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【連載第16回】韓国最新オンラインゲームレポート

新鋭Numixが放つ“乱闘あり”のアイスホッケーゲーム
オンラインアイスホッケー「Slapshot Underground」レポート

11月韓国にて第1次クローズドβテスト開始予定



 「Slapshot Undrground」(以下、「Slapshot」)は、新鋭の開発スタジオNumixが開発し、今年の6月14日に韓国のNexonとパブリッシング契約を果たしたオンラインアイスホッケーゲームだ。今回はクローズドβテストに先駆けて、Numix本社へ訪問し直接プレイする機会を得たので、その様子をお伝えする。


■ 激しいボディチェックの果てに「乱闘」まである異色のストリートアイスホッケー

Numixの開発室。同社のほぼ全社員に相当する18人の開発者達が「Slapshot」のプロジェクトに取り組んでいる。クローズドベータテストを間近に控え、今日も徹夜作業だ
 ニューヨークのダウンタウンエリアをイメージした世界観を採用し、タイトル通りのアンダーグラウンドな雰囲気たっぷりのストリートアイスホッケーゲームとなっている。氷上のリンクのみならず、ストリートの一角の駐車場やスクラップ置き場が、アイスホッケーをプレイする「ワルのたまり場」となっている。パンキッシュな雰囲気の中で、アイスホッケーのもつスピーディーさとパワフルさをうまく表現したタイトルとなっている。

 本作は3対3の最大6人までのマルチプレイをサポートしており、11月中に第1次クローズドベータテスト、来年初頭のオープンβテストの実施が予定されている。11月8日から開催されるG★ 2007のNEXONブースでも出展が予定されているのでこちらも注目したい。ビジネスモデルはアイテム課金となっている。

 アクション性では移動キーの他はショットやパスなどがシンプルな操作感だが、細かいコントロールが常に必要で、慣れるのには少し時間がかかる。現時点では、ゲームそのものはオーソドックスなアイスホッケーゲームという印象だが、企画レベルではプレーヤー間で激しいボディチェック(体当たり)を繰り返すと「乱闘モード」に突入し、喧嘩に負けるとペナルティを受けるというなんとも男らしいアングラ世界独特のルールも準備される予定だという。しかも乱闘が始まると独自の視点やUIに切り替わるなど凝った作りになるとのことで、単なるホッケーにとどまらないアツイ世界観が非常に楽しみだ。

 筆者が同社を訪れた際は、もっぱら一般的なアイスホッケーのルールで遊んできた。プレイした印象ではとっつきやすさこそやや難ありというところだが、一度慣れてしまうと、華麗にパックをドリブルしながら相手チームを欺きゴールをたたき込むことができ、実に気持ちがいい。プレーヤーの熟練差がプレイにそのまま出てくるところがマニア心をくすぐる。

 韓国以外のサービス地域は未定だが、アイスホッケーとの親和性から欧米、ヨーロッパを重要マーケットとして力をいれていくとのことで、アジアでは韓国、日本、中国、台湾などがターゲット地域になるとしている。

「Slapshot」は韓国で6月13日にNexonとパブリッシング契約を果たした。写真はNumixの代表取締役チェ・ソンウック氏(右)とNexonの事業部本部長ミン・ヨンゼ氏(左)

「あったまきた!!」。あまりにボディチェックでラフなプレイを繰り返すと乱闘モードに突入する。これはイメージ映像で、開発はこれからだという。Gravity「Body Check Online」ではアイスホッケーの代名詞である「氷上の格闘技」のイメージを激しいチェックでアーマーを削り合う方向でゲームに取り入れたが、本作ではホッケーと格闘ゲームを行き来する方向に作り込まれていく

メインキャラクタの1人、飛上。在米韓国人で有名なアイスホッケー選手の2世。アイスホッケー界の思惑で父を殺害された衝撃でアンダーグラウンドへ踏み入れたというベタベタな設定。ポジションはウィング 同じくメインキャラクタの1人、鉄魁。日本人で侍の血を引いた武者魂の勝負士。ポジションはセンターで、こちらも欧米人が考えたような背景設定だ
元軍人のDeux.X、軍での過去は知らされてないが秘密部隊に所属していたと噂されている。見た目の迫力も満点だ。ポジションはディフェンス ゴールキーパーはAI操作となっているようだ



■ 3種類の特徴あるキャラクタを育成。クラスに拘らないチームカラーを出せ!

