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E3 Media and Business Summit現地レポート

次世代ゲームプレイとはこういうことだ
「Assassin's Creed」プレビュー

「Assassin's Creed」のプレイが体験できたUbisoftのスイートルーム
7月11日~13日 開催(現地時間)



 昨年のE3 2006で様々なゲーム賞を獲得した事で、発売前に伝説的な存在となってしまったゲーム「Assassin's Creed」。昨年は「木を隠すならば森」という新たなステルスアクションの可能性を予告デモだけでセンセーションを引き起こしてしまったわけだが、実際に、2007年11月の発売を控えて、どのような作品となったのだろうか。

 今回のE3 2007では、Ubisoftのプライベートスイートルームにて、テストプレイさせてもらえる機会を得たのでここにレポートしたいと思う。


■ 「Assassin's Creed」はダークヒーロー、アルタイルの必殺仕事人的暗殺行脚

 まずは簡単に「Assassin's Creed」の世界観やコンセプトについて整理しておこう。

Ubisoftのプレスカンファレンスでは「Assassin's Creed」のプロデューサーであるJade Raymond氏自らが壇上に立ってプレゼンテーションを行なった
この町全部がゲームステージ
 「Assassin's Creed」は西暦1191年、3度目の十字軍遠征が行なわれている時代のパレスチナが舞台。パレスチナは宗教的な信仰の違いから街が分割統治されており、残忍な領主が非人道的な統治を行なっていたという設定。そこで立ち上がったのが宗教的信仰に左右されずに街の平和を守ろうとするダークヒーローの暗殺者アルタイル(Altair)。プレーヤーはアルタイルとなって、この時代の各都市を治める極悪非道の領主達を次々と暗殺して街々に自由と平和をもたらす、“殺しの旅”に出ることになる。

 プレーヤーの任務はシンプル。与えられた殺しのリストに記載された人物を見つけ出して、殺していくこと。

 ゲームプレイを行なうステージは、無数の人が思い思いの生活を送っている、あたかも現実世界のような「生きている街そのもの」。遙か遠方からまで描かれた地形や建物はリアルスケールで描き出されており、まさに街そのものがディスプレイの中に息づいているかのようだ。

これがリアルタイムのゲーム画面。実際にこの町がゲームの舞台。奥の奥まで実際に建物が存在する

ゲームは三人称視点で進行する。街には大勢の一般市民が思い思いに生活している
 通りには、街の人が往来し、互いに会話しており、ところどころには街の治安を守るために配置された番兵が目を光らせている。中世らしい無計画に建て増しに建て増しが繰り返された街並みは入り組んでおり、まるで迷路のようだ。

 プレーヤーはこの雑多な街並みから暗殺のターゲットを探し出さなければならない。プレーヤーにはマップが与えられており、これを開くことで、どこに誰がいるのか……といったおおよその情報は知ることができるようになっている。

 移動は、地道に街路を歩いていってもいいが、そこはそれ、主人公アルタイルが持つ、超人的な肉体アクションを駆使することで、建物や壁や柱を縦横無尽に飛び伝いながら、忍者のように高速に移動していくのが、このゲームから得られる最もベーシックなカタルシスとなっている。


■ 走る、飛ぶ、掴む、渡るが半自動で繰り出される爽快感とハイテク感

 “はしご”のような見るからに登って下さいと言わんばかりに配置された小道具はもちろんだが、屋根の梁、窓の縁、壁、木々の枝々など、街に配置された建造物の全てに対して掴まったり、登ったり、ジャンプしたりといったアクションをしかけることができるのがこのゲームの特長。

ゲームは三人称視点で進行する。街には大勢の一般市民が思い思いに生活している
 プロデューサーのRaymond氏によれば、「アルタイルのアクションの全ては、基本アクションから最適なアクションを選択し、その地形、それにインタラクトする際の姿勢、インタラクトしたあとの姿勢を全て動的に処理して、プロシージャルなアニメーションをリアルタイム生成している」とのこと。

 見ているだけで息を飲むようなハラハラとするジャンプアクションの連続は、どんなに操作が難しいのかと思わせるが、これが実際にプレイしてみると簡単。Xbox 360版でいえぱ[A]ボタンが「飛ぶ」に割り当てられており、これを押した状態で方向レバーを入れると、全方位にジャンプアクションの検索をかけているようで、勝手に最適なジャンプ先、掴まり先を見つけて勝手なタイミングで飛んだり掴んでくれたりする。さらに方向キーを別に入れればそこからさらなるジャンプアクションを繰り出す。

結構どこでも掴まって飛び上がれる。街全体がジャングルジム。凄い

 お尻がすくみそうな棒切れ1本程度の梁に着地するのも完全に自動で、この梁を全速で走り抜けるのも[A]ボタンを押しっぱなしでOK。あとは方向キーを大ざっぱな方向にいれっぱししておけば忍者のように走り抜けてくれる。

 その梁の先端に来てしまっても、ひるむ事なかれ。そのまま先端を飛んでしまえばそこから最適な掴まり先、着地先を見つけてジャンプをしてくれる。

 この半自動のアクロバティック走り抜けアクションは、今までありそうでなかった操作系で気持ちがいい。街全体がジャングルジムとしてデザインされているワケだが、そのジャングルジム感をプレーヤーに全く感じさせないというところに「ハイテク」を感じずにはいられない。

「Assassin's Creed」チーム
 このシステムは、Ubisoftの大ヒットゲーム、リメイク3D版「プリンス・オブ・ペルシャ」を彷彿とさせるが、実際、この開発チームの主要メンバーは「プリンス・オブ・ペルシャ」から構成されているそうで、それを聞くと、なるほど、「Assassin's Creed」のアクションはアレの発展形であるということがわかり、妙に納得がいく。

 なお、「Assassin's Creed」でも、全くの無計画で無謀な走り抜けは、どこにも掴まれず落下してしまうことがある。「プリンス・オブ・ペルシャ」ではそこで死んでしまったりしたわけだが、「Assassin's Creed」では着地寸前に受け身を発動し、かっこよく着地して死ぬことはない。「Assassin's Creed」のアクションは「プリンス・オブ・ペルシャ」のアクションの「拡張」+「死なない」版と表現できるかもしれない。

神業としか思えないような梁から梁へのジャンプも楽々。まるで自分が天才プレーヤーになったかのようなプレイ感覚が心地よい


■ 戦闘はリズムゲーム感覚で!

