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★海外ゲームレビュー★

チェルノブイリ原発周辺を忠実に再現!
実地取材で再現した圧倒的な没入感を体感せよ

S.T.A.L.K.E.R. Shadow of Chernobyl

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:GSC GAME WORLD
  • 発売元:THQ
  • 価格:39.99ドル(実売7,000円前後)
  • 対応OS:Windows 2000/XP
  • 発売日:3月20日(英語版)



 '86年4月に大事故を起こし、付近一帯が放射能で汚染され、人が暮らせる場所ではなくなってしまったウクライナのチェルノブイリ原子力発電所。「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」(以下「STALKER」)は、2012年のチェルノブイリ原子力発電所を舞台にしたサバイバルFPSだ。

 デベロッパーはウクライナのGSC GAME WORLD(以下GSC)、パブリッシャーはTHQとなっている。発表から実に5年もの年月をかけてようやく発売までこぎつけた本作は、原子力発電所を中心とした汚染地域「The Zone」内でのシングルプレイのストーリーと、32人まで同時対戦可能なマルチプレイが盛り込まれている。

 本作最大の特徴は、ウクライナに本拠地を持つGSCの開発チームが、汚染地域への取材を敢行して築き上げた重厚なチェルノブイリ周辺地域の世界観だろう。事故から20年以上が経過しても尚、事故当時から時計の針が止まったままの特異な世界が広がっている様子を忠実に再現している。

 また、本作にはボーン数を無限に設定できる同社開発のゲームエンジン「X-Rayエンジン」を採用し、さらにゲーム世界に暮らすNPCには自律したAIが組み込まれ、人々の暮らしを再現するなど、チェルノブイリをとりまく世界の再現に並々ならぬ努力が図られているといえるだろう。


■ 歳月の経過が止まった異世界。失った記憶を求めてチェルノブイリへ

天候や時間は刻々と変わる。夜の帳がおりると、ミュータント達の活動が活発になる
ゲーム開始直後にミッションをくれる先輩STALKERの「Wolf」。最初の大仕事は賊退治だ。本筋のミッション以外にも、賊集団の討伐などのサイドミッションを受けられる。主人公の知らないところでも世界が動いているため、落ち合うはずのNPCに、到達前に勝手に死なれてしまうことも。但し、それでもストーリーが揺らぐことは無いので安心してほしい
「The Zone」の世界に様々な消耗品を提供してくれるトレーダーが何人か存在する。エコロジストのトレーダーSakharovからはアーティファクトを高値で買ってくれたり、収集の依頼を受けることができる
 本作はシングルプレイとマルチプレイで構成されている。シングルプレイのストーリーは原発事故の後から始まる。「The Zone」内では、原発事故後旧ソ連の研究所が極秘裏に建設され、マインドコントロールの研究が行なわれた。ところがソ連崩壊後に捨てられた研究所は2006年に再び爆発事故が起きてしまう。爆発の衝撃で世界の境界が歪められ、精神を操るミュータントや、ゾンビ化した兵士達など、発電所に近づけば近づくほどに不可解な現象に遭遇する。

 これらの世界の歪みは、天変地異をも引き起こし、マップ内に電磁場やつむじ風のようなホールがいくつもできている。ミュータントの体の一部や、これらのホールの近くに生成される「アーティファクト」は研究者達に高値で取引されるため、いつしか「The Zone」に、多くの命知らずなトレジャーハンター「STALKER」たちが集まるようになったという筋書きだ。

 プレーヤーが操作する主人公「Marked One」のストーリーは、「The Zone」に向けて出発した彼を乗せたトラックが雷に打たれ、倒れているところを運よく救出されるところから始まる。記憶を全く無くしてしまった状態で、所持していたPDAに記してあった「Strelokを殺せ」という命令だけを手がかりに、自分の失われた記憶や「The Zone」の世界に纏わる秘密を解き明かしていくことになる。

 といっても、まず最初にプレーヤーが手を付けるのは、倒した賊や倒れた仲間の死体をルートしてアイテムや武器をあさったり、拾得した「アーティファクト」を取引することで「The Zone」で暮らしていくためのお金を得ることだ。ほとんどのNPCは、よその者である「Marked One」に警戒した反応を見せる。武器を手に持っていると話しすらして貰えない。プレーヤーは巨大な「The Zone」の箱庭にぽんと放り出されたキャラクタと同じ気持ちを味わうことになるだろう。

