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会場:ロッテワールド
サービススケジュールは2007年第3四半期にオープンβを開始、2007年第4四半期に韓国国内での正式サービス開始が予定されている。ピッチャー、キャッチャー、バッターの3人をプレーヤーキャラクタとして、バッティングを3人でローテーションする変則ルールが特徴的だ。 インターフェイスはコナミの「実況パワフルプロ野球(パワプロ)」シリーズに近く、打撃の際は球の軌跡がストライクゾーンのボックス内に表示され、打点と軌跡の重なるところでタイミングよくヒッティングするなど、よく似ている。 ビジネスモデルは基本料金無料のアイテム課金モデルが想定され、韓国国内ではNHNが提供するゲームポータル「Hangame」内の「Gravity Zone」にて提供予定。時期は未定ながら、日本、台湾などアジアを中心とした海外展開を考えていくとのこと。
現在は1対1での対戦だが、2008年上半期には3対3での対戦が可能になるアップデートが予定されている。本稿では、本作のファーストインプレッションと、「W Baseball」プロデューサーのチャン・ピルボン氏のインタビューを収録しているので合わせてごらんいただきたい。 ■ RPG要素を強めた「パワプロ」ライクなオンライン野球。多様なカメラ視点が特徴
プレイを始める際に、ユーザーはまず自分の球団を作成する。韓国や日本やアメリカの実在する球団のデザインをモチーフにしたユニフォームを選択し、育成可能なキャラクタを1人作成する。 1チームの先発メンバーはバッター、ピッチャー、キャッチャーの3人で構成されるため、その他のメンバーはポイントを使用して集めていかなければならない。「傭兵」として実在する韓国球団の有名選手を登録できるなど、韓国の野球ファンを視野に入れた取り組みがされており、将来的には他のユーザーからトレードで選手を獲得できるようになるという。 キャラクタを未入手の場合は、最初の1人のキャラクタ以外の役割はすべて名前の無い「補欠ロボット」が務めてくれる。ゲーム開始当初は、キャラクタ1人と補欠ロボットで、ホームランや奪三振、連続ヒットなどで、ゲーム内ポイントの「HP」をためていく。これを使って新規の選手や各種アイテム、打撃や投球の「型」にあたるスタンスなどを揃えていくのだ。 現実の野球の試合では9人の先発選手の他に控え選手として20人近い選手をベンチ入りさせることができるが、本作では控え選手も含めて登場する選手を大きく絞ってやることによって、選手1人1人の育成要素の強化を狙っている。先発ローテーションは3人でしか組めないため、走者満塁の場面では3塁走者がバッターを兼ねることで工夫している。
また、カメラワークの100箇所以上の視点が用意され、走塁の間のカメラの切り替わりは、テレビ中継を意識したリアルなタイミングが素晴らしい。
■ 様々な投球、打撃スタンスによるRPGライクなツリーに注目
特に面白いのが「スキルツリー」で、バッティングならば「片手打ち」、「両手打ち」、「ソードマン」といったスイングの種類を「スタンス」と呼ぶ。チームレベルの上昇に合わせてより強力な上位スタンスの使用制限が解除され、HPを消費して上位の型を習得していく。 1人のキャラクタで1度スタンスの系統を決めてしまうとツリーに従って進むしかなく、ツリーを遡ってのスタンスの振りなおしや、他のスタンスとの混在はできない。チームの打撃タイプにバリエーションを持たせるために、新人を積極的に育てていく機会が多そうだ。 ここで盲点なのが、スタンスの種類にバリエーションが少ないことだ。開発チームの想像力が足りないわけではなく、投げ方では上手投げ、横手投げ、下手投げ以外に、野茂選手のトルネード投法のような特徴的な投げ方は現実的にも僅かしかないからだ。
育成をツリー形式で行なう着眼点は優れており、当初から用意されたスタンスも豊富だと感じるが、育成要素についていえばネタ切れが近い印象を受けた。キャラクタを離れて球団経営や選手個人にもストーリーを見出していくようなゲームの裾野の広げ方か、よりSF的な路線でスタンスのバリエーションを増やすなど、アップデートの方向性が今後の肝になってくるだろう。
■ 「W Baseball」開発チーム、チャン・ピルボン氏インタビュー
編: 「W Baseball」を出展した感想をお願いします。 チャン氏: 2002年に日本でもサービスしていたオンライン野球ゲームの「ジェットリーグ」以来の5年ぶりにユーザーに披露しました。感無量です。長年の間に渡り準備した上で出展にこぎつけました。 編: 「ジェットリーグ」は公開後短期間でサービスが終了してしまいました。この間は何があったのでしょうか。 チャン氏: 99年に大学発のベンチャー企業として「ジェットリーグチーム」というゲーム開発チームができました。そこで「ジェットリーグ」が開発されました。その後、軍隊への入隊や卒業などでメンバーが抜けていき、2002年頃にチームが解散してしまいました。その後2006年末に、Gravityが当時の開発スタッフを迎え入れ、「ジェットリーグ」の続編を開発していくことになりました。 編: タイトルに表示されている「3」のロゴには特別な意味があるのでしょうか。 チャン氏: 「ジェットリーグ」には1と2があり、本作がバージョン3にあたります。ホームランを競う作品がバージョン1で、ピッチャーとバッターの対決をゲーム化したものがバージョン2です。「W Baseball」はそれに続く3番目のバージョンであり、3対3でのプレイを実現したという意味も含まれています。 編: 「Gravity Festival 2007」でプレイされていたユーザーさんの反応はいかがでしたか。 チャン氏: 打撃感が素晴らしいという評価を受けました。グラフィックのクオリティやライブ感覚では韓国産のこれまでの作品と比べてナンバーワンではないでしょうか。 編: キャッシュアイテムはどういったものが登場するのですか。 チャン氏: 獲得できるHPを2倍、3倍にあげるものや、ユニフォームだけではなくカジュアルな服装やアクセサリも用意する予定です。 編: 展開予定の国を教えてください。
