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★Xbox 360ゲームレビュー★

絶対出ないと思ってた日本語版が出た!!
欧米で絶大な評価を受けたRPGがついに日本上陸

「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」

  • ジャンル:RPG
  • 開発元:Bethesda Softworks
  • 発売元:スパイク
  • プラットフォーム:Xbox 360
  • 価格:8,190円
  • レーティング:D(17歳以上対象)
  • 発売日:7月26日(発売中)



 2007年7月、日本のコアゲームファン待望の海外製RPGが発売された。ユーザーによる熱心な嘆願によって陽の目をみることができたそのタイトルこそ、今回ご紹介する「The Elder Scrolls IV: オブリビオン (以下、オブリビオン)」だ。

 難しい、ビジュアルがリアルすぎて合わない……と先入観を持たれる海外ゲームの中でも、一際敷居が高そうなRPGが、なぜここまで注目されたのかをご紹介して行きたい。


■ 海外アワード総なめの「オブリビオン」に、絶対出ないと思ってた日本語版が出た!!

シロディールを破滅から救う大冒険に出よう
キャラクタメイキングはかなり細かく設定できる
 米Bethesda Softworksが生み出したモンスター級RPG「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」は、2006年3月にPCおよびXbox 360用、2007年3月にPS3版がそれぞれ発売された。2006年の海外ゲームアワードを総なめ状態にした本作は、海外RPGという洋ゲーファンの中でも、一際難しいジャンルにもかかわらず、大きな注目を浴びた異例の作品である。

 タイトル名を見ての通り、本作はシリーズナンバー4作目のタイトルで、'94年にPC用で第一作目が登場している。開発元のBethesda Softworksは一貫して本シリーズの開発に取り組んでおり、TES4リリース以降は米InterPlayの人気フランチャイズ「Fall Out」シリーズの最新作に取り組むなど、RPG分野においては非常に注目度が高いスタジオだ。

 Xbox 360という、日本国内においては限定されたプラットフォームにおいて、超大作RPGをローカライズする事は、いくら注目作とは言えども大変なことなのだが、海外ゲームタイトルを多数ローカライズしていることで最近有名なスパイクが名乗りを挙げ、見事2007年7月に発売に漕ぎ着けた。

 国内のRPGファンにとっては海外の王道を行くRPGに触れる絶好のチャンスであり、海外ゲームファンにとっては英語のメッセージを必死で読み解く必要から解放される慶事でもある。既に発売されている海外においては非の打ち所のない高評価を得ている本作を、ゲーム機で、日本語環境でプレイできる幸せを存分に楽しもう。


■ 牢屋の住人が何故か世界を救う!? 皇帝の後継者を見つけ出そう

牢屋に偶然やってきた皇帝にビックリ
なんと牢屋が秘密の通路に繋がっていたのだ
 「オブリビオン」は、シロディールと呼ばれる世界が舞台となっている。キャラクタ作成を済ませると何故かプレーヤーは帝都の牢屋の中、外の世界では何かキナ臭い出来事が進行中らしい。しばし呆然としていると、牢屋の中にドヤドヤと衛兵に守られて高貴そうな男性が入ってきた。

 驚いたことにこの男性は、この国を統べる皇帝ユリエル・セプティム本人だった。何者かの襲撃から逃れるため、偶然プレーヤーのいる牢屋から繋がる隠し通路を経て外部に逃れる途中だったらしい。プレーヤーは彼らが帝都から脱出するのを手伝うことになる。

 しかし、プレーヤーの奮闘もむなしく、皇帝の命を狙う敵勢は脱出経路にも伏兵を込めており、後継者に渡す形見の宝をプレーヤーに託して皇帝は命を落としてしまう。これから先の行動は一切自由、プレーヤー各人によるシロディール大冒険が始まるのだ。

 「一切自由」と言っても、大目標があるので「え? これからどうすればいいの?」という事態に陥ることはない。序盤はしっかりとしたストーリー展開があり、プレーヤーがこの世界で何をするのか、どんなことができるのか、最低限の知識はプレイをする上で覚えられるようになっている。

 今はオンラインのMMORPGが数多くリリースされているため、このような「与えられた自由」に対するプレーヤーの理解は深いものだろうと思う。では偶然とは言え、シロディールの未来を託されてしまったプレーヤーは何をしなければいけないのだろうか? 大まかに言うと以下の2点だ。

