【Watch記事検索】
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】
【11月27日】
【11月26日】

G★(GSTAR) 2007現地レポート

韓国最大規模のゲームショウ「G★ 2007」が開催
今年のトレンドは海外タイトル。BtoBコーナーが大盛況

11月8日~11日開催(現地時間)

会場:韓国国際展示場(KINTEX)

入場料:5,000ウォン(前売り3,000ウォン)
子供3,000ウォン(前売り2,000ウォン)


 年に1度開催される韓国最大規模のゲームショウ「G★ 2007」(GSTAR:Game Show & Trade、All-Round)が、11月8日より、ソウル郊外の京畿道高陽市にある韓国国際展示場(KINTEX)において開幕した。全日一般公開日となっており、平日にもかかわらず多くの一般来場者が詰めかけた。本稿では取り急ぎ、「G★」の概要と初日の模様をお伝えしていく。各メーカーの具体的な出展内容については、別稿にて詳しくお伝えしていくつもりだ。


■ BtoCよりBtoBのほうが盛況!? アジアでユニークな立ち位置を確保しつつあるG★

KINTEXのメインロビーの風景。メイン会場に加え、BtoBコーナーや記者発表会、開発者向けカンファレンスなど、複合的なゲームショウへ発展しつつある
大盛況だったGame Business Meetingコーナー。朝10時にもかかわらず、ひっきりなしにバイヤーが訪れていた
Game Business Meetingの内部。4名ほどが座れる円卓を囲むようにして商談を行なっている。100卓のうち8卓が日本メーカー
 「G★(GSTAR)」は、韓国文化観光部、情報通信部を主催単位に、G★組織委員会が運営を行なう、“韓国政府主催”のゲームショウ。基本的には全日一般公開しているユーザー向けのゲームショウだが、メインフロアの隣に、その半分弱の広さのBtoBコーナーを構え、海外メーカーやメディアとのビジネスミーティングを行なっているのが大きな特徴だ。

 また、会場の2階、3階では、大会議室を使った大手パブリッシャーのプレス発表会や、KGC(Korea Game Conference)を業界関係者向けに開催し、韓国人のみならず、日本人や欧米人を中心とした海外の業界関係者の往来も目立つ。

 3年目を迎えた今年のG★は、出展規模は、昨年の5ホールから、3ホールへと減退し、また韓国大手メーカーが出揃うというところまではいかなかったため、全体的な縮小感は否めなかった。ただ、その一方で、併催されているBtoBコーナーや、開発者向けのKGCは、年々開催規模を拡大し、参加者(社)も確実に増えていた。

 これまでBtoBコーナーは、韓国大手メーカーが、世界各国のメーカーに新作オンラインゲームを見せるという韓国メーカーの商談の場として使われていたが、今年は日本や中国のメーカーが、自社開発タイトルを、欧米メーカーに見せて商談を行なうという、世界規模のオンラインゲーム市場のハブとして機能し始めているところが印象的だった。

 BtoBコーナーは、メーカー単独のブースと、100のコンパートメントに区切られたGame Business Meetingエリアの2箇所があり、いずれも活況を呈していた。参加国は、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、香港、イスラエル、イタリア、日本、オランダ、ロシア、ポーランド、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、スウェーデン、台湾、英国、米国と、まさに世界中のメーカーが参加しており、初日の10時の開幕直後から、100箇所すべてが商談メーカーでギッシリ埋まっていた。

 出展の多い国は、ドイツ、香港、中国、タイ、マレーシア、そして日本。日本は、ガンホー、ゲームポット、サイバーステップの3社が単独でブースを構え、さらにGame Business Meetingエリアにカプコン、ダレット、ゲームマーレ、ジークレスト、ジャレコ、レッドエンターテインメント、ベルクス、テクノブラッドと実に11社が参加していた。

 いずれも日本国内でオンラインゲームビジネスを展開しているメーカーばかりであり、 新作オンラインゲームのファインディングだけなら、ブースを出す必要はない。日本のオンラインゲームメーカーが海外事業を本格化しつつあることを示しているといって良さそうだ。

 それではなぜ東京ゲームショウではなく、G★なのかというと、東京ゲームショウに訪れる海外バイヤーの狙いは、やはりコンシューマゲームにあり、マッチングができても話がうまくまとまらないという。この点、G★は、最初からすべてのバイヤーがオンラインゲームを求めて来ており、オンラインゲーム市場の特異性(ビジネスモデルや商習慣の違い)を双方が理解した上で、円滑な商談ができるという。

