入場料：5,000ウォン(前売り3,000ウォン)
　　　　子供3,000ウォン(前売り2,000ウォン)

　アーケード復活の息吹が感じられるG★2007を象徴的に示すのが、オンラインタイトルのアーケード化だ。中国や韓国で高い人気を誇るオンラインダンスゲーム「Audition」の開発会社T3 Entertainmentは、アーケード版の「Audition」を初公開し、プレイアブル出展を行なった。

　筐体全体の開発を自社で行なったという韓国発のアーケード版は、オンライン版と連動し、カードを用いた要素が充実するなど非常に楽しみな作品だ。韓国国内では12月半ばから展開が始まり、日本、中国、ブラジルを将来のサービス地域として見込んでいる。続報が非常に気になるタイトルだ。

　また「Audition」のパブリッシャーYedang Onlineのブースでは、フル3Dの自社開発アクションMMORPG「プリストンテール 2」を中心にユーザーにアピール。パブリッシングタイトルであるシューティングMMORPG「ACE Online」と既存タイトルからオンライン版「Audition」の計3タイトルの試遊台を集めたブース展開となった。

■ AC版「Audition」は韓国ユーザーに大人気
　　　さらなる洗練で海外進出に期待

T3 Entertainmentブースは「Audition」が韓国でも人気タイトルということもあり、ユーザーの注目度は非常に高かった。オンライン版のパブリッシャーはYedang Onlineが行なっているが、アーケード版は自社展開となっている

AC版「Audition」は日本でも展開が想定されている。システムをブラッシュアップし、是非とも日本のアーケード市場でプレイしてみたいものだ

　T3 Entertainmentブースでは、AC版「Audition」の筐体を4台出展したほか、「ボンバーマン」ライクなカジュアルオンラインアクション「Milman 2」、MMORPG「VASTIAN Returns」の試遊台をプレイアブル出展した。

　AC版「Audition」は、オンライン版をアーケード向けに改良し、通信機能を排したスタンドアロン筐体。ポップなデザインが特徴的で自社開発で制作したとのことだ。12月半ばより韓国でロケテストがスタートし、国内ゲームセンター向けに順次自社展開を行なっていく。韓国国内での台数の目標は2,000台とのことだ。

　ボタン配置はキーボードの操作をそのまま筐体に投射したとのことで、前後左右とそれぞれの斜めキー4つの計8つと、画面上に表示されるキーを入力後のOKボタンが左手側に1つある。OKボタンは足のペダルを踏むことでも入力可能となっている。

　プレイ可能人数は2人までで、NPCを相手にしたシングルプレイと1対1での対戦プレイ、2人協力プレイが楽しめる。ゲームでは画面上でダンスを踊っているプレーヤーキャラクタの下に表示される矢印を順番に正確に押していく。入力後にOKボタンを押し、うまく入力できていると画面中のキャラクタが華麗なダンスを披露する。

　現在設定されている遊び方は、1プレイ500ウォン (約75円) でゲームをプレイすることができ、コイン投入時にもう500ウォン追加することでカードを購入するかどうかを選択できる。カードにはオンライン版でもおなじみのアバターが描かれており、オンラインと同様に「帽子(髪型)」、「上着」、「ズボン(スカート)」、「靴」の4カ所から1カ所の衣装を得ることができる。

　次に名前と性別を決定し、アバターを選択する画面へと移る。筐体前面に配置された読み取り機にカードをスライドさせると、カードに書いてあるアイテムが画面内へと反映される。このあたりの雰囲気はAC「オシャレ魔女 ラブ&ベリー」をモチーフにしたとのことで、きらーんと画面内が光りキャラクタが衣装をまとっていく。

　ボタンの使用数に応じてイージーモードとディフィカルトモードを選択し、ゲームをスタートする。使用可能楽曲は18曲だ。ステージクリアまでオンライン版と同じく2人交互に、或いは同時に画面に表示されるキーを入力し、入力が終わったところでOKボタンを押し、次のモーションに備えるアクションを繰り返していく。

　本作で獲得できるカードは「通常カード」と「レアカード」がある。「レアカード」にはシリアルが書かれており、自宅に持ち帰ってオンライン版の画面で入力することで、描かれたアイテムをオンライン版でもアバターとして着用することができる。

