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キューエンタテインメント、PS3「Angel Love Online」発表
アイテム課金制でソフトは今冬に無料配信
CEO内海氏・プロデューサー森氏にインタビュー

9月11日 収録

 キューエンタテインメント株式会社は、プレイステーション 3用MMORPG「Angel Love Online (エンジェルラブオンライン、以下ALO)」のサービスを今冬開始すると発表した。ソフトは無料でダウンロードでき、アイテムを有料販売する、アイテム課金制を採用する。

 「ALO」は同社が2006年12月に、Windows向けにサービスを開始したMMORPGで、開発は台湾UserJoy Technology。2Dグラフィックスを採用し、比較的低スペックのPCでも動作することと、ライトなファンタジーで描かれた世界観が好評で、現在も好調にサービスを続けている。

 プレイステーション 2用でPS3でも動作するタイトルを除けば、PS3用ソフトとしては初のMMORPGとなる。またアイテム課金制による運営というのも、コンシューマ向けMMORPGでは初めての試みだ。開発はキューエンタテインメントとUserJoy Technologyの共同で行なっているという。

 今回、この気になる要素の多いPS3版「ALO」について、同社の代表取締役CEOの内海州人氏と、「ALO」プロデューサーで執行役員の森健志氏に、詳しい話を伺った。



■ 必然的に生まれたコンシューマ版「ALO」

――まずは、今回のプロジェクト立ち上げのきっかけから、現状までの動きを教えていただけますか。

代表取締役CEOの内海州人氏。経営のトップというと堅実なイメージを持たれそうだが、先鋭的な作品を作ることで知られるCCO(チーフクリエイティブオフィサー)の水口哲也氏と手を取り合うだけあって、会話の端々からとてもアグレッシブな姿勢が感じられた
「ALO」プロデューサーで執行役員の森健志氏。入社して約1年と日は浅いが、先日はWindows用MMORPG「Secret Online」を発表するなど、なかなかのハイペースで新作を投入している
森氏 : オンラインゲームのタイトルが非常に多い中で、タイトルを増やすだけでなく、新たな取り組みというのもぜひやっていきたいなと。私が昨年入社して、PCのほうで真っ先に基礎、基盤を作りました。その上で、キューエンタテインメントという会社で最大限に何か新しいチャレンジを、というところで、企画が持ち上がってきました。コンシューマの、それもオンラインというところでやってみるのは、非常に価値があるのではないか、というところがスタートですね。

内海氏 : 僕の立場から言うと、森がPCの「ALO」を立ち上げたのは、コンシューマの人間からすると、やっぱり異文化だったんですよね。多くのユーザーさんはPC、オンラインもコンシューマも同時にやられているのかもしれないとは思いつつ、結構カルチャーが分かれているところもあるのかなと思いまして。もしかすると、これを提供することによって、コンシューマの皆さんもオンラインゲームというものをより身近に楽しく感じられるんじゃないかなと、単純に思ったんですね。

 コンシューマのカルチャーというのは、完成したものをドンと置く、料理を届けるようなものですけれども、オンラインゲームというのは、ネットのカルチャーというか、コミュニティの世界に近いような、ゲームに近いような。コンシューマの世界の人から見ると、ある意味新しい経験だと思うのです。これを基本料金無料で、非常に気軽にできるということ自身が、きっとコンシューマの方には新鮮に見えるだろうし、経験としても有益なんじゃないかと思って。みんなやっていないから、じゃあやってみるか! ということで盛り上がって、今動いているというわけです。

――話のスタートはどこから出てきたのですか? やはり森さんからですか?

