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【連載第6回】韓国最新オンラインゲームレポート

Blizzard、「StarCraft II」ファーストインプレッション
「Protoss」の新ユニット/スキルから「SC2」の戦いを予想する

「Blizzard Entertainment 2007 World Wide Invitational」
5月19日~20日開催

会場:ソウルオリンピックパーク

 「Blizzard Entertainment 2007 World Wide Invitational」で発表された、Blizzard Entertainmentの新作RTS「StarCraft II」(以下「SC2」)。Blizzardにとっては2002年の「WarCraft III: Frozen Throne」以来となる新作RTSだ。開発陣によるデモプレイのスクリーンショットを用いながらファーストインプレッションをお伝えする。

 「SC2」は、新作とはいっても前作「Starcraft」(以下「SC」)の枠組みを継承するもので、見た目は「SC」をそのまま3D化させたRTSという印象だ。ゲームの核となる種族も前作と同じ「Protoss」、「Terran」、「Zerg」の3つ。この点について、Blizzard開発陣によれば、現在の「SC」の3種族による戦いの枠組みの中で、それぞれの種族の特徴を一層際立たせ、種族ごとのゲームプレイをよりユニークなものに仕上げたとのことだ。

 公開されたデモムービーでは「Protoss」の新ユニット8体、「Terran」の新ユニット1体が登場した他、「Zerg」を含む各3種族の「SC」からの旧ユニットの新スキルが公開された。以下、特に注釈がない場合は、「Protoss」の新ユニットの紹介となる。

 「SC2」における「Protoss」は、他の種族に比べて高コストな分、高性能という特徴に加えて、テレポートを用いた高い機動性が新たにフィーチャーされている。ユニット自身がテレポートするものや、ユニットをテレポートさせるものまで、種族特性を活かした癖のある戦術展開が可能になりそうだ。

 本稿では開発陣によるデモプレイムービーから得られた情報を元に、ローコストのユニットから順に「SC2」で初めて登場する新ユニットの特徴や、「SC」からのユニットの新スキルなどを紹介していく。


■ 「Protoss」、「Terran」、「Zerg」の3種族の戦い。「Protoss」の詳細を公開

「Marine」を切り裂く「Zealot」
バリアを張り出す「Immortal」。砲撃にはめっぽう強いが、「Marin」による銃撃など弱い攻撃には効果がない
テレポート機能でユニット展開のカギとなる「Phase Prism」
 まず最初に紹介されたのが「Protoss」の「Zealot」。「SC」ではアップグレードを通じて移動速度を上げることができた。「SC2」では一時的に素早く行動できる「Charge」という新しいスキルが追加された。ムービーでは「Charge」スキルを使い「Terran」の「Marine」を一気に貫いている。前作では移動速度のアップグレード無しでは「Marine」に圧倒されっぱなしであったが、新スキルの登場により、ゲーム開始初期からの運用も期待できることだろう。

 「Zealot」が「Marine」を倒して建物を攻撃していると今度は「Terran」の「Siege Tank」が登場。障害物のある地形を利用して「Zealot」に砲門を向ける。「SC」で「Protoss」が最も苦戦したのが「Siege Tank」だ。これに対するのが「Protoss」の新ユニット「Immortal」だ。前作の「Dragoon」を髣髴とさせる「Immortal」は、砲撃を無力化するバリアを展開できる。このバリアで「Siege Tank」の攻撃をほとんど無力化できるのだ。「Immortal」はバリアの他に、画面中をテレポートする「Blink」というスキルも持っており、段差のある高所などにも瞬時に移動できるきわめて機動性の高いユニットだ。

 次に「Terran」から唯一のユニットとなる「Ravager」の登場だ。攻撃力こそ小さいものの遠距離攻撃が可能で、背中のロケットを利用して高低差のある地形も移動可能な機動力の高いユニットだ。銃撃に対するバリア効果を持たない「Immortal」のアンチとして効果を発揮するだろう。

