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本作は、チーム対戦によるマルチプレイ専用のFPSとなっており、ウルフと人間によるゲーム性が大きく違うことが特徴的だ。8対8の最大16人対戦をサポートする。狼対人間との戦いが堪能できる陣地戦闘モードでは、素早い動きで格闘技術に秀でるウルフと、銃器の扱いに長けた人間によって戦われる。人間がAKやM4といったミリタリー系ではポピュラーな武器を選択できる一方で、ウルフではパワー型、ガーディアン型といった4種類の能力から選択することが可能だ。 システム面では、ゲーム内マネー「Gold」と、敵を倒したりラウンドを経ることで得られ、セッション中のみに有効なポイント「WP」の2種類の概念が目新しい。セッションの結果を積み重ねることで「Gold」を獲得し、装備を揃えていくオンラインFPSの成長性と、それらの武器をセッション中に使用するためにどのタイミングで「WP」を消費し勝負をかけるかという戦略性のバランスが絶妙である。Sierraの「Aliens vs. Predator 2」のマルチプレイを彷彿とさせるような、陣営ごとの大きなプレイスタイルの違いが特徴の本作のプレビューをさっそくご紹介する。
■ 武器を捨て凶暴な狼男に変身! 壁伝いに敵を狩れ
ウルフのタイプは「基本型」、「パワーウルフ」、「ガーディアン」、「ゴースト」の4種類。攻撃力の高いパワーウルフ、移動速度が遅い代わりに攻撃力やHPなど能力値の高いガーディアン、基本型と能力はほぼ同じだが、静止時にステルス化するゴーストと特徴的なバランスとなっている。パワーウルフ以外の2つは高い能力を発揮する分、必要とされる「WP」も高めに設定されているため、多くのユーザーはパワーウルフを好んでプレイしていた。 ウルフは銃器の取り扱いができない一方で、接近攻撃に特化した各種攻撃スキルを持っている。通常はワンクリックで1回、相手をツメで素早く切り付ける「3連続攻撃」や、ジャンプしたウルフが着地と同時に強力な切り裂き攻撃を浴びせる「強襲」、自身の体力を増強させる「咆哮」といったスキルを持っている。 「3連続攻撃」や「強襲」は上空へ飛んだり発動までのディレイがあるなど、銃撃の的にされやすい一方で、攻撃が決まると同時に大量の返り血と共に相手が倒れることになる。プレーヤーの中に眠る野性を覚まさせてくれる瞬間だ。「咆哮」で雄たけびをあげ、壁伝いに猛スピードで敵を探し、切りかかる様子は非常に爽快だった。
但し、距離をとられたり開けた地形で飛び道具を持った人間と対峙すると途端に不利になる。複数で違う方向から攻めたり、障害物を利用する、或いはうかつに変身しないといったさまざまな判断が必要になってくる。
■ 陣地戦闘など3モードを実装。ウルフと人間で異なるプレイスタイルがゲームの幅を演出
「陣地戦闘」は、マップ両端にあるベースからスタートし、マップ中に展開された5つの柱すべてを素早く獲得することが目標となる。柱は、側に立つと自軍のものとなる。倒されたキャラクタは数秒間のペナルティの後にベースから再出撃できるが、キル数を稼ぐよりもいかに効率よく陣地をカバーするかチームワークを問われるモードだ。さながら「Aliens vs. Predator 2」を彷彿とさせるシーンで、敵陣地から咆哮をあげて迫ってくるウルフ達の威圧感は素晴らしかった。 「爆弾設置」も本作独特のバランスとなっている。チームで攻守に別れ、攻め側はマップ中の2箇所の爆弾設置場所のうち1箇所に爆弾を仕掛け爆破するところまでは一般的なスタイルだが、守り側は仕掛けられてしまった爆弾を解除するだけでなく、爆破エリアから引き離さなければならない。 爆弾設置モードのマップはいずれも道が狭く、片側のチームが全滅しても勝負が決するため、守り側が爆弾の処理をしてラウンド勝利になるシチュエーションにはほとんど出会わなかった。膠着するゲームが少なかった一方で、新しい試みがもう少し活せるバランスが望ましいと感じた。 いずれのモードでも、ウルフの状態では3人称での動きの多い近接戦闘が楽しめ、「真・三國無双」のような爽快感を得ることができる。片や人間の状態では現代の銃器を駆使したプレイで、距離をとりつつ戦うプレイスタイルが望まれる。ウルフでの視点変更や壁にはりついての移動を考えれば、使用するキャラクタによって違うゲームを遊んでいるようだ。
ウルフのスキルや武器の強さのバランスもしっかり取れており、「Sudden Attack」や「Special Force」といった現在主力のオンラインFPSタイトルが武器の種類を増やすことでゲーム性に幅を持たせているのと異なり、同ジャンルの可能性を探る上でも興味深い作品である。
■ 「CS」のようなラウンド数を見ながらの試合作り。オンラインFPS特有の成長性を活かした新システム 本作でのコスト概念も独特だ。本作にはアイテムモールで使用できるゲームマネー「Gold」と、各セッションのスタート時に0から始まり、セッション終了時にリセットされるポイント「WP」の2つの通貨が用意されている。「Gold」はセッション終了後に戦功に応じて得ることができ、武器や装備を買い揃えるために用いる。また、購入した武器は4種類までセットにしてインベントリにあらかじめ登録しておくことができる。 しかし、このゲームでは買っただけでは使うことができない。登録した武器セットにはそれらの強さに応じてコストが設定され、セッション中に敵を倒すことなどで得られる「WP」を消費することで、はじめてラウンド中に使用することができる。ラウンドは「WP」が0の状態でスタートするため、コスト0でも使用可能な武器セットも作っておく必要があるのだ。 本作の2重のコスト概念はPC「Counter-Strike」シリーズを意識したものと考えられる。「Counter-Strike」はラウンド制で、スタート時は僅かな所持金しかないため弱い武器しか買えないか、基本装備のハンドガンしか使うことができない。このため次のラウンドでチーム全員に強い武器を買うためにあえて何も購入せずハンドガンのまま戦う「エコラウンド」を挟むのがセオリーになっている。エイミングのうまさなどゲーム性に直結するスキルのみならず、ラウンド数を重ねてゲーム全体を組み立てる能力も問われるのだ。 「ウルフチーム」のシステムは、そうしたプロセスを、オンラインゲームの成長要素を加味しつつ、さらに1ラウンド内に納めた画期的なシステムで、北米のパッケージタイトルのクオリティを志向しつつ、オンラインゲームタイトルとしてのスタンスを具現化しようとしている1つの形といえるだろう。サーバーの安定性に若干不安が残るのが懸念材料だが、オンラインFPSの進化を感じさせる作品として日本進出が楽しみな作品だ。
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□NHNのホームページ(韓国語) (2007年5月9日) [Reported by 三浦 尋一 / Dong Soo “Luie” Han]
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