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SCEA E3プレスカンファレンスレポート
薄型PSPを初披露。PS3「GT5 Prologue」など新作も発表

7月11日(現地時間) 開催

会場:The Culver Studios

SCEAの登壇者は、それぞれ「Home」のキャラクタを用意して登場。こちらはJack Tretton氏(下)のもの
 Sony Computer Entertainment America (SCEA)は7月11日(現地時間)、E3におけるプレスカンファレンスをThe Culver Studiosにて開催した。今回のカンファレンスでは、話題をプレイステーション 3、プレイステーション 2、PSP、PLAYSTATION Networkの4つのセグメントに分け、順を追って説明が行なわれた。

 最初にPS2について、SCEA President and CEOのJack Tretton氏が説明。2007年だけで1,000万台「God of War II」が200万本のセールスを記録するなど、現在もプラットフォームとして好調を維持。今後も多数の新作を投入するとし、まだまだ収束に向かうわけではないことをアピールした。



■ 軽量・薄型のPSPを発表。ついにビデオ出力機能を搭載

平井一夫氏
 新型ゲーム機が出揃った後に開かれる初めてのE3とあって、ソフトウェアの話題は活発だが、ハードウェアでのトピックが乏しいのはやむを得ないところ。そんな中にあって、PSPでは薄型で軽量、さらにビデオ出力機能を搭載した新型が発表された。株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント代表取締役社長兼グループCEOの平井一夫氏が、ステージ上で実際に新型PSPを取り出してデモを行なった。

 詳細なデータについては既報のとおりだが、重さが約2/3、厚さが約4/5となっている。会場に置かれた実物を見ると、正面からでは色やデザインにまるで違いが感じられず、平井氏が取り出して見せたときも、「これは新型なのか?」と思わず首をひねってしまったほど。しかし上から見ると裏側の凸凹がなくなり、かなりすっきりとした印象を受けた。

 またAV機能も強化され、ついにビデオ出力機能が搭載されることになった。SCEは以前から、「PSPの映像はPSP内で完結させる」と明言しており、他の機器に映像を出力することは、これまで事実上不可能だった。これが新型では180度方向転換され、ゲーム、映像とソースを問わず、大きなテレビに出力できるようになる。ゲームユーザーのニーズもさることながら、唯一のUMDビデオデバイスという存在であることを考えると、ようやくテレビでUMDが見られるようになるわけだ。

 ただし、気になる部分もある。会場での発表では触れられていないが、専用のリチウムイオンバッテリーの容量が、現行モデルの1,800mAhから1,200mAhへと小さくなってしまっている。現行モデルであれば2,200mAhの大容量バッテリーパックも用意されているが、当然こちらも新型では使用できない。消費電力効率の改善がなされている可能性もあるので断言はできないものの、長時間使用を考えると現行モデルのほうが有利になる場合もありそうだ。

 なお北米では、現行モデルも継続して販売される。価格は新型よりも30ドル安い169.99ドルに設定されている。

 また限定版パッケージの発売も予定されている。1つは「Daxter」を同梱したIce Silverの本体。もう1つは「Star Wars Battlefront: Renegade Squadron」を同梱したもので、Ceramic Whiteの本体の裏側に、ダース・ベイダーのマスクがシルク印刷されている。会場では「スター・ウォーズ」のチューバッカが、特製PSPを手に登場し、ウーキー族の言葉でアピールしていた。

 ソフトウェアについても、今後のラインナップをムービーで紹介。「God of War: Chains of Olympus」をはじめ、小さな目玉のようなキャラクタがワラワラと集まって戦う「PATAPON」、ホラーアクション「SILENT HILL ORIGINS」、レースゲーム「WipeOut Pulse」、ハイスピードアクション「Sonic Rivals 2」、ライフシミュレーション「The Sims 2: CATAWAY」など、今後も豊富なソフト群を披露した。

会場に展示された新型PSP。正面から見てもほとんど違いが感じられないが、上や横から見ると、裏側がフラットになっているのがよくわかる
「Star Wars Battlefront: Renegade Squadron」同梱モデルではチューバッカがPSPを手に登場 PS2の2作品が大ヒットとなったアクション「God of War: Chains of Olympus」 小さなキャラクタを戦わせる「PATAPON」。「LocoRoco」を思わせるコミカルな動きや音が魅力