 次に登場したのは「Protoss」の新ユニット「Phase Prism」。移動型のユニットで周囲の施設の機能を有効にする効果をもつ。「SC」では「Photon Canon」といった防御用オブジェクトやアップグレード施設のほか、施設を維持するために「Pylon」を建造する必要があった。「Phase Prism」は、「Pylon」のユニット版となる。敵側から見ればこれを破壊することで、周りの防御施設を一気に無効化できるために戦闘では真っ先に狙われるオブジェクトとして知られている。「Phase Prism」はこの他に、すでに建造済みの「Pylon」のところにユニットをテレポートさせるスキルも持つ。「SC2」での戦略的にキーとなるユニットになるだろう。

 高い移動力と強力な攻撃力が特徴の新ユニット「Stalker」は、防御力が低いのが弱点だが、画面内を次々に瞬間移動ができる「Blink」というスキルを持っており、テレポートと歩行を繰り返すため機動力が非常に高い。このユニットはプレーヤースキルによって運用に大きな差が出るユニットとなるだろう。ユニットの性質としては追撃する場面が最も効果が高そうだが、「Blink」を用いたトリッキーな攻撃をしかけることで、攻撃的な運用も十分に可能だ。「SC2」を上り詰めていくためには是非とも操作に習熟しておきたいユニットだ。

 クモ型の新ユニット「Colossus」。「Half-Life2」の「Strider」を連想させる。長い足の多足型のため、高い地形もらくらく乗り越えて移動できる。ムービーでは「Zealot」が盾の役をしながら「Colossus」のレーザーで大量の「Zergling」を虐殺する。すると「Zergling」の新しいスキル「Biling」を発動。このスキルを使うと「Zergling」は緑色に変化し、自爆攻撃が可能となる。ローコストながら「Zealot」や「Colossus」を簡単に破壊できていた。

「Terran」から唯一の公開となった新しいユニット「Ravager」。背中に背負ったロケットがトレードマーク 多くの敵に囲まれて「Blink」を使用する「Stalker」。プレーヤー操作次第では最も脅威となるユニットになりうる


「Protoss」の多足型ユニット「Colossus」。ムカデのような容姿をしている。Blizzardのアート開発者は映画などからもアイディアを得るという

大型ユニットに強い「Warp Ray」。建物の破壊も一瞬だ
「Protoss」最強のユニット「Mother Ship」。凶悪なほどの硬さで次々と敵を飲み込んでいく
 いよいよ戦いの舞台は空中に移る。「SC」でお馴染みの「Zerg」の「Mutalisk」と「Protoss」の空対空戦用新ユニット「Phoenix」が登場し、空中戦を繰り広げた。「Phoenix」の特徴は一度攻撃をチャージして周辺の全ての敵に攻撃を発するスキル「Overlord」を持っていること。このスキルは強力だが一度発動するとしばらく動作が止まってしまうリスクがある。大部隊で運用される「Mutalisk」のような集めることで力を発揮するユニットには非常に効果的だが、少数で絶大な威力を発揮する対大型ユニットには弱いため、他のユニットと組み合わせながらの運用が必要となるだろう。

 次に登場した飛行ユニットは「Warp Ray」。「Phoenix」とは逆に、対大型ユニットとして強力なレーザー兵器を備えている。ムービーでは大型ユニット「Battle Cruiser」に一直線に集めたレーザーを発射し、あっさり撃破していた。大型ユニットの他に、建物に対しても効果的にダメージを与えることができる。その一方で、「Marine」や「Mutalisk」のような小さく大量にいるユニットには弱い。前述の「Pheonix」との組み合わせで弱点を補いながら、空中を制圧していくことができるだろう。

 最後に紹介するユニットは「Protoss」最強のユニット「Mother Ship」だ。1台しか生産できない上、莫大なコストがかかるが、圧倒的な強さを備えたゲームに終止符を打つための「Protoss」最強のユニットだ。「Mother Ship」の新スキルは3つある。敵艦隊の真ん中にブラックホールを出現させる「Black Hole」は、発動させると黒い影が渦を巻きながら周囲のユニットを飲み込んでいってしまう。