暗殺対象が往生際悪く町中を逃げ回ることも
鳩の先には隠れ家が! 躊躇せず飛び込め。この画面で眼下の藁荷車に飛び込んでいるところ
 「Assassin's Creed」で難しいのは、暗殺を成功させたあとの逃走フェーズ。追いかけられてうまく逃げおおせればいいが、組織的に追いかけてくるので闇雲に逃げているだけでは追いつめられてしまう。

 そこで重要となるのは“隠れる”という要素。もともと、「白昼堂々のステルスアクション」というテーマの本作では、ステージとなる町の各所に様々な「身を潜められるポイント」が用意されている。昨年、センセーションを呼んだ、同じ服装の人間に紛れるというのも1つだが、今回のプレゼンテーションでは、藁を積んだ荷車に飛び込むというアクションが紹介された。あくまでリアリティにこだわった本作ではあるが、ゲーム的なわかりやすい表現が実は幾つも用意されている。実は「飛び込むと隠れられる」ポイントには鳩がとまっているのだ。屋根を飛び歩きながら周りを見回し、鳩の群れが休んでいたら、そこに向かって走り飛ぶといい。鳩がバサバサと飛び上がり、プレーヤーキャラはその先にある隠れポイントに飛び込んで隠れることができるのだ。

 さて、そうは言ってもゲームの進行上の都合もあって、敵との戦闘を余儀なくされる場合もある。敵に取り囲まれて完全に逃げ道を塞がれてしまった場合は、戦闘を行なうしかない。

 戦闘アクションゲームらしい操作系になっている。Xbox 360版ならば攻撃アクションは[B]ボタン、ガードアクションは右トリガで行なう方式。ここは簡単操作ながらもチャレンジング要素の多いゲーム性になっており、画面内の敵のアクションを見ながら、攻撃ボタンをタイミングよく押していくことで攻撃を命中させられる。うまく行くと相手の攻撃を受け流して刺す、斬る……といったアクションが自動発動する。格闘ゲームや剣術アクションとはまたひと味違った独特な戦闘システムは、なかなか新鮮。複数の敵を相手にした戦闘でのボタン操作は、自然とリズムアクションゲームや音楽ゲームのようにリズミカルなものになる。

戦闘システムはかなり特徴的。ここでもかっこいいアクションが半自動で繰り出される

リズミカルな戦闘アクションシーン
 武器は先のステージに行けば行くほど、プレーヤーキャラクタの成長と共に追加されていく仕組み。新たに手にした武器は実際にグラフィックスとして見た目に反映される。飛び道具となる小刀は、ちゃんとその残弾数と一致した個数分、プレーヤーの腰回りのベルトにくくりつけられている。芸が細かい。


■ 「Assassin's Creed」の世界はバーチャルワールド?
   ~めでたく日本での発売も決定!

 ステージや暗殺ターゲット数はまだ非公開。現在は3つの都市が作り込まれており、これらが舞台となる予定。

暗殺対象者との対峙はこのゲームにおけるボス戦に相当
立体的な追いかけっこもこのゲームの醍醐味
 また、昨年公開された群衆に紛れるステルスアクションについてだが、新たな情報が明らかとなった。コスチュームチェンジを行なって人に紛れるといったことはできないという。味方となってくれるのは、ある白装束集団だけだそうで、彼らの集団にのみ隠れることができるとのこと。小汚い服に着替えて街頭に座り込んで物乞いのふりをする……といったような変装ステルスまでを期待していただけにこれはちょっと残念なお知らせだ。

 ところで、「Assassin's Creed」では敵キャラクタやNPCを視界に入れてロックすると、プログラムコードのような、文字パーティクルが出現したり、ゲーム画面上のゲージ類、マップ画面が妙にモダンなデザインになっていることに気が付かされる。これには表現のアンバランスさを感じるが、一体どういう事なのだろうか。

 「これについては物語を進めるとわかってくる。最後までプレイするとびっくりする結末が待っているよ」(Ubisoft担当者)

 もしかして「Assassin's Creed」の世界はコンピュータ生成されたバーチャルワールドなのだろうか。そのあたりの謎は是非プレイして確かめて欲しい。

 北米での発売は2007年11月を予定。プラットフォームはPS3、Xbox 360、PCの3つでほぼ同時に発売される予定。

 発売日は未定としながらも日本での発売も決定したとのこと。日本で全プラットフォーム版が発売されるかは不明。

(C) 2007 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Assassin’s Creed, Ubisoft, and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. "PlayStation" and the "PS" Family, "PLAYSTATION" are registered trademarks of Sony Computer Entertainment Inc. Microsoft, Xbox, Xbox 360, Xbox LIVE, and the Xbox logos are trademarks of the Microsoft group of companies.

□Ubisoftのホームページ
http://www.ubi.com/
□E3 Media and Business Summitのホームページ(英語)
http://www.e3expo.com/
□関連情報
「E3 Media and Business Summit」記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/e3link.htm

(2007年7月15日)

[Reported by トライゼット西川善司]



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