 1. 殺害されたユリエル・セプティム皇の後継者を見つけ出し、皇帝に据える
 2. 皇帝の殺害に関連している魔界へと通じる扉「オブリビオン」を封じる

 これらのストーリーはどれも序盤でハッキリ見えてくる。プレーヤーは皇帝暗殺によってもたらされた魔界からの侵攻を皇帝の後継者を探し出し、守ることによって食い止め世界を破滅から阻止しなければならない。偶然とは言え、皇帝に見込まれたばかりにプレーヤーの使命はやたらと重い。

 ゲームでは、この皇帝の後継者に絡んだクエストがメインクエストとなり、これをひたすらクリアしていけば最短でエンディングに到達することになる。しかしシロディールには色々な事件が待っている。職業ギルドに所属すればそれぞれの立場に沿った様々な冒険が待っているし、住人に話しかければ噂から様々な出来事が見えてくる。

皇帝一行の後を追いかけるプレーヤー。ここは一種のチュートリアルステージになっている ブレイズのボーラス。彼には度々世話になるので、顔を覚えておきたい
自分の死を覚悟した皇帝は君に王者のアミュレットを託す 皇帝はデイドラを崇拝する邪教の輩に殺されてしまった……


■ 善人として暮らすか、それとも犯罪者に身をやつすか、それはプレーヤー次第

なるべく安宿には泊まらないようにしたい
レベルを上げるにはベッドで睡眠を取る必要がある
 シロディールの暮らしはリアルなようでシンプルだ。まずプレーヤーは、空腹と眠気を知らない。食事はスタミナや体力を回復させるため、睡眠はレベルアップと時間を早く経過させる時にするための要素になっている。ちなみに、住民たちはちゃんと食事もするし夜になると寝る。

 基本的なパラメーターは体力・マジカ・スタミナで、マジカ=魔力と言えばこの3要素が何を意味しているかは説明する必要はないだろう。スタミナとマジカはじっとしていればすぐに回復するが、体力に関しては薬や魔法を使わない限り、回復にはかなりの時間を要する。

 このゲームは一定のスキルがあがるとレベルアップが可能になる。例えば長距離を歩けば運動スキルがあがり、敵と戦闘をすれば戦闘スキルが、防御をすれば重装備(あるいは軽装備)のスキルが、ジャンプをしていると軽業スキルが、と言った具合だ。一定のスキルが上がってレベルアップが可能になると「寝ればレベルアップ!」というメッセージが出るので、安全に睡眠ができるホテルや拠点、あるいは自宅で寝ればめでたくレベルアップだ。なお、安宿には気をつけよう。病気を移されることがある。

 レベルアップするとプレーヤーの能力を左右するステータスを3つまでアップさせることができる。ステータスが上がれば更にハードな冒険もこなせるようになるだろう。ここで注意したいのは、プレーヤーのレベルがアップすると相対的に敵の強さもアップするのだ。従って序盤からもの凄い勢いでレベル上げをしてしまうと「オブリビオンゲート」に飛び込んだ瞬間、敵の猛攻を受けて自分で自分の首を絞めるということになりかねない。

 なお、シロディールの世界は、悪い事をすると衛兵がすっとんできたり住人に袋叩きにあう、現実世界同様のルールに支配されている。このため、人から物をすったり、盗んだり、他人の家に侵入したのがバレればプレーヤーは犯罪者として扱われる。

 衛兵に捕まった場合は、罰金を払うか一定期間入牢すれば罪科は消える。もちろん抵抗して逃げてもかまわない。善人として生きるか悪人として生きるか、後述するギルドの一員としての生活もひっくるめて、この辺はプレーヤーの自由だ。

 移動は徒歩か馬を使う。シロディールの世界はとても広い。国産RPGではまず体験できない雄大さと、地域ごとの特徴ある風景を満喫しつつ旅をすることができるだろう。街道沿いには帝国兵などが巡回して一定の安全が保たれているが、それでも山賊や凶暴な動物の類がうろついていて、100%安全とは言えない。そんなハプニングもこのゲームの楽しさのひとつだろう。

 また、あちこちに遺跡やダンジョンが点在している。これらはクエストを受けて訪れることもあるだろうし、一攫千金やレアアイテムを狙い、あるいは興味本位で入ってみることもあるだろう。しかし中にいる敵は外にいる敵とは比べ物にならないほど手ごわいので準備をせずにうかつに立ち入ることは避けたほうが良いだろう。