 2つ目は「Time Shield」。自分を中心に丸い球体を張り出し、球体のなかのオブジェクトの移動時間が鈍くなる防御用のスキル。「Time Shield」に突っ込んだ弾丸がゆっくりと落ちていってしまうなど、ユニークなスキル。

 最後は「Mother Ship」の真下に向かって断続的にレーザーを発する「Planet Cracker」。敵の真上から攻撃するため攻撃を受ける隙は多いものの、巨大な「Mother Ship」が攻撃をものともせずにレーザーを浴びせ倒す姿は今回のムービーで最も迫力のあるシーンの1つだった。ムービーを見る限りHPはかなり多いようで、空中や地上からの激しい攻撃にもまったくひるまない様子が印象的だった。

空中戦用新ユニット「Pheonix」。ここぞというタイミングで「Overlord」を使いたい ムービーの締めは「Zergling」による、e-Sportsの試合で試合終了の挨拶「GG(Good Game)」の人文字。あくまで「e-Sports」向けということなのだろうか



■ 観戦機能を標準搭載!! 真のプレーヤースキルが試される「SC2」

Bllizardシアターで行なわれた開発者とのミーティングの様子と、質問に答えるBlizzard「SC2」リードデザイナーのDustin Browder氏。シングルプレイの存在や、当初は4種族での構想を考えていたなど開発にまつわるエピソードも語られたが、「SC」との関係は不明。「Battle.Net」も新機能が追加されるとしか話されなかった
 公開された新ユニットを見ていくと、「SC2」ではユニット相互の戦術的相性がよりハッキリとしたものになり、攻める速度や部隊の数だけでなく、ユニットコントロールの上手さが重要となった。

 韓国におけるe-Sportsは、「SC」に端を発し、「Battle.net」のマルチプレイを通じて無数のプロゲーマーを誕生させたことで知られる。中には3,000万を稼ぐスタープレーヤーも生まれたほどだ。

 そんな「SC」の継承作である「SC2」は、より繊細なコントロールが要求される新ユニット、より複雑化した相性など、次世代のe-Sportsゲーミングを背負うタイトルだという気概が感じられた。中でもゲームの観戦者が見やすいように、無駄なエフェクトを避けたというBlizzardの開発陣の言葉が忘れられない。

 さらに楽しみなのは、詳細は明らかにされなかったものの、テレビでの鑑賞に特化した観戦機能を「SC2」で盛り込むと開発陣は話していることだ。同時にマッチング機能も強化されるとしており、大会やLadderと連動する形でユーザーからの大会へのアクセスがよりシームレスになるなどの新しい機能を期待したい。本作の公開により長らく続いた「SC」によるe-Sportsが、さらに洗練されたものになることを楽しみにしている。

「SC2」では、PixelShade 2.0とDirectX 10を採用。DirectX 10のどの機能を使うのかは未定。DirectX 9環境でも動作するということなのでWindows Vista以外のOSでも動作しそうだ。ゲームエンジンは物理エンジンに強みがある「Havok」エンジンを採用。「WC3」では1画面に最大60前後のユニットが表現できるが、「SC2」は300以上のユニットを表現できる。ゲームスピードはかなり速めに設定されるようだ

(c)2007 Blizzard Entertainment. All rights reserved.

□Blizzard Entertainmentのホームページ
http://www.blizzard.com
□Blizzard Entertainment Koreaのページ
http://www.blizzard.co.kr/
□「2007 World Wide Invitational」の公式サイト
http://wwi.blizzard.co.kr/
□「StarCraft II」の公式サイト
http://www.starcraft2.com/
□関連情報
【5月21日】Blizzard、韓国ソウルにて「2007 World Wide Invitational」を開催
全世界待望のシリーズ最新作「StarCraft 2」ついに発表!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070521/korea_05.htm

(2007年5月22日)

[Reported by 三浦尋一 / Dong Soo “Luie” Han]



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