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会場:Shanghai New International Expo Center
入場料:50元(約800円)
この両社の出展は、現在の中国ゲーム市場では合弁会社ではなかなかうまくいかないこと、そして長期戦略に耐えられる資金を保有するメーカーでなければ事業の継続が難しいことを何よりも雄弁に語っているように見える。 ところで両社は、日本では、SCEがスクウェア・エニックスの株を約9%保有し、共にコンシューマ市場の担い手として親密度の高い関係として知られているが、中国市場ではお互いにまったく異なる道を歩みつつある。本稿では両社の展開模様から、日本メーカーの展開状況を紹介したい。
■ 全アジアを視野に入れて出展を行なうSCE Asia。PS3時代を迎え、新しい可能性と課題が顕在化
出展タイトルは以下の通り。
・GRAN TURISMO HD Concept (繁体中文版、SCEJ) 見ての通り、言語は日本語、英語、繁体字、簡体字と実にバラバラだが、中国国内で使われている簡体字に対応したタイトルが複数含まれていることに注目したい。PS3のシステムOSは、すでに簡体字表記に対応しているため、PS3の「クロスメディアバー」レベルでは、完全に簡体字表記のインターフェイスを使って、ネットワークサービスやデジたるメディアにアクセスできることになる。ちなみにPS2は繁体字のみで簡体字には未対応。PSPは繁体字、簡体字とも対応済みだという。 ソフト側の対応については、メーカーレベルの話になってくるため、海賊版が横行するアジア市場での特殊性から、一律、簡体字対応という流れにはならないようだが、アジア諸国には中国以外にも簡体字を使う人は多いため、今後徐々に増えていくものと思われる。
こうしたSCE Asiaの方向性の一端が伺えるのがSCE Asiaの公式サイト SCE Asiaの基本戦略としては、各国ごとの法規制や関税などの問題から、香港、台湾、シンガポールと展開初期のように、アジアに点在する国々にひとつずつ進出していくという展開戦略から、「各国の電脳街にいけば並行品がある」という現実を直視し、そうした並行品を購入したオーナーに対するサポートを、SCE Asiaの公式サイトのような形で、一括して行なっていくという方針に転換しつつある。
しかし、こうした考え方は一見合理的なようだが、地道な宣伝活動や営業活動で少しずつ販路を広げ、海賊版を駆逐してきたSCE Asiaの従来のアプローチとは大きな隔たりがあり、また、初日のレポートでも触れたように、並行輸入品では、故障時やトラブル時の正式サポートが受けられないため、根本的な解決とはならない。ひとつ解決するとまた新たな問題が浮き上がるような形だが、いずれ解決しなければならない課題だろう。ネットワーク時代のアジアの展開はどうあるべきなのか。PS3時代を迎え、SCE Asiaはまたひとつ大きな岐路にさしかかっている。
■ オンラインゲームのみの展開で中国と同化を果たすSQUARE ENIX China
SQUARE ENIX Chinaは、それまでの台湾Softstarとの合弁関係を解消して2005年に100%子会社として北京に設立された。SQUARE ENIX Chinaの代表は、スクウェア・エニックス代表取締役副社長の本多氏圭司氏が務めている。 今回ブースを周って驚いたのは、1人も日本人スタッフがいなかったことだ、日本人は本多氏のようなトップレベルに限られ、現場は現地のスタッフに任せるという体制になっている。なにぶん日本人担当者がいなかったため、これがどのような方針で日本人スタッフが皆無なのかはわからなかったが、スクウェア・エニックスの子会社でありながら、中身は完全に中国のメーカーといった雰囲気だ。 現在のラインナップは、「クロスゲート」、「クロスゲートカードゲーム」、「ファンタジーアース ゼロ」の3タイトル。「クロスゲート」のビジネスモデルは、プリペイドカードによる従量制とアイテム販売のハイブリッド課金を採用している。「クロスゲートカードゲーム」は現在βテスト中で、正式サービス開始時期は未定。 「クロスゲート」といえば、先週9月30日を持って日本でのサービスが終了することが発表されたばかりだが、中国では、Softstarとの合弁時代に爆発的な人気を集めたことで知られる。公式発表によれば、累計会員数は2,300万人、最高同時接続者数は117,100人。現在は、会員数は未公表、同時接続者数は1万人前後と、かなり下がってきているようだ。 「ファンタジーアース ゼロ」は、今年4月より中国で正式サービスがスタートし、ビジネスモデルは日本と同じアイテム課金制を採用。当然のことながらすべて簡体字にローカライズされている。現在の会員数は、同時接続者数で5,000人程度ということだが、ブースでは常時試遊台が埋まるほどの人気だった。現在もっともプロモーションに力を入れているタイトルのようだ。 「コンチェルトゲート」は、残念ながらメインステージでのオープニングムービーの公開に留まっていた。サービス開始時期は今秋を予定し、ビジネスモデルはアイテム課金制を採用する見込み。
中国では、「クロスゲート」の中国タイトル「魔力宝貝」の続編「魔力宝貝 II」として展開するところが大きな違いだろうか。中国で一時代を築いたシリーズの最新作だけに、再び大きなビジネスになる可能性はありそうだが、あまり目立ったプロモーションを行なっていなかったのが惜しい感じがした。ともあれ、今後の展開に注目したいところだ。
□China Digital Entertainment Expoのホームページ (2007年7月15日) [Reported by 中村聖司]
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