 これだけのメーカーが集まる背景には、韓国政府の直接的、間接的な支援も大きいが、東京ゲームショウを含む他のアジア圏のゲームショウより、ビジネスマッチングがしやすい環境が整えられていることがあり、アジア圏のゲームショウとしては着実に存在感を増していっている印象だ。G★はゲームショウとしてはアジア最小規模だが、ビジネスマッチングの場としてはアジア最大規模という、ユニークな位置づけのゲームイベントになりつつあるという印象を持った。

【BtoBコーナー】
日本からはガンホー、ゲームポット、サイバーステップの3社がブースを構えていた。BtoBを目的としたブースなので基本的に取材はできないのが残念だが、いずれも会期中に20社前後のメーカーとの商談を予定しているという。取材に応じていただいたサイバーステップの千葉氏は、「ヨーロッパを往復する費用でブースが出せて欧米から人が来てくれる」とそのメリットをわかりやすく解説してくれた


■ NEXONが2年連続最大規模の出展で勢いを見せる。コンシューマはXbox 360のみ

とにかくデカくて派手なNEXONブース。2年連続最大規模の出展を果たしたNEXONは、新作11本出展と中身も充実。いまもっとも勢いのいいメーカーの一社だ
MS Koreaは、現地パートナーメーカーと費用を出し合って共同出展。一番人気は「Halo3」だった
会場には韓国コンシューマ市場のキーパーソンのひとりNintendo of Korea代表取締役社長 甲田峰雄氏が視察に訪れていた。「できれば出展したかったですね」とWiiの発売延期で出展の機会を逃したことを残念そうに語ってくれた
 次に出展メーカーを見ていくと、まず今年の主な出展メーカーは、2年連続で最大規模の90コマの出展を果たしたNEXONを筆頭に、NHN、NCsoft、JC Entertainmentといった常連メーカーに加え、新顔として「Audition」の世界的ヒットで大手メーカーの仲間入りを果たしたYe Dang、Ntreevを買収し、ゲーム事業を強化している通信大手のSK Telecom、ドイツ産新作MMORPG「Spellborn」を大々的に出展していたFrogster Interactiveの韓国子会社Frogster Studiosなどが出展を行っていた。

 未出展メーカーは、Gravity、Neowiz、CJ Internet、Webzenなどが挙げられる。G★は前述したように実質政府主催のゲームショウであり、特に韓国メーカーに対しては強い強制力が働くというが、それでも初回以降は毎年足並みが揃わないところがいかにも韓国的である。

 一方、コンシューマは、今年、SCEK、Microsoft Korea、Nintendo of Koreaの現地法人が出揃い、複数の出展が期待されたが、結果は2年連続でMicrosoft Koreaのみという寂しい状況となった。中でも、韓国でニンテンドーDSが58万台というヒットを記録し、現在もっとも勢いがあるNintendo of Koreaが、Wiiの韓国発売に合わせて大々的な出展が期待されたが、Wiiの発売時期が今冬から来春に延期されたことから出展を見合わせたという。

 また、今年のトピックとしては、韓国政府の後ろ盾で2006年1月に設立されたアーケードゲームの産業振興団体であるKAIA(Korea Amusement Industry Association)の出展が挙げられる。KAIAは、G★の前身にあたるゲームショウKAMEX(Korea Amuse World Game Expo)を主催していたKAMMA(Korea Amusement Machine Manufacturers Association)が、2006年8月の射幸性ゲームの一斉摘発を受けて消滅した後に、アーケード産業の振興団体。射幸性ゲーム問題により、壊滅的な打撃を受けた韓国アーケード産業の監督と再生が主な業務となる。

 韓国で問題とされているのは、メダルゲーム機や日本ではレジャー機器に分類されるパチンコ、パチスロマシンを改造した上で行なわれる賭博行為であり、アーケードゲームそのものはまったく問題とされていない。D-GATEやUNIANA、SONOKONGといった韓国のアーケードメーカーや、日本を含む海外からアーケード筐体を輸入する代理店、それらを仕入れて遊ばせるゲームセンターは良い迷惑であり、「アーケードゲーム=賭博」というレッテルを丁寧に剥がしていくのが当面の目標になるようだ。

 今回G★では、文化観光部のバックアップを受けて広々としたオープンスタイルのブースを構え、そこに大小のアーケード筐体やビデオゲームを設置して、来場者に無料で開放していた。「Arcade Game It's Culture」、「Arcade Game New Challenge」といったスローガンを各所に掲げ、健全なアーケードゲームのアピールに必死といった印象だった。KAIAでは、2010年までに世界三大ゲーム大国となることを目標に掲げており、文化観光部の思惑通りにいけば、数年後に韓国に巨大なアーケード市場が生まれることになる。韓国アーケード市場の再生が成るかどうか、今後も見守っていきたい。