 近くに敵がいない場合は高速移動を使うことができる。要するにマップ上でポインタを移動させて移動したい主要な拠点に一瞬で移動することができるという、実にありがたい機能がある。

レベルが上がると3つのステータスをアップできる 街並みにあるほとんどの建物に入ることができる
早朝の帝都。まだ誰も外を歩いていない 街にはあちこちに警備の兵士がいる


■ 戦闘はアクションとプレーヤーの戦略が勝利の決め手

馬は敵から素早く逃げる時にも有用だ
敵に攻撃をするときは機先を制して素早く!
 「オブリビオン」の戦闘はアクションゲームライクでわかりやすい。左右トリガーボタンで防御と攻撃(両手剣の場合は攻撃のみ)、攻撃溜めで必殺技を繰り出すことも可能だ。魔法は右ショルダーボタンで繰り出せる。焦らずタイミングよく使い分けるのが肝心だ。

 筆者がプレイしてみた感覚だと、両手剣を使うよりは片手剣+盾で防御ができるようにしたほうが有利なようだ。盾で敵の攻撃を跳ね返すと、一瞬敵をひるませることができ、反撃のチャンスに繋がるので、すかさずトリガーを連打して剣を繰り出そう。攻撃系のスキルが高まれば、一回に与えられるダメージも大きくなる。

 剣による戦闘はチャンバラ感覚であり、アクション性もあいまってスリリングで飽きの来ない戦闘が楽しめる。険しい顔をした敵がドアップで襲い掛かってくるため、迫力も満点だ。ダラダラとした展開というのが、あまり感じられないのはこの秀逸な戦闘システムにあるような気がする。

 遠距離系の武器として弓がある。弓には当然矢が必要で、矢は使えば消耗するため打てる回数が限られる。矢は敵にささったり落ちたりするとその場に残るため、戦闘が終わったあとには敵の死体から引っこ抜いたり、拾ったりしてその都度回収すると、経済効果が高くてグッドだ。

 剣と弓の持ち替えはいちいちメニューを呼び出すより、ショートカットを使うと便利だ。ショートカットは方向キーに割り当てをすることができる。距離を縮めてきた敵に対して咄嗟の武器持ち替えは必須行動なので、この機能は使いこなせるようにした方が良いだろう。

 魔法はマジカ(魔力)を消費する。魔法を使うスキルが低いと効果も低いため、撃てる回数が限られている点は気をつけたい。接近戦になったら武器と併用する方が良いだろう。魔法は強力な攻撃を繰り出せるのが多く、実態の無い霊体などは剣では倒せないため、真に戦闘をマスターするには魔法にも力を入れることを忘れてはならないだろう。

 また、「オブリビオン」ではプレーヤーに襲い掛かってくる敵は、基本的にどこまでも追っかけてくるという点に注目したい。具体的には、ダンジョンから地上に逃げても、敵は外に出てきてプレーヤーを執拗に追いかけまわす。MMORPGに出てくる敵よりしつこい。

 街中まで逃げ込んだり、うまく撒くことができれば良いのだが、もしうまくまけない場合は何とか兵士が常駐したり巡回しているところまで逃げて代わりに戦ってもらうという戦法が有効だ。これを応用すれば、クエストで強くてなかなか倒せない敵を兵士に倒してもらうという作戦も、時間と手間がかかるが有効な戦術だ。

しつこくどこまでも追ってくる敵に注意 盾はかまえるタイミングが大切だ
こわい顔の敵がドアップで迫る!! 敵をおびきだしてNPCに倒させるという手もある


■ シロディールの世界は甘くない、自分の食い扶持は自分で稼げ!

ひょんなことから盗賊ギルドに入る試験をうけることに
闘技場に行けば戦いの毎日に身をさらすこともできる。チャンピオン目指して戦い続ければ、戦いの後に受け取ることができる報酬もアップしていく
 偶然にもシロディールの未来を握るキーマンになってしまったプレーヤーは、冒険を進めて行くうちに、皇帝の後継者、マーティンとそれを守るジョフリー率いるブレイズ達と行動を共にすることになるだろう。

 しかしそれだけでは生活していけないのが「オブリビオン」の厳しいところだ。ろくに手伝ってくれないのに、「○○を取って来い」、「○○の街がピンチだから救ってこい」といった具合に、他のRPGと同様に主人公への注文が多いのである。

