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★PCゲームレビュー★

作戦目標に向けて前進していくチームプレイFPS
絶妙なゲームシステムが生み出す連携を堪能せよ

Enemy Territory: Quake Wars

  • ジャンル:タクティカルFPS
  • 開発元:Splash Damage
  • 発売元:Activision
  • 対応OS:Windows XP/Vista
  • 価格:49.99ドル(英語版)、オープンプライス(日本語マニュアル付き英語版)
  • レーティング:ESRB:Teen(13歳以上)
  • 発売日:10月2日(英語版)、11月9日(日本語マニュアル付き英語版)



 オンライン対戦に主眼を置くチーム戦FPSに新しいタイトルが製品版として登場した。今回紹介する「Enemy Territory: Quake Wars(以下、ETQW)」は、名作FPS「Quake」の世界観に基づき、絶妙なゲーム性で人気を博した「Wolfenstein: Enemy Territory」のルールを導入したという最新作。

 映像から伝わる戦場の雰囲気から「Battlefield」シリーズに似たゲームではないかといった印象を持たれがちな本作だが、実際プレイしてのゲーム性は全く異なっている。「Battlefield」が互いに拠点を取り合い続けるという意味で循環型のゲームとすれば、「ETQW」は各チームが明確に攻守に分かれ、ひとつの目標に向けて攻防を繰り広げると言う、いわば直進型のゲームである。本稿では、そういったゲーム性で密度の高いプレイを楽しめる本作の魅力についてお伝えしたい。


■ 作戦目標を達成しつつ、チーム一丸となって敵地(Enemy Territory)へ前進せよ

本作は、兵士と兵器が一体となって戦いを繰り広げるチーム戦専門のFPSだ
 本作「Enemy Territory: Quake Wars」は、チーム戦をメインテーマに据えたオンライン対戦専用のFPSである。開発は米Splash Damage。同社は名作「Quake」シリーズの生みの親として名高いid Softwareと繋がりの深いデベロッパーで、実際に本作の基礎技術開発にはid SoftwareでCTOを勤めるJohn Carmack氏が関わっている。そのためゲームエンジンは「Doom3」で使われたエンジンを大幅に改良(ほとんど原型をとどめないほど)したものを使用しており、映像のクオリティに比して動作は軽めだ。

 さて、本作のゲームルールのベースとなっているのは2003年にリリースされた「Wolfenstein: Enemy Territory(以下W:ET)」である。もともとFPSタイトル「Return to the Castle of Wolfenstein」のMODとして製作された同タイトルは、開発中の諸般の事情からスタンドアロンのフリーソフトウェアとして公開され、秀逸なゲームバランスが高く評価されたこともあり、それまでFPSファンではなかったプレーヤーも巻き込んで広く楽しまれてきた。

 本作はそのDNAを受け継ぎつつ、地球に侵攻してきた「Quake」のキャラクタである「Strogg」と、それに対抗する地球防衛軍「GDF」との戦いがテーマとなっている。これが本作の兵器や戦術に存分に生かされており、現代的な戦車から異星人の二足歩行ロボットまで、あるいは敵兵の躯を復活ポイントにしてしまったりと、ド派手でトリッキーな戦いが展開する味付けとなっているのだ。

本作のグラフィックステクノロジーとしては、地形全体を巨大なテクスチャ1枚で表現するという「Mega Texture」技術が特徴的。同技術によりパターンのない地形の模様を実現すると同時に、テクセル単位で地面の質感(足音や摩擦係数など)をエディットできるようになったという。一般プレーヤーからしてみると、少々実感しにくい技術でもある

・「直進型」ルールにより、ゲーム展開が誰の目にも明確。濃密な戦いが展開する

本作のマップは「目標」毎のセクターに分かれており、攻撃側が目標を達成するごとに戦線が前進していくという構造をとっている
 本作のゲームシステムについては以前、本作のベータテスト中にファーストインプレッションとして概要をお届けした。今回は基本的なゲームシステムに加え、ゲームプレイを構成している各要素についても詳しくお伝えする。まず、基本的な構造を成しているのは「W:ET」由来の「直進型」のゲームルールだ。