「ダイレクトショット」の態勢に入る。赤い線はパス要請のシグナルだ
 ゲームではまず最初にキャラクタ作成を行なう。1アカウントあたり3キャラクタまで作成でき、キャラクタ作成では、キャラクタネームとクラスを決定する。セッションをプレイすることで経験値が溜まりレベルアップしていく。ショット能力などの能力値があり、レベルアップにより育成されることでより強いキャラクタを育てることができる。

 プレーヤーはセンター、ディフェンス、ウィングのそれぞれの特性を活かした3種類のキャラクタを駆使していく。チーム内のポジションの組み合わせも自由で、全員センターにしたり、ディフェンスにしたりも可能だ。

 各ポジションの役割を簡単に説明しておくと、センターは攻撃を得意とするポジションで、動きがスピーディーで、ショットの能力に優れている。センターでプレイしていると、敵キャラクタの間隙を縫ってスムーズにディッキング(フェイント)しながらショットを決められるなど、爽快感のあるプレイが楽しめる。しかし、敵キャラクタからのチェックには弱く、攻撃の流れを崩されてしまうのが難しいところだ。

 ディフェンスはその名の通り、守備を得意とするポジション。巨大な肉体から繰り出されるチェックは強力だ。また、相手からのボディチェックにも耐えぬける安定感がある。しかし、ショットの能力が低い上にトリッキーな動きは難しく、ここ1番で相手を倒したいユーザー向けのキャラクタだろう。

 ウィングはあらゆるシチュエーションにバランスよく対応できるポジションだ。すべての能力値が均等に配分されており、1vs1のゲームではよく使われるキャラクタとなりそうだ。

操作感はかなり重量感を覚える。急な方向転換には慣性に応じたディレイがあるため、スムーズな動きをするには状況にあったスキル選択が必須だ

「Slapshot」の最低動作環境はCeleron 1.2Ghz、512MBメモリとされているが、Pentium III 700MHz程度のマシンでも十分プレイが可能にしたいとのこと


■ シンプルゆえの奥深さ!大技を繰り出しリンクを支配せよ!

ゲームスタートの際、相手のチームのゴールに座りメンチを切る。筆者としては「お兄さんお願いだからそこから降りてください」といった真面目系のキャラクタも欲しい
Eキーを押し続けるとショットの種類が表示される。瞬時に判断して決定する。状況によってそれぞれのショットの成功率が違うため、相手チームやゴールキーパーの動きをすぐに判断しなければならない
 このゲームの基本操作は、↑←↓→の移動キーとゴールを決める「ショット」(Dキー)、相手にぶつかりパックを離させる「チェック」(Wキー)、味方にパックを渡す「パス」(Sキー)、そしてフェイクをかます「デク(Deke)」(Aキー)と4つにわけられている。

 それぞれのスキルには状況やコマンドによって細かく分かれている。たとえば、同じデクのAキーでも停止中に使用すると横へ素早く動く「スピンオラマー」というスキルを発動し、移動中にAキーを押せば360°回転して相手を欺く「スピンデク」が発動される。ただ、動きの状況だけでなく、パックを保持している場合、持ってない場合によって違うスキルが発動されるので、スキルのバリエーションを駆使したやりこみがいがある作りになっている。

 細かいスキルは自由自在に使用することだけでなく、相手の動きの先読みも必要とされるので、開発者との試遊の間もかなりハードだった。こみいった操作は手軽に楽しみたいユーザーには向かないかもしれないが、熟練したプレーヤーの試合は見ている人も熱くさせてくれるだろう。

 「Slapshot」でプレイできるモードは「練習モード」、「対戦モード」、「チュートリアルモード」の3つのモードが用意されている。オンラインのマルチプレイは対戦モードだけだ。対戦は1対1の2人から3対3の最大6人までP2Pによるプレイシステムになっている。

 実際のアイスホッケーに比べ3対3でのプレイは少ない感があるが、チームワークと個人のスキルのバランスが取れている。

 韓国ユーザーの下馬評では、ゲームの雰囲気からカジュアルよりはコア向けで、展開に苦戦を強いられるという意見もある。しかしながら「FIFA Online」や「FreeStyle」のように成功したスポーツオンラインゲームは「萌え」より「燃え」要素が強く、ハードなアイスホッケーにアンダーグラウンドなデザインを取り入れたのは正解かも知れない。

 同じアイスホッケーを題材にしたオンラインタイトルではGravityが開発したオープンβテスト中の「Body Check Online」がある。こちらに比べるとスキルや演出が派手で、e-Sportsタイトルを強く志向した同作に比べると遊べる要素が多く盛り込まれており、一般ユーザーへの訴求力も高そうだ。

 一方で「Slapshot」は「Body Check Online」と同じく放送リーグなどのe-Sportタイトルとしての展開もすでに準備しているとしており、両作品の行方も気になるところだ。韓国の最新オンラインゲームタイトルは一通りメジャーなスポーツがネタとして出尽くして、スポーツとしてはアジアではマイナーなものに題材がシフトしているのが面白い。G★前後に登場する作品として年末に向けた動向が注目される。

顔と顔を合わせスタートする。バスケットのようにパックの奪い合いから始まる

ゴールを決めるとセレモニーが始まる。ゴールキーパーのAIは賢く、なかなか入らない。一度決まると素直に嬉しい

ゲームの雰囲気からして、コスチュームはRockやHip-Hop調のものが多い

サッカーのように細かいルールがないため、気にせず、ボディーチェックができる。パックを持ってなくても容赦無し!

「Slapshot」のマップ。1次CBTでは、Factory、Skyline、Arena、Crossroadと4つのマップが実装される。どれも街並みに設置されたアイスリンク場のイメージだ

□Nexonのホームページ
http://www.nexon.com/
□「Slapshot Underground」の公式サイト(韓国語)
http://www.slapshotonline.com/

(2007年10月19日)

[Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]



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