【韓国大手メーカー】
韓国大手メーカーの出展は、NEXON、NHN、yedang、NCsoft、JC Entertainment、SK Telecom。yedangは芸能プロダクション、SK Telecomは通信大手と、異業種からの本格参入が相次いでいるのもトレンドといえる

【アーケードゲーム】
KAIAによるアーケードゲームの出展は、既存筐体を無料で遊ばせるというアーケードゲーム本来の楽しさを認知させるという最小限の内容に留まっていた。ただ、yedangはアーケード版「Audition」を参考出展し、日本のメーカーも展開の意向を強化するなど、風向きは追い風に変わりつつある。数年後の復調が楽しみだ

【Microsoft Korea】
コンシューマ市場からは唯一の出展となったMicrosoft Korea。韓国ではXbox 360は30万台出荷しており、韓国の市場規模から考えれば、かなり検討しているほうだが、1万本で大ヒットというパブリッシャーには厳しい状況が続いている


■ 今年のトレンドは海外タイトル。自社開発タイトルはオリジナリティ重視

NEXONの「Counter-Strike Online」の発表に集まる来場者たち。プレス向けには別途記者発表会も開催された。その模様は別途詳しくお伝えしたい
ドイツの韓国子会社Frogster Studios。ドイツ産の「Spellborn」の展開を目的として設立されたメーカーだ
初日見た中で一押しなのがNEXONの「BUBBLE FIGHTER」。「クレイジーアーケード」、「BnB」、「カートライダー」のキャラクタを使ったサードパーソンシューティングで、水鉄砲を撃ち合う、子供向けのFPSだ
 さて、今年のG★の新作コンテンツの傾向としては、海外産のタイトルが増加傾向にあったことが挙げられる。一昨年はカジュアルゲーム、昨年はオンラインFPSやオンラインアクションタイトルがそれぞれ目立っていたが、韓国大手の大作オンラインゲームのほとんどが不発に終わったことから、その反動なのか、海外タイトルが増えていた。

 一例を挙げると、NEXONの「Counter-Strike Online」、NHNの「Lord of The Rings Online」、NCsoftの「Tabura Rasa」、Frogster Studiosの「Spellborn」など。いずれもメインタイトルとして扱っているのが印象的で、オンラインゲーム開発大国として知られる韓国ですら、自社開発だけでは立ちゆかなくなっている現状がかいま見える。韓国メーカーの出展が減少傾向にある背景には、世界に対して自信を持って出せるタイトルがないという台所事情もあるわけだ。

 また、「Counter-Strike Online」は、NEXONとValveの共同開発だが、海外メーカーとの有力IPを使った共同開発事業もトレンドのひとつとして挙げられる。以下は出展はなかったものの、現在韓国で共同開発事業として「塊魂 Online」、「SDガンダムカプセル戦記オンライン」、「ドラゴンボールオンライン」、「イースオンライン」、「Zwei!! Online」、「ケロキングオンライン」などなど、枚挙にいとまがない。

 また、CJ Internetが獲得したコーエーの「真・三國無双 Online」のほか、以下、パブリッシャー未定ながら、ベルクス/バンダイナムコゲームスの「ディグダグアイランド~南の島のプクプクポン~」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアオンライン」、ガンホー「北斗の拳 ONLINE」、「グランディアゼロ」、サイバーステップ「コズミックブレイク」などなど、無数の日本産タイトルが続々韓国展開に向けてその動きを本格化しつつある。

 こうした動きに対して韓国勢は、これまでの開発ノウハウ、運営ノウハウを活かし、これまで以上にオリジナリティを重視したタイトルを生み出しつつある。これについては追ってG★レポートで詳しく取り上げていくつもりだが、海外からこれほど大規模なオンラインゲームの流入は過去になかった事態だ。新しいもの好きであり、流行に敏感な韓国ユーザーがいずれを選ぶのか、また、オンラインゲーム開発大国としての地位は維持できるのか。その答えは来年には明らかになるだろう。

□G★ 2007のホームページ
http://www.gstar.or.kr/
□関連情報
【2006年11月11日】韓国最大規模の国際ゲームショウ「G★ 2006」が開催
変容しつつ進化を遂げる「G★」、トレンドはアクション/FPS
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061110/gstar_01.htm
G★2006 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061111/gslink.htm

(2007年11月8日)

[Reported by 中村聖司]



Q&A、ゲームの攻略などに関する質問はお受けしておりません
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします

ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.