 従って強敵に立ち向かうために装備を調えなければいけないわけで、そのためにはお金を稼がねばならない。ということでプレーヤーは街の住人から領主まで、様々な人たちから依頼されるクエストをせっせとこなす必要がある。

 クエストを受けるにはフリーの立場でもいいが、ギルドに入ると依頼ももらえるし、ギルドの施設も使える、その上仕事を着実にこなして階級が上がればやがてそのギルドのボスになれるかもしれないという特典つきだ。

 ギルドは「戦士ギルド・魔法ギルド・盗賊ギルド・暗殺ギルド」の4種類がある。そのうち戦士ギルド・魔法ギルドは前科者ではない、などの条件さえ満たしていれば比較的簡単に入ることが可能だ。プレーヤーキャラクタの特性を見た上で、まずはどちらかに入ると良いだろう。

 盗賊ギルドはお上の目を盗んで暗躍するギルドなので、入るには情報を集めて、とあるクエストをこなさなければならない。ちなみにこの盗賊ギルドの掟は「人を殺めない」、「金持ちから盗め」という不文律があり、掟を破るとペナルティが課せられる。つまりはこの世界の盗賊ギルドは義賊集団なのだ。

 暗殺ギルドは、もしプレーヤーが何らかの機会で人を殺めてしまった場合、夜寝ているとベッドの傍に一人の男がやってくる。その彼の依頼をこなすことで暗殺ギルドに入ることができる。当然の事ながらの裏家業なので、大手を振って表を歩くような真似ができなくなる。もちろん、これも立派なゲームの進め方だ。

 最初は苦労して達成したクエストも得られる報酬は微々たるものだ。「オブリビオン」では武器防具は使えば疲労する。耐久度を戻すためにこまめに修理しなければならないが、この修理代がバカにならない。なので自分でハンマー片手に地道に修理したり、所属ギルドの備品を拝借したり、野草を調合して薬をつくって店に売ったりと、地道に小銭を貯めていかなければならないのが、妙に生活感があって泣けてくる。

 ちなみにある程度プレイすると、当然持ち物が多くなってくるため物を貯めて置く場所が必要になってくる。ところが宿やギルドの棚や宝箱に置いておくと、他のNPCが生活の一環でそこを開けた時に勝手に持って行ってしまうことがあるのだ。

 これを防ぐにはプレーヤーにとって安全な場所を確保する必要がある。一番手っ取り早いのは家だろう。家の家具に保管しておけば勝手に持って行かれることはない。という訳で、序盤金でかなり苦労する。プレーヤー流の稼ぎ方が試されるのだ。

一部例外を除いてギルドや各組織はかけもちOKだ 様々なクエストをこなして稼ぎ、名声を上げよう
見事盗賊ギルドの試験にパスした! 自分を嫌っているNPCは買収で好感度を上げることもできる


■ 世界中にボコボコ登場したオブリビオンゲートにご注意!

オブリビオンゲートは世界のあちこちにある
クエストによっては同行してくれるNPCもいる
 次にオブリビオンゲートに関して説明しよう。シロディールの世界は、デイドラという魔界の種族の侵攻に脅かされている。皇帝暗殺によってシロディールを守る力が消え、魔界と現世をつなぐ扉=オブリビオンがあちこちに出現した。

 デイドラはシロディールの各街を襲撃するため、街の目と鼻の先にオブリビオンゲートを発生させ、その機会を虎視眈々と狙っている。それ以外にも様々な場所にゲートは発生しており、魔界からの侵攻と皇帝の後継者を狙う包囲網をジリジリと進めているのがわかる。

 オブリビオンゲートをくぐると、そこはデイドラが生息する世界だ。あたりは溶岩の海にかこまれ、陸地には巨大な塔が立っているのが見える。この塔の最上階に設置された「印石」と呼ばれる石がシロディールと魔界を繋いでいる。

 プレーヤーは襲い掛かるデイドラを倒しつつ、この印石を作動させオブリビオンゲートを閉じてシロディールの世界に戻ってこなければならない。地上側のゲート付近にはデイドラが徘徊しており、遭遇戦になりたくなければゲートから距離を取って移動した方が良いだろう。

 ゲームをプレイするにあたり、1つ注意したいのが、このオブリビオンゲート自体はストーリーの進行に大きく関わっているのは確かなのだが、手当たり次第ゲートに入って潰して行けば良いわけではないところだ。

