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一方、Vivendi Gamesは、「クラッシュ・バンディクー」や「スパイロ」シリーズなどの人気キャラクターゲームフランチャイズを展開し、傘下に世界で一番人気のあるMMORPG「World of Warcraft」の開発で知られるBlizzard Entertainment、北米圏でゲームソフトのパブリッシングを展開するSierra Entertainmentなどを擁している。 この合併でVivendiは、Vivendi Gamesを81億ドルの評価額で提供し、Activision Blizzardが新規発行する52%の株式を17億ドルの現金で取得して経営の主導権を握る。Activision Blizzardは、Activisionが発行した1億4,670万株の株保有者に対して、1株あたり27.50ドルを支払う。 今回突然発表された合併劇は、VivendiとActivision両社のお互いの弱点を補完し合うための、理想的な合併だ。Vivendi傘下のBlizzardはMMORPG「World of Warcraft」で欧米圏のみならず、アジア市場でも確固たるシェアを確保することに成功しているが、Blizzard以外の家庭用ゲーム機向けのパッケージソフトでは、近年ヒットタイトルに恵まれていない。 Activisionは「Guitar Hero III」、「Call of Duty」などのパッケージソフトフランチャイズが軒並みヒットしており「スパイダーマン」や「トランスフォーマー」などの映画原作タイトルも好調で、特に2007年は業界ナンバーワンのEAに真っ向勝負を挑んで勝利してきた。また、RedOctane買収によって手に入れた「Guitar Hero」フランチャイズの売上を更に向上させるために、Vivendi傘下のレコード会社ユニバーサル・ミュージックグループが保有するアーティストや曲をふんだんに加えることでラインナップの強化が図るといった展開もありえる。 反面、オンラインゲームについてはこれと言ったタイトルを一本も有しておらず、一部のアジアゲーム市場における、ゲーム=オンラインゲームと言っても過言でない地域に対するActivisionのプレゼンスは低いままだ。両社の強みと弱点を相互補完した新生Activision Blizzardが誕生することにより、売上規模や会社規模のみならず、あらゆるゲームジャンルにおいて寸分の隙もない、最強ラインナップを取り揃えたゲームパブリッシャーが誕生することになる。
新会社設立にあたって社名が使用されたBlizzard EntertainmentのWebサイトには本件に関するユーザー向けのFAQが掲載されている。これによると、Blizzardブランドなどは従来どおりであり、スタジオは全て現状維持で、開発中のタイトルのリリーススケジュールには何ら影響がない旨を告知している。引き続き今後の動向に注目していきたいところだ。 (2007年12月4日) [Reported by Game Dude]
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