 プレーヤーは昼夜や天候が刻々と変化していく中で、「Strelok」とそのグループの足取りを追いつつ、傷ついたNPCを助けて友好的なNPCや勢力を徐々に増やしながら暮らしていく。潤いの無いあまりに殺伐とした人々の暮らし、何が起きても不思議ではない研究所の雰囲気、さらにはゲームのシビアな難易度やバグ(!?)さえも、旧共産圏産の本作のリアリティを増すのに一役買っている。

 バグフィックスがしっかりできておらず、敵が多すぎるためにクラッシュしてしまったり、マップのローディングが終わるとなぜか敵のグループのど真ん中にポップするなど、雑な処理にプレイの途上イライラさせられることも多い。しかしそうした瑕疵でさえも凝った演出に見えてしまうほど、素晴らしい世界観描写がなされているのだ。

 何もつかみどころの無い世界から、様々なNPCとのかかわりを通じ、自分の存在の糸口を掴んでくるとストーリーを進めることが途端に面白さを増してくる。死ぬのだけはゴメンだと思いつつ、兵士や賊を狩っている頃にはプレーヤーは立派な「STALKER」になっていることだろう。導入がシビアな分、噛めば噛むほど面白みを増すタイトルだ。



冒頭のムービーで、最初のトレーダーのオヤジの所に運び込まれる主人公。途中様々なタイミングで記憶のフラッシュバックが起きる

「The Zone」の中心に近づけば近づくほど禍々しさを増すミュータント達。超能力を操り、落ちているオブジェクトを投げつけて攻撃してきたり、遠くでプレーヤーと視線が合うと、一気にプレーヤーの視線を引き付けて脳にダメージを与える能力を使うものも

「The Zone」内には突如火柱があがったり、時空が歪んでいるホールが存在する。これらの近くには、研究者達に高値で取引できるアーティファクトが落ちていることが多い

屋外・屋内とも、オブジェクトの持つ時代背景が20年前から止まっているところが多い。近未来設定とは思えない不思議な感覚に陥る

原子力発電所の近くに作られた研究所では、ゾンビ化した兵士が跋扈していたり、不気味な研究跡が残っていたりと、かなり不気味な印象。追いかけてくる火の弾を倒した途端、主人公が倒れ、記憶のフラッシュバックが始まる。筆者がプレイを進めたゲーム後半まで1人も女性キャラクタが登場しないなど、これでもかというほど殺伐として寂しい雰囲気だ


■ 突進力よりも引き際が肝心。生きるための判断力を鍛えよう

双眼鏡を覗くと、敵は赤、中立は黄色、ミュータントは白、味方は青で表示される
 本作は全体を通じて難易度はかなり高めに設定されている。登場する武器の命中率は軒並み劣悪で、中盤以降に出てくるスナイパーライフル以外は、長距離射撃はなかなか当たらず、しっかり中・近距離まで近寄ってヘッドショットを狙う必要がある。非常に敵が倒しづらい設定になっているため、オブジェクトを持ち帰るミッションなどは、あえて敵と戦わず、ひたすら走って逃げ続けるのも堅実な乗り切り方だ。

 また、序盤から弾の管理には気を使う。本作には重量の概念があるため、メインウェポンの弾が足りなくなることもあれば、使わないサブウェポンの弾が徐々にたまっていき、身動きが取れないほどの重量になることもある。所持品の重量はこまめにチェックしたいところだ。

 ゲーム中には特定のNPCが使っている銃など、カスタマイズされたものや高性能な銃器にも出会うことがある。しかし武器には耐久度が設定されているため、永遠に使い続けることはできない。そのため、トレーダーから離れたところでは、敵の増援が無い事を確認しつつ、倒した敵の死体をルートしよう。武器、弾薬や回復剤などほとんど現地調達で賄うことができる。

 未踏の領域の進め方は、屋内外を問わず双眼鏡を見ながら進むことになる。画面左上に近隣に存在するNPCの数を示してくれる。双眼鏡を覗き込むと、障害物の後ろにいるNPCでも敵・味方を色つきの四角で示しながら居場所を教えてくれる。敵もある程度近寄らなければこちらには気付かないため、目の前の敵を倒すばかりでなく、やり過ごす方が得策なケースも多い。