■ PS3にNCSoftなどが新規参入。小島監督が「MGS4」をアピール

 先日、北米地域での本体の値下げを発表したばかりのPS3。今回もそのおさらいからスタートした後、今後のソフトウェアラインナップに関する発表が行なわれた。

 まず最初の発表は、韓国NC SoftがPS3に参入するというもの。NC Softは「Lineage」や「Guild Wars」など、PC向けに数々のMMORPGを展開している。今回の発表は参入決定を知らせるためのもので、具体的なタイトルは挙げられなかったが、SCEAは移植であれ新作であれ、NC Softに大規模なオンラインゲームを期待していると見て間違いないだろう。今後の発表に期待したい。

 続いては、UBISoftの「HAZE」。ベースはベーシックなFPSだが、肉弾戦を仕掛けてくる敵がいたかと思うと、車を運転したりヘリから銃撃できたりと、戦いの幅がかなり広い。グラフィックスもなかなかリアルで、カジュアルなミリタリーアクションとして人気を集めそうな印象を受けた。

 次はMidwayとEpic Gamesから、「Unreal Tournament III」が発表された。コンシューマではPS3のみの提供で、11月発売予定。短いシーンをつなぎ合わせた映像で、新作ならではの要素までは見えなかったが、グラフィックスは非常にクオリティが高い。爆発や銃弾の光の処理の美しさや、手に持つ武器の過剰なまでの描きこみのおかげで、近未来SF風の世界観がより強く伝わってくる。

小島秀夫氏
 KONAMIの「METAL GEAR SOLID 4」の紹介では、KONAMI執行役員 クリエイティブオフィサーで、小島プロダクションを率いる小島秀夫氏がステージに登場。会場では最新のムービーも上映された。

 そして待ちに待った人も多いであろう「GRAN TURISMO」シリーズの最新作、「GRAN TURISMO 5 Prologue」が発表された。「GRAN TURISMO 5」とならなかったのはやや残念だが、開発が着実に進んでいることが見えるのは、ファンには素直に嬉しいことだろう。会場では短いムービーが流されたが、発売時期などの詳細については明かされなかった。

 このほか、「Heavenly Sword」、「LittleBigPlanet」、「Call of Duty 4: Modern Warfare」、「Assassin's Creed」、「Resident Evil 5」(バイオハザード5)、「BURNOUT PARADISE」など、次々と新作のムービーを上映。こちらもPSPと同様、今後のソフトウェアのバリエーションを強調する内容となった。

車やヘリも使用できるFPS「HAZE」。凝って作られたプリレンダーームービーもあり、舞台背景も気になるところ スポーツ系FPSシリーズの最新作「Unreal Tournament III」。とにかくグラフィックスのクオリティが高い 「GRAN TURISMO 5 Prologue」はタイトルのお披露目にとどまったという印象



■ 「Home」が携帯電話やWEBとリンク

Phil Harrison氏
 PLAYSTATION Networkでは現在、世界で200万ユーザーを獲得しているという。カンファレンスにおいては、PS3やPSPとは区別した1つの枠、1つのコンテンツとして、Sony Worldwide Studios PresidentのPhil Harrison氏が紹介した。

 PLAYSTATION Networkの中核を担うサービスとして期待されているのが、現在開発が進められている3D仮想空間「Home」。3月のGDC 2007で発表されたもので、今回新たな情報が明らかにされている。

 Harrison氏はデモの中で携帯電話を取り出し、カメラで会場を撮影。その後「Home」に行くと、部屋の額縁に撮った写真が貼り付けられていた。デジカメで撮影した画像をPS3に持っていって貼り付けるというデモはGDCでも行なわれたが、今回は携帯電話のネットワークを通じて転送するという点が新しい。

 携帯電話だけでなく、WEBとの連携機能も備える。こちらは「Home」でのスクリーンショットをWEBに送信するという機能が用意され、PS3の画面が即座にWEBに反映されるというデモが行なわれた。「Home」は1つの閉じた空間ではあるが、そこからPLAYSTATION Networkのみならず、広くインターネットにも繋がるというわけだ。今後はさらに様々なサービスの実装が検討されることだろう。

