★Wiiゲームレビュー★
11年の時を経てなお続く、新しい魅力と、変わらぬ感動
「ナイツ~星降る夜の物語~」 |
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- ジャンル:フライングアクション
- 発売元:株式会社セガ
- 価格:7,140円
- プラットフォーム:Wii
- 発売日:発売中(12月13日発売)
- プレイ人数:1~2人
- ニンテンドー Wi-Fi コネクション対応
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もう11年も前のこと。セガサターンというハードに「ナイツ(NiGHTS)」というゲームが登場した。ちょっと澄ました笑顔をみせる「ナイツ」というキャラクタを操作して、夢の世界の空を飛び回るフライングアクション。ナイトメアンに脅かされる夢の世界「ナイトピア」を舞台に、夢を守るためナイツと冒険する少年と少女の物語は、世界中にたくさんのファンを生み出した。記録に残るような大ヒットこそはしていないかもしれないけれど、自分にとって「名作」と自信を持って言える1本だ。
空を飛ぶ爽快感、リングをくぐり、リンクを繋げていく気持ちよさ、夢の世界ならではのギミックと魅力に満ちた世界。それ以上望めない、とすら思えるほどにマッチしたBGMもすばらしかった。遊びはじめがどうだったかはさすがにもう覚えてないけれど、そのうちに夢中になって、遊びつくした末にエンディングテーマを聞いた頃には、生涯忘れられないゲームになっていた。後に「クリスマスナイツ 冬季限定版」という体験版兼ファンディスクも登場して、より強く心に焼き付けられた。
それからずっと、世界中のファンに新作が切望されてきた「ナイツ」。筆者にとっても、あらゆるゲームの中で1、2を争うほど思い入れの強いタイトルだ。その最新作が、Wiiでついに登場した。11年という長い長い時間を経て登場する最新作「ナイツ~星降る夜の物語~」の魅力を、長年待ち続けてきたファンの方へ、そして初めて「ナイツ」の世界に触れようとしている方へと紹介していこう。
■ 空を飛び回れ! 「フライングアクション」の魅力はさらにパワーアップ!
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空を飛ぶ気持ちよさ、仕掛け満載のステージ、リングをくぐりリンクさせていく気持ちよさが醍醐味 |
「ナイツ」はハイスピードに空を駆け抜けるフライングアクションだ。基本的に右方向への横スクロールで進んでいくが、時折ステージのギミックに合わせて、奥へと進んでいく3D視点に変わったり、上から見下ろす画面にも変わる。そうしたギミックに満ちたコースを、ブルーチップやアイテムを取りつつ、リングをくぐりつつ飛んで周っていく。
空を飛ぶ浮遊感覚も魅力だが、ブルーチップやアイテムを取ったときの効果音や、リングをくぐったときのリングがちらばっていくエフェクトの気持ちよさも、フライングアクションの大きな魅力だ。連続して取得していくと、リンク数がカウントされていき、取り方やコースの周り方を工夫していくと、数十、数百といったリンクを繋ぐことができる。リンクの効果音がリズムよく鳴り、音階が上がっていく。うまくリンクが繋がっているときは最高に気持ちいい。
ナイツの操作はシンプルで、基本はボタンを押すことで加速する「ドリルダッシュ」だけ。ボタンを押し続けることで高速回転させ続けることもできる。「ダッシュパワーゲージ」があり、ドリルダッシュをするとパワーを消耗する。このゲージはリングをくぐったり一部アイテムで回復するので、スピーディーにコースを回るにはリングをくぐっていくのが必要不可欠になっている。
ナイツは飛行中、「トゥインクルダスト」というキラキラとした軌跡を残していく。このトゥインクルダストが消えないうちに輪にして繋げると、敵やブルーチップなどを吸い込む「パラループ」が発生する。攻撃手段としても重要だが、このパラループでうまくリンクを維持するのも大事なテクニック。例えば、ブルーチップが密集しているところでは、円を描きながら外側のチップを取っていき、パラループを作りつつルートの先へと通り過ぎていく。すると、パラループに吸い込まれたブルーチップが時間差で手に入るので、次のリングやブルーチップまでリンクを維持できる。
【パラループで吸い込む!】 |
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トゥインクルダストを丸く繋げると、パラループが完成! 敵はもちろん、ブルーチップなどのアイテムも吸い込める。これで時間差をつけてブルーチップを取り、リンクを維持するのは大事なテクニック |
