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会場:恵比寿ガーデンプレイス
今回のイベントはユーザーカンファレンスも兼ねた発表会となった。コーエーは「ネオロマンス」といったタイトルはユーザーイベントを行なっているが、それ以外のゲームタイトル、そしてユーザーカンファレンスというイベント自体初の試みとなる。今回は抽選で100人のユーザーが選ばれた。募集は「大航海時代 Online」のユーザーに限られたが、1,000人以上の応募があったという。当日は台風が接近し、電車の運行が遅れるといった天候だったが、会場にはたくさんのユーザーが訪れた。
■ 100人のユーザーを招いたカンファレンス。松原氏の意外な開発秘話も
松原氏は続いてコーエーのオンラインゲーム全般の話へ。「信長の野望Online」、「大航海時代 Online」、「真・三國無双BB」、そして「三國志Online」のサービスを今年度中に開始すること、こういったタイトルを海外でも展開しているコーエーの戦略に触れ、ユーザーへの感謝の言葉を述べた。「人と人を結ぶオンラインゲームの楽しさ、この喜びというのはまだまだ大きな可能性を持っていると考えています」と松原氏は語った。 「大航海時代 Online」のオープニングのBGMは現在はフルート演奏になっているが、初期は口笛だった。実はこの口笛は松原氏自身の口笛だったことを披露すると会場から驚きの声が上がった。何度も何度もリテイクして収録したという。「第2弾の拡張パックが発売できたことは開発運営スタッフ一同、ユーザーの皆様に感謝の言葉をお伝えしたいと思います。すべてのユーザー様に、喜んでいただけるように頑張っていきたいと思います。引き続きお力添えと、ご支援を賜りたいと思います。ありがとうございました」という言葉で松原氏は挨拶を締めくくった。 続いて行なわれたのは「大航海時代 Online」運営プロデューサーの渥美貴史氏と、開発ディレクターの竹田智一氏による「Cruz del Sur」の特徴の説明。そして、1994年に単独無寄港無補給世界一周を成し遂げた海洋冒険家の白石康次郎氏によるトークショウ。そしてユーザー参加のクイズ大会が行なわれた。「Cruz del Sur」の詳細と、白石氏の話は後述したい。 ユーザー参加のクイズ大会では、100人の招待ユーザーから、イスパニア、ポルトガル、ヴェネツィア、フランス、ネーデルランド、イングランド各国の代表者を抽選で選出し、彼らがクイズに答えるという構成で進行した。今回の発表会では女性の姿も多く見られた。クイズの内容は「ダヴィンチの作品ではない絵画はどれ?」、「マゼランの世界一周で生還した船名は何?」、「船のシルエットの内、戦列艦は?」などなどコアなユーザーですら迷ってしまう問題が連続で出題された。 決勝戦では交易品から都市を当てる問題、街の遠景、郊外から出られるという特徴などから、都市を特定する問題が出された。特に1問目は、「オリーブ」、「魚肉」、「ワックス」、「オリーブ油」……など、地中海の多くの街で販売している品目が続出したため、間違ってしまう回答者が多かった。ちなみに正解は「カンディア」である。優勝はフランスチーム。代表者にはグラフィックボードと旅行券が贈られた。後日、フランスに所属するプレーヤーにはゲーム内アイテムがプレゼントされるという。 今回のイベントでは抽選ということもあったためか、雑談をしているユーザーの姿が少なく感じた。サーバーとキャラクタ名などを名乗りあうなどの機会を設けることで、もっと会場に訪れたユーザーの交流が活発になるのではないか、とも感じた。できれば来場者全体が参加できるようなイベントも欲しかったところだ。コーエーとしては今回のイベントをテストケースと捉えており、今後もこういったユーザー参加型のイベントを行なっていきたいという。
松原氏には今後の意気込みとしてコメントをいただいた。「私はオンラインゲームを見る立場から、会社全体を見る立場になりましたが、オンラインゲームはコーエー全体から見ても大きなウェイトを占めるまでに成長しました。会社としても大きな柱に確実に成長しました。ユーザーの皆様にコーエーのゲームをもっと楽しんでいただけるようにこれからもやっていきたいと思います。今回初めてユーザーさんを招いてのイベントになりましたが、フィードバックをいただき、よりよいイベントを今後もやっていきたいと思っています」。今後どのようなイベントが行なわれるか、他のタイトルに関しても期待したい。
■ 世界一周が可能になる「Cruz del Sur」、自分だけの島など多彩な新要素も