 そのゲームルールの根本にある哲学は単純明快で、「ミッション目標を達成し、敵地深くへ前進していく」というもの。攻守ふたつのチームにわかれたプレーヤーは、片やミッション目標を達成するために攻撃し、片やそれを防ぐ為に防戦する、という基本的な構造になっている。ミッション目標はひとつの戦場につき3~4個程度あり、順番にひとつの目標だけが攻略対象となる。ひとつの目標を達成するたびに攻撃側は前進し、それに応じて防御側は後退する。制限時間内までに攻撃側が全ての目標を達成すれば勝ち、それを阻止して持ちこたえれば防御側が勝ちということになるわけだ。

 このような仕組みのため、自然と戦場が1箇所に限定されるのが本作の最大の特徴と言える。ゲームに参加する二つのチームがあるひとつの目標、例えば「橋を建設する」、「移動型指令所を前進させる」、「シールドジェネレーターをハックする」といったミッションを達成すること、あるいはそれを妨害することに集中することで、プレーヤーの戦いは常に明確な目標を持ち、激しいものになるわけだ。

 また、ひとつの目標が達成されると次の目標がアクティブになるため、作戦状況の変化が明確である。この点、比較されることの多い「Battlefield」シリーズとは好対照を成しており、本作では熱い戦場をもとめて彷徨うような必要は全くなく、常に目の前が最激戦区なわけだ。それでは以下、簡単にゲームの流れを紹介していこう。

このマップの目標は、「1.バリケードを爆破」、「2.移動式指令所(MCP)を移動させて配置」、「3.シールドジェネレーターをハック」、「4.データブレインを奪ってゴールへ運ぶ」となっている。そこでゲーム開始後、すぐにバリケードへ直行する

バリケードに爆薬を設置すると爆破へのカウントダウンが始まる。その間周辺の敵を排除しながら爆薬を解除されないよう守る。しばらくしてゲートが破壊され、通れるように

次にMCPを運転もしくは護衛しながら目標地点へ移動する。敵は防御兵器を配置して妨害するので、抵抗する敵を排除しながらエスコートして到着。すると敵基地に向かってミサイルが発射される

最初のミサイルはシールドに阻まれる。そこで敵地のシールドジェネレーターをハック。すると、次はミサイルが到達して基地の入り口が破壊される

最後に敵基地へ侵入し、目標物を奪取して「キャプチャー・ザ・フラッグ」の要領でゴールへ運び込めば勝利。このマップではこのような流れになったが、マップにより目標の構成は様々だ


■ ふたつの種族に各5つのクラス。目標達成のためのチームプレイが問われる

ゲーム開始時、「GDF」兵士が一斉にパラシュート降下して配置につく。ここがリスポーンポイントで、死亡してもここから復活できる
戦いは「Quake」的なスポーツ系FPSのもの。動きと照準のセンスが問われるバランスだ
 本作には、ゲームルールのベースとなった「W:ET」と同じく、各々固有の任務を持つ5つのプレーヤークラスが用意されている。ゲームを勝利するために達成すべき各ミッションには、それを達成できる固有のクラスというものがり、このためゲーム状況に応じた各クラスを担当するプレーヤー間のチームプレイが必須のゲーム性となっているわけだ。

 その中で本作と「W:ET」を分ける最大の相違になっているのが、本作が「非対称の種族」を持つゲームとしてデザインされている点だろう。地球に侵攻してきた異星人「Strogg」と、地球を防衛するために戦う人類の軍隊「GDF」は、使用兵器や戦い方の特性が異なるつくりになっている。クラス共通の違いとしては、現実的な武器を使い弾薬の補給が可能な「GDF」に対し、「Strogg」は自らのヘルスと弾薬(武器のエネルギー)を常に交換可能なうえにリロードが必要ない。登場する乗り物も、かなり異なった特性になっている。それでいて、どちらかが有利とも言えない絶妙のバランスになっているのだ。