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新能力「ペルソナアクション」。風の影響を受けなくなるなど、変身することで特殊な能力を発揮できる |
ステージをクリアしていくとナイツが手に入れるのが、新能力の「ペルソナアクション」。ナイツが仮面をつけることで、特殊な能力を持った「ペルソナフォーム」に姿を変えるというものだ。プレイした印象として、「ペルソナアクション」を特別意識しなくても遊んでいけるが、活用することで遊びの幅が広がるという感じだ。気になる場所を探索してみたり、ボス戦でうまく攻撃できないときに各ペルソナフォームを試してみたり、といった具合だ。
こうした新要素はいくらかあるが、基本的には前作の良さ、そして醍醐味である空を飛ぶ感覚が大事にされている。リンクをつなげていくこと、スピード感やリズムの良さに重点が置かれた印象で、外見的な変化は堅実だが、構成が練られていると思えた。なにより「あぁ、これが『ナイツ』だよね」とすぐに感じ取れるところが嬉しい。
はじめて「ナイツ」を楽しむ人にも魅力がわかりやすいと思う。もちろん、前作からのファンの人はよりすんなり楽しめるし、ナイツがいろいろな飛び方をする「アクロバット飛行」も健在で、「魅せる」飛び方も変わらず楽しい。
■ 悪夢に苦しめられる少年と少女がナイツと出会い、夢の世界を冒険する暖かな物語
主人公となるのは、今作でも2人の少年と少女だ。「ウィル」はサッカーの得意な12歳の少年だが、人並み外れた腕前ゆえに、友達とよりも尊敬する父親と遊ぶことが多かった。しかし、父親は仕事のため単身赴任してしまい、ウィルは寂しさから毎晩悪夢にうなされることになる……。
一方の「ヘレン」は、大好きなバイオリンを母親と一緒に練習する12歳の少女。だが、同年代の友達と遊ぶ機会が増えると、バイオリンからは距離を置くことが増えていった。次第に母親とすれ違うようになったヘレンは、罪の意識からか毎晩悪夢を見るようになる……。
悪夢の世界と化した夢の世界「ナイトディメンション」をさまよい歩く2人は、そのうちに、ふくろうの姿をした「オウル」、そして「ナイツ」と出会う。悪夢の世界「ナイトメア」に住む魔物が意識の光「イデア」を奪い「ナイトピア」を消そうとしていること、イデアがあれば「ナイトピア」への扉が現われること、そして「勇気のイデア」を自分が持っていることを知った2人は、他のイデアを取り戻して「ナイトピア」を守るため、ナイツと冒険をはじめることになる。
【それぞれの思いから悪夢に苦しむ2人はナイツと出会う】 |
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主人公である少年「ウィル」と少女「ヘレン」。それぞれ父親と母親のことで悩み、悪夢にうなされていた。ある日の夢の中で、長老の「オウル」、そして「ナイツ」と出会う |
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右にある光っているのが、「夢のしずく」。60個集めることで何かが起きるという |
今作の冒険は、「夢の入り口」という場所から始まっていく。ウィルやヘレンを操作して、ここから「夢の扉」をくぐり、様々なステージへと挑んでいくのだが、ステージ内とは違って時間制限などの危険はなく、そこそこに広さもあっていろいろと探索できる。
やりこみの面では、「夢のしずく」というものが気になる。各ステージの中や夢の入り口など、至るところに隠されているアイテムで、これを60個集めると何かが起こるという……。集めた夢のしずくの数は夢の入り口の中央にある噴水に記される。プレイ成績などを見れる「夢日記」で取得状況が確認できるので、ひとしきり物語を楽しんだあと集めたい。
「ナイツ」といえばこうした、「やりこむことで起きる変化」も大きな魅力のポイント。この新要素の「夢のしずく」もそうだが、そのほかにも、前作からのファンなら気になるところがいろいろとあると思う。筆者もまだ全ての要素を楽しみきったうえではないが、そうしたところを期待しても大丈夫、とだけお伝えしよう。遊びこむごとにプレイがうまくなるのが嬉しくて、その先に用意されていた仕掛けにさらに「ナイツ」への気持ちが強くなっていく。そうしていくうちに「ナイツ」は忘れられない1本になるだろう。
■ 夢の世界「ナイトピア」にはいろんな仕掛けが満載!