森氏 : 記憶がちょっと曖昧なのですが、多分そうだと思います(笑)。内海と私の中で、目が合ったときにはもう「やろうか」というモードになっていました。

内海氏 : 「(コンシューマでPCオンラインゲームは)動かないんですか?」って言われて。「動くと思うよ。大変なの?」、「大変? いや、みんなが大変だと思っているだけなんじゃないか」っていう話になって、調べたら「そうでもないぞ」ということがわかって。じゃあやろうと。

――いつごろからこの話が動き出したんでしょうか? 森さんが入社されて、まだ1年少々というタイミングですが。

森氏 : 前からちらほらと話はあったのですが、具体的には今年に入ってからですね。

――もう半年くらいは動いていると。「ALO」が立ち上がってすぐくらいに、コンシューマに行こうという話になったということですか?

森氏 : 本当のことを言うと、私が入社する段階から。7~8年オンラインゲームだけを扱っている会社でやってきたので、コンシューマをやられている会社に入った時点で、何かもう、そういうものがあったんですよね。やるとしたら、そこの中の融合であるとか。そうでないと、自分自身が仕事を楽しめないんです。結構飽きっぽい性格なので、同じことを7~8年もやっていると間が持たないんです。7~8年の間は、まさにオンラインゲームがぐっと動いている過渡期でもあったので、さまざまな経験をさせていただいて。普通にタイトルを見つけてきて、開発したものを立ち上げるというのは、言葉を悪く言ってしまうと、もう慣れてしまったというのがあります。一プロデューサーとしては、刺激がなくなってきていたんですよ。新しい刺激という部分では、今回は本当に、やった! という気分です。

――では森さんはこのプロジェクトを立ち上げるに当たって、どの辺りに勝算があると思われていますか?

森氏 : 勝算はどちらかというと後からかなと、実は思っています。まずは他社でまだやっていないことをやると。まずチャレンジすることで、そこでしか得られないノウハウもありますから、そこをいち早くやることによって、そこのノウハウを吸収していこうというところが第一ですね。

――今までオンラインゲームをいくつも手がけていらっしゃいますが、コンシューマを手がけられたのは初めてですよね。今のところの手ごたえはいかがですか?

森氏 : 勉強しながらって感じですね。やはり文化が違いますから。キューという会社はコンシューマの開発をしている、していたスタッフもいますから、その方たちと日々打ち合わせを通しながら、吸収しつつ、逆にこっちからネットのことに関しては教えつつ。お互いに教えあいながら作業を進めている状態です。

内海氏 : すごく不思議なんですけれど、実はPCとコンシューマのカルチャーの間に、結構ギャップがあるんですよ。開発にしろ、プレーヤーにしろ、ビジネスをやる人にしろ。ただ、本来はすごく近くてもおかしくない。PS3にしろXbox 360にしろ、ビデオゲーム機がネットに繋がって、かつゲームができるという段階で、何で普通のMMORPGがないんだっけ? っていう話じゃないですか。そういう風なところが、今回近くにいて、「これならできるよ」っていうコンシューマの人とPCの人とが話をしているっていうのは、結構面白いですね。

――内海さんとしても、そういう新しいところにチャレンジすることに価値を見出されたと。

内海氏 : ボランティアではないので、ビジネス的にも面白いんじゃないかとは当然思っているんですけれども。きっとコンシューマのユーザーにとって、ハードウェアを買ったその日のうちに、タダでゲームを遊ぶことができるというのは、割とユニークな経験だと思います。そういうことがPCではある意味当たり前の世界かもしれないのですが、それを非常に気楽にできるという風な環境というのは、実はもしかしたら面白い、新しい価値なんじゃないかなとは思っています。ですから、強いて言えば、ユーザーがいいということは、商売にもいいんじゃないかなと思っています。



■ PS3に2DのMMORPGを出す狙い

「ALO」は2DグラフィックスのMMORPG。PS3においては絵的なインパクトには欠けるのだが……
――キューエンタテインメントとしては初めてのPS3タイトルとなります。初めてといえば、PS3用のMMORPGが出るのは初めてですし、そこでのアイテム課金という形も初めてですし、純粋な自社タイトルではないというところでも新しいことだと思います。こういう新しいものが重なったところで、不安はないのでしょうか?

