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【連載第5回】大人による大人のための洋ゲー連載

Game Dudeの「大人のための海外ゲームレポート」

「Collin McRae Ralliy」シリーズ直系の新作
オフロードレースゲームは『DiRT』に任せろ!

DiRT

  • ジャンル:レーシングゲーム
  • デベロッパー:Codemasters
  • パブリッシャー:Codemasters
  • プラットフォーム:Xbox 360、PS3、PC
  • 価格:59.99ドル
  • レーティング:ESRB Rating:Teen(13歳以上)
  • 発売日:6月19日(Xbox360、PC)



 やっと連載が5回目を迎えた大人のための海外ゲームレポート、やっぱり今回も路線はマニアックで攻めることにした。レーシングゲームファンからは高い注目を集めていたオフロードレースゲーム「DiRT」と、SIXAXISを駆使するゲームプレイ感覚が新鮮な「flOw」の2本をご紹介させていただく。

【お断り】
 当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
 この記事を読んで行なった行為によって、生じた損害はGAME Watch編集部および、メーカー、購入したショップもその責を負いません
 GAME Watch編集部では、この記事についての個別のご質問・お問い合わせにお答えすることはできません



■ 2年ぶりに登場した有名オフロードレーシングゲーム最新作

我らがスバルインプレッサ。非常にリアルだ
コクピットやドライバーも細かく再現
 本作「DiRT」は、英Codemastersの定番レーシングゲーム「Collin McRae Ralliy」シリーズの直系新作にあたるタイトルで、約2年前に発売された前作から更に強化された次世代機にふさわしいグラフィクスと、新ゲームエンジンを採用し様々な新規クラスの車両とレースカテゴリーを持つ、現時点最強のオフロードレースゲームだ。

 米国版のタイトル名は単なる「DiRT」というタイトル名で発売されており、それ以外の国(英国など)では、「Collin McRae: DiRT」というタイトルで展開されている。本作は英国生まれのコリン・マクレーの名前が米国にあまり浸透していないのか、それとも商標の問題なのかはわからない。

 今回は米国版Xbox 360用パッケージを入手したため、便宜上「DiRT」というタイトル名で統一させていただいた。主に秋葉原などでは英国版パッケージも出回っているようで、若干まぎらわしいが、どちらも同じゲームなのであらかじめおことわりしておく。

 ちなみに、筆者はレーシングゲーム(もしくはドライビングゲーム)が大好きだ。特に、いわゆるリアル系のドライビングシミュレーターよりも、リアルなように見せかけて実はゲームライクなプレイ感覚こそ、ビデオゲームに求められるレーシングゲームの理想系だと思っている。

 そんな筆者がイチ押しだったオフロードレーシングゲームといえば、マイクロソフトが発売していた「ラリースポーツチャレンジ(通称ラリスポ)」シリーズだった。開発元のDICEがEAに買収された都合なのか、久しく続編が出ていないが、あのゲームは程よいリアル感と走る爽快さが同時に体感できた秀作だと思っている。

 話を元に戻すと「DiRT」は、「ラリスポ」の頃に感じた面白さを再燃させてくれるタイトルだ。おかげで「Gears of War」以来、筆者のXbox 360が現在進行形でフル稼働している、余人は知らぬが筆者的にはナイスゲームなのだ。

 海外での評価もかなり高く、既に50万本以上のセールスを記録しているようでタイトル知名度・内容を考えると、まずまずと言っても差し支えないだろう。今後発売が予定されているPlayStation 3版も期待が持てる。

コ・ドライバーの様子も、もちろん再現されている 迫力満点のトラックレースも用意されている
バギーはよりゲームライクなレースが楽しめる オフロードレースには重要な車体の「汚れ」もリアルに再現
急カーブの連続、峠を下るダウンヒルは緊張の連続だ 1位をとり続けて自分のキャリアアップを目指そう