 まず、「GDF」のプレーヤークラスは「Soldier」、「Medic」、「Engineer」、「Field Ops」、「Covert Ops」の5種類。対する「Strogg」のプレーヤークラスは「Agressor」、「Technician」、「Constructor」、「Oppressor」、「Infiiltrator」と、こちらも同じく5種類。それぞれのクラスの特性はほぼ同じ系統に属すが、所有するテクノロジーの違いにより戦法に違いが生じている。少々ややこしいかもしれないが、種族の違いに触れつつ各クラスの概要を以下簡単に紹介する。


「Agressor」の持つ「Hyperblaster」は接近戦で無類の強さを誇る
・Soldier / Agressor

 突撃兵タイプのプレーヤークラス。他のクラスにない強力な携帯火気を装備可能で、弾薬数にもボーナスがあるため正面戦闘において最強を誇る。目標達成の上で果たす役割は、携帯爆薬を仕掛けることで対象物を破壊するというミッションの遂行。

 ロケットランチャー系の武器を装備できる唯一のクラスであり、敵の設置型兵器や戦車などを効率的に破壊できる点でもチームプレイに貢献する。対人火力としては「Agressor」が持つ「Hyperblaster」と、「Soldier」のもつマシンガン「GPMG」が最強の火気である。

ロケットランチャーで敵の大型兵器を破壊、味方をサポートする

「Technician」は「GDF」兵士の死体を改造してスポーンポイントにしてしまえる
・Medic / Technician

 倒された味方の蘇生と、携帯ヘルスパックを渡して体力を回復させることが主な役割。目標達成のために持つ固有の装備やスキルはないが、チームの正面戦力を維持するために重要なクラスである。自分で自分を回復させながら戦う「自給自足」プレイも可能。玄人好みのするクラスだ。

 種族間の違いとして、「Medic」の持つ蘇生パッドは倒れた味方を一瞬で蘇生でき強力だが、対する「Technician」は味方を「修理」するため蘇生に時間がかかる。その代わり「Technician」は敵兵の躯に細工をすることで、味方が死亡したときに一度だけ再出撃が可能な一人用リスポーンポイントを作ることができる点が特異だ。

「Medic」の蘇生装置は一発で倒れた味方を蘇らせる。ただし爆発で死亡したり、追い討ちをかけられた味方は蘇生不可

Engineerは任意の平地に兵器を設置できる
・Engineer / Constructor

 乗り物の修理、もしくは設置型兵器(対人、対物、対空)の配置と修理を行なうクラス。マップの攻略では最初の目標となることの多い橋や施設の建設を行なう任務を負っている。

 また防御側としては、敵「Soldier」/「Agressor」の設置した携帯爆薬を解除できる唯一のクラスである。また設置型兵器を適切に配置して維持することはプレーヤーのセンスが問われるところで、防御側をプレイする際に大きな役割を果たすことになる。

設置した対人砲台が敵に対し自動的な射撃を行なう。とても強力(左)。修理スキルはミッション達成のためにも必要な能力(右)

Field Opsで砲撃対象を指示。ロックオンにしばらく時間がかかる
・Field Ops / Oppressor

 火力支援が主任務のクラスで、間接砲撃兵器を設置し、戦場遠くからポイントを指定して敵地に砲爆撃を加えることができる。戦場が一極に集中し、敵の攻撃をまとめて粉砕したり、硬い防御に穴を開けるという役割を果たすうえで重要な活躍ができる。

 種族の違いとして、「Field Ops」は煙幕を投げることで空軍に空爆を要請することが可能で、これは一定範囲の敵兵を吹き飛ばすのに効果的。対する「Oppressor」は、敵の攻撃をある程度和らげるシールドを設置することができる。

ロックオンが完了すると基地に設置しておいた車両からミサイル発射(左)。着弾して破壊完了。この「ハンマー」ミサイルは固定物の一掃に最適だ(右)

スナイパーライフルで死角から敵の戦力を削る。Oppressorの重要な仕事のひとつだ
・Covert Ops / Infiltrator

 スナイパー系のクラスであり、主に遠距離から敵を削るような戦い方を得意とする。またレーダーを設置することのできる唯一のクラスで、これを忘れると敵の動きが見えないという苦境に陥るため気をつけたい。また両種族ともに、敵の躯を使って敵に変装し、敵にまぎれて行動することが可能。スパイのような役目を果たすわけだが、これにより目標地点に安全に到達したり、敵の前進基地を抵抗に遭うことなく奪取できる。

