|
発売日はそれほど遠くない9月27日。それだけに、今年のE3では、どれだけの「Halo 3」情報が出てくるのかが期待されてきたのだ。
そうした世界からの期待に応える格好で、マイクロソフトはE3会期中にサンタモニカ市内のホテルにて「Halo 3」のスペシャルセッションを開催した。今回のレポートではここで初公開となった「Halo 3」の特徴の数々をレポートする。
■ シングルプレーヤーモードの実プレイを初公開
残念ながら撮影禁止だったので、数少ない画面ショットと本稿で、その雰囲気を想像していただくしかないが、ゲームプレイの感覚は、全くこれまでの「Halo 3」と同じ。メインとなる画面も、一人称視点で、腕に構えた銃器が画面中央の照準に向いているという、見慣れたビジュアルデザインだ。ただし、画面全体に、マスターチーフのヘルメットを模したようなフレームが描かれているのが一番の特徴となっている。 ただし、グラフィックスは格段に進化しており、プログラマブルシェーダ3.0ベースのXbox 360-GPUのフルポテンシャルを感じさせられる。特にHDRレンダリング効果については、前作「Halo 2」のそれを遙かに上回るリアリティで、今回公開された森林を突き進んで戦うシーケンスでは、木漏れ日からの直接的なグレア効果の他、木漏れ日が照射される地面からの2次的なブルーム効果もあったりして、森林のそこかしこに、明暗を伴った空気感が表現されており、3DCGで構成された屋外シーンにありがちな“箱庭感”がない。 細かく見ていくと、水面のさざ波や鏡像の表現、セルフシャドウ付きのリアルタイムソフトシャドウ表現なども、時代が求めるスタンダードな3Dグラフィックスに到達していると実感させられた。 爆炎や光線などのパーティクルエフェクトも秀逸。パーティクルと3Dジオメトリとの交叉線を目立たなくする、最近では流行の「ソフトパーティクル表現」を採用しているのはもちろん、その描画量も前作を遙かに超えており、そのボリューム感たるや凄まじい。 また、画面ショットを見てもらっても一目瞭然だが、全体としてポリゴン予算も多く、背景はもちろん、敵キャラクタの造形も細かい。雑魚キャラ達も、法線マップによるディテール表現がふんだんに使われており、トータルなビジュアル情報量は「Gears of War」のそれに引けを取らない。 なお、ゲームエンジン(グラフィックスエンジン)は、「Halo 3」のためにゼロから開発されたフルスクラッチビルドとのことで、その開発期間は約3年に及ぶという。もちろん、ファーストパーティのBUNGIE STUDIOSが制作しているので、Xbox 360に重度の最適化が施されている。 「Halo 3」のPC版の発売は現在は“未定”。しかし、先頃発売されたWindows Vista専用の「Halo 2」が、BUNGIE自らが開発しての発売となっているので、PC版のリリースは高確率で期待できる。ちなみに、「Halo 1」のPC版の開発は、Gearbox Softwareへの外注だった。 今作で、特徴的なのは両手持ちの巨大武器を持ったときには三人称視点となるところ。これまでも車両や航空機に登場した際には、三人称視点に切り替わることもあった「Halo」シリーズだが、マスターチーフの姿を間近でカメラが捉える視点が正式導入されたことは興味深い。
三人称視点は日本のゲーム市場で強く好まれるシステムであることをFrank O'connor氏に告げてみると「それはよく理解している。没入感を考えるとやはり一人称視点を基準としたい。しかし、実は、我々は日本のローカライズチームと三人称視点の動的な切換システムについて検討中だ。やるかやらないかの最終決定はまだされていない」との答え。これはもしかすると……ちょっと面白いことになるかも知れない。
■ 「Halo 3」が「録っても」、「撮っても」楽しくなる新システムを公開 続いて公開されたのは、FPSゲーム史上、“初”ではないかとおもわれる録画&リプレイ機能。シングルプレイ、マルチプレイ対戦の区別無く、プレーヤーのゲームプレイ過程をハードディスクに録画(記録)することが可能なのだ! PC環境では外部ソフトウェアで著名な「FRAPS」というツールがあり、ゲームプレイ映像をPC側にデジタル録画することは一般化してきているが、これに近いシステムを家庭用ゲーム機で、しかも「Halo 3」の標準システムとして搭載しているのはユニークだ。
プレイ記録は、自在に再生、停止、巻き戻し、自動プレイが可能。映像フレームを記録しているわけではないので、プレーヤーキャラクタ以外の、全く別のキャラクタの視点での再生にも対応している。完全にキャラクタ視点から離れた、フリー視点での再生も可能だ。なお、この録画したプレイ記録はXbox Liveを利用して仲間とシェアすることも可能。また、再生中にリアルタイムに画面ショットを生成することができ、これをXbox 360本体に保存したり、Xbox Liveと連携したサイトにアップロードしてPCに取り込んだり、友達とシェアすることが可能だという。 この録画システムの活用方法は未知数。ユーザーのアイディア次第で大きく化ける可能性が感じられる。 例えばマルチプレイ対戦であれば、対戦経過を振り返るのに活用できる。狙撃された瞬間に停止させて、その射線上をたどって誰から撃たれたのかを確認したり、自分の侵攻経路や仲間との連携プレイを別視点から見直して、プレイの最適化に努める……といったことができるだろう。 シングルプレイの記録は、友達と攻略を検討するのに使えるはずだ。例えば「この難解シーンを自分はこう攻略した」と友達に見せて自慢したり、初心者プレーヤーに「こう攻略するといいよ」とプレイ指南を示すのにも使える。あるいは、シングルプレイにおけるステージクリアの最短記録を競い合うための証拠映像や、自分のHALO3冒険記の記録のために活用するのも面白い。