■ オフロードを走る楽しさを「これ一本で」手軽に体験できるゲーム

キャリアーモードの各ミッションをクリアしていこう
スズキ・スイフトも登場し、序盤から迫力ある走りを見せてくれる
 「手軽に」という表現はその対象がどうしても“安く”見えてしまうため、あまり使いたくないのだが、本作はその言葉がしっくりくるのであえて使用する。ラリー、バギーやトラックレースまで、オフロードレースの醍醐味をこれ一本で本当にしっかり楽しめるからだ。

 ゲームモードは「キャリアー」、「チャンピオンシップ」、「ラリー・ワールド」の3モードから構成されており、「ティアー」と呼ばれる10種類11段階のイベントをクリアーし、賞金を得て全ティアーの制覇とクルマのアンロックを目指す「キャリアー」モードがゲームのメインモードになる。

 ラリードライバー「コリン・マクレー」の名前を冠しているシリーズのせいか、やはりレースのメインはラリー系が多い。WRCを彷彿とさせるステージ間のタイムを競うオーソドックスなラリースタイルのモードや、道なき道を走る所謂「ラリーレイドやラリークロス」と呼ばれるモードが特に多い構成となっている。

 ラリー系の場合、米国・欧州・日本と様々な地域を舞台にしており、日本のステージは家屋や標識あたりの再現性はなかなか高い。正規のWRCモノでないせいかラリージャパン(北海道の帯広が舞台)などは登場しないのが残念ではあるが、峠攻めを追求するようなダウンヒル、ヒルクライムステージも登場し、多彩な走りを楽しめる。

 オフロードバギーは純粋なオフロードレースとしての楽しさを追求しており、地面のデコボコ具合が車体を思わぬ方向に飛ばすため、ラリーとは違った操作テクニックを必要とするのが面白い。

 トラックはパリダカールラリーにも登場するようなレース用に改造されたトラックを使用する。車高が高いため簡単に横転する危険性があるため、バランス取りに独特の操作が必要で、スピードは遅いものの、ある意味一番スリリングな走りが展開される、筆者オススメのレースだ。

 コースのコンディションは、ターマック(舗装道路)、グラベル(未舗装道路)など各種が用意されている。コンディションによってクルマの挙動が変わってくるため、車両特性以外にコンディションも大きくプレーヤーの腕を問われる要素となるだろう。

 なお、本作はホイールコントローラにも標準対応しているが、繊細な操作が必要になる場合が多く、どちらかというと本体付属のゲームパッドのほうが合っているのではないかと思う。

ラリーカーといえば何と言ってもスバル・インプレッサだろう ビジュアル面は文句なしに素晴らしい出来だ
細部までの表現力に手抜きなしの職人芸が見て取れる ターマックのステージでは街中を走りぬけることも
ぬかるんだグラベルはドライバーにとって常に気が抜けない オフロード4WDのレースは接触上等で攻め抜かないと勝利はおぼつかない




■ 3つのゲームモードを行き来してオフロードレースを堪能しよう

トラックレースはバランスをうまくとらないと即転倒の危険性がある
ゲームになれてきたら「チャンピオンシップ」で更なる高みを目指そう
カメラ視点によってはコクピット内の視点移動も可能
 「DiRT」に登場するクルマは、かつて活躍した名車から2006年度のWRCなどに登場した車種など、レース同様多種多様だ。国産車も多く登場し、ラリーカーではおなじみの「スバル・インプレッサ」や「三菱・ランサーエボリューション」「スズキ・スイフト」「トヨタ・セリカ」など年代ごとに活躍した現役・名車が登場する。

 ゲームのプレイスタイルは、基本的に「キャリアー」モードで各チャレンジをクリアし賞金を得ていくことで、クルマをアンロックしていく。クルマには各種カラーリングとバイナルが用意されており、こちらも入手した賞金でアンロックしていくことができる。

 キャリアーモードは1つのチャレンジをクリアするごとに10p(ポイント)獲得することができ、一定のポイントがたまるとロックされたチャレンジや上位ティアーへと進むことが可能になる。レースで得れる賞金額は難易度によって上下幅がある。