 後半は狭い研究所内に大量に兵力を投入されるなど、もともと高い難易度がさらに高くなる。ライトの明かりを切り、静かに背後から敵をナイフで仕留め、すかさず死体を隠すといったステルステクニックが要求されるなど、コアなゲーマーを唸らせるバランスに仕上がっている。歯ごたえのあるプレイを望むコアゲーマーにオススメの一作だ。



武器にはすべて耐久度が設定されており、どんな武器でも耐久度が落ちていくと、弾詰まりを起こしたり、発射そのものができなくなり、捨てざるを得なくなる。「アーティファクト」はベルトのスロットに装着する事で体力の回復を助けたり、様々なダメージを軽減するといった恩恵を受けることができる 周囲の安全を確認して死体からアイテムを得る。強いNPCほど強力なアイテムを持っている。死体は持ち運ぶこともでき、隠す事で殺害を誤魔化すことも可能だ

体を傾ける操作もできる。遮蔽物に隠れながら狙おう。当初アナウンスされていたビークルによる移動が削除された代わりに、徒歩のスピードが上がっており、リアルながらもスピード感あるプレイが楽しめる 本筋のストーリーやマップ情報などは、すべてPDAに集約されている。ランキング機能もあり、MMORPGのエッセンスを詰め込もうと努力した跡が見られる

箱を壊すとグレネードや回復剤などを得られる。所持重量を軽くするためにアイテムを落とすと、同じ種類がスタックせずそのまま積みあがってしまうあたりはもう少しスマートに表現してほしかった。弾薬を大量に落とした場合、目の前が弾薬箱だらけになる。敵の死体をルートした際に、不要な物はまとめて死体に押し付けてしまうのがベストだ 手榴弾は重量が軽く威力が高い。ゲーム後半は重量対効果が重視されるため重宝するアイテムだ

中立の相手には、手に武器を持っていると話を聞いてもらえない 宗教や戒律に基づいた各集団や、賊、軍隊、STALKERといった様々な人々の思惑が交錯する「The Zone」

倒れているNPCに回復剤をわけてやると、味方としてサポートしてくれたり、様々な情報をもたらしてくれる。本作はかなりバグが多い印象だ。特にエリアチェンジする際は要注意で、マップのローディングが終わった瞬間に、敵のグループのど真ん中に出現し、いきなり蜂の巣にされることもしばしば。ローディング、蜂の巣、死亡、ローディングの一連のループに陥ると詰んでしまうので、こまめに手動セーブを取っておきたい

【マルチプレイモード その1】
「STALKER」のマルチプレイモードはメインストーリーに沿って刻々と変化するシングルプレイの世界観を踏襲し、マルチプレイもマップ中にランダムでホールが出現したり、ラウンドごとに天候や時刻が変化したりと、不確定要素を盛り込んでいる。最大32人まで同時プレイ可能で、用意されたモードは、デスマッチ、チームデスマッチ、アーティファクト・ハントの3つ。自分以外は全て敵となる総Kill数を競うデスマッチと、チーム同士でこれを行なうチームデスマッチは一般的だが、アーティファクト・ハントはシングルプレイに登場するアーティファクトを利用したモード。「Counter-Strike」のように決められた1地点より武器を購入後同時に出撃し、相手を全滅させるか、ラウンド中に任意の場所に生成されるアーティファクトを回収し、自陣まで持ち帰ると勝利となる

【マルチプレイモード その2】
マルチプレイではランク制が採用され、同じサーバーでプレイしていくうちにランク制限のある高級武器を購入できるようになる。武器によって、弾薬の種類を選択できるものがあるが、いちいち使用弾薬を確認しながら購入するため煩わしい。サイレンサーやグレネードランチャーなどアタッチメントを購入できるため、武器にこだわりのあるユーザーは楽しめるだろう

Developed by: GSC Game World. Copyright c 2007 GSC Game World All rights reserved. THQ and THQ logo are trademarks and/or registered tranemarks of THQ Inc.Published by: THQ and GSC World Publishing.


【S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl】
  • CPU:Pentium4 2GHz/AMD XP 2200+以上(Core2 Duo E6400/ Athlon64 X2 4200+以上を推奨)
  • HDD:10GB以上
  • メモリ:512MB以上(1GB以上を推奨)
  • ビデオメモリ:128MB以上(256MB以上を推奨)


□GSC Game Worldのページ
http://www.gsc-game.com/
□「S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl」のページ
http://www.stalker-game.com/

(2007年4月19日)

[Reported by 三浦尋一]



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