★PCゲーミングデバイスレビュー★
Razerとマイクロソフトがキーボードを共同開発
超高速応答とカスタマイズキーの真価を問う
Microsoft Reclusa Game Keyboard |
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マイクロソフトは米Razerと共同開発したゲーミングキーボード「Microsoft Reclusa Game Keyboard」を10月19日に発売した。本製品は以前発売されたゲーミングマウス「Microsoft Habu」に引き続き、Razerとの共同開発第2弾のゲーミングブランド商品となっている。海外のプロゲーマーを始め、国内のハードコアゲーマーからも高い評価を得ているRazerと、以前にも増してゲーミングデバイス市場に力を入れつつあるマイクロソフトの2社が送り出すキーボード「Reclusa」の実力を、ゲーマーによるゲームプレイを通じてじっくり評価してみたい。
■ Razerならではの「HYPERRESPONSE」機能で応答時間1msを実現。カスタマイズ可能な追加ホットキーを10個搭載
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「Microsoft Reclusa Game Keyboard」は、両サイドにカスタマイズ可能なホットキーを配置するほか、2つのジョグダイアルを装備するゲーミングキーボードだ
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Razerといえば、ゲーミングマウスの開発元として知られているハードウェアメーカーだが、キーボードも販売していることはあまり知られていない。これまでRazerは独自ブランドにて「Razer Lycosa」、「Razer Tarantula」といったゲーミングキーボードを発売してきており、Razerにとって本製品「Reclusa」は第3弾のキーボード製品となっている。本製品の共同開発のパートナーであり発売元でもあるマイクロソフトにとっては、本格的なゲーミングキーボード製品というのは初の試みになる。
そんな本製品「Reclusa」を機能的に見てみると、Razerが現在発売しているキーボード「Tarantula」に近い構成となっている。なかでもゲーマーにとって気になる目玉機能は、独自ドライバにより1,000Hzの割り込みを実現するという「HYPERRESPONSE」機能だ。この機能は従来のRazer製マウスに搭載されているものと同じく、デバイスの情報を読み取る頻度を上げて結果的に操作レスポンスを向上させるというもの。入力の遅延は最大でも1ms以下という論理値になり、ゲームの操作性を向上させる効果が期待できる。
また、本製品では通常のキーのほかに左右両端に2つのジョグダイアルと、カスタマイズ可能な10個のキーを搭載している。カスタマイズキーのうち両端に位置する4つのバンパーキーは、マウスを持つ手から近く一瞬でアクセスしやすい配置だ。また上部のジョグダイアルは通常の使用ではメディアプレーヤーの操作などに使用できるもので、添付ドライバのカスタマイズ機能を使うことでゲーム関連のコマンドを割り当てられる。ジョグダイアルは回転させるときの1クリックで1回のキー入力として扱われるため、連射が必要な機能などに割り当てると、通常では不可能なスピードの入力が可能だ。
キーボードレイアウトとしては、フルキー相当部分は一般的な日本語フルキーボードの配列になっている。上部にはマイクロソフトのロゴが入ったマテリアルがあり、曲線で構成された優美な外形が特徴的だ。左右に追加のキーを配置する数センチのスペースが配されていることもあり、外形寸法は幅551mm、奥行き236mm、高さ61mmと、一般的なキーボードに比べるとかなり大きな部類に属する。この寸法はマウス操作のためにたっぷりとしたスペースを割きたいPCゲーマーにとっては評価がわかれそうだ。
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パッケージ写真。ノーマルなキーボードに比べると製品の曲線的なフォルムが特徴的だ。メーカー希望小売価格は7,600円と、ゲーミングデバイスとしては比較的安めの設定
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両サイドに配置されたホットキーとジョグダイアル。最も端に位置するのはバンパーキーと呼ばれ、キーボードのキーというよりはジョイスティックのボタンのような感触だ
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側面から。キーストロークが浅いということでキーボード自体も薄め。傾斜の少ないレイアウトに慣れるまで時間のかかる人もいるかもしれない |
こちらは付属のハンドレストを装着した状態での背面図。ケーブルが出ている部分は深く掘り込まれており、運搬時はここにケーブルを巻きつけて格納できる