内海氏 : 不安ですか? 割と新しいことをやっているので、いろんなユニークな障害はあるかと思います。実際、細かいところでは既に起こっているんですが。ただ、あまり不安というよりは、期待のほうが大きいですね、今回の場合は。ちょっと山っ気が大きいのか、みんなに「ええっ」って驚いてもらいたいところがあって。それが今回できるのが嬉しいですね。

――確かに驚きは大きいですね。どこかがいずれはPS3でMMORPGを始めるとは思っていましたが、キューエンタテインメントさんが、しかも自社タイトルではないという形でやられることには、驚きが大きいかなと思います。ただPS3というのは、グラフィックスの美しさなど、パワーが目立つハードです。その中で、PCのオンラインゲームとしても非常に軽いといわれている2Dのタイトルを持ってくるというのは、結構意外なやり方かと思います。この辺りはどういった判断があったのでしょうか?

森氏 : 意外と簡単な話なんですけれども、例えば今扱っているタイトルが「ALO」ではなくて、3Dバリバリの高スペックの作品だったとしたら、これをPS3化というときに、ちょっとそこに不安があったと思うんです。メモリが大丈夫なのかとか。元々コンシューマを開発していたスタッフにも色々話を聞いていて、PS3はPCよりメモリが少ないとか、逆にグラフィックスを動かす力はあるとかですね。そこで本当に3Dバリバリのものだとしたら、本当にできるのかという検証から入っていかなければならないはずです。多分そのスタートの時点で、数カ月遅れていたんじゃないかと思うんですね。逆に、2Dの「ALO」だからこそ、これがPS3で動かないはずがない。であれば、結構簡単に行くんじゃないか、という発想からだったんです。

 あとは、今実際にPS3のほうで体験版であったりとか、オールド作品であったりとか、カジュアルなゲームというのがダウンロードできるものが「PLAYSTATION Network」でやっているんですけれども、たまたま私があるカジュアルなソフトを自宅でダウンロードして遊んでみたら、クオリティがすごいかというとぜんぜんそうでもなくて、ただ単に3Dになっているだけなんですね。でもコントローラの6軸検出システムがうまく活用されていて、すごくシンプルな中に面白さがありました。「ALO」のグラフィックスは、他のPS3のタイトルから見ると「何だこれ」というところがあるのかもしれませんが、逆に言うと、シンプルだからこそ簡単に入っていただいてプレイしていただけるのではないかなという発想です。

――やはりMMORPGというものを、一度PS3の上でやりたかったというのが一番ですか。

森氏 : はい。そしてやるからにはやっぱり、最初はシンプルなものがいいのではないかということです。

――今回、PS3というハードを選ばれましたが、ゲーム内容からするとXbox 360でも可能ですし、PS2でも不可能なタイトルではないと思います。ここでPS3を選んだ理由は何でしょうか?

内海氏 : ちょっとビジネスよりの話になりますが、PS3には全てにHDDが付いていますし、かつプログラム的にもPCとPS3の連動ができる環境なんです。プログラムとして我々が乗りやすかったというのは1つあると思います。あと、インパクトもあるかなと思いまして。その両方だと思いますね。PS2はHDDが標準では付いていませんから、標準で付いているもののほうがわかりやすいですよね。そしてご存知のように、PS3には「PLAYSTATION Network」という、ダウンロードして遊ぶというプログラムがありますので、その中に乗せればいいわけですから。

――次にタイトルについてですが、PS3の1作目ということで、自社タイトルを展開したいという思いはありませんでしたか?

内海氏 : 自社でも実は少し動いているものがあるんですが、特にそこに対するこだわりはないですね。ただユーザーさんに「おおっ」と思ってもらいたいな、というのがちょっとあって。そういった意味でいうと、これはみんな「えっ?」、「おおっ」という風に思ってくれているんじゃないかなとは思っているんですけれどね。

――開発は台湾UserJoy(PC版の開発元)さんと共同とのことですが、具体的にはどういう動きになっているのでしょうか?