 他にも、「Home」の中でカラオケソフト「SingStar」をプレイしたり、他のプレーヤーキャラクタに呼びかけて「MotorStorm」のオンライン対戦を始めるといった機能のデモが行なわれた。新たな建物や衣装などのモデルも見られ、着々と制作が進められていることが伺えた。

 1つ残念なのは、サービス開始時期について新たな情報がなかったこと。GDCでは2007年秋にサービスを開始するとしていたが、このタイミングでもアナウンスがないことには不安を感じる。

Harrison氏が会場で撮影した携帯電話の写真を「Home」に入れ込んだところ さらに「Home」のスクリーンショットをWEBに出力もできる
「Home」内で「MotorStorm」のプレーヤーを探しているところ。ランチャーやロビーとしての役割も果たす 「Home」で作られた和風邸宅。アレンジの幅もさらに広がっているようだ



■ ユニークかつ本格的なPLAYSTATION Networkタイトル群

 Harrison氏は「Home」とあわせて、PS3用のPLAYSTATION Networkの配信タイトルを紹介。パッケージソフトとは趣が異なる、アイデアを前面に押し出したタイトルがいくつか発表された。

 まず最も来場者を驚かせたであろう「echochlome」。いつまでも上り続ける階段、のような「だまし絵」をアイデアにして作られたパズルゲームで、「だまし絵」のブロックの上を歩くマネキン人形のようなキャラクタをゴールに導くのが目的となる。

 ただ普通に歩かせると、穴に落ちたり行き場をなくしたりする。それを助けるため、観測者としてのプレーヤーの視点を変えることで、穴を他のブロックの死角にし、「穴がない」ことにして渡らせる。また視点によっては各ブロックの高低差の関係も逆転することがあり、これを使って「落下したにもかかわらず先ほどより上の位置にいる」という状況を作り出す。言葉では説明しづらい上に、実物を見るとそれはそれで何が起こったのかわからない部分もある、実に不思議な作品となっている。

 他には、人間(かどうかも不明ではあるが)をパチンコ玉のように打ち出したりして、いろいろなオブジェクトと豪快に衝突させるシュールなスタント風ゲーム「PAIN」、レースゲームの新作「WipeOut HD」、ミリタリーアクションシリーズの新作「SOCOM US Navy SEALs: Confrontation」、SIXAXISのデモ作品として知られたアクションシューティング「Warhawk」が新作ラインナップとして紹介された。

だまし絵風パズルゲーム「echochlome」。たとえば左の絵で、右から左へと歩かせると黒い穴に落ちてしまうが、見る角度を変えてやると穴が陰になって見えなくなり、「穴がない」ことになって通過できてしまう。こういった仕組みを複雑にくみ上げていくと右のようなマップができあがる
シャープなグラフィックスにより磨きがかかった「WipeOut HD」 いろいろなものに突っ込んでいく、見ているだけで痛い「PAIN」 SIXAXISを使った操作が特徴の「Warhawk」はダウンロード販売となる



カンファレンス終了後、隣の試遊スペースが開放された 初の試遊となる「LittleBigPlanet」。作ったマップを公開して他のプレーヤーに遊んでもらう(自分も遊びに行く)というコンセプトのソフトで、マップの作成から体験できた。シンプルなパーツの組み合わせながら、思い思いのデザインが驚くほど簡単にできあがる 今回発表されたばかりの「UNCHARTED」。銃などを使ったアクションかと思っていたら、建物のわずかな壁のくぼみやツタにつかまって移動するような、脱出系アクションパートもある。特に自然の描画が美しく、ジャングルでさまようようなシチュエーションも非常にリアルに描かれている


□Electronic Entertainment Expoのホームページ(英語)
http://www.e3expo.com/
□ソニー・コンピュータエンタテインメントのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□関連情報
【7月12日】SCEA、スリムで軽い新型PSP「PSP-2000」を発表
9月に日本、米国、欧州で発売へ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/sce.htm
Electronic Entertainment Expo 2007 記事リンク集
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/e3link.htm

(2007年7月12日)

[Reported by 石田賀津男]



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