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会場:韓国国際展示場(KINTEX)
入場料:5,000ウォン(前売り3,000ウォン)
■ BtoCよりBtoBのほうが盛況!? アジアでユニークな立ち位置を確保しつつあるG★
また、会場の2階、3階では、大会議室を使った大手パブリッシャーのプレス発表会や、KGC(Korea Game Conference)を業界関係者向けに開催し、韓国人のみならず、日本人や欧米人を中心とした海外の業界関係者の往来も目立つ。 3年目を迎えた今年のG★は、出展規模は、昨年の5ホールから、3ホールへと減退し、また韓国大手メーカーが出揃うというところまではいかなかったため、全体的な縮小感は否めなかった。ただ、その一方で、併催されているBtoBコーナーや、開発者向けのKGCは、年々開催規模を拡大し、参加者(社)も確実に増えていた。 これまでBtoBコーナーは、韓国大手メーカーが、世界各国のメーカーに新作オンラインゲームを見せるという韓国メーカーの商談の場として使われていたが、今年は日本や中国のメーカーが、自社開発タイトルを、欧米メーカーに見せて商談を行なうという、世界規模のオンラインゲーム市場のハブとして機能し始めているところが印象的だった。 BtoBコーナーは、メーカー単独のブースと、100のコンパートメントに区切られたGame Business Meetingエリアの2箇所があり、いずれも活況を呈していた。参加国は、オーストラリア、ブラジル、中国、フランス、ドイツ、香港、イスラエル、イタリア、日本、オランダ、ロシア、ポーランド、マレーシア、インドネシア、フィリピン、タイ、シンガポール、スウェーデン、台湾、英国、米国と、まさに世界中のメーカーが参加しており、初日の10時の開幕直後から、100箇所すべてが商談メーカーでギッシリ埋まっていた。 出展の多い国は、ドイツ、香港、中国、タイ、マレーシア、そして日本。日本は、ガンホー、ゲームポット、サイバーステップの3社が単独でブースを構え、さらにGame Business Meetingエリアにカプコン、ダレット、ゲームマーレ、ジークレスト、ジャレコ、レッドエンターテインメント、ベルクス、テクノブラッドと実に11社が参加していた。 いずれも日本国内でオンラインゲームビジネスを展開しているメーカーばかりであり、 新作オンラインゲームのファインディングだけなら、ブースを出す必要はない。日本のオンラインゲームメーカーが海外事業を本格化しつつあることを示しているといって良さそうだ。 それではなぜ東京ゲームショウではなく、G★なのかというと、東京ゲームショウに訪れる海外バイヤーの狙いは、やはりコンシューマゲームにあり、マッチングができても話がうまくまとまらないという。この点、G★は、最初からすべてのバイヤーがオンラインゲームを求めて来ており、オンラインゲーム市場の特異性(ビジネスモデルや商習慣の違い)を双方が理解した上で、円滑な商談ができるという。
これだけのメーカーが集まる背景には、韓国政府の直接的、間接的な支援も大きいが、東京ゲームショウを含む他のアジア圏のゲームショウより、ビジネスマッチングがしやすい環境が整えられていることがあり、アジア圏のゲームショウとしては着実に存在感を増していっている印象だ。G★はゲームショウとしてはアジア最小規模だが、ビジネスマッチングの場としてはアジア最大規模という、ユニークな位置づけのゲームイベントになりつつあるという印象を持った。
■ NEXONが2年連続最大規模の出展で勢いを見せる。コンシューマはXbox 360のみ
未出展メーカーは、Gravity、Neowiz、CJ Internet、Webzenなどが挙げられる。G★は前述したように実質政府主催のゲームショウであり、特に韓国メーカーに対しては強い強制力が働くというが、それでも初回以降は毎年足並みが揃わないところがいかにも韓国的である。 一方、コンシューマは、今年、SCEK、Microsoft Korea、Nintendo of Koreaの現地法人が出揃い、複数の出展が期待されたが、結果は2年連続でMicrosoft Koreaのみという寂しい状況となった。中でも、韓国でニンテンドーDSが58万台というヒットを記録し、現在もっとも勢いがあるNintendo of Koreaが、Wiiの韓国発売に合わせて大々的な出展が期待されたが、Wiiの発売時期が今冬から来春に延期されたことから出展を見合わせたという。 