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夢の世界ならではの幻想的な世界も魅力のひとつ |
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前作でもおなじみ、ナイトピアに住む「ナイトピアン」。以前より丸っこくなった |
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「チェイスミッション」で追いかける、ナイトメアンの看守 |
各ステージはそれぞれウィルやヘレンの心が生み出している場所で、少年らしいあこがれや希望、少女らしい美しく幻想的な世界、そしてときには心に欠けているものも表現される。バリエーション豊かで、いずれのステージも仕掛けが満載だ。
ステージの仕掛けでは、ナイツがそれに併せて乗り物に変化したり、巨大化したり、分裂したりと、夢の世界ならではの予想がつかないことが起こる。いずれも楽しい仕掛けばかりなのだが、最初は驚いてしまって、「うわぁ、なんだなんだ、どうしたらいいのかよくわからないぞ!」と思っているうちにプレイがうまくできずに終わる、なんていうことも実は結構ある。
繰り返し遊ぶことでおもしろさが理解できていくタイプのゲームで、そうした面は悪い言い方をすると、とっつきの悪さにもつながる。これはステージだけでなく、ボス戦など「ナイツ」全体に言えることで、必死にプレイしているときは気がつかないことも多い。前作からそういった傾向はあったが、ただ、そこで投げ出してしまうのはあまりにももったいない。何度かプレイするうちに、いずれギミックを楽しむ余裕が出てくる。その先にある楽しさは、他では得難いものだ。セガのゲームに多く触れている人だと、「セガらしい、ナイツらしい」と感じるところだろう。
ステージ内ではナイトピアンが楽しそうに過ごしていて、パラソルで降下する遊びをしていたりと、遊ぶごとにいろんなことをしていて目を引く。また、たまに「卵」が落ちていることもあって、ナイツがタッチするとナイトピアンが生まれる。前作を楽しんだ人ならおなじみの仕掛けだ。
今作ではステージをクリアするまで、いくつかのミッションが設けられている。各ステージでの最初は前作に近い「チェイスミッション」というもので、ステージを周りながら、グードルという鳥型のナイトメアンに乗った監守が持つカギを手に入れて、ナイツを閉じ込める牢を開放する。ドリルダッシュを使いつつコースをハイスピードに抜けていき、ダッシュパワーの回復のためリングをくぐっていく。グードルはリングがあるルートを基本的に通っていくし、その軌跡はリボンのように色がついているので、おおまかにどの方向に進んでいくのかの目印にもなっている。
チェイスミッション後は、ステージのボスと1度目の戦いに入る。各ボスともに倒し方があって、ボス戦の最初に表示されるヒントを元に、何をすればいいのかを試していく。攻撃や体当たりを喰らってしまうと残り時間が減り、最終的に「ナイトオーバー(ゲームオーバー)」になってしまう。ボスによってボス戦用ステージの作りも仕掛けもまったく違うが、中には前作を踏襲したものもある。
1度目のボス戦をクリアしたあとに挑むのが、「チャレンジミッション」。これはミッションによって様々な目標に挑むというもので、今作で新たに取り入れられたミッションだ。代表的なものでは一定以上リンクを繋げるというものがあり、リンク数をどこまで増やせるか挑む遊び方を存分に楽しめる。前作ではステージ中のギミックなどもあるので、リンク数をひたすらに伸ばしていく楽しみ方はステージが限定されてしまったのだが、今作ではチャレンジミッションで気兼ねなく楽しめる。
もちろん他にも、「ナイトピアン」を救助するべくパラループで吸い込み続けたり、3D画面でレースをしたりなど、いろんな遊び方をするミッションがある。「ナイトピアンをパラループで吸い込む」というところに、前作からのファンの方は「えっ? それじゃナイトピアンが消えちゃうじゃない」と思うかもしれないが、今作では普通のステージ中でもナイトピアンを吸い込んでいい。むしろ吸い込むべきで、吸い込んだナイトピアンは「マイドリーム」というナイトピアン広場的な世界に移動し、そこで育成することができるようになる。ナイトメアンも同じように運ばれるが、それによってナイトピアンたちにいろんな変化が起きるようだ(後述)。
