要素。武将には「討取り」という項目もあり、撃破記録も書き留めることができそうだ

・全ワールドから強豪が集結!! 「上覧武術大会」

 「上覧武術大会」は、イベントシステムの一種で、「争覇の章」からは、全ワールドから参加可能な対人戦が、月に1回のペースで開催されることになる。大会のレギュレーションは、完全自由、配布装備のみ、ランダム徒党による個人勝率など複数のバリエーションが用意されている。勝者には「上覧武術大会」専用の強力なアイテム“天下一品”の使用権が得られる。使用期間は次の大会開催までとなっており、対人戦ファンにとっては大きなモチベーションとなりそうな要素だ。

【上覧武術大会】
「上覧武術大会」では、全ワールドの猛者達との対人戦が楽しめる。どのようなシステムなのか不明確な部分が多いが、コミュニケーションが取れるような場も用意されれば、新しい楽しみが生まれそうだ

【その他の追加要素】
その他の追加要素は、現役上級者を一喜一憂させる項目が目白押しだ。奥義技能、上位技能、技能実装枠の拡張、知行の強化など、まだまだ成長要素が追加される

【新装備】
新装備も数多く追加される。「戦国無双」シリーズの影響などが濃厚に感じられるが、家門や有名武将の装束などもカバーされており、見た目を好みの武将により近づけることができるという


【信on検定】
ユーザー向けイベントのひとつ「信on検定」。参加者にはあらかじめキーパッドを貸与し、答えを制限時間内に入力するという形式で行なわれた。予行練習として「争覇の章」で興味を持ったコンテンツを問われ、1位は九州三国志だった。本番では素人でもわかる歴史クイズから、コアユーザーでも頭を抱える難問までバラエティ豊かな30問が出題された。最高正解数は25問で、同着が4人いたため、サドンデスで優勝が決まった。優勝者にはPSPディープレッドが贈られた

【ユーザーQ&A】
ユーザー向けイベントのひとつ「Q&Aコーナー」。ステージには、山中プロデューサー、渡辺ディレクターに加え、攻略記事を担当しているゲーム雑誌担当者が同席し、ユーザーから寄せられた質問についてディスカッションが行なわれた。渡辺ディレクターの回答が聞き取りづらく、また意味がわかりづらい箇所が多かったのが残念。ほとんどの質問は、要するに「争覇の章」で解決するという流れだった。ジョブバランスについては、バランスそのものを取るのではなく、活躍の場を増やすという考え方が披露された

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□コーエーのホームページ
http://www.gamecity.ne.jp/
□「信長の野望 Online」のページ
http://www.gamecity.ne.jp/nol/
□関連情報
【11月14日】コーエー、PS2/WIN「信長の野望 Online」
拡張パック第3弾の製品発表会にユーザー100名を招待
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071114/nobu.htm
【10月10日】コーエー、PS2/WIN「信長の野望 Online」
10月17日に実施されるアップデートの内容を公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071010/nobu.htm
【7月5日】コーエー、MMORPG「信長の野望 Online」
新規プレーヤーを対象にした「新参者キャンペーン」を実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070705/nobu.htm
【6月19日】コーエー、WIN「大航海時代 Online」、「信長の野望 Online」
「公認ネットカフェ500店舗 W 突破記念」キャンペーンを実施
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070619/koe.htm
【5月30日】コーエー、MMORPG「信長の野望 Online」
4周年記念イベント「東西対抗大合戦」開催決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070530/nobu.htm

(2007年12月17日)

[Reported by 中村聖司]



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