森氏 : 既存のネットワーク部分であったりとか、グラフィックスについては、PCでもやってもらっているUserJoyさんにやっていただいています。「PLAYSTATION Network」を使ってのダウンロードやインストールプログラムの仕組みだとか、コントローラでキャラクタを動かさなきゃいけないだとか、描画の一部だとか、コンシューマの核となる部分のプログラムを弊社がやっています。

――するとゲームの中身はUserJoyさんで開発されているということですね。UserJoyさんはコンシューマの開発経験はあるんですか?

森氏 : ないですね。

――すると御社がコンシューマの開発のノウハウと提供して、それを合わせるということですね。

森氏 : 本当に、「一緒にやりましょうよ」ということです。

内海氏 : 森と最初にこの話が盛り上がったとき、「UserJoyさんがいいって言うかな?」という話から始まりましたが、UserJoyさんに言ってみたら「やりましょうよ。そんなことができるんだったら面白い」とむしろポジティブな反応があって。森が日本で頑張っていることも評価してもらったんだと思います。UserJoyさんも、台湾以外でも、いろんなところに行くわけじゃないですか。そういう風なところでも展開がやりやすいですし、そういうところも半分期待してもらってうちとやっていると思うので、非常によかったと思いますね。でも本当に、PCのカルチャーとコンシューマのカルチャーが分かれているんですよね。それが何か今回、作り手サイドでもくっついて。望むべくはユーザーさんサイドでもそういうことが起こってくれるといいなと思いますね。



■ PC版とPS3版は同一サーバー運営。課金形態もPC版にならう

アイテム課金は「思い切って挑戦した」のではなく、「ないのが不思議。だったらウチがやる」というのが本音のようだ
――次にアイテム課金を採用された点についてお伺いします。PS3では、「まいにちいっしょ」などで、無料でソフトを配ってアイテムを販売するという形をとられています。しかし本格的なオンラインゲームでは、これが初めてだと思います。アイテム課金を採用されたのはどういう理由からでしょうか?

森氏 : PS3でやろうという話が固まった時点で、PC版とサーバーを分けるのかという話が上がりました。最初は分けるという方向に進んでいたんですが、運営からしてみると、一緒に中で楽しめたほうがいいわけじゃないですか。分ける理由はないよね、というところから、サーバーを同じにできるのかという検証が始まり、そのうち、できるという確認ができ。できるとなった時点で、今度はもうPS3版をPC版と同じにあわせるしかないわけですよ。

 これがもしサーバーが分かれるという話になっていたら、また別の選択があったのかもしれませんが、まずはやっぱりPC版のユーザーさんと、PS3から入ってくれるユーザーさんが一緒に楽しめる、というのが、まずは目指すべきところじゃないかな、というところがアイテム課金になった理由ですね。PCのほうがアイテム課金になっていましたので、ならざるをえないと。

内海氏 : PCの世界では、大半のオンラインゲームがアイテム課金じゃないですか。でもコンシューマでは全くないわけです。「何でだろう?」という気がしていて。理由がよくわからない。そういう意味で、面白いな、今回これやってみたいなと。むしろ、これどう思います?

――最近目立つのは、Xbox 360の「アイドルマスター」ですね。これはパッケージソフトですが、追加アイテムの販売で話題になるくらい売れているようです(Xbox 360のダウンロードコンテンツで世界第3位のダウンロード数と発表されている)。ですからアイテム課金も、決して商売として成り立たないものとは思いません。ただ、根本的に無料のソフトにユーザーがお金を払ってくれるかどうかは、コンシューマではまだ誰もやったことがないので見えないですね。

内海氏 : そういった意味では、ちょっと実験ですよね。

――PC版であれば、うちのような情報サイトなどインターネットで情報を見つけて、直接公式サイトに行ってダウンロードができました。しかしPS3のユーザーはそういう直接的な流れができません。さらにクライアント無料という形になると、ショップにもソフトが売っていないという形になります。こういう形での売り方というのはどのようにしようと考えていらっしゃるのでしょうか?

