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会場:恵比寿ガーデンルーム
「信長の野望Online ~争覇の章~」は、これまで通り、パッケージ販売とダウンロード販売を予定し、価格を含むビジネスモデルについては2008年1月の発表を予定。2月のユーザー向けβテストを挟み、3月よりサービス開始を予定している。パッケージの価格は未定で、対応OSはWindows 2000/XPおよびWindows Vistaとしている。
発表会は、通常の製品発表会の第一部と、ユーザー向けのイベントを中心とした第二部の二部構成で行なわれた。本稿では第一部の内容を中心にお伝えしていきたい。
■ 「争覇の章」は“ドラマティック戦国物語”がキーワード。ストーリーMMOへの深化を目指す
MMORPGは5年がひとつの山場と言われる。初期構想がひととおり実装し終え、レベルキャップの開放、新世界の拡張といった縦方向への進化というアプローチが、全体に対してアップデートの目が行き届かなくなる懸念から、構造的な限界に達する。また、グラフィックス的な見た目の部分でも本質的な飽きが生じてくる。次の5年を狙うためには、ゲームそのものの構造改革が必要となるわけだ。 そういう意味で極めて注目された発表会だったが、「争覇の章」における“九州三国志”を筆頭とした5本柱の拡張内容は、別の遊び方を提案する横方向への進化を中心に、低レベルから高レベル、初心者から上級者まで、あらゆる層を意識した「模範的な純国産MMORPGの拡張ディスク」だった。 発表会は、コーエー代表取締役社長松原健二氏の挨拶からスタートし、松原氏自ら拡張パック第3弾のタイトルが「争覇の章」であることを発表した。松原氏は挨拶の中で、ここまで成長できたのは様々な意見を寄せてくれるユーザーの支援によるものとして繰り返し感謝の言葉を口にした。すでに現場は退いたとはいえ、初代プロデューサーとして、「争覇の章」に関するコメントも期待されたが、社長という立場を意識し、詳細については山中肇運営プロデューサーにバトンを譲った。 この「争覇の章」というタイトルからは、5年という歳月を経て、半ばルーティン化、固定化してしまったゲーム世界に対して、新たに「信長の野望」シリーズらしい戦乱の幕開けを期待させてくれる。しかし、山中プロデューサーから飛び出した言葉は、“ドラマティック戦国物語”という意外なものだった。山中氏によれば、ユーザーからは、ゲームを分かりやすくして欲しいという一般的なものに加えて、「もっと戦国時代を楽しみたい」という同シリーズならではの要望が多かったという。 山中氏は、「争覇の章」では、戦国時代はドラマに満ちた時代だということを意識し、物語風に戦国時代を楽しめ、ドラマを見るようなわかりやすさで、すんなりゲームに入っていけるように工夫を凝らしたという。
「信長の野望」は、合戦と徒党でのバトルにフォーカスを当てたバトル重視のMMORPGだったが、今後は物語性を取り入れ、ストーリーMMOとしての側面も重視していくことになる。MMORPGのトレンドは昔も今も、ストーリー重視、バトル重視に二分されるが、5年目にして改めてストーリー性を加味していくというのは大きな軌道修正といえる。
■ ついに島津、大友、龍造寺が参戦、三つ巴の城取合戦が展開される“九州三国志”
そのほか、奥義、上位技能、技能実装枠の拡張や、両替商の拡張、左手装備の開放、知行の強化、生産レシピの追加、潜在能力の追加といった、いわば定例のアップデートも行なわれる。また、見逃せない部分としては、九州地方を中心とした新エリアの拡張に伴い、BGMも新たに追加されている。コンポーザーは、従来通り、ゲームよりむしろアニメ/邦画界で著名な作曲家川井憲次氏が担当している。 さて、「争覇の章」の拡張項目の中でも注目したいのが「九州三国志」だ。14勢力21カ国の枠組みを維持したまま、いかに新勢力、新エリアというユーザーの要望を満たすかにチャレンジした、非常に意欲的な新コンテンツだ。 まず、基本設定としては、九州地方を代表する大名家である島津家、大友家、龍造寺家を追加し、各大名の城や隣接する戦場を開放するが、14勢力21カ国の枠組みは維持される。これはどういうことかというと、九州そのものが大小の“ダンジョン”の集合体として扱われており、本土の勢力争いには関わらないようになっている。ユーザーは現勢力に所属したまま、3勢力のいずれかに与力として参戦することになる。 耳川、沖田畷、今川といった有名な合戦場は“フィールド型ダンジョン”、大名家の武将達がいる府内城、佐賀城、鹿児島城は、“城型ダンジョン”として扱われる。ユーザーの目標は、いずれかの勢力に所属して“三国志”に勝利し、ダンジョン“高千穂”へ攻め入り、火の化身「カグツチ」が守護する天の逆矛(あめのさかほこ)を持ち帰ること。最終目的を達した勢力には、各大名家オリジナルのアイテムが入手できるという。 大名には、島津久義、大友宗麟、龍造寺隆信が登場し、配下の武将として島津義久(島津家)、立花道雪(大友家)、鍋島直茂(龍造寺家)らが名を連ねている。本土との大名家とは扱いが異なるため、彼らとの交流がどのようなものになるかは未知数だが、今回、ドラマティック戦国物語を標榜し、平常時の立ち姿に加え、合戦時のグラフィックスも別途公開されていることから、クエストやバトルを通じて濃厚なストーリーが楽しめると考えて良いだろう。