 ゲームになれたら「チャンピオンシップ」モードでラリーにどっぷりハマるのも面白い。「コリン・マクレー」シリーズのシステムを踏襲したモードで、各国のコースを全ステージ通してプレイするWRCライクなシチュエーションや、ヨーロッパや世界各国のエリアをつまみ食いのように走れるなど、様々な設定が用意されている。

 「キャリアー」のように一部例外を除いて数ステージを通しでプレイするため、「シェイクダウン」と呼ばれる車両チェックを兼ねたテスト走行も可能で、ステージで積み重なった各パーツのダメージをタイムを犠牲にすることで修理できるなど、ラリーの醍醐味もプレーヤーに余計な「重さ」を与えずに手軽に体験させてくれる。

 もちろんタイヤやサスペンションなどのセッティングも可能で、少しクルマの知識があれば更に楽しめる要素も用意されている。この「適度にリアルで適度にゲーム」というデザインはなかなか優秀で、ついついプレイ時間を重ねてしまう魅力がある。

 ラリーばかりではなく、バギーやトラックでも走りたくなったら「ラリーワールド」をプレイすると良いだろう。「キャリアー」でアンロックした全ての車種を使い、「シングルレース」、「シングルイベント」、「タイムトライアル」の3つから構成されるシチュエーションを楽しむことができる。

 Xbox 360版のマルチプレイはXbox Liveに対応しており、世界中のプレーヤーとタイムを競うことができる。ラリーおよびヒルクライムに限られるが、手軽に対戦が楽しめる点はありがたいところだ。



■ 続編にも期待大!筆者今年のイチオシレーシングゲーム

 「DiRT」は今年発売されたレーシングゲームの中では筆者個人としては今のところ「ベスト」なゲームだ。チューニングやオープンワールド志向のレーシングゲーム・ドライビングゲームが多い中、久々に「走る楽しさ」をストレートに感じさせてくれる一作だ。

 残念な点は、ローディングが若干長いところ。プレーヤーのパーソナルデータを次々に見せてくれるところで退屈感を紛らわせる配慮はされているが、それでも連戦を重ねるとちょっと辛い。しかしゲーム全体の出来の良さを考えると些細な範疇だと思う。

 リプレイの保存ができない点もちょっと残念ではある。せっかく多くのXbox 360にハードディスクが搭載されているのだから、この辺の機能はあっても良かったと思う。ビジュアル面が優れているだけに残念だ。

 ちなみにレース後にリプレイを見るとわかるが、クルマの挙動にリアルさを求めるタイプのプレーヤーは「DiRT」に100%の満足感を得ることはできないと思われる。クルマの素人が見てもやはり怪しい動きをしていると言わざるを得ないからだ。ただ、しつこいようだが、これもゲーム全体からすると些細なもので、本作の面白さを大きく損なうものではない。

 2年ぶりに登場したシリーズ最新作となる「DiRT」はファンの期待を裏切らない、オフロードレースの醍醐味が一通り楽しめる見事なレーシング“ゲーム”と言えるだろう。コレクションに加えて長くプレイしたい一作だ。

 パブリッシャーとなるCodemastersが最近投資会社に全ての株式を売却し、創業者一族が経営から手を引いてしまい、新しい組織へシフト中なのが今後のシリーズ展開にどう影響してくるか若干気になるが、次回作も大いに期待できる会心の一作と言えるだろう。

ラリーに飽きたら今度はバギーで軽快な走りを楽しもう 衝突時のダメージモデルもかなり凝っている
ここまで壊れると次のレースにも相当響く パーツごとの破壊はなかなかリアルで面白い


(C)2006 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). "Codemasters" is a registered trademark owned by Codemasters. The Codemasters logo and "DiRT" are trademarks of Codemasters. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are being used under license. Developed and published by Codemasters.