 実はメインストーリーに直接関係しないオブリビオンゲートに関しては攻略しても一定時間経つと復活してしまう。つまり、何もクエストを受けていない状態でゲートに突入してもストーリーもクエストも進まないため、まったくの徒労に終わりかねない。

 ただし、魔界には地上にない珍しい素材があるため、これらを取りに行くためには、あえてオブリビオンゲートをくぐる必要もあるだろう。印石を作動させない限りゲートは常に地上と繋がっているので、この場合最後の最後まで攻略する必要はないことも覚えておいてほしい。

不気味な魔界の風景。まわりは溶岩で囲まれている この印石を取ることでゲートを閉じることができる
デイドラの軍勢。人型もいればクリーチャータイプもいる 塔からつるされた哀れな犠牲者


■ 優秀なゲームデザインはプレーヤーに無理強いをしない

何気ない噂話がクエストに発展することも
名声が上がれば英雄扱いしてもらえるかも!?
 「オブリビオン」が大きく評価できる点は、これだけ壮大な内容であるにも関わらず、プレーヤーがすぐにゲームの世界に没頭できること、ある程度リアルな世界観を持っているにも関わらず、そのリアルさをプレーヤーに無理矢理押し付けることは決してない絶妙なバランスという点につきる。

 前者は大雑把に言えばゲーム中にプレーヤーができることを実際にプレイしていくことで会得ができること、パラメーター類も色々あるが最低限体力とマジカ(魔力)とスタミナさえ注意していれば何とかなる、という点だ。

 これはリアルさを極度に追求せず(例えば一定時間毎に食事を取らないとダメとか)、戦闘をアクションゲームライクにした点が大きく、スキルの上がり方も例えば歩けば歩くほど運動のスキルがアップするなど直感的でわかりやすいのが効を奏していると思う。

 後者はゲームで設定した世界観にとことんプレーヤーが付き合わなくてもいい、ということだ。1つは時間軸、もう1つはゲームそのものの難易度について、プレーヤーは不要だと感じればそれを放棄することができる点だ。

 どういう事か具体的に挙げてみると、NPCと一緒に目的地まで移動したり、翌朝になるまで待たなければならない、と言った状況に陥った時、膨大なゲーム内時間をかけて移動や戦闘を繰り返したり、待ちぼうけをする必要がない。マップから一瞬で高速移動が可能で、その場で時間を1時間単位で進める事も可能だ。

 もう1つの難易度だが、レベルが高くなるにつれて当然敵も強くなる。強くてたまらないのでゲームを投げ出したくなる時があるかもしれないし、逆に敵が弱すぎて飽きてきた、というツワモノゲーマーもいるかもしれない。

 そんな時にTES4ではオプションで難易度自体をその場で下げる事も上げるも可能だ。難易度を下げれば敵の攻撃や軟化し、上げればハードコアな世界が待っている。プレーヤーはデフォルトで用意された世界観に無理矢理付き合う必要は全く無く、いつでもどこでも、難易度バーを左か右に移動させるだけでプレーヤー好みの世界に一瞬で変えることができる。

 RPGにおける移動時間と戦闘(いわゆるレベルあげ)によるプレーヤーが受ける拘束時間は、おそらくクリアまでの全工程のかなり大きいウェイトを占めていると思うが、「オブリビオン」は極端な話、それらの多くを省略し、全体の敷居を下げてもまだプレーヤーを十分に満足させてくれる豊富なゲーム内容を誇っているのだ。

 こうした柔軟性に富んだ秀逸なゲームデザインこそが「オブリビオン」の素晴らしさであり、プレーヤーのスタイルに応じてとことん骨のあるプレーから適度にマイルドなプレーを同じ世界観と満足感を与えつつ、実現している点を筆者は文句なしに褒め称えたい。

 ただ、「オブリビオン」のゲーム中における「リアルさ」の表現に関しては、RPG史において実はそれほど進化しているわけではないということも付け加えておきたい。程度にもよるが「プレーヤー本人ができること」で考えるとずいぶんと前に登場した「ウルティマオンライン」の方がはるかに「できること・やれること」の選択肢は実は多いと思う。

 また、ゲーム内の住人が一定の行動サイクルで生活をしているという要素は、'88年の「ウルティマ 5」で既に実現されている。しかも「Apple II」という8ビット機でだ。そういう意味で、まるでゲーム内のNPCが生きているかのような生活サイクルの実現は、世界観をリアルに、面白くする要素の1つではあるが、「オブリビオン」の数ある特徴の中でもそれほどクリティカルなものだとは筆者は考えていない。