3つの「チャレンジミッション」を越えると、より強力になったボスと2度目のバトルが待つ。基本的な攻略法は1度目と同じだが、ギミックが増えていたりと、今度は攻略法をつかむことよりもプレイの腕前が試される戦いになる。このように、チェイスミッション(ボスバトル)、チャレンジミッション3種、2度目のボスバトルという5つの流れで、1ステージが構成されている。
【夢の世界は、楽しい仕掛けでいっぱい!】 |
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ステージはそれぞれまったく特徴が異なる。心が生み出す世界だけに、ウィルやヘレンの好みや憧れ、思い描く夢の世界だ。ステージには様々な仕掛けがあり、ナイツは時には乗り物に、時には分裂したりといろんな姿をみせる |
【ボス戦】 |
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ナイトメアンのボスたちはいずれも倒し方を工夫しなければならない。最初の対戦より、2度目の対戦のほうが強力になっていて、1度目は倒し方の試行錯誤、2度目はプレイの腕前が試される |
【チャレンジミッション】 |
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各ステージにいろいろな種類がある「チャレンジミッション」。上はナイトピアンをパラループで吸い込み助ける「タンポポキャッチ」。わらわらとたくさん飛び上がっていく姿がかわいい。下はリンクをひたすら繋げる「リンクチャレンジ」。ナイツの大きな魅力を存分に楽しめるミッションだ |
■ 操作方法はWiiリモコン、ヌンチャクスタイル、コントローラの3種類から
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Wiiリモコンでの操作時は、画面に丸くあるマーカー「マインドサイト」でナイツを誘導する |
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Wiiリモコン時にウィルやヘレンを操作するときは、Wiiリモコンを横持ちする |
最新作はWiiをプラットフォームに選択したことで、操作方法も気になるところ。操作方法は、「Wiiリモコンのみ」、「Wiiリモコンとヌンチャク(ヌンチャク・スタイル)」、そして「クラシックコントローラやGCコントローラ」と3種類が用意されている。このコントローラの違いによって、操作感覚はそれぞれ異なるところがポイントだ。
まず、Wiiリモコンのみだと、ナイツの操作を「マインドサイト」というマーカーで誘導して行なう。Aボタンを押しながらマーカーを動かすと、その方向にナイツが移動する。ドリルダッシュはBボタンで使う。また、アクロバット飛行はWiiリモコンを左右に傾ける(ひねる)。ウィルやヘレンを操作するときは、Wiiリモコンを横に持ち替えて十字ボタンと1、2ボタンで操作する。
次にWiiリモコンとヌンチャクを使う「ヌンチャク・スタイル」。こちらではナイツの移動をヌンチャクのアナログスティックで行ない、WiiリモコンのBボタンでドリルダッシュする。クラシックコントローラやGCコントローラのプレイでは、アナログスティックとボタンでスタンダードな操作方法が使える。
Wiiリモコンの感覚は最も特異で、マーカーで誘導するというのは、直接操作している感覚とは少し違っていて別のおもしろさがあるのだが、かなりの慣れが必要と感じた。大きい動作はそれほど辛くはないが、やはり小回りがきかない。機敏な動作がしづらいので、筆者は慣れる前にやりづらいと感じてしまった。Wiiで初めて「ナイツ」に触れる人は、この操作でゆっくり遊んでみるのがいいのかもしれない。
ヌンチャク・スタイルはアナログスティックで操作したい場合の選択肢の1つだ。基本的には、クラシックコントローラを使う場合に近く、クラシックコントローラを所有しているなら好みで選ぶことになる。
筆者は主に、前作に近い操作形態としてクラシックコントローラを使うのが一番しっくりときたが、Wiiのアナログスティックはいずれも外周が円ではなく、8角形なのが少し残念だ。綺麗に円を描くべく親指でスティックを回すと、カツカツと角をなぞる感触がしてしまう。GCコントローラの端子を使った「セガマルチコントローラー(前作ナイツのプレイに最適だったセガサターン用コントローラ)」とか、発売されてくれたら最高なのだが。
■ 「ニンテンドー Wi-Fi コネクション」で夢が繋がる! ネットワーク対戦もできる
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パラループで吸い込んだナイトピアンやナイトメアンが集合する「マイドリーム」。ナイトピアがいろんな姿をみせてくれたり、建造物が増えたりする |
