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China Digital Entertainment Expo 2007現地レポート

Joyzoneブースレポート
ゲームポット「Level-R」の中国展開と東星上海「蹴蹴球」を発表!
日本企業とのコラボレーションでMade in Chinaから世界に放つ

7月12~15日 開催(現地時間)

会場:Shanghai New International Expo Center

 「ChinaJoy」3日目の7月14日、中国のパブリッシャー「Joyzone」は、オンラインレースゲーム「Level-R」の中国展開を発表した。Joyzoneはハンガリーの開発会社Invictus Gamesと、同作のアジアパブリッシャーである日本のゲームポットとの3社間で、共同で調印式を行なった。現在日本ではオープンβテストが行なわれている。

 Joyzoneによれば中国での正式なサービススケジュールやビジネスモデルは未定とのことだが、秋口までにクローズドβテスト、年内にはオープンβテストを行ないたいとのことだ。

 また、この日は日本の東星の中国子会社、東星上海が開発したカジュアルオンラインサッカーゲーム「蹴蹴球」の発表会および、Joyzoneとの調印式も行なわれた。

 東星のオンラインゲームエンジン「津波」を利用した初の作品としてお目見えした同作は、子供達が道ばたに立てたポールをゴールに見立てサッカーをするような、何でもアリの草サッカーの世界観が特徴となっている。7月26日からオープンβテストが予定されている。記者発表会の様子と共にゲームの特徴をお伝えしたい。


■ 東星上海が放つ「蹴蹴球」。「津波」エンジンを用いた厚みのあるカジュアルタイトル

 Joyzoneは2005年4月から中国でサービスをスタートさせた、韓国Hyundai Digital Entertainment開発のオンラインレースゲーム「CTRacer」のパブリッシャーとしてローンチを成功させ力を伸ばしてきた。

 東星上海の開発として披露されたカジュアルオンラインサッカーゲーム「蹴蹴球」は、草サッカーがモチーフとされており、3頭身の線の強いコミカルなキャラクタによる3対3のカジュアルサッカーゲームだ。7月26日からオープンβサービスの開始が発表されている。

 本作のルールはいたってシンプルで、最大3対3のプレーヤーにゴールキーパーのAIを1人ずつ加えた4人1チームとなって、ビーチや街角に立てた2本のポールの間や、ゴール見立てた絵のなかにボールを蹴り入れるというもの。草サッカーらしく、障害物を利用して裏からのゴールも狙うことも可能だ。

 カジュアルタイトルらしくギャグのセンスが多数盛り込まれており、地団駄を踏むと相手プレーヤーが転んだり、少年達の永遠のライバルとも言える「ビックママ」ことお母さんが「家に帰って勉強しなさい!」と叫びまくって画面をさえぎったり、フライ返しでゴールキーパーを叩きに現れるなど、思わず吹き出してしまうようなスキルや仕掛けがふんだんに盛り込まれている。

 また、3人称視点でプレイしていると背中を見ることの多いプレーヤーキャラクタに、ドライバーやおにぎりやホイッスルなどサッカーとは一見無関係な様々な巨大アイテムを背負わせることができ、自己表現に対する需要の高い中国向けの味付けを絶妙に表現している。

 一方ゲーム面では、ボールの弾道計算も、風向きや反射角、バウンド時の摩擦などが細かく計算され、カジュアルといえども深みのあるプレイ環境が作られている。

 本作はそもそも同社へ開発業務を発注するクライアントのための「津波」のデモプレイ用に開発されたものだが、ゲームとしてのポテンシャルがJoyzoneの目に止まり東星のブランドネームで公開されたいきさつがある。

Joyzoneと東星上海との調印式ではサッカーボールに2社のサインが記された。奥からZou Liang氏、黄建翔氏、千種茂氏
 東星の名前はエンドユーザーにこそ馴染みが薄いが、国内外を通じゲーム会社からは受託開発専門会社として捉えられている有名メーカーだ。「黒子」役に徹している東星が、開発会社として表舞台に登場したという意味でも珍しいタイトルだ。

 記者発表会では、JoyzoneのCEO Zou Liang氏、東星上海総経理の千種茂氏、中国で著名なサッカー解説者の黄健翔氏の3人が登壇した。千種氏は「Made in Chinaから世界へ」と述べ、開発会社としての東星上海の持つクオリティに強い自信を示した。日本でも「蹴蹴球」がプレイできる日が来ることを願っている。