また、今年のトピックとしては、韓国政府の後ろ盾で2006年1月に設立されたアーケードゲームの産業振興団体であるKAIA(Korea Amusement Industry Association)の出展が挙げられる。KAIAは、G★の前身にあたるゲームショウKAMEX(Korea Amuse World Game Expo)を主催していたKAMMA(Korea Amusement Machine Manufacturers Association)が、2006年8月の射幸性ゲームの一斉摘発を受けて消滅した後に、アーケード産業の振興団体。射幸性ゲーム問題により、壊滅的な打撃を受けた韓国アーケード産業の監督と再生が主な業務となる。 韓国で問題とされているのは、メダルゲーム機や日本ではレジャー機器に分類されるパチンコ、パチスロマシンを改造した上で行なわれる賭博行為であり、アーケードゲームそのものはまったく問題とされていない。D-GATEやUNIANA、SONOKONGといった韓国のアーケードメーカーや、日本を含む海外からアーケード筐体を輸入する代理店、それらを仕入れて遊ばせるゲームセンターは良い迷惑であり、「アーケードゲーム=賭博」というレッテルを丁寧に剥がしていくのが当面の目標になるようだ。
今回G★では、文化観光部のバックアップを受けて広々としたオープンスタイルのブースを構え、そこに大小のアーケード筐体やビデオゲームを設置して、来場者に無料で開放していた。「Arcade Game It's Culture」、「Arcade Game New Challenge」といったスローガンを各所に掲げ、健全なアーケードゲームのアピールに必死といった印象だった。KAIAでは、2010年までに世界三大ゲーム大国となることを目標に掲げており、文化観光部の思惑通りにいけば、数年後に韓国に巨大なアーケード市場が生まれることになる。韓国アーケード市場の再生が成るかどうか、今後も見守っていきたい。
■ 今年のトレンドは海外タイトル。自社開発タイトルはオリジナリティ重視
一例を挙げると、NEXONの「Counter-Strike Online」、NHNの「Lord of The Rings Online」、NCsoftの「Tabura Rasa」、Frogster Studiosの「Spellborn」など。いずれもメインタイトルとして扱っているのが印象的で、オンラインゲーム開発大国として知られる韓国ですら、自社開発だけでは立ちゆかなくなっている現状がかいま見える。韓国メーカーの出展が減少傾向にある背景には、世界に対して自信を持って出せるタイトルがないという台所事情もあるわけだ。 また、「Counter-Strike Online」は、NEXONとValveの共同開発だが、海外メーカーとの有力IPを使った共同開発事業もトレンドのひとつとして挙げられる。以下は出展はなかったものの、現在韓国で共同開発事業として「塊魂 Online」、「SDガンダムカプセル戦記オンライン」、「ドラゴンボールオンライン」、「イースオンライン」、「Zwei!! Online」、「ケロキングオンライン」などなど、枚挙にいとまがない。 また、CJ Internetが獲得したコーエーの「真・三國無双 Online」のほか、以下、パブリッシャー未定ながら、ベルクス/バンダイナムコゲームスの「ディグダグアイランド~南の島のプクプクポン~」、カプコンの「モンスターハンターフロンティアオンライン」、ガンホー「北斗の拳 ONLINE」、「グランディアゼロ」、サイバーステップ「コズミックブレイク」などなど、無数の日本産タイトルが続々韓国展開に向けてその動きを本格化しつつある。
こうした動きに対して韓国勢は、これまでの開発ノウハウ、運営ノウハウを活かし、これまで以上にオリジナリティを重視したタイトルを生み出しつつある。これについては追ってG★レポートで詳しく取り上げていくつもりだが、海外からこれほど大規模なオンラインゲームの流入は過去になかった事態だ。新しいもの好きであり、流行に敏感な韓国ユーザーがいずれを選ぶのか、また、オンラインゲーム開発大国としての地位は維持できるのか。その答えは来年には明らかになるだろう。 (2007年11月8日) [Reported by 中村聖司]
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