パラループで吸い込んだナイトピアンやナイトメアンが集まるのが、自分だけの夢の世界「マイドリーム」。箱庭のような世界で住人とふれあえる場所だ。ナイトメアンにブルーチップを投げたり、ステージでナイトピアンを積極的に吸い込んだりしていくと、いろいろと中の様子が変化していく。面白いのは、Wiiのサービスの1つ「お天気チャンネル」と連動できるところで、自分が住む地域の天気がマイドリームの天気に反映される。筆者は関東圏なので、雪が降るのが待ち遠しいばかりだ。ただし、お天気連動はデフォルト設定では「オフ」になっているので、試したい人はオプション画面で設定を変更しておこう。
また、「ニンテンドー Wi-Fi コネクション」に対応していて、「友だちコード」を交換した友人や、世界中の誰かの「マイドリーム」に遊びにいったり、逆によびよせてこちらの「マイドリーム」に遊びにきてもらえる。他のプレーヤーとはアイコンチャットでコミュニケーションがとれる。
「2P対戦」機能もあって、コントローラを2つ使った画面分割での対戦や、「ニンテンドー Wi-Fi コネクション」を使ったネットワーク対戦を楽しめる。画面分割の対戦だと、ステージのコースを2周する「レース対戦」、宙に浮かぶメアバルーンを互いにぶつけ合う「2Pバトル対戦」を楽しめる。ネットワーク対戦だと「レース対戦」のみで、マイドリームと同じように、友だちコードを交換した「遠くにいる友だち」か、「世界中のだれか」とのマッチングを選べる。
昨今は薄型テレビなどの普及とともにワイド画面環境の人がたくさん増えたと思うが、本作は「16:9画面」にも完全対応しているのが嬉しいところ。引き延ばしではなく、画面横の視野が広がるので、ワイド環境の方はワイド(フル)設定の方がステージの先が見やすいだろう。イベントなどのムービーにおいても、上下カットや引き延ばしではなく、きっちり画面全体に表示される。4:3比率用と16:9比率用のムービーを両方収録しているのだろう。
【2P対戦ではネットワーク対戦もできる】 |
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2P対戦プレイもできる。コースを周る「2Pレース対戦」とメアバルーンをぶつけあう「2Pバトル対戦」の2種類で、「2Pレース対戦」はネットワーク対戦も可能 |
【ワイド画面に完全対応! 横の表示が広くなる】 |
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Wii本体をワイド画面設定していると、自動でワイド画面用のゲーム画面になる。画像は左がワイド画面、右が4:3比率で、できるかぎり同じ場所でそろえた。両端の広さが違っている |
■ 空を飛ぶ気持ちよさをはじめ「ナイツ」ならではの魅力はそのまま。多くの人に遊んで欲しい!
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イベントシーンが豊富で、各キャラクタは英語ボイスでしゃべる。そうしたところからもテイストはだいぶ前作と変わったけど、大事なところはしっかり「ナイツ」だ |
長年待ち続けた「ナイツ」ファンとしての個人的な思いは後述するとして、まずは本作の感想をまとめよう。全体の味わいは海外のキッズ向けアニメのようなテイストがした。イベントシーンではキャラクタたちが英語で喋り、日本語字幕が表示される形式なので、まずそこが一番の理由だろう。
ナイツは、前作だとクールでミステリアスな性格だったが、今回はボイスで喋ることもあり、活発な少年のような印象が強まっている。オウルの存在もそうだが、このあたりは前作「ナイツ」の世界観やイメージとは異なっている。前作を楽しんだ人だと、少しとまどうかと思う。だが、ゲームとしての魅力や、物語の暖かさなどの肝心な部分は「ナイツ」そのものだ。
グラフィックスの向上はもちろんあるが、色遣いやステージの作りといったところも、基本的に前作の「ナイツ」を踏襲している。外見的な変化などあまりにも大胆すぎるものはなく、正当な続編であり、新作として、バランスよくまとめた印象を受けた。まったく新しい要素としては「チャレンジミッション」が加わったのが一番の変化だが、リンクを繋ぐ楽しみに特化しているものは「フライングアクション」の良さを楽しみやすくしたものとして嬉しい。そのほかのまったく違う遊び方を楽しめるものも、試みとしてありだと思う。