なお、ダンジョン高千穂は、2徒党が同時に入れる多人数参加型のプライベートダンジョンで、各徒党が有機的に動かないと、攻略が難しくなっている。発表会では、徒党Aが手をこまねいている間に、風神、雷神の2体のボスが、同時に徒党Bに攻め掛かるシーンが公開された。明確に、高レベルユーザー向けのコンテンツであり、既存のプライベートダンジョンを攻略し尽くしたユーザーには待望の新ダンジョンということになりそうだ。
■ 「戦国」らしさにこだわった新システムの数々にも注目
・ドラマティックな合戦を目の当たりにできる「大決戦」 まず、「大決戦」は、従来の合戦とはまったく別の大規模バトルコンテンツだ。合戦は、ユーザードリブンで発生するユーザー同士が主体となって戦うバトルコンテンツだが、それに対して大決戦はNPC同士が合戦を行ない、ユーザーがそれに参加するというタイプになっている。 特徴としては、NPC同士が自発的に行動して合戦を行なう形式であるため、開催時期が常に週末3時間に固定されており、かつ最大100人までという入場制限が設けられている。ただし、100人制限を超えると、新たなインスタンスが設定されるため、参加意志があれば基本的に参加は可能。この大決戦の結果により、国力回復量が変化し、従来より勢力が滅亡しやすくなるという。従来の合戦は、陣取り戦としてそのまま残されるとはいえ、合戦以上に重要になりそうなコンテンツだ。 大決戦では、支配領土に応じて、新規武将が参戦する。発表会では越後の新規武将として直江兼継、新発田重家、信濃の新規武将として真田昌幸、村上義清、加藤段蔵などが公開された。また、全体マップ「合戦見取り図」も表示可能で、現在合戦が行なわれている地点や敵味方武将の撃破状況などがリアルタイムで更新されていく。これを確認することで自分がどこに行くべきなのかが一発でわかるというわけだ。
なお、大決戦の導入に伴い、勢力間の外交についても友好度が撤廃され、お互いの意志による同盟締結が可能となり、その一方で、相手の意志にかかわらず侵攻が可能になるなど、よりスリリングな戦国の世を実現する。また、作戦会議などの目的で使用できる掲示板も新たに用意される。
・松原社長肝いりの初級者向けストーリーコンテンツ「中・上級者クエスト」 「中・上級者クエスト」は、案内役や寄り合い所を通じて、さまざまな試練にチャレンジしていく長編クエストとなっている。前述したように、新参者ゾーン「隠れ里」を卒業した初級ユーザーに対するわかりやすい目的の提示であり、このクエストを経ることで、レベル的、経験的に上級者の仲間入りを果たせるだけでなく、クエストを達成することで最終的には強力な武器も入手可能で、かつユーザー同士がコミュニティを形成するきっかけにもなるというさまざまな目的を持たせている。 実はこのコンテンツは、初代プロデューサーである松原健二氏が、拡張パック第3弾の開発に際し、特に希望した部分でもあるという。クエストでは、戦国時代をモチーフにした長編ストーリーが展開され、ドラマティック戦国物語というテーマにも合致している。参加者は上級者が多いためか、会場の反応はいまひとつだったが、大いに注目したいコンテンツだ。
・“データの光栄”の面目躍如「戦国絵巻」 「戦国絵巻」は、「信長の野望」シリーズのエッセンスが濃厚に感じられるデータ収集型コンテンツだ。全国200箇所以上の建造物や伝承、400名以上の武将のデータを、訪れる、会話する、撃破するといった特定の条件を満たすことでコレクションでき、その記録を自分だけでなく、他人にも公開できるという内容。他人に見せることで、自分の経歴を知らせることができ、コミュニケーションのきっかけにもなる。
・全ワールドから強豪が集結!! 「上覧武術大会」
「上覧武術大会」は、イベントシステムの一種で、「争覇の章」からは、全ワールドから参加可能な対人戦が、月に1回のペースで開催されることになる。大会のレギュレーションは、完全自由、配布装備のみ、ランダム徒党による個人勝率など複数のバリエーションが用意されている。勝者には「上覧武術大会」専用の強力なアイテム“天下一品”の使用権が得られる。使用期間は次の大会開催までとなっており、対人戦ファンにとっては大きなモチベーションとなりそうな要素だ。
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□コーエーのホームページ (2007年12月17日) [Reported by 中村聖司]
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