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会場:幕張メッセ マイクロソフトは今年、Games for Windowsブランドで5本のPCゲームタイトルを出展。うち3タイトルがDirectX 10対応という状況で、「DirectX 10を起爆剤に、PCゲーム市場を大きく盛り上げたい」という同社の強い意志が感じられる出展内容だった。 実際の市場の反応は、DirectX 10をサポートした唯一のOSであるWindows Vista、DirectX 10をサポートしたビデオカード共に、ゆっくりとした出足に留まり、DirectX 10対応タイトルの市場性はこれからといったところだ。しかし、次世代コンシューマ機に表示解像度、オンライン機能、ゲームデバイスへの対応といった部分が軒並み追いつかれた現在、PCゲームのアドバンテージはもはやDirectX 10しか残されていないのが実状だ。 本稿では注目のDirectX 10対応タイトルを中心に、マイクロソフトブースに出展されていたGames for Windowsタイトルをご紹介していきたい。
■ 「Flight Simulator X: 栄光の翼」は、30以上のミッションとホーネットやマスタングといった名戦闘機を収録
コンテンツの内容は、まず延び延びになっていたDirectX 10モードを実装し、シェーダーモデル4.0世代のグラフィックスを実現するほか、マルチプレイモードを大幅拡張。「FSX」で追加されたエアレースをマルチプレイ対応して、スピードレースやクロスカントリーなどを仲間とリアルタイムで競えるようになる。 シリーズお馴染みの新機体は、米海軍の現役戦闘攻撃機F/A-18Aホーネット、こちらも現役の掃海ヘリEH-101、そして第二次世界大戦を代表する米陸軍の名戦闘機P-51Dマスタングと、軍用機3機種。新ミッションは30以上追加し、新機体向けに空母の発着や無視界着陸、密輸取り締まり作戦、海上人命救助なども用意されている。また、航空ファンには垂涎のレッドブルエアレースの2006年データを収録し、ロングリート、テンペルホーフ、イスタンブール大会が新たに楽しめる。 出展されていたバージョンは、すでに日本語化されていたが、残念ながらDirectX 10モードは未実装だった。DirectX 10モードの映像と共に2006年のE3で華々しく公開された「FS X」だが、開発途中でDirectX 10モードの実装の延期が発表され、その後のパッチ対応という公約も実現しないまま現在に至っている。2007年7月には100MBを超える大規模アップデート「Flight Simulator X Service Pack 1」が公開されたが、DirectX 10は未実装のままだった。
9月に未実装の状態で、今冬の発売までにDirectX 10モードが間に合うのか、一抹の不安がよぎるが、その一方で「FS X」ユーザーにとって吉報なのが、「Flight Simulator X: 栄光の翼」を導入しなくても、「FS X」本体のみの状態でもDirectX 10のパッチ対応を行なうところだ。当然といえば当然だが、DirectX 10モードの内容とパフォーマンスを確かめてから「Flight Simulator X: 栄光の翼」導入を決められるのは嬉しいニュースだろう。
■ CryEngine2.0&DirectX 10が生み出した驚異の次世代ゲームプレイを実現した「CRYSIS」
「CRYSIS」は、「FarCry」で実装したCryEngineの新バージョン「CryEngine2.0」を採用した初のタイトル。DirectX 10世代のゲームエンジン「CryEngine2.0」により、すべてのオブジェクトがインタラクティブな実写さながらの3D空間で、FPSアクションが楽しめる。 その一端を紹介すると、雪原や無重力空間では、キャラクタの性能も変化し、環境に適応したアクションが必要となる。森林地帯では、すべての木々が物理法則に支配され、風で揺れ動き、銃撃でなぎ倒すことができる。また、ナノスーツを装着ことにより、一時的に筋力や体力を増強できるほか、半透明になるクローキング機能も利用することができる。 今回のストーリーは、南シナ海の孤島に存在する古代遺跡の所有権を巡る米国と北朝鮮との争いがモチーフとなっている。プレーヤーは米国政府から派遣されたスペシャルフォースのひとりで、島への上陸作戦に合わせて展開された北朝鮮軍の強襲によりちりぢりとなってしまう。プレーヤーは早速島の探索を開始するが、そこで北朝鮮軍と、人間の仕業とは思えないほどの力で無惨に引き裂かれた味方の屍骸を目にする……、といったストーリー展開となっている。「CRYSIS」は、「FarCry」同様の濃厚なシングルプレイに加え、最大32名まで参加できるマルチプレイにも対応している。
なお、対応OSはWindows Vistaのみならず、Windows XPにも対応し、DirectX 9でも動作させることができる。不安なのは動作環境だが、Core2 DuoクラスのデュアルコアCPUと、GeForce8000クラスのGPUは必要になりそうだ。また、標準でXbox 360コントローラにも対応しており、Xbox 360への展開も視野に入れていると考えていいだろう。
■ DirectX 10世代初のRTS「World in Conflict」。日本でのパブリッシャーはズー
開発初期の段階からDirectX 10対応を表明し、現行最高水準のグラフィックスを実現している「Age of Empires III」シリーズを上回る高精細グラフィックスを実現している。日本でのパブリッシャーはズー、販売はラッセルが行なう。完全日本語版での発売を予定し、発売時期は年内としている。 「World in Conflict」は、冷戦最中の'93年のアメリカ大陸を舞台としたミリタリーRTS。NATO軍対ソ連という壮大な歴史のifに挑戦し、戦車同士の市街戦や、戦略爆撃、果ては核攻撃まで含めて、DirectX 10対応によるハイクオリティなグラフィックスを駆使して、冷戦時代の戦争を描いている。舞台がアメリカであることからも想像できるように、ソ連が米本土に攻め込むところからスタートし、NATO軍はヨーロッパではなく、米本土を守るというユニークな設定となっている。 実際にゲームプレイ映像を見ることができたが、地平線が見えるバードビューを基本視点に、フライトシミュレータの低空飛行を眺めるような素晴らしい絶景が堪能できた。爆撃に伴い、地表のオブジェクトが派手に破壊されるなど、「Ground Control」シリーズをさらに進化させたようなインタラクションが魅力的だ。
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□マイクロソフトのホームページ (2007年9月21日) [Reported by 中村聖司]
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