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会場:ソウルオリンピックパーク
この日の開会式では2004年のMMORPG「World of Warcraft」(以下「WoW」)以来の新作となる新作「StarCraft II」(以下「SC2」)が発表された。韓国でのe-Sports人気に火をつけたRTS「SC」の次回作という位置づけの本作は、「SC」のシステムをそのまま継承した3Dリメイク版だ。 驚くべきはBlizzardの開発構想だ。2002年の「WarCraft III:The Frozen Throne」(以下、「WC3」)の完成後、2003年から「SC2」の開発に取り掛かり、同社内だけで40名体制で、開発費は青天井、納得のいくものができあがったらお見せすると語るなど、開発陣によってここまで超然としたゲーム作りが語られるのを見たことがない。当然のことながら、サービススケジュールやビジネスモデル、パブリッシャーなどいずれも未定となっている。 今回の取材では、「WWI」のイベントレポートに加え、記者懇談会等で公開された「SC2」の資料からのファーストインプレッション、「WC3」、「SC」トーナメント決勝戦のレポートの3本立てでお伝えする。
■ ついに「StarCraft II」発表!! 「Protoss」族を中心に新ユニット群を公開
「SC2」では「SC」からのシステムの大枠の変更は無く、登場種族も「Protoss」、「Terran」、「Zerg」の3種族。グラフィックスをフル3D化し、種族の個性をより引き立てた内容となっている。フル3D化しながらも、安易に取り入れられがちな過度なエフェクトは極力割け、e-Sportsタイトル、プロゲーミングタイトルとしてデザインを練り直した1作となる。 Blizzardが、「SC2」をフルモデルチェンジではなく、初代の内容を踏襲したリメイク版として送りだそうとする理由として、「SC」の後継タイトルがいまだに現われていないことが挙げられる。'98年に発売された「SC」は、発売から早10周年を迎えようとしている。2002年に「WC3」を発売しているが、欧米ではともかく、韓国ではメインストリームに成り得ていない。 現在でも「WC3」によるリーグ戦が行なわれてはいるものの、「SC」の人気を覆すほどの力はない。今回の「SC2」の登場で、「StarCraft」を超えるのは「StarCraft」自身だというBlizzardの意気込みが大いに伝わってきた。同社がビジュアル的な目新しさよりもゲーム性の向上とe-Sportsに重要なバランス調整にこだわっていくことへの韓国ユーザーの評価の大きさは、「StarCraft」という1タイトルが10年をかけて1つのジャンルとして成長を遂げた証左となるだろう。 さて、19日のオープングセレモニーでは、Bllizard Entertainment社長Mike Morhaime氏とBlizzard Entertainment Korea社長Han Jeoung Won氏が登壇し、挨拶を行なった。Mike Morhaime氏は、会場に詰め掛けた1万人ほどのユーザーに謝辞を述べ、2004年、2006年に続き第3回目となる今回の「WWI」はトーナメント中心のイベント設計を採用したと述べた。 「SC2」の発表では3本のデモムービーが上映された。1本目は「Terran」の強襲兵がアーマーをつけられ母艦から出撃するというもの。ムービー中、兵士の体に当てられたチェッカーが韓国語で「現役」と表示されると、韓国ユーザーは大盛り上がりとなった。 2本目は戦闘シーン。「Protoss」陣営の各ユニットを戦わせながら紹介された。Blizzardにとって韓国展開は規定事項といった様子で、ゲーム画面こそ英語表示だったものの、ゲーム中にカットインするキャラクタボイスはすでに韓国語に吹き替えられていた。 段差を利用した攻撃や、短い距離をワープ移動しながら逃げる敵を追い詰める「ストーカー」、ブラックホールを出現させるなどさらに特徴的なスキルを使えるようになった「母艦」などが紹介された。「SC」のシステムを踏襲しているため、同作の基本操作などベーシックな話は一切抜き。それでいて会場全体がムービーに吸い込まれる雰囲気になっているのが、韓国市場の凄みだろう。
ムービーを見る限り、デザインやユニットの動きなど、ほとんど完成に近い出来を思わせる。その一方で、ユニットのパラメータや種族ごとのバランスなど、細かい調整の部分は時間がかかるため、我々がプレイできるようになるまでにはもう少し時間がかかるのではないだろうか。いずれにせよ、予算や製作期間を定めないという稀有なプロジェクトだけに、今後の展開は目が離せない。
■ トーナメントを軸にした一大イベント「WWI」。連日の大盛況で閉幕
フェンシング競技場には、「Diablo」シリーズ以外のBlizzard作品を用いたクエスト形式の体験コーナーがあり、射的やカードゲーム、ロデオなどアトラクションをプレイすると賞品が当たったり、「WoW」アリーナモードで勝利すると表に出ている熱気球に乗ることができるといった、ユニークなイベントを実施していた。さらに2日目は天候にも恵まれたため、オリンピック公園に遊びに来ていたユーザーを巻き込み、入場規制が敷かれるなど大盛況となった。
Blizzardシアターでは、ゲームデザイン、アートデザイン、デモムービーの試演の3つのプログラムが何度も繰り返されていた。「SC2」の試遊台を置くことこそかなわなかったものの、シアターはいずれの回も長蛇の列となった。ユーザーにとっては開発者に直接質問できる機会が何度も設けられるなど、ファンサービスという点でも非常によくできたイベントであった。「SC2」の話題性もさることながら、韓国でBlizzardタイトルが非常に広く浸透しているのに驚かされた2日間だった。
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□Blizzard Entertainmentのホームページ (2007年5月21日) [Reported by 三浦尋一 / Dong Soo “Luie” Han]
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