　とにかく派手なものを用意するとのことで具体例は聞けなかったが、頭から靴までのアバターが4点揃ったセットアイテムと、オンライン版では経験値アップなどの恩恵が受けられる課金アイテムのペットがレアカードのラインナップとして登場する予定だ。

　「レアカード」は低確率で当たるとのことなので、オンライン版で他のユーザーに見せ付ければ羨望の的になることは間違いなさそうだ。現在のところ、カードはゲーム機からの排出の他に、自販機でも販売される予定。大部分を占める通常カードはアーケード上で衣装として使う他に用途が無いため、オンライン版をプレイするユーザーがレアカードを狙って買い込む以外にコンテンツの用途が見出しにくい。

　やはりハズレカードでも一部にオンライン版との紐付けを残しておかない限りは、相乗効果を積極的にあげることは難しいだろう。

　一連のプレイの流れの中では、名前や性別の入力をゲーム開始時に毎回入力するシステムはゲームスタートまでに毎回毎回時間がかかる。インターフェイスでは「OK」キーが左手と足で2カ所あるところは必然性が無く、デザイン的に再考すべき点は多い。

　本作はオンラインとの連携で高い相乗効果を狙える意欲作には間違いないが、アーケードの自社開発は初とのことで、サービス全体で改善を要する部分が目立つのも事実だ。海外進出を前提とした開発を続けていくそうなので、韓国展開の中で洗練されていくことに期待したい。

タイトル画面から、性別、名前を設定し、アバターを設定する。服などが描かれたカードを読み取り部にスライドさせるとキャラクタアバターがくるりと翻り着替える
モードを選択し、プレイ開始。友人同士、カップル同士のプレイが面白い
インターフェイスとカード。いずれもまだ作りこむべき余地はありそうだ。カードはG★に合わせて製作したテストバージョン。実際にはプレイ画面中に表示されている、スカートやパンツ、ペットといったパーツを載せることになる。スタンドアロンのアーケードマシンとしてみた場合、カードの要素は単にゲーム画面中に表示されるアバターのみにしか影響を与えず、オンラインとの連動が無ければカードを欲しいと思うユーザーはそれほど多くは無いだろう。「オシャレ魔女 ラブ&ベリー」のようにユーザーのキャラクタデザイン性を評価するなどもう一ひねりが欲しいところだ

【Milman 2】
T3 Entertainmentブースではアーケード版「Audition」の他に自社開発・自社パブリッシングを行なう「ボンバーマン」ライクなカジュアルアクションを出展。勝ち抜きイベントを行なっていた。近日クローズドβテストが実施される

【Vastian Returns】
「Diablo」的な世界観が楽しめる、T3 Entertainmentが海外パブリッシング権を保有するMMORPG「Vastian Returns」は現在オープンβテスト中。開発及び韓国国内の運営はGraze。低スペックでの動作環境に対応している。海外バイヤーを意識したブース展開が特徴的だ

■ Yedang Onlineはタッチアンドプレイを前面に
　　　シューティングMMORPG「ACE Online」が好評

Yedang Onlineブースは試遊台をメインにしたブース作りで、「プリストンテール 2」を中心に配置。新作タイトル2つが登場し人気は非常に高かったのだが、コマンドリストや遊び方が提示されていないため、何をすれば良いかわからないまま台を離れてしまうユーザーが多かったのが残念だった

Yedang Onlineの親会社Yedang Entertainmentは、女優のチェ・ジウさんらを擁する韓国有数の芸能プロダクションだけあって、可愛いコンパニオンを揃えている。「Audition」の展開で人気歌手らを使ったマーケティング手法が光るのも納得だ

　Yedang Onlineブースは自社開発タイトルとしてプッシュしていたのがアクションMMORPG「プリストンテール 2」。試遊台ではフライトシューティングMMORPG「ACE Online」と既出の「Audition」の計3タイトルを出展した。

　変り種として注目されるのは「ACE Online」。Masang Softが開発し、10月から中・韓でアイテム課金のサービスが始まっている。日本語版もほとんど完成しており、サービスに向けてパブリッシャーを探している状態とのことだ。

