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ゲームエンジンは「Unreal Engine 2.5」を採用しており、戦闘終了時のカメラワークやインターフェイスなど「Unreal Tournament 2004」の雰囲気を端々から感じられる。サーバーとの通信環境も良好で、アクション面ではコアゲーマーも納得の1本に仕上がっている。
ただ、ゲーム外の部分で、懸念事項を抱えている。もともと「LANDMASS」は、韓国では、テクモとSeedCが展開するゲームポータルLieVoの韓国子会社LieVo Koreaが展開する予定となっていた。しかし、現在、運営元のhyosungCTXと提携関係にあるLieVo Koreaとの関係が微妙になっており、現時点では、当初の発表とは異なり、hyosungCTXの単独展開となっているのだ。このため、話題性に反して接続ユーザー数は他の大型タイトルに大きく水をあけられてしまっている。ゲーム面では優れた作りこみがされているだけに、事態の改善が望まれるところだ。 ■ 4種類の「MO-RATS」を乗りこなせ! 戦場では使い勝手に優れる「Assault」が大活躍!!
「MO-RATS」はプレーヤーキャラクタをすっぽり覆うようなパワードスーツで、ユーザー1人1人がハンガー(格納庫)を持ち、ブースターや装置を付け足していく。キャラクタによっては顔が露出するなど、パワードスーツとボディスーツの中間のような位置づけだ。武器はライフルやハンドガン、ショットガンといった現代的な銃器がベースとなっており、比較的現実に即したゲームデザインとなっている。 「MO-RATS」には4種類あり、アサルトライフルを装備し、総合戦闘力の高い「Assult」、一撃必殺を誇る「Sniper」、ミサイルとガトリングガンの重装備が特徴の「Defender」、軽装備ながらも地雷やレーダーを駆使する「Engineer」から1つを選択し、戦場に繰り出す。中でも扱いやすいのが攻撃力の高いアサルトライフルを装備する「Assault」で、セカンダリ武器にはショットガンを持っており、あらゆる局面で運用が可能だ。 ゲームモードは、デスマッチ、チームデスマッチ、オペレーションの3種類が用意され、9つマップが実装されている。オペレーションモードは、ラウンド制でマップ中にある2つのブラックボックスから情報を得るというもの。攻守にわかれて相手チームの全滅か、10数秒の間無防備な状態でブラックボックスから情報を転送しきると勝利だが、2つのうち1つはハズレで、実際にデバイスから情報を得てみないとハズレかどうかがわからないのがミソだ。 オペレーションモードは、他のFPSタイトルにはないオリジナルモードなのだが、チームデスマッチに比べ時間がかかる割にはゲーム終了後の経験値にうまみがなく、残念ながら韓国ユーザーは見向きもしていないのが現状である。
ほとんどのセッションが「バンカー」や「ハーバー」といった中規模マップで12対12の24人によるチームデスマッチが遊ばれており、これら以外のマップが遊ばれている光景は稀だ。オープンβテストの途中でありながら早くもコミュニティがコアユーザーによる小さなマスで固まりつつある印象だ。
■ ブースターの使い方がカギ。スピードと距離感を掴むには一定の慣れが必要
本作の面白いところは各兵科ともセカンダリ武器が強力な点だ。「Sniper」はスナイパーライフルと威力の高いハンドガン、「Assult」はアサルトライフルとショットガン、「Engineer」はサブマシンガンと地雷、「Defender」はミサイルとガトリングガンという具合だ。各兵科とも接近戦にメリットのある武器を保有させることで、兵科の強さにバランスを持たせている。 またシフトキーでブーストを使うことができ、前後左右方向に高速で移動できる。ただし、ブーストゲージの残りが35%以上ないとブースト自体が発動しないため、相手との間合いを取る感覚には独特のセンスを要求される。さらに、グレネードやショットガンはクリックでは発射せず、クリックして離した際に発射されるために、タイミングや射撃には慣れが必要だ。
本作は基本的にはキャラクタの格好以外は一般的なFPSを踏襲しており、戦闘中にパーツが脱落したり、部位ダメージなどは無い。特別なダメージはヘッドショットしかないところが、ロボット同士の戦いを志向するユーザーの好みが分かれるところだろう。
■ 話題性に反して伸びない人気。オンラインゲームとしてのコンセプトに作りこみが必要か
しかし、βテストがスタートし、実際にサーバーに接続してみると接続ユーザー数が少ないことに驚かされる。「LANDMASS」と並んで次世代のオンラインFPS作品としてβテストが実施されているCykan「Paperman」やNeoWiz「A.V.A.」などと比べてしまうと明らかに少ないのだ。その理由として、キャラクタの成長システムと「LieVo」との関係に問題があるのではないかと考えている。 まず、成長システムについては、ゲーム序盤からストイックなゲームプレイを要求されるのだ。プレーヤーはまず訓練兵としてゲームをスタートする。訓練兵のうちはブースターなどのオプションを選択することはできず、4種類の「MO-RATS」から1台を選択して乗ることができる。戦闘での経験値を溜めて訓練兵を卒業すると2等兵に昇格し、別の「MO-RATS」や強化オプションを購入することが可能になる。 残念なことは、訓練兵のうちは、アイテムショップを利用することはおろか、アイテムショップへ立ち入ることすらできない。兵科を自由に試せるようになる二等兵へ昇格するまでには数日のプレイを要するほどの経験値の獲得が必要とされるが、プレイし始めて一番楽しい時期にベネフィットが何も提示されないというのはいささかストイックすぎる。 余談だが、徴兵制を敷く韓国の軍隊では、入隊直後1カ月間の訓練期間中は売店を一切利用できない規則になっている。本作にもそのルールを当てはめたものと思われるが、自分のキャラクタの将来像へのイマジネーションを切り捨てたまま、いきなり長期間の兵科の縛りを迫られるシステムではゲーム性がいくら優れていてもユーザーの支持を得られないだろう。「ロボットもの」ということで、日本での人気も期待されるだけに、こうした細かい部分からのバランス調整は今後必須となってくるだろう。 また、現在のサービス状況も不安が残る。当初アナウンスされていた「LieVo Korea」でのチャネリングが行なわれていないのは、今後予定される正式サービスに一抹の不安を残している。 運営元のhyosungCTXによれば、昨年G★ 2006で提携が発表されたLieVo Koreaとの運営に関する調整に折り合いがつかず、結果として日本でのパブリッシャー探しはおろかLieVo Koreaでのチャネル提供さえも実現できていないとのこと。せっかくの良作も適切なマーケティング無しには安定した展開は難しい。両社の交渉が折り合わない理由は明かされなかったが、展開の起点となる日韓におけるサービス状況がこれでは不安が残る。 尚、日本と韓国以外の地域のワールドワイドパブリッシング権はガンホーが所有しており、ガンホーコリアを通じて各国への展開の道が模索されている。こちらの動きについてはまだほとんど表面化していない段階だが、大きなポテンシャルを持つ作品だけに、多くのユーザーに自信を持って展開できる関係各社の環境の構築が望まれるところだ。
Copyright HYOSUNG CTXCorp.&WAYPOINT Corp.
□hyosung CTXのホームページ(韓国語) (2007年8月9日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦尋一]
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