なお、今回のシングルプレイのデモンストレーションでは、マスターチーフと行動を共にするエイリアン種族(おそらくはコブナントのエリート種族)の姿が見て取れたが、彼の正体については、いずれ明かされるとのこと(まぁ、想像通りだとは思うが)。彼との連係プレイやそれに関連した新システムがあるかどうかについても現時点では不明だ。
■ 「Xbox 360 Halo 3 スペシャルエディション」も大公開!! 「Halo 3」の発売に合わせて、同時発売となる「Xbox 360 Halo 3 スペシャルエディション」も公開された。 HDMI端子は、これまでのXbox 360のAVコネクタに併設される格好で実装される。HDMI接続時、音声出力までをHDMIで行なう場合には、AVコネクタ部が未使用になるが、AVアンプ等に音声信号を別系統で出力したいという場合には、このAVコネクタ部に光デジタル出力とアナログ音声出力端子を実装した「オーディオアダプターケーブル」を利用することになる。これは同時発売となる「Xbox 360 HDMI AVケーブル」を購入すれば付属してくるとのこと。
市販のHDMIケーブルを利用しつつ、音声ラインを別系統で出したいというユーザーは、本体に付属するD端子HD AVケーブル側の音声ラインを利用すればよいとは思うが、現時点では動作未確認だ。
■ ピーター・モリニュー氏、自ら「Fable2」の戦闘システムを語る イギリスが誇るカリスマ・ゲームクリエイター、ピーター・モリニュー氏が送る大人気RPGシリーズ「Fable」の続編である「Fable2」の最新リビジョンがE3で公開された。 まだ、開発初期のαバージョンといった風情で、「開発進行状況を報告する」と言った感じのセッションとなったが、日本でも著名なクリエイターの作品だけに、注目度は高い。
「今作の戦闘システムは、アクション性を重視して設計した。ただし、アクションゲームのように難しくはしていない。ボタンの連射をしたければそれでも戦えるし、テクニカルな戦い方をしたければボタンを押したり離したり……をタイミングよく行なって、かっこいいコンボを決めてもいい」(モリニュー氏) モリニュー氏はRPGのターンベースの“まったり”とした戦闘システムに、刺激的なアクション性をもたらしたかったようで、「Fable2」では、剣撃、銃撃、魔法……といった各種攻撃に割り当てられているボタンを好きなように押すことで、好みのスタイルでの攻撃ができるようになっている。方向キーを押しながら特定のタイミングで攻撃ボタンを押したりすると派手な必殺技が出たりするが、そうしたテクニカル操作を初心者プレーヤーには強要しないというのだ。 「Xbox 360のゲームもカジュアルゲーマー層をターゲットにしてもよい頃だと思う。『Fable2』では、そうした初心者層にRPGの面白さを訴求していきたいと考えている」(モリニュー氏) これは任天堂がWiiやニンテンドーDSで打ち出してきたメッセージと全く符合するわけで冗談で「だったら『Fable2』はWiiで出してみては?」と意地悪な質問を投げかけてみたところ「うちはマイクロソフトのファーストパーティだからね(笑)。それは無理な相談さ」(モリニュー氏) とさらりとかわされてしまった。
今回は戦闘システムのみの紹介であったが、「Fable2」では、前作「Fable」よりもさらに進化した「善悪システム」や、ピーター・モリニュー氏の最近作「ブラック&ホワイト」シリーズで培われた動物神AIを継承した「ペットシステム」などが搭載される見込み。そうした新要素については機会を改めて紹介したいとのことであった。
筆者はかつて学生時代、ピーター・モリニュー氏の出世作であるリアルタイムストラテジー「ポピュラス」の日英親善対戦で、日本代表として彼と対戦をしたことがあり、それ以来、面識があるのだが、今回、筆者の顔を見るなり、こんな丸秘ミニ情報を教えてくれた。
「『ポピュラス』好きの君に朗報があるぞ。今、『Fable2』とは別のプロジェクトを走らせているのだが……全ての『ポピュラス』ファンに気に入ってもらえるはずだ。え? じゃあ、『ゴッドシム』かって? それはご想像にお任せするよ(笑)」(モリニュー氏)
□Xbox 360のホームページ (2007年7月14日) [Reported by トライゼット西川善司]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c)2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|