　今回フライトシューティングMMORPGというジャンルそのものが初耳だったが、プレイ画面が面白い。3Dシューティング「アフターバーナー」を彷彿とさせる3D画面で、狩りやレベル上げを行なうというのだ。

　プレーヤーはキャラクタ作成時に2陣営のうち一方に所属する。未来的な建物が立ち並ぶ世界で、愛機に搭乗しミッションをこなしながら、敵対勢力と争っていく世界観だ。

　戦闘の要となるプレーヤーの機体は、SFものが好きなユーザーにはエッジの利いたデザインで、見ているだけでも楽しくなってしまうだろう。登場する機体の種類は4種類で、それぞれ特徴を有し、スピード型、バランス型、支援型、タンク型と分かれている。

　機体は種類によって色分けが決まっており、レベルに応じて形が様々に変化する。中でも支援型はヒーラーやバッファーの役割を果たしており、味方に対する敵の銃撃をバリアーで防いだり、損傷から回復させたりと無くてはならない存在だ。

　そして、タンク型は最も巨大な機体で、移動能力こそ遅いが、地面に降りて対空機関砲のような形に変形することができる。1発の銃撃も強力で玄人好みの機体となりそうだ。

　パーティープレイでは最大6人までで組むことが可能で、会場内で公開されていたバージョンはシングルプレイのみだったが、実際のゲームではPKモードも実装されアツい空中戦が楽しめるとのことだ。パイロットたちが暮らす街がビジュアルロビーとなっており、出撃ボタンを押すことで飛行機に搭乗し、各戦闘地域に出撃していく。

　戦闘エリアでは、とにかく360度すべての角度を意識しながら、マウスを使って飛行先やスピードを変えながら獲物を追っていく。左クリックが銃撃で、右クリックでロックオンした敵にミサイルを放つ。

　フィールドには地上や空中にさまざまなモンスターがはびこっており、機銃掃射やミサイルの連射でバッタバッタと倒していける。また、操作を誤って地上に突っ込んでも空中に強制的にワープして復帰できるなどカジュアルなゲーム性が楽しみな一作となっている。

【ACE Online】
キャラクタデザインは線が細く、おもちゃやプラモデルの飛行機にあこがれた世代にはストライクゾーンではないだろうか。初め触れたうちは操作感覚に慣れないためにうまく飛べないのだが、じゃじゃ馬の機体を乗りこなしてやりたい気持ちが沸いてくるのが本作の魅力に感じられた
タンク型の機体は変形して対空機関砲になったかと思えば、飛び立てばとても力強い動きをする。他のプレーヤーと共にドッグファイトに興じてみたい。課金アイテムは経験値アップなどシステム面に付加価値があるものを中心に用意されている

【プリストンテール 2】
Unreal Engine 2.5を用いたフル3DのアクションMMORPGとなっており、来年上半期中に韓国で正式サービスを目指している。サービスモデルは未定。前作の世界観を踏襲し、同じ世界をより美しく再現している。自身のステータスの攻守などの相反するステータスバランスをトレードオフできる「シーソーシステム」が盛り込まれており、特化型のキャラクタ作りを売りにしている。見た限り過激な表現は見られないのだが韓国国内では18歳以上利用可のレーティングがされている
正式サービス後は日本でも展開予定で、日本のパブリッシャーは未定。本作は韓国展開後2カ月以内に日本語も含めた英語などの主要言語にローカライズが完了し随時展開可能としている

既存タイトルからはオンライン版「Audition」が唯一出展。「Audition 2」の売り込みもさることながら、まだまだ展開地域はのびていくとのことだ		出展された3タイトル。同社の扱うタイトルはすべて開発段階から様々な言語に対応できるように開発されているとのことで、こちらも海外展開を強く意識した作品といえるだろう

□T3 Entertainmentのホームページ(韓国語)
http://t3.co.kr/
□AC「Audition」のページ(韓国語)
http://auditiongame.net/
□Yedang Onlineのホームページ(韓国語)
http://www.yedangonline.co.kr/
□「ACE Online」のページ(韓国語)
http://www.yedangonline.co.kr/

(2007年11月11日)

[Reported by 三浦尋一]