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基調講演はNintendo of Koreaの甲田峰雄氏がつとめ、日本からも含め各国から40人以上のスピーカーを招いてGDCのようなゲーム開発者会議の体裁がとられたが、全体的な雰囲気としては地方のゲーム業界を目指す学生に向けて各講演者の仕事内容やゲーム業界全体を紹介する講義が中心となった。 メディア的に大きな注目を集めたのは、日本ファルコムのMMORPG「Zwei!! Online」の発表会である。開発はファルコムがBGMを担当し、ディンプスがサーバープログラム、韓国のネオンソフトがゲーム全般の制作開発を行なっている。 「Zwei!! Online」は、2001年に日本ファルコムが発売したアクションRPG「Zwei!!」をベースにしたMMORPG。7歳から11歳の低年齢層をターゲットとしたカジュアルタイトルを目指し、原作の100年後の世界を設定している。韓国でのファーストローンチとなるクローズドベータテストは2007年12月中の見込みで、ビジネスモデルはアイテム課金制を採用し、正式サービス日程、パブリッシャーは未定となっている。
本稿では発表会で公開された内容と共に、ネオンソフトの開発担当者に「Zwei!! Online」を取材した内容をお伝えする。また、「ICON 2007」会期中に、日本ファルコム代表取締役社長 近藤季洋氏との単独インタビューに成功した。近藤氏のスケジュールの都合であまり質問ができなかったが、日本での「イース・オンライン」の展開とオンラインゲームに対するファルコムの動きを聞いた。 ■ 魔王ヴェスパーを倒してから100年後の物語、「アルジェス」を含め、全6つの大陸で構成された「グレンバレン」が舞台に!
原作では浮遊大陸「アルジェス」のみの舞台となっているが、「Zwei!! Online」では「アルジェス」をはじめ6つの空中大陸が登場し、「グレンバレン」という空中大陸群として1つの世界を形成している。原作では設定だけであった広大な世界全体をMMORPGとして表現しようとしている。 BGMを「Zwei!!」で使用されていた全曲に加え、ファルコムが新しく制作した10曲が採用されている。追加されたBGMはオーケストラをバックに壮大なイメージの楽曲も含まれるとのことだ。 原作では回復アイテムを食べることで、体力回復と共に経験値も溜まりレベルアップしていくシステムだったが、このシステムはオンラインゲームには合わないという判断から一部修正している。具体的には、本作ではモンスター狩りと、回復アイテムの両方で経験値の獲得が可能になっており、開発者によれば狩りと回復アイテムでの経験値獲得比率をおよそ8:2の割合で行なうようにしているという。 インターフェイスでは移動や攻撃などチャット以外のモーションのほとんどはマウスにまとめ、シンプルな操作感を目指した。また、用意されているダンジョンはインスタンス方式だ。 この日公開された時点での開発状況はαバージョンとのことで、4種類の職業、各3つのスキル、男女のキャラクタまで実装され、プレイの体裁は整っている。いずれも詳細は後日発表を待つ必要があるが、将来的には4次までの転職システムや、PvP、ハウジング、携帯電話との連携で育成可能なペット機能などの要素が盛り込まれるとのことだ。 映像資料を見る限りでは昔ながらの2DRPGの雰囲気で、原作の雰囲気を残そうという意志が感じられた。ターゲットとなる7歳から11歳には当然ながら「Zwei!!」を知らない世代であり、ビジネスとして成功させるためにはマーケティング面での工夫が必要となるだろう。
現時点では、開発側から公開されている情報が少ないため、ゲームの全体像がつかみにくいのが残念なところだが、2Dならではのかわいらしいキャラクタの動きを見る限り、「Zwei!!」ファンにはたまらない作品となりそうだ。まずは12月に行なわれるクローズドベータテストを楽しみにしたい。
■ 日本ファルコム株式会社代表取締役近藤季洋氏インタビュー。「イース・オンライン」の日本展開は未定
編: ファルコムの代表が山崎伸治氏から近藤季洋氏に変わりました、今の心境を聞かせてください。 近藤氏: 自分は元々開発の方におり、いきなり代表となった身でして、複雑な心境です。 編: 「イース オンライン」の日本での展開についてお尋ねします。パブリッシャーはファルコムが直接行なう予定ですか? また、「Zwei!! Online」についてはいかがですか。 近藤氏: 日本のパブリシャーについてはまだ検討中で、直接行なうか否かも含めて考えています。どうなるかも未定です。確実なものになったら、公式な場で発表したいと思います。今回公開された「Zwei!! Online」も同じことです。 編: 「イース オンライン」や「Zwei!! Online」を、韓国で先んじてサービスされる理由を教えてください。 近藤氏: 弊社タイトルのオンライン化に関しては、ファルコムが韓国の開発会社にオファーをしてるわけではなく、韓国の開発会社からファルコムにゲームの名前と世界観などの使用をご提案いただいています。それに答えたという流れですね。両タイトルとも同じ状況です。 編: 韓国以外でのサービス展開についてはいかがでしょうか。 近藤氏: それに関してはファルコムが独自には進められない状況です。契約上、第3国へのサービスは、開発会社であるCJインターネットやネオンソフトに権利があります。もちろんファルコムもそれに関わり、一緒に決定して行きますが、弊社だけで決められることではありません。 編: 「イース」、「Zwei!!」がオンライン化されますが、ファルコムのもう1つの代表作である「英雄伝説」のオンライン化の予定はあるのでしょうか。 近藤氏: 「英雄伝説」に関しては何も決まってない状況です。ただ、ちょっとやってみたいとは思っています(笑)。たとえば、「英雄伝説 -空の軌跡-」の大きな世界で、1つの世界を切り分け、そこだけをオンライン化するとか……。そういうことが内部で半分冗談で話されていますね。もしかしたら本当にそうなるかも知れませんけど(笑)。 編: 韓国内で「イース オンライン」はキャラクタだけをモチーフにし、実際のゲームは「リネージュII」風に仕上げた「イース」とはまったく別のものだというユーザーの意見があります。これに関してどのようにお考えでしょうか。 近藤氏: 耳が痛い言葉ですね。ファンに対しては申し訳ないと思います。実際、私もプレイしましたが、韓国語版で、全然わかりませんでした。その件に関しても開発は全般的にCJインターネットのような開発会社が決める事ですね。 考え方の1つとしては単に「イース」の名前と世界観だけを借りただけとも考えられます。我々が考える日本での展開は「イース」の要素を盛り込んだ追加コンテンツを入れたいと考えています。 編: それではファルコムが直接オンラインゲーム事業に取り込むことはあり得るのでしょうか。 近藤氏: そこまでは考えていません。そうした大きな事業を開始するつもりはまだありません。ただ、検討を重ねて決定していきたいと思っています。 編: 最後に代表が近藤氏へと変わって、ファルコムがどのように変わり、展開していくのか聞かせてください。 近藤氏: 今、言えることはファルコムがこれまでとは何も変わらないということです。よろしくお願いします。
編: ありがとうございました。
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□日本ファルコムのホームページ (2007年10月9日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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