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ゲームオン、新規タイトル「PI STORY」プレス懇親会を開催
不思議なタマゴ「パイ」が織りなすWeb連動型の2DオンラインRPG

4月26日開催

会場:ゲームオン本社

 株式会社ゲームオンは4月26日、本社会議室にて、今期の新規タイトルとなる2DオンラインRPG「PI STORY(パイストーリー)」の日本展開に関するプレス懇親会を開催した。「PI STORY」は、明日4月27日正午より、第1次クローズドβテストに相当する「PI スターティングメンバー」の募集を開始し、5月下旬よりメンバーに対する先行体験を開始する。オープンβテストはそれから数カ月後を想定し、正式サービスは2007年内を予定。ビジネスモデルは未定としているが、アイテム課金制となる見込み。

 今回は、開発途上のためデモ映像は掲載できないが、懇親会から得られた情報をもとに「PI STORY」のゲーム概要をできるだけ詳しく紹介したい。


■ 韓国産日本先行展開タイトル「PI STORY(パイストーリー)」獲得の経緯

プレス懇親会は、ゲームオン本社内の会議室で行なわれた。今回デモ映像は非公開としているが、インターフェイスまわりは3、4度変更しているようで、まだ確定していないためのようだ
挨拶を行なうゲームオン常務取締役オンライン事業本部長の椎葉忠志氏。椎葉氏がプレスの前に姿を現すのは久しぶり。ファウンダーとして獲得の経緯を熱意を込めて語った
 「PI STORY」は、2007年年明け早々の1月11日に、ゲームオンがライセンス契約の発表を行なった新規タイトル。開発は韓国のゲームデベロッパーNCONY Enterprise(エヌコニーエンタープライズ)で、3月に韓国で第1次クローズドβテストを実施している。本作のユニークな点は、これ以降の展開の仕方で、韓国での展開はひとまず第1次クローズドβテストまでに留め、あとはゲームオンと共同で、日本展開を優先させるという。

 この日本先行展開の背景にはNCONY Enterpriseの出自が大きく作用している。同社はもともとゲーム会社ではなく、日本漫画を韓国で展開する会社として2003年に誕生し、その後も韓国のアニメーションを日本に展開する際に、徳間書店やユークスと繋がりを持っている。その後、Gravityで「ラグナロクオンライン」の開発室長を務めたチェ・ヨンマンを招き、オンラインゲーム会社として第1弾タイトル「PI STORY」を展開するという流れになる。なお、現在は、「PI STORY」を手がける韓国本社に加え、日本支社も構え、日本でも新規タイトルの開発に乗り出しているという。

 今回、日本市場を優先させる理由については、目の肥えた日本のユーザーに見て貰い、ゲーム全体のブラッシュアップを計るためだとしている。一方、ゲームオンとしても、韓国未展開タイトルを運営するのは初の試みであり、大きなチャレンジということになる。

 さて、プレス懇親会には、オンラインゲームの運営とマーケティングを統括するゲームオン常務取締役オンライン事業本部長の椎葉忠志氏をはじめ、「PI STORY」運営プロデューサーの國井正貴氏、開発元のNCONY Enterpriseからは副社長のチェ・ゼヒョク氏、開発プロデューサーのチェ・ヨンマン氏らが出席した。

 まず初めに挨拶を行なった椎葉氏は、「ゲームオンという会社はとても堅い会社だと思われがちですが、これまでは韓国で正式サービスしたタイトルを、安定運営するまで待った上で展開してきましたが、今回はゲームオンとしても新しい挑戦だと思っています」とコメントした。

 「PI STORY」獲得の経緯は、NCONY Enterpriseのイ・セゾン氏と椎葉氏が個人的な面識があったことからはじまり、その後、椎葉氏の韓国出張の際に、何度か見ているうちに、手応えが感じられるほど成長していたことから契約に至ったという。現在は、運営プロデューサーの國井氏を中心に、毎日のように開発元と情報交換し、共同開発のような形でインターフェイスやゲーム性の部分についてブラッシュアップを行なっているという。

【PI STORY】
「PI STORY」の開発中のスクリーンショット。左がダンジョンでのバトルシーン。右が街の中の様子。HPバーや左上のアイコンなどいたるところにタマゴ「パイ」が使われている


■ 不思議なタマゴ「パイ」をキーにした独自の世界観

「PI STORY」のデモを行なうNCONY Enterprise取締役「PI STORY」プロデューサーのチェ・ヨンマン氏。元「ラグナロクオンライン」開発室長という経歴を持つ
NCONY Enterprise副社長のチェ・ゼヒョク氏。東京支社の代表を務めており、流ちょうな日本語を操る。日本以外の海外展開についてはノーコメント。韓国展開についても具体的なスケジュールは明かさなかった
「PI STORY」のタイトル画面。ここにもさりげなくタマゴが使われている
明日4月27日にオープンする予告サイト
 続いて開発プロデューサーのチェ・ヨンマン氏が、実機を使ったデモを行なった。街からスタートし、キャラクタの能力を底上げする装備アイテム、ビジュアルを変化させるアバターアイテムを紹介。アバター性を強調するアジア産MMORPGではベーシックな機能だ。