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■ キーストロークは浅く高速入力向き。青いバックライトがRazerらしいゲーマースタイルを強調する
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キーストロークの深さは3mm~4mm程度で、サクサクとしたクリックのある打鍵感。ゲーム向きの仕様だ
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使用時に青いバックライトが点灯している。暗闇でもキー位置を把握しやすい
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基本的なスペックを押さえたところで実際の使用感をお伝えしていこう。まずはキーボードの根本的な特性、キータッチについて触れておきたい。本製品のキーストロークはかなり浅めな部類に属し、ちょうどフルハイトの一般的なキーボードと、省スペースのフラットキーボードの中間あたりといった感触。キーはサクサク感を含む強めのクリック感があり、完全に押し切るとバンパーが柔らかく受け止める構造となっている。押下圧は東プレの「Realforce」シリーズなどに比べると少し重めの印象だ。
このキー特性として、文章入力など一般用途については中堅クラスのキーボードといった感じで、特別に高級感漂うという雰囲気ではない。ただキーストロークの浅さからくるタイピング効率は確かに高く、また打鍵時の衝撃がすくないため指への負担は少ない。また同時に、浅いキーの弊害として慣れるまではミスタイプも多くなってしまうという特性もある。このあたりは長期間使用していくうちに自ずと改善されていく類のものだろう。
本製品のRazerらしい特色として、使用中に青いバックライトが点灯してキー配列のスキマをうっすらと浮かび上がらせる視覚効果が特徴的だ。なんとも未来的な感じがして格好いいのだが、もちろんこの効果が作業効率やゲームの腕に影響するわけではない。暗闇でもキー位置を把握しやすいという実用性と、LANパーティなどでちょっぴり注目を集められるかな、といったところだろう。
純粋にキーボードとして評価するならば、本製品は高速タイピング向きの中堅キーボードだ。ここでゲーム用途を考えるとまた別の視点が浮かび上がってくる。まず「HYPERRESPONSE」機能による高速レスポンスと、左右のカスタマイズキーをどう使っていくかに活用の鍵があると思われるので、この点について次章で考察してみたい。
■ 「HYPERRESPONSE」と追加ホットキーの効果は? 大きな寸法がデスクを占有する弊害も併せて考える
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「HYPERRESPPONSE」効果を確かめるため、「Team Fortress 2」で長時間使用してみた。高速レスポンス効果がスコアに現われたかどうかは微妙なところで、正直なところよくわからなかった
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キーカスタマイズはドライバインストール後利用できるこのパネルで行なう。ゲーム毎に複数の設定を記録しておくことが可能だ
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まずは実際に「Team Fortress 2」や「Enemy Territory: QuakeWars」など最新FPSタイトルをプレイした感触から、本製品の特徴である「HYPERRESPONSE」の効果をお伝えしておこう。もったいぶっても仕方がないので結論から言うと「よくわからない」だ。一般的なキーボードのポーリングレートは125Hzで、最大遅延は8ms。「HYPERRESPONSE」を搭載する本製品は1,000Hzで遅延1msとなるので、その差は最大で7msほど。1,000分の7秒という微細な違いは体感不可能なものだ。
応答が速いということは、原理的にはプレーヤーの操作がゲームに反映されるタイミングが、相手より1フレーム早まることもあるということ。これはネットワークラグの無いLANゲームでは顕著に現われるだろう。ひとつ確実なのは、「俺は皆より一瞬早く動けるんだぜ!」という優越感を、体感的にはわからないとはいえ、精神的には得られるということだ。メンタル面で後押しされることでゲームの成績もよくなることは往々にしてあることなので、これは決して軽視できない効果だといえる。
また、本製品でカスタマイズが可能なキーは、キーボードの左右に配置された10個のキーと2個のジョグダイアルの左右それぞれの回転について、合計14キーということになる。これらのキーは、規定の設定ではメディアキーボードとしての機能が割り当てられており、メディアプレーヤー関連の操作やエクスプローラ、メール機能の呼び出しなどに使用する。ここではマウスを操作する手からアクセスしやすい位置にあるこれらのキーに、ゲーム用のマクロを割り当てようというわけだ。