 「Covert Ops」は、目標達成上の役割として敵のコンピューターをハックするという任務を持っている。対する「Infiltrator」は、「GDF」のものよりも強力なスナイパーライフル「Railgun」に加え、自由に操作可能な飛行型カメラ爆弾「Remote Drone」を装備している。

敵の死体を使って変装。成りすまして敵の背後から堂々とナイフで切りつける。1撃必殺の攻撃だが、怪しい動きをしているとすぐバレるのがスリリング


■ チームへの貢献を強く動機付ける「XP制」と昇進のシステム

本作のスコアは「XP」として、プレーヤーの能力を向上させる役割も持っている。獲得のためにはチームへの貢献が必要だ
「Medic」としてプレイ中、昇進により「Self-Shock」スキルを獲得。蘇生装置を自分に使うことで最大ヘルスをアップできるようになった
 本作は「Quake」や「Battlefield」シリーズと同じく、個人で設置することが可能な専用サーバーを介して対戦するシステムをとっていることで、いわゆる「野鯖」でのプレイがゲーム体験のほとんどを占める。それだけに、無作為に集まったプレーヤー間の効果的なチームプレイを支援する「XP制」についても触れておきたい。

 本作ではプレーヤーの活躍に応じたスコアがXPという値で表現されており、いわば経験値のようなものになっている。ゲーム内で活躍してXPを高めていくと、一定段階に達するたびに「昇進」し、それに応じたボーナス能力を得て有利に戦えるようになる。このシステムがチームプレイを促進する上で、大きな役割を果たしている。

 昇進の内容はクラスに応じたものと使用兵器に応じたもので複数の系統がある。まず、使用クラスに応じたXPを獲得するには、例えば「Soldier」であれば重火器で敵にダメージを与える、「Medic」であれば味方を蘇生する、体力を回復させるといった、クラス特性に応じた行動を積極的に行なうことがスコアとして評価される仕組みになっている。これによりプレーヤーが「昇進」すると、使用可能武器が増える、行動速度が増す、蘇生時の回復量が増すなど、クラス特性に応じた追加能力を得ていく。

 また、特定の武器で敵にダメージを与えることで武器に応じたXPを獲得していくと、これも段階ごとにボーナスが得られる。携帯火気(Light Weapon)のボーナスとしては弾薬量の増加や命中率の向上など。また前進基地の奪取などチーム全体への貢献を続けることで、Battlesenseというスキルが向上する。これで得られるボーナスは移動速度増加、敵から受けるダメージの半減、ヘルスのリジェネレーションなど強力なものだ。

 つまり、プレーヤー自身がハイスコアを目指そうとすれば、自ずとクラス特性に応じた戦いかたや、チームへの貢献を意識したプレイが利益になるというわけだ。このことが一般的なゲームサーバーに無作為に集まるプレーヤーたちにとって、チームプレイをスムーズにおこなえる土壌となっているようだ。ちなみに、敵を沢山倒した「Sniper」と、兵器を沢山修理した「Engineer」では、基本的に後者のほうがより高いXPを獲得する傾向があるようで、このことも自己中心的なプレイをゲームの風景から遠ざける効果があるとみえる。チームプレイFPSの面白さを後押しする効果的なシステムというわけだ。

各種の乗り物は、ベースとなった作品「Wolfenstein: Enemy Territory」にはなかった要素であり、「ETQW」の大きな特徴となっている。「GDF」の戦車は非常に使い勝手が良く、「Strogg」の二足歩行ロボットは攻撃力が非常に高い。全体的に歩兵同士の戦いがメインとなる本作で乗り物はサポート役にまわることが多いが、野外戦で決定的な働きをすることもある