内海氏 : GAME Watchさんに助けていただく(笑)。

――いや、ウチも頑張らせてはいただきますが(笑)。それだけというわけにもいきませんし。どういう展開を考えられているのかが気になります。

内海氏 : ソニー(SCE)さんと色々お話をしながら。ソニーさんのショッピングサイトもありますし、そちらでの展開ですとか、色々考えていきたいですね。何かいい手があったら教えてください。

――PC版では「スターターキット」(クライアント入りパッケージ)も販売されています。こういう展開はないんでしょうか?

内海氏 : いいこと言いますね。色々考えたいです。

――ダウンロードでもできるし、パッケージでもできるという形は、技術的には可能なのですか?

森氏 : 不可能ではないです。「ALO」はHDDを使いますから、ダウンロードでもパッケージでも、PS3へのインストールが発生します。

――アイテム課金において、課金システムはどうなるのでしょうか。PC版と同じように「エンジェルポイント」を使用するのでしょうか?

森氏 : こちらも今後詰めていく部分なのですが、用意はしています。ソニーさん側で持たれている部分があれば、結局裏でサーバーが動いているのは一緒ですので、そこにつなげるのか、つなげないやり方があるのか。そこを今まさにやっているところです。

――今までにない形なので、どういう風に展開されるのかはとても興味があります。単純に「PLAYSTATION Network」に置かれているだけだと、熱心に見ている人しか見つけられませんし。今後どうなるか期待しています。



■ PS3版はコントローラにも対応

――次はゲーム内容についてお伺いしていきます。PS3はHD映像を出せるわけですが、中にはSD映像で遊んでいる方もいらっしゃいます。扱える解像度が非常に幅広いわけですけれども、これらには全て対応できるのでしょうか?

森氏 : 今ちょうど、そこを開発の中で模索している段階です。今現在、ぱっと見た目にはPC版とほとんど変わりません。それを今度は解像度を上げていくのか、あるいは下げられるようにするのか、どこまでやるのかは今後決めていくところです。

――HDDの必要量はどのくらいですか?

森氏 : 今のところ、PC版のクライアント容量とそれほど変わらない状態です。PC版が多めに言って700MBくらいですので、大体そのくらいの量に収まればいいなと思っています。でもオンラインゲームはどんどんアップデートで量が追加されていきますので、まだスタートして1年も経っていないタイトルでもありますから、今後どれだけ追加されていくかはわかりません。

――PC版ではキーボードとマウスをインターフェイスとしていました。PS3でも対応するのでしょうか?

森氏 : そうですね。USBのマウスとキーボードを接続してできるようになっています。

――逆にコントローラには対応するのでしょうか?

森氏 : そこが今、一番の要かなと思っています。技術の違いというと面白いんですけれども、弊社の開発陣はずっとコンシューマを作っていましたから、コントローラは当たり前という文化です。ところがUserJoyさんは今までコントローラという文化はなく、マウスとキーボードなわけです。そこを今、話し合いながら、最終的にはコントローラでできるようになるよう目指しています。できないといけないかなとも思いますし。

――そうですね。マウスとキーボードが必須です、といってしまったら、ユーザーさんの負担も大きくなりますし、無料ですぐ始められるというところにも合わなくなります。

森氏 : 最近ではちょっと冗談半分に、6軸検出システムを何かに使えるかな、なんて話しています。

内海氏 : あんまり言わないほうがいいよ(笑)。

森氏 : ちょっと遊び程度で(笑)。これ使いどころはないかなと。

――サーバーが共通になるとのことでしたが、アカウントも共通で使えるのでしょうか?

