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説明会の冒頭で行なわれたプレゼンテーションでは、Xbox マーケティング本部長の坂口城治氏から、Xbox LIVEの概要が説明された。Xbox 360のシステムアップデートは毎年春と秋の2回実施されてきたが、今回の内容は“過去最大規模”になるという。 マイクロソフトは、2008年夏までにXbox LIVE会員の獲得目標を1,000万人に設定。先日の記事でお伝えしたとおり、Xbox LIVE会員は11月14日の発表で800万人を突破。Xbox 360本体の全世界出荷台数は1,300万台を数える。順調に推移すれば、1,000万人という数字は十分に「射程圏内」といえる。 坂口氏は、競合他社に先駆けてオンラインサービスを展開してきた実績と、それに裏打ちされた高い利便性を来場者にアピール。また、デモ版のダウンロード係数から販売本数を予測しセールス拡大に結びつけるというリサーチを行なっていることも明らかにされた。これは、ただダウンロード数が多ければ売れるという単純なものではなく、ダウンロード係数が“ある一定のカーブ”を描いたとき、販売本数が伸びるケースがあったという事実に基づいている。 実例としてあげられたのが、株式会社カプコンのアクションシューティング「ロストプラネット」。直前に発売されたゾンビアクション「デッドライジング」デモ版が、1カ月間で約63万件のダウンロードを記録。全世界累計出荷は、発売から4カ月で100万本を突破している。「ロストプラネット」は、デモ版のダウンロードが1カ月で100万件を記録。同社は「デッドライジング」の経験から、製造単価を急遽変更。初回出荷数を100万本に拡大し、大成功を収めている。 ダウンロードコンテンツの販売成功例として引き合いに出されることが多い「アイドルマスター」は、パッケージの売上とダウンロードコンテンツの販売額が「匹敵する(ほぼ等しい)」というから驚き。コンテンツのダウンロード数に至っては、国内版しか発売されていないにも関わらずワールドワイドで第3位を維持。オンラインサポートによるプレイモチベーションの持続、パッケージ内で完結するタイトルにはない「新たな収益路」。いちユーザーの見地としては「なんでもかんでもダウンロード販売で小出しにされたら、たまったものではない」とも思うが、メーカー側としては魅力のある販売形態であることに間違いはない。
なお、北米では2006年11月から実施されているXbox 360向けの映像コンテンツ配信サービス「ビデオマーケットプレース」の国内展開と時期については、「まだコメントできる状態ではない(坂口氏)」という。映像配信は、数あるオンラインサービスのなかでもコンテンツホルダーに対する囲い込みが特に激しい分野だけに、相応の体勢が整った状態でのサービスインを期待したい。
■ マーケットプレース ~メニューの整理、おすすめゲーム、Xbox クラシックス~
サブメニュー内の操作についても、操作性の改善が施されている。それは「ツイスト」と呼ばれる新メニュー。ブレード「ゲーム」を選択してゲームを遊ぶ場合、これまでは「遊んだゲーム」、「Xbox LIVE アーケード」、「デモなど」といった各メニューをいちいち出入りしなければならなかった。 だが、システムアップデート以降は「ゲームライブラリー」を選択するだけで、ほぼすべてのプレイアブルコンテンツにアクセス可能。画面上に横一列にスクロールして表示される「ツイスト」メニューを動かすだけで「すべてのゲーム」、「アーケード」、「デモ」、「最近ダウンロードしたゲーム」などがリストアップされ、すぐに遊ぶことが可能。デモ版を購入したいときは、ここでYボタンを押すだけで購入画面に移行できる。なお、従来の「遊んだゲーム」リストにはデモ版のプレイ履歴が含まれたが、12月5日のシステムアップデート以降は反映されなくなる。「デモ版までいちいち表示されるのはうざったい」と感じていたユーザーには朗報といえる。
また、ちょっとしたことではあるが、マーケットプレースやゲームライブラリーの右側に「おすすめゲーム」が表示されるようになった。これは、マイクロソフトが選定した新作ゲームやロングセラーなど、要注目タイトルがリスト表示される機能。漠然と「なにかいいゲームはないかなぁ」と探していたときなどは、丁度いい指針になってくれそうだ。
デモンストレーションに使用されたソフトは、フライトシューティング「クリムゾンスカイ」。「やっていただくとわかるんですが、今見ても遜色ない映像が楽しめる。実際プレイしても、ゲーム性としてちっとも古くない。映像も、初代Xboxの時からHDで提供している。中身の3Dに関しても、非常に高度な表現をやっている」という大塚氏の説明は、大仰でもなんでもなくスッと自然に耳に入ってくる。ちなみに、ディスクレス化でプレイアビリティの向上が見込めそうだが、その点については「それほど劇的な変化はない」とのこと。 初代Xboxの名作に触れられる機会が増えるのは、いちユーザーとしても非常に嬉しい限り。唯一の難点は「ダウンロードに要する時間」。大半が2GBを超えるため、バックグラウンドでのダウンロード、レジューム、就寝、出勤、通学前にスイッチを入れておくなど、空いている時間を活用する必要がありそう。少々電気代が心配になるが、初代Xboxタイトルは入手難のものが多く、探し回る手間と交通費を考えたら十分割りがあう。
今後は毎月1~3本を目処にタイトルが追加されていく予定だが、それらはXbox公式サイト内「Xbox 360でプレイ可能な初代Xboxタイトル一覧」から選定されるという。お気に入りの初代Xboxタイトルが互換リストに掲載されていない人は少々不満に思われるかもしれないが、互換リストは地道に更新されているため、今後の展開に期待したいところだ。