■ 4つの地域で戦われる各3つの戦場。総計12の練りこまれたマップで長く楽しめる

一般的な設定では、地球上の地域ごとに用意された3つのマップで計3ラウンドを戦って勝敗を決するというルールになっている
「Quarry」マップでは、「Strogg」が宇宙船の残骸にエネルギーセルを運び込むことが目的となる
 本作では製品版の発売前に公開されたベータテストとデモ版で合計3つのマップがプレイできた。そこで面白さに気がついたプレーヤーも多いことと思うが、製品版ではさらに9マップ、計12のマップが搭載されている。デモ版の1マップでも十数時間は遊べた筆者からすると目のくらむようなボリュームだ。

 これらの12のマップは北米、北欧、太平洋、アフリカの4つの地域に3マップづつの構成でわけられており、「GDF」と「Strogg」の間で全地球を舞台に繰り広げられる戦いが描かれている。そこで多くのゲームサーバーが採用しているゲームルール「キャンペーン」は、「GDF」チームと「Strogg」チームが各地域に属する3マップを1ラウンドづつ戦い、その地域での勝敗を決めるというスタイルだ。例えば「北欧」のキャンペーンは以下のような流れになっている。

・第1ラウンド:Quarry

 「GDF」は「Strogg」の宇宙船を農場に墜落させた。船の自爆装置が起動に失敗したため、「Strogg」は3個のエネルギーセルを船内に運び込んで自爆装置を起動させる必要がある。「GDF」が船の残骸から深宇宙航行の秘密を暴くことを防がなくてはならない。

 目標1:「GDF」のJamming Tower Generatorを爆破する。
 目標2:散らばった3つのセルを宇宙船内に運び込む。

「The Ark」ではMining Laserを建造して基地の入り口を破り、内部で破壊工作をおこなう
・第2ラウンド:The Ark

 「The Ark」として知られる「GDF」の遠隔研究所は、「Strogg」のバイオテクノロジーの秘密を解析することに成功した。秘密が公然のものとなる前に、「Strogg」は地下研究所にあるバイオスキャナーを破壊しなければならない。

 目標1:「GDF」のJamming Tower Genratorを爆破する。
 目標2:Mining Laserを建設し、地下研究所の入り口を破壊する。
 目標3:研究所内のBioscannerを爆破する。

「Salvage」マップも同様に、「Strogg」が攻撃側として目標の達成を目指す構成だ
・第3ラウンド:Salvage

 「GDF」は「Strogg」のテクノロジーを回収し、地下鉄道網で運び出そうとしている。「Strogg」は、これが持ち出され再生産のために解析される前に破壊しなければならない。

 目標1:「GDF」のJamming Tower Generatorを破壊する。
 目標2:Mining Laserを建設し、地下への入り口を破壊する。
 目標3:地下構内の回収物を爆破する。

サーバーブラウザによる表示。現在のところほとんどのサーバーが「キャンペーン」ルールを採用しているようだ
 「北欧」キャンペーンでは全マップを通じて「Strogg」が攻め手となる構成になっているが、他のキャンペーンでは「GDF」が続けて攻め手になるもの、あるいは攻守が交代するものと各種揃っている。マップの内容としては、デモ版で公開されていた「北米」キャンペーンに属する「Valley」マップが絶妙なバランスで秀逸だったが、製品版で追加されたマップもなかなかに遊び応えがある。

 上記の「北欧」キャンペーンのマップについて言えば、筆者は「Quarry」マップの攻撃側と、「Salvage」マップの防御側でのプレイが非常に気に入っている。前者は最後の目標であるエネルギーセルを宇宙船の残骸に運び込む段階で、敵に狙われないように障害物を駆使しながらコソコソと前進するという、キャプチャー・ザ・フラッグ的なプレイが楽しい。後者は地形のおかげか序盤の攻防が非常に熱く、「Medic」クラスを使って前線を維持し続けるプレイが最高にエキサイトした。

 いずれにしても構造としては3ラウンド連続で戦うことで、1ラウンドを取り、2ラウンド目を取り返され、3ラウンド目で勝敗を決めるといった熱い戦いの流れができるようなっているわけだ。多くのサーバーで1ラウンド20分程度のタイムリミットを設けており、3ラウンドプレイして都合1時間少々。というのはちょとしたレクリエーションとしてもキリがいい。