森氏 : どうなるかは正直、まだ見えていないところです。PS3上で1つアカウントが存在していますので、そこを使うとなった際には、どっちでも使えるとは多分ならないと思うんですよ。それは今後、SCEさんと調整させていただこうかなというところです。最終的には、ユーザーさんが一番望んでいる形にできるだけ近づけていきたいなと思っています。

――PC版とPS3版はアップデートスケジュールも同じということになるのですか?

森氏 : そうです。

――PS3とPCで開発リソースが増えたことで、今のPC版のユーザーさんとしては、アップデートスケジュールに影響しないかという心配もあるかと思います。

森氏 : アップデートスケジュールには影響しない形で動けるようにUserJoyさんと話をしています。新たにPS3版の開発のための人員を増やすことで対応することになっています。

――PS3のオリジナルの機能のようなものは用意されるのでしょうか?

森氏 : PC版でもさまざまなコラボレーションなどをやってきましたので、PS3版を開始した時には、PS3でないとできないようなイベントなど、さまざまなチャレンジをしていきたいと思っています。あとPS3版が始まったからこそ、それに付随する新しいシステムというのも、PC版と合わせて入ってくるかと思います。



■ 他のプラットフォームへの展開は?

可愛らしいキャラクタだけに、他のプラットフォームにも展開しやすそうなタイトルではある
――プラットフォームでは、モバイルへの展開はいかがでしょうか?

森氏 : 今すでに展開しているものでは、「ルミネスモバイル」で、「ALO」のスキンという形で、曲と背景などを展開しています。今はどちらかというとデータを取っているといいますか、相性がどのくらいなのかと計っているというのはあります。今後どうしていくかは、そのデータを踏まえつつやっていこうかと思っています。

 今、悩んでいるものが1つあるんですけれども、何でもかんでも繋げていいのかどうかというのもあるんですよ。ユーザーさんにとって利便性があるのかとか、楽しみが本当にあるのかとか、そういった部分も考えつつ、進めていくのか、スキンを出すようなコラボレーションで終わるのかというのを、模索しながらやっています。社内だけで、「これをやったらいいんじゃないか」と妄想の塊で突っ走っていって、作ってみたものの利用者は月に2人しかいません、となったら非常に悲しいじゃないですか。ここは本当に需要があるのか。コンシューマと違って、日々生のデータが取れますので、そこを見つつ考えています。

――他社のタイトルでは、携帯アプリで稼いだお金をオンラインゲームに送るという機能があるものも出てきています。そういう展開の可能性も模索はしているということですか?

森氏 : そうですね、それももう何度も上がっているという感じです。ただそれが本当にいいのかどうかを、日々話し合っているという感じです。

――もう少し話を広げて、ニンテンドーDSやPSPといった携帯ゲーム機への展開はいかがですか?

森氏 : 今後の展開として、ありえなくはないです。ただ目前ではPS3を発表していますので、それを不具合なくスムーズに動くと確認できるまでは、ほかの事は考えられないというのが正直なところです。あとPC版のほうでは、今年の11月くらいを目処に次の大型アップデートも控えていますから、それらが同時進行で走っているわけです。スタッフ的には開発元も含め、それ以外のことは今はちょっと、という状態です。



■ 「きっと将来は、常識になる」

――PS3版は「東京ゲームショウ2007」には出展されるのですか?

森氏 : はい。SCEさんのブースで、プレイアブルで出展します。ムービーも用意しています。UserJoyさんのブースでは、PC版のイベントも予定しています。

――そちらも楽しみにしております。では最後に読者へ向けてのメッセージを一言ずつお願いいたします。

森氏 : 今(11日の取材時点)、ホームページ上でカウントダウンをしているんです。インターネットの掲示板を見ると、「重大発表」の内容に、私自身が性転換するとか、結婚して姓が変わるとか色々出ているのですが、今のところ全部外れています(笑)。私のBlogでは、「皆さんの想像を超えるものを用意させていただきます」というコメントだけしているのですけれども、本当にびっくりされる方はびっくりされるんじゃないかと思います。「何やってんだ」といった意見も出るかと思います。