 街は広々としたMMO空間になっており、柔らかいタッチのビジュアルと雰囲気は「ラグナロクオンライン」に近い。一方、街から行き来するダンジョンは、画面半分ほどの奥行きを用意した「ファイナルファイト」スタイルの横スクロール画面で進行する。

 キャラクタの成長はレベルとスキルの両輪を伸ばしていくスタイルを採用しており、職業に相当する「クラス」は40種類以上を用意。ベーシックなゲームデザインはNHN japanの「アラド戦記」に近いが、ビジネス的に対抗馬になりそうなのはGamepotの「トキメキファンタジー ラテール」だろうか。

 横スクロールタイプのオンラインゲームは、大御所であるネクソンジャパンの「メイプルストーリー」を筆頭に激戦区になりつつあるが、中でも「PI STORY」の最大のウリとなるのは、タイトルにも使われている「パイ(π)」と呼ばれる大小無数の卵の存在が挙げられる。

 「PI STORY」の世界は、ひとつの巨大なパイから始まったとされ、いつしかそれが割れて現在の世界に変化したという。プレーヤーは冒険の過程で、さまざまな形でパイを入手し、さまざまな用途に使用していくことになる。たとえば、パーティーの編成や、ダンジョンへの移動、ペットの育成、アイテムの合成/生産、キャラクタの転職などにパイを使用するという。チェ・ヨンマン氏によれば、パイの中身は無限の可能性を秘めており、パイ集めがゲームにおける重要な要素になりそうだ。

 もうひとつ新しいのは、Webとの連動機能だろう。「PI STORY」は、ゲーム内とWebに連動した日記機能を備えており、プレイ中にスクリーンショットを撮ると、その場でスクリーンショットに手書きで注釈を付けたり、コメントを付けたりして日記としてサーバーにアップロードすることができる。この日記はゲーム内で自分が確認できるだけでなく、Webブラウザを介して外部のユーザーが見ることができる。いままでありそうでなかったSNS的なサービスといえる。

 また、「PI STORY」は、PvPシステム、ギルドシステム、ペットシステム、アバター装備システム、ハウジングシステムなど、韓国のMMORPGでは「あって当たり前」とされる要素はほぼ網羅した優等生タイトルだが、中でも優秀なのがハウジングシステムだ。

 「PI STORY」におけるハウジングシステムは、パイを絡めた形で一定の条件を満たすことにより誰でも入手することができる。自分の家はプライベートエリアになっており、数珠繋ぎのように他者と繋がっており、自分や友達だけでなく不特定多数のユーザーが入れる半パブリックスペースになっている。

 各ユーザーに割り当てられるスペースは、10数名程度だったらゆったりくつろげるほどの広さがあり、広大な庭には釣り堀や畑、花壇などがあり、他人に邪魔されずに生産活動を行なうことができる。家の前にはベンダーが配置され、第三者に対して、自らの生産物や不要なアイテムなどを売ることができる。

 家の中は、四畳半的な狭苦しい広さからスタートし、徐々に拡張していくという形をとる。中には家具を配置でき、倉庫箱を設置することにより、荷物を預けることができる。ベッドで休むことで体力も回復することができるという。そのほか、PvPランキングといった情報も家の中から参照することができるようだ。現時点では、家内部でのインタラクションは限定的だが、「どうぶつの森」的な楽しさが味わえるシステムだ。

 最後に、「PI STORY」の日本でのサービススケジュールをまとめておくと、明日4月27日より公式サイトがオープンし、「PI スターティングメンバー」を100名募集する。この当選者は、5月下旬に先行体験に参加できる。また、コミュニティサイト用にブログパーツ等も優先配布するという。その後のスケジュールは未定となっており、サービス開始時期は2007年内を予定。

 気になるビジネスモデルについて未定とのことだが、椎葉氏は「ゲームオンですからね」と、アイテム課金を示唆する発言を行ない、またNCONY Enterprise副社長のチェ・ゼヒョク氏も、ケースバイケースで対応できるように開発していることから、アイテム課金になる可能性が高い。まずは明日オープンする公式サイトを覗いてみるといいだろう。

【キャラクタ】
キャラクタイラストは、日本と親和性の高いアニメタッチ。ゲーム画面も似たようなデザインのキャラクタが使われているが、まだまだ動きが堅い。このあたりがどうなるかに注目したい

(C)2007 GameOn Co., Ltd. All Rights Reserved.

□ゲームオンのホームページ
http://www.gameon.co.jp/

(2007年4月26日)

[Reported by 中村聖司]



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