 他のゲームルールとしては、各マップ単独で数ラウンド戦う「オブジェクティブ」モード、各マップ内で攻守交替して攻略時間を競う「ストップウォッチ」モードがある。こちらのふたつについては採用しているゲームサーバーの数が少ないようだが、ゲームがまだ発売されたばかりということで、今後各ゲームルールの人気に変化が出てくるかどうか、ちょっと興味があるところだ。

「Quarry」マップの様子。「Strogg」はエネルギーセルを奥まで運び込む必要があるが、当然「GDF」側は守りを固めて待っているので、正面からぶつかるよりは脇からこっそり運び込むようなスタイルでプレイしてみたい

「Salvage」マップの攻防は、狭い空間を巡ってひどい接近戦になる。建物に囲まれた広場で撃ち合っていると「Strogg」の支援攻撃「Violator」ビームで敵も味方も全滅、仕切りなおしに


■ プレイ動機を刺激するはずの「実績」システムが寂しいが、根本のゲーム性には及第点をつけたい

こちらは「実績」の確認画面。現状では国内にランクサーバーが存在しないため、筆者の実績はひとつも解除できていない
 プレイを長く続ける動機付けとして、ここ数年は永続的な階級やランキングのシステムが積極的に導入されるようになっている。本作に近い系統のゲームとしては「Battlefield 2」で昇進による追加武器のアンロックなど、アカウントベースの戦績要素があったことが記憶に新しい。

 本作でも同様の「実績」システムが導入されている。これはXbox 360の「実績」に近いフィーチャーで、ゲーム内で特定の条件を満たすと勲章がもらえるという仕組みだ。しかしこれについては、あくまで記録が残るということだけで、追加の武器がアンロックされるなどの機能はない。本作ではそのほか、敵を倒した数、武器ごとの命中率、死亡回数など細かい数値記録が残る仕組みも用意されている。しかし世界ランキングのようなシステムはゲーム内に統合されておらず、Webブラウザからのアクセスとなる。このあたり、ちょっと押しが弱い印象だ。

 また最大の問題点として、この「戦績」システムに記録を残していくには、ランクサーバーと呼ばれるActivision公認のゲームサーバーでプレイする必要があるという制限がある。世界には多数のランクサーバーが開設されているものの、残念なことに現在国内で動いている中にランクサーバーは存在しないのだ。このため、海外サーバーに繋いで高レーテンシーを遭えて甘受するほかに、戦績を残していく方法はないのが現状。せっかくシステムとしては用意されているのに、これは非常に寂しい。これについてはアクティビジョンジャパンのアクションに期待したいところだ。

 ともあれ、本作はゲーム内容として充分に面白く、ボリュームもある。PC用のチーム戦FPSとして最高峰の位置にあることは確実だと断言できる。手応えのあるFPSをプレイしたいというユーザーの方は、まず本作「ETQW」を候補として検討してみる価値があるだろう。

「GDF」が防御側となる、第二次世界大戦モノのオマハビーチの死闘を彷彿とさせるマップ。「Strogg」側が固定陣地への対策を心得ていると厳しい戦いになるが、楽しい

こちらはベータテストでお馴染みとなった「Sewer」マップ。さすがに構造をよく知っているプレーヤーが多く、レベルの高い戦いになる

「アフリカ」キャンペーンのこのマップでは、スリップゲートを挟んだ二つの世界がひとつの戦場になっている。「Quake」の世界観ならではの展開といえるだろう

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    【Enemy Territory: Quake Wars】
  • CPU:Pentium 4 2.8GHz以上(同3GHz以上を推奨)
  • HDD:5GB以上
  • メインメモリ:512MB以上(768MB以上を推奨)
  • ビデオメモリ:128MB以上(NVIDIA Geforce FX 5700以上を推奨)


□「Enemy Territory: Quake Wars」の公式ページ
http://www.enemyterritory.com/

(2007年10月18日)

[Reported by 佐藤“KAF”耕司]



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