 ただ私としては、より多くのお客さんに、「ALO」を触っていただきたいんです。入りやすいけれども奥が深いというのを売りにしていますので、そこを実際により多くの人に触っていただける機会が増えるための一歩になればいいなと思っていますので、楽しみにしていただければと思います。

内海氏 : 本質的にはPS3だろうがPCだろうが、ゲームを楽しんでいただきたいということです。プラットフォームが増えていろんなところでゲームができて、それぞれの色もちょこっと出しながら。このゲームはユーザーさんが作っていくところもありますから、それがどういう風な進化を遂げるか、どのように皆さんに遊んでいただけるか、非常に楽しみにしています。こちらのほうも、森を中心にできるだけそれが楽しい環境になるよう努力します。

 チャレンジを言い出すと非常にキリがないんですね。でもそのチャレンジはどちらかというと、結構内部の話だったりすると思うので、ユーザーの方々にはぜひそういうところは見ないで楽しんで欲しいなと思います。これがきっと将来は、常識の話になると思うんですよ。それをたまたま一番最初にできるというのは喜びなので、それをみんなもちょっと応援していただきたいなと。色々あるかもしれないですが、大目に見ていただいて、楽しいものにしていきたいと思っています。



 インタビューの後、開発中のPS3版「ALO」を少し見せていただいた。発表したばかりだというのに完成度はかなり高く、見た目にはPC版とほとんど違いを感じられない。通信も既に組み込まれており、PC版と並べて、同じ場所にログインしている様子も見られた。まだ通信周りは調整中で、若干ラグが見られたが、グラフィックスはPC版と何ら遜色ない。もう完成間近にも見える内容だった。

 解像度は1,280×720ドット(D4相当)で動いており、実質的にPC版よりも広い解像度を実現している。こちらはインタビューの中でも語られているとおり、解像度の変更ができるよう調整が進められる。

 インタビューにおいておふたりから一番強く感じたのは、新作タイトルに対する自信や不安ではなく、現状への不満と期待だった。インタビューの後で内海氏と少し話をした際、「コンシューマがネットに繋がったのに、ゲームをダウンロードするだけなのはおかしい。そういった意味では、(PS3版「ALO」は)非常に当たり前なことをやっている」と話していた。

 MMOタイトルを出せる環境が整っているのに出てこないのは、クリエイターの中に、PS3のパワーをフル活用した、インパクトのある作品を出したいという思いがあるからではないだろうか。その中で、既存の、しかも2DのMMORPGを出すというのは、なかなか思い切った展開である。グラフィックスのインパクトはなくとも、展開の速さと、ゲーム自体の面白さで勝負するのが、PS3版「ALO」ということになるだろう。

 「見た目はライトですが、ゲームは意外と奥が深いんです。気軽に入っていただいて、広い世界を見ていただきたいですね。PS3のユーザーでも、きっとびっくりすると思いますよ」とも話していた内海氏。「ALO」の面白さは、PCで既に実証されているといってもいい。あとは基本無料となる本作をどのようにして展開していくのか。コンシューマにおけるアイテム課金制の試金石となるだけに、今後の動きにも注目していきたい。

【スクリーンショット(PC版)】
グラフィックスはPC版と同じと考えてかまわない。遊べるプラットフォームが増えることで、新たなユーザーが参加し、今までとは異なるコミュニティが形成されることになる。そこも運営側が期待を寄せている部分だ


(C)2006-2007 Q Entertainment Inc.
(C)2006-2007 UserJoy Technology Co., Ltd.

□キューエンタテインメントのホームページ
http://www.qentertainment.com/
□「Angel Love Online」のページ
http://www.angelloveonline.jp/
□関連情報
【6月25日】キューエンタテインメント、MMORPG「Angel Love Online」
大規模アップデート「Season4 ~エデンの謎の城~」を実装
ディレクター君塚氏に今後の展開についてインタビュー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070625/angel.htm

(2007年9月18日)

[Reported by 石田賀津男]



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