■ コミュニケーション ~パーソナルプロフィール、テキストチャット、メッセンジャーとの連動~
「パーソナルプロフィール」は、名前、国や地域、最大498文字まで入力可能な自己紹介が表示できるというもの。また、フレンドの「フレンドリスト」が参照可能になり「フレンドのなかに、自分と同じゲームを持っている人がいた。今度は、この人と一緒に遊んでみようかな」、「フレンドのフレンド、そのまたフレンドにはどんな人が……」などといった発展的なコミュニケートが可能になる。パーソナルプロフィールの公開は、ゲーマープロフィール同様に非公開に設定しておくことも可能だ。 2008年1月10日に発売が予定されている「Xbox 360 メッセンジャーキット」を使用した新機能のプレゼンテーションでは、Xbox 360、PC、モバイルの各メッセンジャーを介した3者によるコミュニケートのデモが行なわれた。フレンドリスト一覧は、フレンドたちのアクセス状況や、今プレイしているゲームなどが一目でわかるようになっている。ここで「Xbox 360 メッセンジャーキット」の「Xbox 360 チャットパッド」を使用しテキストを入力。すると、画面に小ウィンドウがオーバーレイ表示され、メッセージが先方に届くといった寸法。小ウィンドウが見づらい場合、テキスト表示をブレード上に切り替えることも可能だ。 会社のメッセンジャーから、Xbox 360を遊んでいるフレンドに「これから帰るから、家に着いたら『Halo 3』で遊ぼうぜ」とメッセージを送ったり、Xbox 360でDVDを再生しながら「今○×っていう映画見てるんだけど、なんかイマイチだよね」といった使い方ができるという。テキストチャットは、最大6セッション、20人まで対応している。 メッセンジャー機能自体は春のアップデートで対応していたが、使い勝手は決していいものではなかった。その点、「Xbox 360 チャットパッド」はキーボードがバックライト仕様になっており、キー配列が日本仕様になっているなど、非常に利便性が高いものになっている。メッセンジャー専用キーがついており、メッセージが着信するとキーが光るなど、細かい部分にも配慮されている。
注意点としては、テキストチャット機能は「ゲームをサポートするものではない」ということ。「FF XI」などゲームメーカー側でサポートすることはあっても、それはマイクロソフトが保証するものではない。メッセンジャーでの利用が前提の機能だが、今後発売されるマルチプレーヤーゲームは、ほぼ対応するものと考えて差し支えないだろう。
■ 保護者による設定 ~キッズゲーマーの宿敵出現!?~
システムアップデート後は、アカウントに依存することなく、Xbox 360本体に対して年齢区分別に「プレイできるゲームの年齢制限」、「映画やテレビ番組などの視聴制限(現時点では北米のみ)」、「Xbox LIVEの利用、サインアップの制限」、「ファミリータイマー」の制限が設定できる。 プレイできるゲームの年齢制限は、日本国内はCEROレーティングに準拠。たとえば、設定画面で「C」を選択したなら、D以上のゲームはプレイできなくなる。仮に、この本体に「Halo 3(CEROレーティング:D)」を入力した場合、パスワード入力を求める画面が表示される。パスワードはボタン10個から好きなものを選んで設定。組み合わせは1万通りになるという。 DVDなど映像コンテンツの年齢制限については、北米のMPAA(アメリカ映画協会)に該当するレーティング機構が日本国内に存在しないため、現時点では「将来的に対応可能な状態」にとどめられている。これに関しては、レーティング機構が発足次第、順次対応するとしている。 Xbox LIVEアカウントについては、他プレーヤーとのオンラインプレイ、初代Xbox規格タイトルのプレイ、フレンド登録やリストの公開、ボイスチャット、メッセンジャーの利用、ゲーマープロフィールの取り扱い、オンライン上で公開されている有償・無償コンテンツの取り扱いなど、こと細かに制限することが可能。 「ファミリータイマー」は、本体設定により、1日もしくは週単位で稼動時間がコントロールできるというもの。分単位の設定が可能で、ゲームをプレイしているかどうかに関わらず、Xbox 360本体電源が入っている時間で計測される。前述の巽氏によるプレゼンテーションでは15分設定のデモが行なわれ、時間がくるとブレードが出現し「使える時間を増やす」、「一時停止する」、「電源を切る」のメニューが表示された。こうなると、もはや他の画面には移行せず、時間を増やすなどの行動を取らなければ本体電源を切るしかなくなる。 「使える時間を増やす」は、パスワード入力をして一時的に遊べる時間を増やすというもの。「もう少しでセーブポイントに着くから、お母さんお願い! 10分……いや5分だけ続きをやらせて!!」などといった利用が考えられる。ちなみに、前述の「Xbox クラシックス」のダウンロードに関しては、バックグラウンドで稼動するためファミリータイマーによる制限は受けない。
保護者による利用制限の設定は、すべてXbox 360本体に記録される。つまり「へへーん、HDDかメモリーユニットで友だちのユーザープロフィールを持ってきちゃえば、制限なんて関係ないもんねー!!」などと子供が悪知恵を働かせる余地もないというわけだ。「遊んでいる子供に目が届かないから、ゲームなんて遊ばせられないわ」という親御さんも、これなら安心してXbox 360を買い与えてあげられるのではないだろうか。
□Xbox 360のホームページ (2007年11月27日) [Reported by 豊臣和孝]
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