東星上海総経理の千種茂氏。東星上海が放つ「蹴蹴球」。初期のユーザー層はハイティーンの男性層としながらも、女性層に向けた訴求要素の作りこみに力を入れていくとのこと Joyzone CEOのZou liang氏
【スクリーンショット】
ユーザーのカスタマイズした部分をデフォルメしてあげることや、アイテムを背中に背負わせることにより、キャラクタに対するユーザーの自己表現を認識しやすくさせている
プレイに夢中になる少年達の永遠のライバルであり、抗し難い存在として「ママ」が登場する
ルールもゴールを通すだけというシンプルなもので、方向性は非常に明快だが、弾道計算や連携プレイなど突き詰めていく要素は多く存在する。26日からのオープンβテストで、ユーザーの反応が楽しみだ
壁を利用した後ろ側からのシュートも可能な草サッカー的なゲームバランスを、明快なインターフェイスがサポートしている。キャラクタの存在感が強いだけに、AIのゴールキーパーにも存在感を持たせる工夫が欲しい


■ 「Level-R」海外展開第1弾は中国。MMOタイトルとしても方向転換へ

 Joyzoneはこの日、オンラインレースゲーム「Level-R」の中国展開も発表した。ハンガリーの開発会社Invictus Softと、同作のアジアパブリッシャーである日本のゲームポットとの3社間で調印式が行なわれた。

 本格派レースゲームの「Level-R」がラインナップに加わることで、Joyzoneは看板タイトルの「CTRacer」に、ジャンルの上ではレースゲーム2タイトルが被ってしまう形にはなる。しかしながら、多くのカジュアル層を取り込んだ「CTRacer」に加えてコアユーザー層を強く意識した「Level-R」を追加することで、「CTRacer」からのコアタイトルへの需要に応えていく形だ。

日本及び日系企業2社との契約を行なったJoyzone。メディアからの注目度も高かった
 調印式ではInvictus GamesのCEOのTamas Kozak氏と、ゲームポット代表取締役の植田修平氏、JoyzoneのZou Liang氏の3人が登壇し、展開の豊富を述べた。中でもTamas Kozak氏は、本作の方向性について、今後はオンラインレースゲームに加え、MMOレースゲームとしての要素を加味していくと述べた。ディテールは不明な上に日本でもサービスインにこぎつけていないタイトルだが、早くも大幅な路線変更の可能性を示唆している。

 次にJoyzoneの会場のブースでは、「蹴蹴球」、「Level-R」、「CTRacer」の3本立てで構成され、試遊台を全面に押し出したブース展開に人気が集まった。特にレースゲーム2タイトルはUSB接続のハンドルとギアをつけた本格的なデバイスで楽しむことができ、男性ユーザーを中心に順番待ちの列ができていた。

 「ChinaJoy」最終日の15日には中国と韓国の「CTRacer」ユーザーによる大会が行なわれるとのことで、時間帯によってプレイ可能な試遊台をやりくりするなど、中規模ブースで効率よく試遊台を回転させていたのが印象的だった。

 日産やトヨタなどの上海市民にも馴染みのある実車が登場する「Level-R」の試遊台では座ったユーザーがゲーム内で軒並みスピンし続けていたのが印象的な光景だった。コア層に訴求するためのタイトルとはいえ、リアルを追求した本格派タイトルと見られるか、或いは単にとっつきにくいタイトルとされてしまうか中国ユーザーの今後の反応が楽しみなところだ。

ゲームポット代表取締役植田修平氏。Joyzoneに中国展開をゆだねた理由として、「CTRacer」を通じたオンラインレースゲーム展開のノウハウを重視したとのこと Invictus Games CEOのTamas Kozak氏。コアタイトルへの需要から中国の皆さんにもきっと「Level-R」を気に入ってもらえるだろうと話した。スピーチの中で「Level-R」のMMO化を示唆するなど、中国のみならず日本での展開も含めて気になるところだ
「蹴蹴球」と「CTRacer」が女性ユーザーを含むカジュアルユーザーを広く集めいていた一方、「Level-R」は試遊台の段階でもコアなユーザーが多かった。とっつきにくいが一度ガッチリユーザーの心をつかむと離さないタイトルといえるだろう。今後も様々な実車が追加されていくとのことだ
【スクリーンショット】
「Level-R」では、パーツのカスタマイズから車体の挙動まで、細かく作り込まれているのが特徴。レース中の衝突部位による車体の挙動にいたっては実によくできている。その裏返しでプレイに慣れるのが難しいタイトルなのだが、とっつきにくさをどのように埋めていくかが展開のカギを握るだろう


□China Digital Entertainment Expoのホームページ
http://www.chinajoy.net/
□Joyzoneのホームページ
http://www.joyzone.com.cn/
□「蹴蹴球」のホームページ
http://www.joyzone.com.cn/
□東星上海のホームページ
http://www.tose.com.cn/jp/index.htm
□「Level-R」のホームページ
http://www.joyzone.com.cn/
□関連情報
「China Digital Entertainment Expo 2007」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070715/cdeelink.htm

(2007年7月15日)

[Reported by 三浦尋一]



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