「大航海時代 Online」では冒険や交易で入手できる名声で所属国から許可が出ることで港を利用できるようになる。このため、世界一周を国から依頼され、新たに追加された港を利用できる冒険者は高レベルの航海者に限られる。初心者、中級者はいつかできる世界一周を目指して航海を続けることになりそうだ。一方でサービス開始から2年以上経過した「大航海時代 Online」には高レベルの航海者も多い。ゲーム内で世界一周を成し遂げた場合は特別なアイテムが入手できるという。誰が最初の世界一周の偉業を成し遂げるのか、注目したい。 「Cruz del Sur」では初心者向けの「航海者養成学校」も新たに実装される。この学校はヨーロッパ各地に実装され、ゲームの基本操作や基礎知識、スキルの使い方などを学ぶことができる。専用のチャットチャンネルも用意され、初心者同士で交流することも可能だ。「大航海時代 Online」はスキルやクエスト、転職など、効率的に成長するためには覚えなくてはいけない知識が多く、ハードルが高い印象もあった。また、ソロで進める場面が多いため、他の人と出会う機会の少ない部分もあった。この学校の実装により、よりスムーズに初心者が大海原に旅立てるようになるだろう。 「大航海時代 Online」は「冒険」、「戦闘」、「商業」の3つの大きな柱がある。今回はそれぞれにユニークな要素が追加される。冒険は、「沈没船の引き上げ」という要素が追加される。世界中に散らばる地図を集めていくことで宝の地図を完成させ、地形から割り出した場所で沈没船がある場所を見つけ出す。この沈没船を引き上げるには「サルベージ」という新スキルを鍛える必要がある。 引き上げた沈没船の中には罠などが仕掛けられている場合がある。サルベージスキルを鍛え上げた冒険者ならばソロでもできるが、横取りを狙う海賊もいるので、仲間を募って引き上げを行なう方が安全だろう。沈没船の中にはコロンブスが新大陸を発見したサンタ・マリア号などの有名な船もあるという。 戦闘は毎月7日間、どの街からも期間中24時間参戦可能な「バトルキャンペーン」が実装される。戦場は設定される海域の制海権を巡って争われ、他の国の所属プレーヤーも傭兵として参加できる。同レベルの人との対戦、敵陣奥深くで倒すとポイントが高いなど独特のルールを採用しており、大海戦とは違った戦いを体験できるだろう。 生産では「プライベートファーム」が追加される。プレーヤーは広い海で「アパルトメント」のような自分だけの無人島を見つけることができる。この島に投資を行なうことで発展させることができ、材料の大量生産や、資源、交易品の収集などが可能となる。島はプレーヤーの数だけ用意される。生産品などはキャラクタの生産スキルに依存しない形で、方向性を定めて成長させることができるため、よりスムーズな生産を行なうことができる。 今回発表された要素は8月22日に実装されるチャプター1のもので、今後チャプター2、チャプター3と、「Cruz del Sur」ではこれからも多彩な要素が実装されるという。ユーザーカンファレンスでは様々な質問が飛び交い、新たに強力な武装を装備できる強力な戦艦、また、初心者および中級者向けの船のバリエーションも追加されることが発表された。オスマントルコのプレーヤー国籍化については、要望は多いが、今回はまだ検討中とのこと。
日本を含む東アジアの実装に関しては開発スタッフの「目標」となっており、まだ実装時期は未定だ。クオリティの高い、独特なものを実装できるように準備しているという。全世界が実装されたとき、どのようなプレーヤー社会が生まれるのか、注目したい。
■ 実際に世界を一周した航海者ならではの様々なエピソード
白石氏はトビウオが船に飛び込んでくる話や、星空と海面に映る星で宇宙空間にいるような気持ちなど、航海者でしかわからない話を次々と披露。航海者になったきっかけは、「水平線の向こうに何があるのだろう」という、単純で強い好奇心が、苦難を乗り越え、世界一周を成し遂げた大きな理由だという。そんな白石氏が最も恐れていたのは1m足らずの小さな氷山。上に出ているのは1m程度だが、海面下には7m近くあり、船を粉々にしてしまう大きさがあるという。 カーボヴェルデで海賊に襲われた話では、中学生くらいの海賊を、持っていた木刀で撃退したエピソードを披露。フィリピン沖も海賊の出没地帯で、南アメリカ大陸と南極大陸の間にある船の墓場という危険な海域があり、ここを突破すると世界各国の酒場でテーブルに足を載せて自慢話ができるという。疑似餌で釣りをするとまず鳥がかかるという話(海鳥は肉が少なく食べられない)や、白石氏が世界各地で撮影した珍しい写真も披露された。
白石氏はユーザーへのメッセージとして「志のあるみなさんにお会いできて光栄です。僕の航海も、ゲームも子供の頃からの憧れ、という意味では変わるところはありません。僕は色々な港を訪れ、様々な人と友情を育みました。それが一番大事なものだと思っています。ゲームの中でもたくさんの志を持つ人と友情を育ててください」と語った。
□コーエーのホームページ (2007年7月16日) [Reported by 勝田哲也]
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