とはいえ、筆者が常日頃プレイするFPS系のゲームやRTS系のゲームでは各種ショートカットを覚えてしまっている。さてホットキーに何を割り当てようかと真剣に悩んでしまう始末。ひとまず思いつくのは、チーム戦FPSでのボイスコマンドをマクロ登録しておき、「敵を発見した」、「スパイだ!」などよく使うボイスを1キーで呼び出せるようにすることだ。このあたりは左右のL1~L3キーおよびR1~R3キーあたりにバインドしておくと使いやすい。
また、「Counter-Strike」あたりでは、買い物機能などにマクロ機能を使うというのもアリだろう。オンラインイベントなどではゲーム組み込み型のスクリプトやマクロを使わせてもらえないこともあるので、キーボードにマクロを仕込んでおけば問題解決……となるかもしれない。しかしこれも用途としてはあまりに汎用性がない。
筆者として面白い活用ができそうだな、と感じたのが左右上部のジョグダイアルだ。ジョグダイアルを回転させるとコリコリとクリック音がするが、そのクリックのたびにキー入力が発生するので猛烈な高速連打が可能。しかしダイヤルを回している間は手が忙しく他のキーやマウスにアクセスできないため、今のところこれといった実用例が思いつかないのが難点である。
・果たして本当に「ゲーマー向き」なのか? カスタマイズキーの薄い利益と外形寸法のトレードオフ
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マクロにはキーストロークとタイミング指定を行なえる。筆者の場合はボイスコマンドのキーを入れてみた
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設定は複数ゲームに対応できる。実行ファイルを指定しておけば起動時に適切なプロファイルに切り替わるというものだ
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上記で紹介したように、本製品の特色であるカスタマイズ可能な両サイドのキーは、少なくとも筆者にとっては用途がほとんどないという状況になってしまった。なにしろゲーミングデバイスを必要とするゲーマーは、まず確実に通常のキーボードで問題なくゲームコマンドを入力しており、そもそも複雑なコマンドが必要なゲーム自体あまりない。両サイドに大きなスペースを割いて追加のキーを搭載したことで本製品が充分な利益をユーザーに提供しているか?というと、必ずしもイエスとは言えないのが筆者の結論だ。
というのも、正確で素早い照準動作が求められるFPSはもちろん、マウス操作への依存が高いRTS系のゲームをプレイするときにも、マウス操作に充分なスペースを確保するということは重要な命題だからだ。筆者などはテンキーすら邪魔だと考え、ゲーム中に常用しているのは89キークラスのミニキーボードである。
それに対して本製品のようにキーボードのサイズがひどく大きくなるということは、そのぶんデスク上からマウスを操作するスペースが削られてしまうということであって、ゲーマーにとってはこれ以上ないほどの重大なトレードオフなのだ。「HYPERRESPONSE」というすばらしい機能があることを踏まえても、だから積極的に使おう、という結論には至りにくい。
本当に「ゲーマー向け」として製品を考えるのであれば、キーボードは小さくシンプルにまとめるべきだ。ゲーマーのデスクスペースは有限であり、同じスペックなら省スペースのものを選びたい。また、実力本位のゲーマーの多くはデバイスに質実剛健さや機能性を求めるから、用途の少ない機能やおしゃれな外観はあまりウリにならない。もちろん、本製品の機能を便利に使えるユーザーも居ることは確実だろう。ただ、Reclusaのキーマクロ機能は「ゲーム用途」というより、ビジネスアプリケーションのメニューコマンドなどのほうが応用可能性は広いと思う。
ゲーミングデバイスとしては比較的安価な部類にはいる価格設定と、中堅キーボードとしては充分な特性をもつ本製品の特徴から言って、この「Reclusa」はゲーム用途だけでなくビジネス用途も視野に入れれば良い製品だと言える。逆に言うとReclusaを「ゲーミングキーボード」と名付けるのは少々無理があったように思う。読者の皆さんには、まず本製品の独自機能を充分に活用できる算段があるかどうか、よく検討して購入を考えることお勧めしたいところだ。
□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/
□「Microsoft Reclusa Gaming Keyboard」のホームページ
http://www.microsoft.com/japan/hardware/keyboard/reclusa.mspx
□関連情報
【2007年10月1日】マイクロソフト、ゲーマー向け高機能キーボード
「Microsoft Reclusa Game Keyboard」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071001/recl.htm
(2007年10月31日)
[Reported by 佐藤“KAF”耕司]
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