チャン氏: アジアをメインにしたいと思っていますが、プロ野球が盛んな国として、アジアとアメリカです。アメリカはクラシックな野球がメインですので、1次ターゲットはアジアです。 ■ 3人1チームで行なう育成重視のカジュアルタイトル
チャン氏: 1つのチームにメインキャラクタが1人作られます。バッターのローテーションは3人で、用意されたポジションは、バッター、ピッチャー、キャッチャーです。残りの守備は補欠ロボットの役割です。ゲーム内にはHPというポイントがあり、ヒットや連続安打、ナイスプレー、奪三振などで得られます。ポイントを通じて傭兵を雇用することで、補欠ロボットの代わりにすることができます。ゲームを進めるに従って、人間のメンバーが充実してくることになります。 編: 傭兵は1試合に1回使ったら終わりなのでしょうか。 チャン氏: 違います。メンバーとして登録され、数が多ければ控えとしても活躍します。操作するチームメンバーはピッチャー、バッター、キャッチャーの3人だけですが、それ以外の守備要員7人の中に、傭兵を入れることができます。 編: 満塁になったときに必要な4人目のバッターはどうするのでしょうか。 チャン氏: 3塁ランナーとバッターが同じキャラクタになります。伝統的な野球のように9人でやるものではなく、オンラインゲームに特化されたルールです。6台のパソコンで、3対3でゲームをプレイするのが目的です。韓国や台湾、日本のユーザーとで、WBCのように対決できることが目標です。 編: 傭兵の中に実在する選手がいました。
チャン氏: KBOのラインセンスをとりましたので、韓国のオールスター選手が登場します。またモーションプラットフォームを採用したことで、イチローや野茂のように動く選手を新規に育成することもできます。 ■ 来年は1対1から3対3へのプレイスタイルに進化。育成スタイルも多岐に渡る
チャン氏: キャッチャーはチームをまとめるリーダーです。守備を操作したり、ピッチャーの能力を高めるなどの恩恵があります。 編: 一人でプレイする際には、自分のチームのキャラクタの傭兵が登場します。3人でプレイする際は1チームから1人ずつ登場するのでしょうか。 チャン氏: はい。ギルドで1つのチームを作って、あなたはピッチャーを育てろ、キャッチャーを育てろということで分担していくことになります。 編: 3対3でプレイした際の守備を教えてください。 チャン氏: プレーヤーごとのカメラビューは少しずつ違います。キャッチャーはピッチャーを見る視点になるなど工夫がなされる予定です。 編: バッターの中だけでも色々なスタイルがありました。 チャン氏: 100種類以上あります。ルーキーリーグからメジャーリーグまでレベルがあり、有名選手と同じように育てあげることができます。 編: リーグのレベルはどのように分けられるのでしょうか。 チャン氏: 50勝、100勝といった勝利数を満たすことで、上昇していきます。リーグがあがることによってスタンスのバリエーションが増加していきます。また、ドラフトや他の選手とユーザーを交換する仕組みも今後取り入れていきます。 編: 球団のユニフォームは何種類用意されているのですか。
チャン氏: 韓国、日本、アメリカの有名チームのものを用意しています。ライセンスの問題で、ロゴなどは使うことができませんが、カラーや雰囲気が近いものを使っています。今は15種類前後です。 ■ よりバランス調整が必要なゲームプレイ。巧打の光る試合展開に期待 編: 魔球や必殺スイングはどのようなタイミングで出すことができるのでしょうか。 チャン氏: 現在は、HPのようにゲージがたまっていくと使えるようになります。今後はアイテムをショップから買って使えるようにもします。失点してしまった場合、HPはマイナスになるのですが、必殺技のゲージは増えていきます。必殺技を通じ、逆転のチャンスを増やす機能です。 編: プレイしてみましたが、タイミングが合わず三振してしまうか、打点を捉えればソロホームランになり、かなり大味な展開でした。ヒットをつなげて点数が入る試合展開になりにくく、バランスが悪いような気がしました。 チャン氏: 打球についてはサービスを提供しながらバランスを考えていきたいと思います。 編: ワイド画面に対応していますが、韓国ではワイド画面でプレイされているユーザーは多いのでしょうか。 チャン氏: 正確な数字はわかりませんが、韓国のITやパソコン業界の進歩が早いので、モニターの画面は着実に大きくなっています。HDや薄型の映像環境はトレンドです。 編: 日本のユーザーに一言お願いします。 チャン氏: 野球ゲームはコンソールだけではありません。オンラインで複数の人が一緒に楽しめるものにしたいです。野球は一緒に楽しむものですので、オンラインで実現しました。私は韓国の野球も好きですし、日本の古田選手も大好きです。野球が好きな人であれば、国は関係なく共に楽しめると思います。
編: ありがとうございました。
□Gravityのホームページ (2007年7月22日) [Reported by 三浦尋一]
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