フライングアクションの操作感覚からくる魅力は変わりがなく、リンクを繋げることを軸にわかりやすく、つまづかないようなチューニングになっている。本稿中に触れたように、最初のプレイではとっつきが悪く感じてしまうときもあるのだが、何度か遊ぶうちに調整が行き届いているところがわかってくる。そのさらに先で味わえる気持ちよさは「ナイツ」の大事な魅力そのものだ。
「ナイツ」の大事な魅力といえば、「物語」も大きい。この部分は詳しくは言わないが、「ナイツ」が持っている暖かさを今作もしっかり抑えている。こうしたところから、本当に「ナイツ」が好きな人が、変えるべきところと変えてはいけないところをよく考えて大事に作ったんだな、と感じ取れたのがとても嬉しかった。
なにせ11年も前に初代が登場したゲームなので、本作で初めて「ナイツ」に触れるという人が多いだろう。フライングアクションの魅力、ゲームらしさを存分に感じ取れる「リンクを繋げていく」気持ちよさ、試行錯誤して倒すボス戦、特徴的なサウンド、やりこむことで変化していくマイドリーム。そして、「ナイツ」ならではの暖かな物語。ぜひ触れてみて欲しい1作だ。
ちなみに、ハードがまた異なってしまうが、2008年2月21日には初代「ナイツ」がCGフルリメイクされるPS2「NiGHTS into dreams...」も発売される。筆者はもちろん、たくさんの人が愛した1作なので、「ナイツ~星降る夜の物語~」を楽しんで気に入れば、そちらもぜひ触れて欲しいと思う。
■ 前作からずっとずっと「ナイツ」を愛してやまない、今は大人のみなさんへ
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11年ぶりに再会した「ナイツ」は、昔と変わらない「ナイツ」ならではの感動をくれた |
思えば私の心境は、「ナイツ」に登場する2人の少年少女と同じだったのかもしれない。長く夢見ていた「ナイツ」の最新作。それが楽しみで、でも長い長い時間楽しみにしすぎたあまり怖くなっていた。「東京ゲームショー2007」のプレイアブル出展からは目を背けた。見られなかった。自分の中にある「ゲームが好きな気持ち」の中で、決して小さくない「ナイツ」という存在。それを最高に楽しんだ記憶。もし、それらが壊されてしまうようなものだったら、新作は出なくてもいいとすら思えた。夢は不安で暗く沈んでいた。
そんな臆病な心にも確かな期待が生きていて、自分からこのレビューを書きたいと申し出た。そうして勇気を持って触れた新たな「ナイツ」。慎重に慎重に、自分が期待していた「ナイツ」の良さを持っているのか見定めようとプレイした。新しい要素の数々に最初はとまどいが多かった。でも、耳慣れたBGMや効果音をはじめ、はずして欲しくない大切な部分は全て踏襲されていて懐かしい。空を飛びまわるうちに感覚が蘇っていき、だんだんと操作がうまくなってきて、リンクが続いていく快感を思い出した。ステージのそこら中にある遊園地みたいな夢の世界のギミックに驚かされながら、夢中で遊び続けた。そして、ある“瞬間”を迎えた。
11年ってとても長い。いくらか大人になって、裏切られたら怖いから、疑うことを覚え、期待しすぎないようにすることを処世術として覚えてしまった。それでも「ナイツ」は期待せずにいられなくて、それがゆえに不安だった。でも、今はもうそんな不安は消し飛んでいる。目の前に広がった光景に、胸がドキドキして涙がこぼれた。あまりのことに一時プレイを中断したほど。「信じることと勇気を出すことの大切さが描かれた物語」に感動した11年前。あれからいろんなことがあったけど、変わらず感動している自分が、こんな気持ちにさせてくれた新しい「ナイツ」が、ただただ嬉しかった。
同じように「ナイツ」を遊んだ感動を忘れられないまま、長い時間を過ごした人は多いと思う。その“想い”が強ければ強いほど不安だったと思う。でも、少しの不安も感じなくていい。新しい魅力と、変わらぬ感動を、存分にプレイして味わって欲しい。私と同じようにゲームが、そして「ナイツ」が好きな人へ、こうして新しい「ナイツ」を伝えられたことを本当に幸せに思う。さぁ、再び夢の世界へ!
(C)SEGA
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「ナイツ~星降る夜の物語~」のページ
http://nights.sega.jp/nights2/
(2007年12月13日)
[Reported by 山村智美]
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