【DiRT】
  • プレイ人数:1~2人
  • オンライン機能:最大2人対戦


□「DiRT」公式ホームページ
http://www.codemasters.co.uk/dirt/



■ 今すぐチャレンジできる! ダウンロードコンテンツ

第五回:他の生物を食べて進化の深遠を体験! 「flOw」

タイトル画面から既にゲームが始まっている
ゲームを進めることで進化する生物を選べるようになる
 最近PlayStation Storeで発売されるダウンロードゲームが筆者の趣向にドンピシャで非常に嬉しい。従って今回もPS3タイトルをご紹介させていただきたい。現在好評ダウンロード販売中の「flOw」はなかなか要注目な一本だ。

 本作は心理学者・ミハイ・チクセントミハイ博士が提唱した「フロー理論」をヒントにデザインされたゲーム。と聞くとなんだか難しそうに感じるかもしれないが、本作のゲーム内容は単純明快で、水中に生息する生物を操作し他の種族を食べてどんどん進化し、深海を目指していくというものだ。

 深海はいくつかのステージに分かれており、赤い○のような物体に触れることで更なる深海へ潜り、青い○に触れると上昇し手前のステージに戻れるようになっている。プレーヤーは自生物を操作してステージ中にいる他の生物を片っ端から捕食し、捕食できる生物がいなくなったら更に深海へと潜っていく。

 他の生物を食べていくことで、最初は小さかった体もだんだんと大きく長くなり、体のサイズに合わせて捕食できる生物が増えていく。ある程度ゲームが進むと捕食しようとする生物が反撃してきたりもするが、青い○に触れると上昇して逃げることも可能なので、逆に捕食されそうになったらいったん上昇して回避するのがセオリーだ。

 特徴的なのがそのインターフェイスで、以前、当連載で紹介した「ぽちゃぽちゃアヒルちゃん」のようにSIXAXISコントローラの傾き検知機能を使って自生物を操作することだろう。このSIXAXISを使った操作が水中に漂う微生物のような生き物の動きを実にうまく表現し、プレーヤーに体感させることに成功しているのは本作の特筆すべき点だ。

 傾けて操作するという操作体系は、まだまだ目新しいが、その敷居はかなり低く、誰でもすぐに直感で自生物を思い通りに泳がせることができる。SIXAXISの機能をうまく活用すれば、Wiiのようにゲームをプレイするプレーヤーに新たな楽しさを容易に体験させることができそうだ。

 ゲームの展開もゆったりとしており、リラクゼーションルームに流れるような穏やかな音楽が流れる中でひたすら捕食し、生物の進化を目に見える形で追い続けていると、不思議なハマり感があり、ゲームとしての完成度もなかなか高い。

 たまには派手で激しい画面や効果音のするゲームから離れて、「flOw」のような癒しゲームをプレイしてみるのも良い気分転換になる。本作はゲームとしての面白さを見ても840円というお値打ち以上の価値があるし、SIXAXISの使用事例として購入してみても損はないだろう。

 難をひとつ挙げれば、それはゲームそのものではなくXbox Live Arcadeのように、試遊を経てゲームの面白さを確認してから購入する、というプロセスを用意していないため、試し買いができないところだ。特に新機軸のゲームタイトルの試遊は、ダウンロード販売の際は非常に重要な導線だと筆者は思うのだが、PS.Storeのタイトル全般はこの部分がどうも中途半端で、タイトル個々の訴求力と話題性に欠けているのが何とも惜しい。

他生物を貪欲に捕食していくことで自らが進化していく 自分と同等かより大きい他生物を食べるのはコツがいる


赤いのは怒って反撃をしてきていることを示す 食べつくしたらより深い場所へ潜っていこう


(C) 2007 Sony Computer Entertainment inc.

□「flOw」公式ホームページ
http://www.flow-games.jp/

(2007年8月1日)

[Reported by Game Dude]



当連載でご紹介したゲームは日本国内で流通しているハードウェアでは動作を保証するものではありません。編集部では海外版ハードウェア・ソフトウェアを輸入して紹介しています
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