 ちなみに上記要素が世間的に特段驚かれもせず、あまり大きくクローズアップされないのは、オンラインRPGが勃興し、今まではNPCが対応していた要素をプレーヤー同士が担うようになったからではないかな? とも筆者は考えている。

シロディールの各街の景色は様々、色々訪れてみよう 天候も逐一変わる。雨の日の教会は重々しく見える
ブレイズ達の牙城、雲王の神殿 ブレイズをたばねるジョフリー、頼もしい人物だ


■ 国産RPGに無い物があり、その逆も然り。RPG好きまずはプレイを

皇帝の後継者と目されるマーティン。彼を守らねばならない
帝都元老院のオカート。皇帝の後継を狙っているという噂話も
 「オブリビオン」は国産RPGファンで海外ゲームの持つ重厚なファンタジーを体験したい、でも難しそうだ……と考えている方には是が非でもオススメしたい一作だ。現状のところ、次世代機水準のRPGとしては、これ以外の決定版が見つからない。

 日本のRPGファンが、プレイしていて物足りないと感じるのは、おそらく登場するキャラクタ全てに対して思い入れや愛着が沸きにくいことだろう。リアルな顔や時折おかしくなる言動を考慮に入れても、今ひとつ盛り上がらない。原因はおそらく日本のRPGのように登場するキャラクタ個々に対するクリエイターの思い入れや、プレーヤーが共感するようなシナリオが用意されていないからだと思う。

 例えば国産の著名なRPGであれば、キャラクタの容姿やゲーム中のシナリオ展開でプレーヤー側が様々な想像を膨らませ、そのキャラクタに対する愛着が増すと思うが、少なくとも「オブリビオン」ではそのようなことがほとんどない。

 皇帝の後継者は本ばかり読んでいて、プレーヤーに危険な所へお使いばかりさせるし、街のそばにオブリビオンのゲートが開いても領主は、一部の例外を除いて「おまえ一人で封じ込めてこい」と援軍一人出してくれないのである。

 要するにプレーヤーとシロディールの住人との絡みが極めて淡白な点が「オブリビオン」の日本人ゲーマー視点からの物足りなさを感じるところだと思われる。また、キャラクタの顔や表情などを日本のプレーヤーが愛着を感じない、やもすればおっかないとか気持ち悪く思うのは、文化的な違いなのでどうしようもないところなのかもしれない。

 そういう点を加味しても、筆者は、文化の違いをゲームで感じ取るという意味で、やっと国産RPGファンが海外RPGを体験する教本的なゲームが現われたと考えている。「海外のRPGってこうなんだなあ」とプレーしていく上で、国内と海外の明確な設計思想の違いを楽しく感じ取ってもらうことができると確信している。

 9月にはプレイステーション 3版の発売が予定されており、またスパイクはPC英語版のユーザー向けに日本語版のパッチを無償提供するという、破格の告知もしている。スパイクとしては海外タイトル販売のプロモーションの一環という視点もあるとは思うが、本作に興味のある方が、パブリッシャー側からこれほどの大盤振る舞いをされて、傍観している手は無いだろう。ぜひ一度「オブリビオン」の世界に触れてみて欲しい。

コロール領主に目通り。領主に頼めば家も売ってくれるかも? 旅の途中で発見した小さな村。何か様子がおかしい
なんと村ぐるみでアルゴニアン族の若い女性を誘拐していた 襲ってきた村人を皆殺し状態にしてしまった……
帝都周辺は道路が良く整備されている プレーヤーだけのシロディールの冒険を満喫しよう!

The Elder Scrolls(tm) IV: Oblivion(tm) (c)2007 Bethesda Softworks LLC, a ZeniMax Media company. The Elder Scrolls, Oblivion, Bethesda Game Studios, Bethesda Softworks, ZeniMax and related logos are registered trademarks or trademarks of ZeniMax Media Inc. in the U.S. and/or other countries. Published and distributed by Spike Co., Ltd. with Bethesda Softworks LLC.

□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」のページ
http://www.spike.co.jp/oblivion/
□関連情報
【6月6日】スパイク、Xbox 360「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」
日本語版最新スクリーンショットを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070606/obli.htm
【4月27日】Xbox 360、海外での累計出荷本数が300万本を超えた
「The Elder Scrolls IV: オブリビオン」7月26日に発売決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070427/tes.htm

(2007年9月3日)

[Reported by GameDude]



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